出産や育児を経験すると、それまでとの環境の違いから、人生観や労働観が変化する人は少なくありません。妊娠を機に前職を退職し、株式会社カラダノートで復職した岡本生恵もそのひとり。母になったことでまたひとつ価値観や視野が広がり、育児に仕事にまい進する彼女の考え方を紹介します。
「このままでいいのか……」周りに流された幼稚園見学で浮かんだ疑問
▲1児の母でもある岡本(写真右)。母としての経験が彼女のキャリアアップの助けとなった
ママ向けの事業をメインに展開している株式会社カラダノート。社内外で多くのママに話を聞くと、出産や育児が、自分の人生を改めて考えるきっかけになったと感じる人はたくさんいます。
その中のひとりであるコネクトプランニング部で妊娠から育児に関するアプリの企画ディレクションを行なう岡本生恵は、2年前の2016年7月に入社し、アプリ事業部のカスタマーサポートとして働いてきました。
岡本 「弊社にいくつかあるアプリのユーザーさんから、要望や機能の不具合などの問い合わせをいただくので、それに対応するのが主な仕事でした」
当初は、アルバイトでの入社。1年後に時短正社員となり、2018年現在まで業務の幅を広げてきました。
岡本 「これは当社の特徴ですが、社員やアルバイトなどに関係なく、任せようと思ってもらえたら任せてもらえる環境です。
自分で『こうしたい』っていう思いがあって、発言すれば挑戦させてもらえる社風なので、途中からはカスタマーサポートに限らず、私も母親であることを活かして、アプリの企画とか施策を考える会議で意見を言うこともありました」
前職までは営業事務として働いていた岡本。彼女が、カラダノートに入社することになったのは、自身が妊娠・育児を経験して、今後の人生を深く考えたことがきっかけでした。
岡本 「入社した2016年当時は子どもが2歳だったので、周りのママたちにまぎれて幼稚園の見学に行くことも。でも、自分がこれからどういう風に生きていくのかということを考えはじめて、果たしてこれでいいのかなって。
私は妊娠を機に退職して専業主婦をしていたんですけど、また働き出すのもありなんじゃないかなと思いました。周りに流されてプレ幼稚園とかを決めるんじゃなくて、『自分がどうしたいか』で決めた方がいい。
だったら復職して、自分ができることに挑戦して、もしそこでダメだったらまた考えようと思ったんです」
そこで岡本は、復職するための準備として、まずは子どもの保育園探しをはじめました。
はじめてのベンチャー企業勤務に、最初は戸惑いを感じていた
▲「人の役にたつ」という価値観から前職を退職後、職業訓練校を修了した
復職を目指すと決めたときから、保活と就職活動を並行して行なっていきました。就職活動で気になっていたのは、自分のスキル面、仕事と育児の両立面の2つ。
岡本 「前職までは事務職だったので、私は何か突出したスキルをもっているわけではなくて。しかも、子どもが体調を崩すこともあるだろうなと。そういう部分を穏やかに見守ってくれる職場があればいいな、ということで探していました。
それに加えて、『直接人に貢献したい』という思いをもっていました。前のような事務の仕事だと直接人の役に立てている実感をもつことが難しかったんです。
前職を退職後に職業訓練校に通っていたことがあって。そこでは簿記や総務の勉強などをしていたんですが、根本的には、人に携わって喜ばれることをしたいという思いが、カラダノートの求人と結びつきましたね」
当時はオフィスも現在より小さく、従業員も少なかった当社。岡本は、ママである経験が活かせるということ、他にもママが多く在籍している職場であるということに魅力を感じ、入社しました。
しかし、これまで働いたことのないベンチャー企業での勤務に、最初は戸惑いを感じてもいました。
岡本 「今では普通ですけど、まず、社内でチャットを使う会社にいたことがなかったので、みんな黙々とパソコンに向かって仕事をしてたりとか、音楽が流れてたりとか。『ベンチャーってこういう感じなんだ』って、入社当初は衝撃を受けました(笑)。
仕事のブランクもあったので、最初は社員の皆さんとも、どう喋ったらいいのかなとか、ちゃんと溶け込めるかなとか、いろいろ考えていましたね」
そんな職場にも徐々に溶け込み、1年経過したころに岡本は時短正社員になりました。保育園のお迎えに行く時間で上がるという生活には、もどかしい思いも抱えている彼女。
ですが、家族が迎えに行ける場合は行ってもらったり、在宅制度を利用したりと、工夫しながら働いています。
