みなさんこんにちは。鎌倉新書インターンの舘野です。
今回は、鎌倉新書のCSR活動のひとつである「社会貢献団体ガイドブック」について、ご紹介します。
CSR活動:
企業の社会的責任という意味があります。企業が自社の利益を追求するだけでなく、倫理的な観点から自主的に社会に貢献する責任のことです。
一体どんなものなのか、どういった経緯で始まったのか、担当者にもインタビューしました。
ぜひ最後までご覧ください。
「社会貢献団体ガイドブック」とは?
社会貢献団体ガイドブックは、社会貢献活動を行っている団体の情報を1冊にまとめたガイドブックで、団体名、活動内容、住所、代表者名、活動開始年、常勤スタッフ、事業規模などを掲載しています。2017年から始まり、これまでに3冊を出版しました。
想定している読者は、「社会貢献団体に寄付をしたいけど、どんな団体があるのかわからない」といったお悩みを抱えている方です。特に自分が亡くなった後の資産の使い道に悩んでいる高齢者の方々は、遺産の一部または全部を寄付すること(遺贈)に興味関心をもつ場合が多いようです。
そういった方々に対し、どんな団体が、どんな活動をしているのかを伝えるのが、このガイドブックの役割。
掲載している団体数は第1弾で52団体、第2弾で72団体、第3弾では152団体にまで増えています。
ガイドブックでは、活動のテーマごとに団体が分けられています。例えば、子供支援、教育支援、医療支援などがあり、読者は自分が共感できる問題にアプローチしている団体を簡単に探すことができるのです。
本の仕組みを図で紹介します。
①社会貢献団体から鎌倉新書に活動内容などの情報が提供されます。
②たくさんの団体の情報をまとめたガイドブックを読者の手元に届けます。
③寄付をしたい団体があれば、電話で鎌倉新書に問い合わせます。
➃鎌倉新書が読者と団体をつなぎ、読者は団体に対して寄付をします。
ガイドブックが読者の手元に届くまで
ガイドブックは3つのルートで読者の手元に届けられます。
①終活セミナーの参加者に配布
②士業の方経由で配布
③「いい葬儀」などのサイト経由で配布
鎌倉新書は、証券会社などの金融機関において終活に関するセミナーを開催しています。セミナーに話を聞きに来るのは、まさに相続する必要のある資産をもった70代以上の高齢者の方々。遺産相続について、まさに自分事として捉えることのできる方々が集まっているのです。セミナーに参加し、遺贈に興味をもったお客様に対してガイドブックを配布します。
また、遺産を寄付するためには遺言書の作成が必要であるため、遺言書の作成を担う士業の方経由でガイドブックを配布するということも多いです。
行政書士さんや司法書士さんは、クライアントから遺贈の依頼を受けた際に、このガイドブックをお渡しするだけで、いろいろな社会貢献団体をご紹介できるというわけです。
鎌倉新書が運営している「いい葬儀」や「いいお墓」、「いい仏壇」などのWEBサイト経由でガイドブックをお配りすることもありますが、あまり多くはありません。
WEBで情報収集するのは、概ね60代前後まで。資産を遺す側として、遺贈が自分事の問題となるのは70代以上の方が多いということもあって、WEBサイトよりもセミナーなどのリアルな接点の場でガイドブックを配布することがメインになっています。
鎌倉新書のCSR活動に対する考え方
鎌倉新書は、社会貢献を3つに分けて考えています。
① 事業を通じた直接的社会貢献
企業が提供するサービス自体が、社会に貢献すること。
③ 企業の発展を通じた社会貢献
企業として成長し、売上や雇用を増やすことで、経済の発展に貢献すること。また、企業が法人税を、企業で働く社員が所得税や消費税を納めることを通じて、国や地方によるインフラの整備、福祉の充実に貢献すること。
③事業の中で気づいた社会貢献:
ビジネスにはなじまないけれども、社会貢献性が高い領域における活動。
※より詳しく鎌倉新書のCSR活動について知りたい方は、こちらのページをチェックしてみてください。https://www.kamakura-net.co.jp/company/social-activity/
「社会貢献団体ガイドブック」は、③の社会貢献にあたるものです。
ガイドブックを作成して配ることは、収入にはつながりません。それでも鎌倉新書が注力すべき理由は2つあります。
1つは、鎌倉新書が「終活において本当に価値のあるサービスを最も多く提供する」ことを目指しているからです。遺贈も終活の一部であり、お客様のニーズがあることは明らか。ビジネスになじまないから、自分たちがやっている事業と直接かかわりがないからといって見て見ぬふりをするのではなく、お客様の「ありがとう」につながる活動であれば、どんどんやっていこうというスタンスなのです。
理由の2つ目は、鎌倉新書の既存事業と同じビジネスモデルで展開できるということです。
鎌倉新書のビジネスモデルの基本は、お客様と事業者様をつなぎ、橋渡しをすることです。その根底には、鎌倉新書は情報加工業、つまり集めた情報をお客様にとって最も適切な形で伝える会社であるという考え方があります。
社会貢献団体ガイドブックの仕組みも同じです。情報を集め、1冊にまとめて出版し、寄付をしたいと考えている読者に届ける。だからこそ、鎌倉新書が注力すべき活動であるということなのです。
ガイドブックの担当者にインタビュー!
