株式会社カラダノートを創業時から支える社外取締役であり、ヤフー株式会社執行役員を務める田中祐介氏。当社代表の佐藤竜也とは、佐藤の学生時代から、15年ほどの付き合いとなります。今回はふたりが、創業前から現在までのカラダノートの歩みを振り返るとともに、未来に向けた成長を見据えます。
15年前、「学生インターン」と「ベンチャー企業の社長」として出会った
▲ヤフー株式会社執行役員、株式会社GYAO代表取締役である田中祐介氏(写真左)とカラダノート代表取締役の佐藤竜也(写真右)。15年前、ベンチャー企業の社長と、学生インターンとして出会うところから始まる。
出資者としても社外取締役としても株式会社カラダノートをサポートしている田中祐介氏。2018年11月現在、ヤフー株式会社執行役員、株式会社GYAO代表取締役社長、株式会社クロスシー代表取締役会長も務めています。
田中氏が経営していたベンチャー企業に佐藤がインターン生として応募したのがおよそ15年前。佐藤が大学1年生のときでした。当時の印象を田中氏はこう語ります。
田中 「イケメンで、スポーツマン。かっこいい学生だなと思いました。私が採用するときには、ただ成功したいとか、金持ちになりたいという目的ではなく、自分で自信を持って社会に対してやりたいことがあるかというところを大事にしていました。
彼は中国市場への投資に関心を持っていて、当時の大学1年生としては、目の付け所が鋭いと思ったんです。私も当時から中国での事業を行なっていましたし、成長する中国市場に可能性を感じていたので、その部分ではわかり合えるとポジティブに感じました」
インターンとして入社した佐藤はすぐ、かばん持ちなど田中氏の近くでの仕事をはじめます。
佐藤 「最初のころは、営業に同行したり、中国の市場調査をしたりしました。田中さんの好きなおにぎりを買ってくるというのも重要なミッションでしたね。
僕が印象に残っているのは、田中さんが『未来にむけて強い日本社会をつくるためにどうしたらいいか』ということをすごく考えていたところ。
そのために、日本の強みであるモバイル分野で、中国展開されていました。その郷土愛の精神のような想いに共感しましたし、 15年経っても仕事で関わりを持たせていただけているのは、その部分が大きいと思っています」
田中氏と佐藤は、仕事の場面だけでなく、一緒に銭湯に行ったり、佐藤が田中氏の家に泊まらせてもらったり、プライベートの時間も多くともにしていました。
大学卒業後、そのままその企業に入社した佐藤。会社の上場や新規事業の立ち上げなども経験したところで、田中氏にかねてから視野に入れていた独立の話を持ちかけました。
会社が合併し、田中氏が社長を後任に交代することになったことも要因のひとつでした。
深夜にかかってきた1本の電話。新しい経験のなかで見えてきた事業テーマ
▲学生当時から起業思考があったという佐藤。起業家の大先輩である田中氏に、アドバイスを仰ぎながら着実に事業を進めてきた
佐藤 「『起業したいので会社を辞めようと思います』と伝えたら、夜 12時ぐらいに田中さんから電話がかかってきて、『後任の社長に話して、佐藤に次の事業部長を任せてより責任を持てる体制をつくることにした。それを経験してから独立しても遅くないんじゃないか』って言われて。
1年間やらせてもらいました。
それまでは、会社内でも、佐藤単独での個人プレーというかたちだったので、組織をマネジメントして動いていくという経験をさせていただきました。それは全然無駄じゃなかったなと思います」
田中 「もともと起業意欲があって、学生時代からインターンをしているわけなので、機が熟したときに起業を応援しようと思っていたんです。
私が最初に起業した 20年前に比べたら、当時や今は非常に恵まれた環境になっていますが、とはいえゼロから業を起こすというのは難しいこと。
だからそれには、何のために起業するのか、テーマが明確にあった方が良いんです。なのでそのときは、テーマが決まるまではしっかり準備をした方がいいんじゃないかという話をしました」
佐藤は、ガラケーのSEO事業に取り組むなかで、携帯利用者が健康に関わる検索ワードでよく調べているという発見から、「モバイル×ヘルスケア」というテーマを見い出します。
そして、約1年後の2008年12月。法人登記を行ない、事業をスタートさせました。田中氏は、佐藤からの出資の依頼を快諾。さらに、社外取締役にも就任しました。
佐藤 「これまで田中さんのおかげで成長してきたので、今後もお世話になれる環境にしていきたいという想いでした。社外取締役は、監視とアドバイスをしてもらえたらありがたいなと思い、お願いしました」
田中 「 私は 4回ほど起業の経験があります。それぞれの成長ステージでの企業の課題を身を持って経験してきました。その経験から、彼が無駄につまずくところを減らすためにもサポートできればと考えていました」
こうして、心強いサポートのもとカラダノートは歩みはじめたのです。