岡本 「私は器用にバランスが取れるほうじゃないので、家族と仕事とのバランスで悩むことはあります。その中でも、たとえば子どもが熱を出してしまったときには親に預けて少しだけ仕事をするとか、うまく仕事を分解し工夫してこなすようにはしています。
仕事には最大限コミットしていきたいなと思っているので、自分のできる限りのことはするようにしていますね」
「人の役に立つこと」を実感できる仕事を。くすぶっていた思いが再燃
▲前職時代の岡本。営業事務などのバックオフィスに従事していた
岡本はそれまではバリバリ働いてきたタイプではありませんでしたが、学生時代には人材派遣会社に興味を持つなど、仕事を通して人の役に立ちたいという思いをもっていました。
就職の際にはその思いに一度ふたをした形でしたが、出産・育児期間を経て、その思いが再燃。仕事をすることで、くすぶっていた思いを取り戻しました。
岡本 「もしかしたら今が一番、仕事に向き合っているかもしれないですね。
家庭をもったっていうのもありますし、やっぱり出産して育児をしていく中で、閉塞感とか自分だけの世界というのを感じて、なおさら人の役に立ちたいっていう思いが強く出たんです。それが、仕事への考え方が変わったきっかけですね」
カラダノート入社後は、ママ向けのサービスという業務内容だったこともあり、働くことの楽しさを改めて実感する日々を過ごしています。
岡本 「さまざまな業務にかかわる中で、サービスの仕組みやつくり方など、自分は本当に何も知らなかったんだなと思いました。
今は、誰がどんな努力をして、こういう仕組みをつくっているのか、この機能にはこんな思いが込められている、といったことを深く知ることができています。
そうやってみんなが頑張って、それを全部結集したものがアプリやサービスになっていて、ユーザーさんに提供できている。その仕組みがわかって、そこに今自分が携われていることは、嬉しいことだなと感じています」
岡本が入社後一番印象に残っている仕事は、入社後まもなく、現在も手直ししながら配信されている育児メルマガをイチから制作したこと。登録者数万人に送られるメルマガの、土台部分をつくった経験は、とても大きかったと考えています。
岡本 「今振り返れば、それは自分にとってすごく貴重な経験でした。娘が生後何カ月のときってどうだったんだろうとか、そのとき自分はどんなことが気になってたのかとか、思い出しながら携われて、自分の経験がフルに活かせましたね」
それは、岡本がずっと思っていた「人の役に立ちたい」という働くことの目的を実感できる、とても大きい経験となりました。
みんなでつくったものが、ママたちの役に立ち、社会の役に立てるやりがい
▲カラダノートでは、入社して以来挑戦を続けどんどん職域を広げている
働くことに対しては、自分の力で何かをつくりあげていきたいと思うタイプもいれば、与えられた仕事を粛々とこなすタイプなど、いろいろなタイプの人がいます。
その中で岡本は「みんなでつくる」ということに価値を感じています。
岡本 「たとえば、私がぼそっとチャットでつぶやいたことも、誰かが拾ってくれて、大きくなって企画になったり、私以外の人が発言したことが発端になって『それ、やろう』ってなったりします。
アプリひとつでも、エンジニア、デザイナー、企画する人などいっぱいいて、話し合って固まったものが集約されてアプリになります。そういうのを目にすると、やっぱり私ひとりでできることには限りがあって、みんなでつくっていく。
それがママさんたちに役に立つ、という風につながっていくことにやりがいを感じます」
現在アプリの企画・運営などを行なっていますが、今後は、当社のサービスを使ってくださるママたちと、より距離を縮められるようなコミュニティの施策などに携わっていきたいと岡本は考えています。
時短で働いている2018年現在。今後は家庭や育児の状況も変化していく中で、働き方も柔軟に変えていくつもりです。
岡本 「これからまた娘が成長して、小1の壁とか、いろんな問題にぶち当たると思います。そこにもより柔軟に対応していきたいですし、『自分には何ができて、何を提供できるのか』をしっかりと考えて、相談しながら進めていかないといけないなと。
私にとって仕事はすごく大事なもので、考えるきっかけをくれたものなので、工夫して携わっていけたらいいなと思っていますね」
働く意識を変え、働き方を工夫しながら、充実したワークライフを送る岡本とカラダノートは、これからも出産や育児に奮闘するママたちをサポートし続けます。