社会貢献団体ガイドブックを担当している、木村 真典さんにインタビューをしました。
――「社会貢献団体ガイドブック」の出版は2017年から始まりましたよね。どういうきっかけがあったのでしょうか?
きっかけは、代表取締役CEOである清水が登壇する終活セミナーに参加していた方のお声ですね。
清水は5年以上、証券会社などの金融機関で終活のセミナーを開催しています。セミナーにいらっしゃるのは、証券会社に大量の資産を預けていらっしゃる70代の方々。中には、お子さんのいないご夫婦もいらっしゃいます。
そういった方々は、ご自分が亡くなった後のお金の使い道がない。法律上、相続人のいない遺産は国に帰属しますが、できればもっと社会貢献につながるような使い方をしてほしいと考えている方がとても多いんです。具体的に言うと、社会貢献団体に寄付をしたいということですね。
けれども、どんな団体があるのかわからない、どの団体に寄付するのが良いのかわからないという状況で、なかなか実際に寄付することができていなかったんです。
そこで、鎌倉新書が社会貢献団体の情報を集めてみなさんに提供しましょうということになり、このガイドブックが始まりました。
――自分が亡くなった後、遺産を寄付することができるのですね。
はい、それを遺贈といいます。最近、遺贈をしてみたいと思われる方が増えてきました。まだ知らない方は多いですが、知ると「良い活動ですね」と言ってもらえます。
遺産を相続するご家族がいらっしゃる場合にも、遺贈にはメリットがあるんですよ。認定がついたNPO法人や公益がついた財団法人、社団法人に寄付をすると、相続税などの面で税制優遇が受けられます。
ガイドブックに掲載されているのは、そういった認定や公益がついた団体だけ。ガイドブックを通して、寄付を受ける社会貢献団体だけではなく、遺贈をする側にもメリットがあるようにこだわっています。
ーー2017年末に出版された「社会貢献団体ガイドブック 2018年版」を皮切りに、2年間で3冊のガイドブックを出していますね。その間、どのように変化してきたのでしょうか?
参加してくれる団体が徐々に増えてきましたし、まだまだ試行錯誤をしている途中なので、変わったところは他にもたくさんあります。例えば、寄付特典や評点は、最初は載せていたのだけれども、2020年版では削除してしまいました。
ーーどちらも寄付する側としてはあったら嬉しいもののような気がするのですが…。まず寄付特典とは、どういったものなのでしょうか?
社会貢献団体ガイドブックをつくるときに一番参考にしたのは、ふるさと納税だったんです。ほんの数年でやる人がガーンと増えて、今でも増え続けている。
なぜこれだけ多くの人を集められるかって、やっぱり返礼品目的の方が多いからですよね。社会貢献団体への寄付でも、なにか特典があればやってもらえるんじゃないのかなと思って、第2弾までは寄付特典を書いてもらっていたんです。
ーー社会貢献団体の寄付特典はどうして辞めてしまったのでしょうか?