転機に必ずあったキラーパス。一つひとつに練り上げられた意図があった
▲「運」に導かれたという佐藤に、カラダノートという同じ船に乗ったからには応援団を作るべくパスを出してきたという田中氏
佐藤が常々感じているのが、田中氏の持っている「運」に導かれたということ。カラダノートの歴史のなかで転機になったポイントで、田中氏の助言が存在感を発揮していました。
佐藤 「田中さんは強運の持ち主だと思っていて。起業してから 10年間で、田中さんのキラーパスのような助言のおかげで方針が定まったことが何度もあります。それらがなかったらここまで生き残っていないんじゃないかなと。
定常的に田中さんにアドバイスをしてもらう、ということはないんですが、久しぶりに会ったときのアドバイスが相当的確で、研ぎ澄まされていますね。
もちろん僕もある程度仮説を立てて相談に行くんですが、田中さんと話をすることでその仮説に自信を持てるということがあります」
当社は2016年からビジネスモデルやターゲットを変えていますが、そのきっかけとなったのも田中氏のアドバイスでした。
田中 「健康っていうテーマだと万人向けのメディアとしては成立しづらいので、目指すところは、何千万人へのリーチよりも、あるテーマで悩んでいる人をしっかり助けること。
そのためには、リーチは狭くてもエンゲージメントが高いメディアやサービスを提供するべきだし、例えば妊娠期といった特別なライフステージに必要とするものを提供していくというビジネスモデルに変えた方がいいんじゃないかと。
そういう話をしました」
また、10月まで社外取締役を務めた穐田誉輝氏と佐藤の接点をつくったのも、田中氏の1本の電話。それは運命的な出来事だったと佐藤は考えています。
佐藤 「起業して半年くらいのときに田中さんから電話が来たんです。茨城県のとあるプロジェクトに 、1カ月間ボランティアとして協力できる人を探していて、『茨城県出身で、暇そうなやつを探しているんだけど、竜也行けないか?』と。
そのときに出会ったのが当時カカクコムを退任された後の穐田さんでした。
起業して間もないころでしたし、余裕があるとは言えない時期でしたが、それがなければ、出会うことのなかったつながりを持たせていただきました」
そこにあった意図を田中氏はこう説明します。
田中 「僕はカラダノートという同じ船に乗ったので、この船の応援団をつくろうと思うわけですね。
どういう方に応援をお願いするかと思ったときに、ベンチャーキャピタルのような資金面で応援してくれる人がいいのか、事業のアドバイスをくれる人がいいのか。
この会社にとって必要なのは後者だと思ったので、自分の知る最高の消費者向けインターネット事業の経営者に関わっていただきたい、そういう経営者にカラダノートや佐藤のことを知ってもらおうと、キラーパスを出していったと。
人の紹介もそうですが、事業の成功のためには、運だけでなく成功する理由がどれだけ深く研ぎ澄まされているかがすごく大事なんです」
まずは師匠を超えること。破天荒な人や考え方の受け入れがカギ
▲師匠を超えることで最大の恩返しを、と佐藤は考えている
田中氏のアドバイスをその都度活かしながら事業を続けてきた佐藤。その真面目な姿を外から見守る田中氏は、カラダノートの次のステージに期待することがあります。
田中 「佐藤さんって頭がいいというか、手堅い経営者なんですよね。志もあって、ビジネスも型さえ決まれば売上を伸ばしていける。
ただ、次の段階ではブレークスルーが欲しいですよね。佐藤さんの真面目なキャラクターに対して、真反対の破天荒キャラのような相棒や社員が入ってくると、この会社になにか違う成長が生まれるんじゃないかと思っています」
また、これまで社外取締役として断続的にカラダノートに関り続けている背景には、育成への想いがありました。
田中 「私は今、ヤフー株式会社の執行役員や GYAOの社長などいろいろな角度で経営者をやっていますが、事業はもちろん組織や人を、育成していくこともすごく好きで。
カラダノートという会社に対しても、事業や組織の成長に役に立ちたいと思いますし、社長の佐藤さんも学生時代から見てきているので、世の中にあってよかったと思われる事業を実現するまでしっかりサポートしたいなという気持ちです」
一方の佐藤も、学生時代からの師匠である田中氏を超えようと意気込みます。
佐藤 「田中さんは仁義を重んじる方ですし、人に対してすごく人情味のある方です。今後僕に課せられているのは師匠を超えることだと思うので、まずは田中さんもされた『上場』をクリアしたいと思っています。
その先も、僕のブレークスルーまでは見ていてほしいというのもありますし、これまでのように、強運とも合わせて引き続きのご指導ご鞭撻をお願いしたいです」
佐藤率いるカラダノートは今後、変わらぬビジョンと時代とともに変わりゆくビジネスモデルで、田中氏を含むボーディングメンバーが一丸となって成長を続けていきます。