寄付特典の内容が、記念品や感謝状、ニュースレターなどで、ふるさと納税ほど魅力的ではなく…。どの団体も資金不足なので、なかなか出せないんですよね。
だから2020年版では、割り切って、活動の紹介に絞りました。彼らがどんな思いで、どんな活動をしているのかを知ってもらうことに注力した内容になっています。
ただ、寄付特典を諦めたわけではないんです。今後ガイドブックを見た方からの寄付が増えて、実績さえ積めれば、団体側に「こういう寄付特典を付けませんか?」という提案ができるようになると思っています。
ーー寄付特典は今後復活する可能性もあるのですね!ということは評点のほうも…。
第1弾の2018年版では、各団体の財務的指標と透明性指標を評価して、A~Eの評点を付けました。日本国内では、社会貢献団体を評価する明確な基準がなかったので、鎌倉新書独自の基準を用いました。NGOのレイティングをやっているアメリカのサイトがあって、それを参考にしてやってみたんです。
ところが、やっぱり団体によってやっていることが違っているので、なかなか同じものさしでは測れなくて。かつ、評点をつけるってなると団体側も及び腰になってしまって、あまり情報を提供してもらえなかったんです。
これは厳しいなということで、第2弾からは評点をつけるのはやめました。
ーー何か基準があったほうが、寄付をする側としては安心感がありますよね。
そうですね、これも実績が大事だと思います。僕らがもっともっと社会貢献団体と密につながって、もっともっと彼らの活動を知ることができれば、新しいものさしを考えられると思っています。
ーーこれまでガイドブックを作成してきて、大変だったことについて教えてください。
ひとつは、NPO法人や公益法人へのルートがなかったことですね。
どうやってコンタクトをするかっていうのが、最初のハードルでした。1冊目はたった3ヵ月で作成したこともあって、52団体にしかご参加いただけなかったんです。
そりゃ、そうですよね。上場企業とはいえ認知度は低く、寄付金を集めてきた実績もない会社に「集めてきますから!参加してもらえませんか?」って言われたところで信用できないですし、参加しようとは思わないでしょう。
ただ、第1弾を作った後は、それをサンプルとして「こういうことをやっているんです」という姿勢を見せれば、あとは意外とちゃんとついてきてくれましたね。サンプルを作ることで、障壁を乗り越えることができました。
ーー“最初の…”ということは、まだ他にもハードルがあったんですね。
初めての試みなのでハードルだらけでしたけどね(笑)。次の障壁は、ガイドブックをどうやって配ろうかということでした。
ガイドブックを作る上で僕が最も重要視したのは、「ガイドブック経由でどれだけ多くの方に遺贈してもらえるか」でした。
社会貢献団体にとっても、遺贈してもらえるかは一番大きな課題になっています。彼らもなんらかの収入がない限り活動ができないので、寄付金を集められるかどうか、特に遺贈などのまとまった金額の寄付を集められるかどうかは死活問題です。どの団体も悩んでいるところであり、やっぱり簡単ではなかったですね。
遺贈をするには遺言書が必要ですから、行政書士さんや司法書士さんといった士業の方々が関わります。そこで、士業の方々にガイドブックの配布をお願いしたんです。パートナーとなってくれる士業の方々の開拓は、僕が一番責任をもって進めたところですね。
ーーガイドブックを作る上で、やりがいはどんなところに感じますか?
やっぱり、社会の役に立っている実感があるところですね。
どの社会貢献団体も熱いんですよ。お金がなくてひぃひぃ言いながらも、その熱い思いをどうにか実現しようと頑張っている。
そういう思いを支援してもらえるってなると、実際にはまだそれほど寄付金を集められていないにも関わらず、提案するだけでも喜んでもらえるし、同時に、僕ももっと頑張らなきゃと思える。僕自身の背中を押してくれる原動力になっていましたね。
ーー最後に、今後の展望を教えてください。
鎌倉新書は終活全般のサポートをする、どんなご相談も受けられる体制をつくることを目指していて、それが使命の会社です。
今後、終活の中で自分の最後の自己実現として、残った資産の使い道をどうしようかと考える人は必ず出てきます。彼らにとっては、遺贈がひとつのソリューションになるはず。それは実感としてあるんですね。
そう考えると、社会貢献団体ガイドブックを通じて遺贈を募ることは、鎌倉新書としてやらなければならないことなんです。終活全般において、人々と事業者の橋渡しをする会社として、必要な分野だろうと思います。
だからこそ僕の使命は、ガイドブックを作り、より多くの読者の方に配布すること、そしてそれが今後もちゃんと続いていくような仕組みを作り上げていくことだと思っています。それが目標ですね。
終わりに
今回は、社会貢献団体ガイドブックについて紹介しました。
担当者である木村さんのガイドブックに対する想い、伝わったでしょうか?人の役に立てる仕事であるという実感をもって働けるのはとても素敵なことだなと、インタビューを通して感じました。
ガイドブックの出版は、鎌倉新書のCSR活動に対する考え方、特に事業を展開する中で気づいたお客様のニーズには応えていこう、それがビジネスにはなじまなくても取り組んでいこうという姿勢が色濃くでている事業だと思います。
鎌倉新書は、終活を「人生の終わりに向けて前向きに準備することで、今をよりよく生きる活動」と捉えています。その中で、自分が亡くなった後の資産の使い道を考える「遺贈」は、大切なことのひとつです。終活というと、「死ぬ前の準備」という少しネガティブなイメージがあるかもしれません。しかし、どんな団体に寄付をして、どうやって社会に貢献しようかなと未来に対して希望をもって考えておくことも終活の一部なんです。
さて、ガイドブックもまだまだ発展途上。団体を集めるところから、お客様のもとに届けるまで、一緒に携わってくれる仲間を募集中です。我こそは!という方はぜひ一度、鎌倉新書に話を聞きに来てみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。