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【スクエニLife】スクウェア・エニックス独自のエンジニア研修とは

スクエニLife

こんにちは、スクウェア・エニックス 採用担当 平山です。

スクウェア・エニックスでは、人的資本投資の取り組みを積極的に推進しています。

その中の一つとして、2024年度からプログラミングの基礎知識とゲーム制作全般の知識を身に付けることを目的に,プログラマーの新入社員を対象にしたエンジニア研修を3か月間実施しています。

新入社員は4月1日に入社し、2週間の全体研修・座学を受けます。この中で会社やビジネスに対する理解を深め,社会人として一般的なマナーを身に付けてもらいます。その後、開発職社員のみ、4月後半から5月末までの1か月半かけて、「Game Dev Boot Camp」と呼ばれるゲームの開発プロセスをチーム単位で疑似体験してもらうゲーム開発研修を実施しています。本研修は失敗を恐れず挑戦するマインドの醸成やゲーム開発に欠かせないコミュニケーションスキルとチームワークスキルを身につけ,職種間の理解を深めることを目的としています。

さらに今年度からは、6月初旬から8月末にかけての約3か月,プログラマーを対象とするエンジニア研修を実施しました。

本エンジニア研修は人事部の発案ではなく,当社を代表するプログラマーが発案したものです。

今回はその発案者である、AI&エンジン開発ディビジョン ジェネラル・マネージャーの荒牧さんとリードプログラマーの小野さんにお話しをうかがいました。

スクウェア・エニックスがどんなエンジニア研修を実施しているのか、ご興味があれば、是非お読みください。


AI&エンジン開発ディビジョン ジェネラル・マネージャー 荒牧 岳志、リードプログラマー 小野 哲平

この新卒エンジニア研修はどのような背景(きっかけ)から実施することになったのでしょうか。

荒牧:これまでも新入社員のチームでゲームを1本制作する研修はありましたが、実際のプログラミングの知識やツールの使い方は各部門に配属してから、それぞれのチームで研修を行ってきました。

ただ、教える内容に関しては各部門のチームによって違っていたり、教える人も毎年変わったりしていたので、内容にはかなりばらつきがありました。

スクウェア・エニックスに新卒で入社される方は、プログラミングスキルがすごく高い方もいますが、単純に面白いゲームを作りたいなど強い思いで採用され、プログラミングスキルがそれほど高くない方も入社しています。また、ゲーム制作のプログラミングではC++言語を使うことが多いのですが、C++言語はあまり学校などでは教えていないところも多く、C++言語の経験がない方の応募も多くあります。より広いスキル・能力を持った方に入社していただくためにも研修の制度を整えていく必要があると考え、自分から、社長の桐生や人事、役員の方々に企画提案し、この取り組みが始まりました。

また、これまで一度部門に配属されたあとは、同じ仕事を何年もかけてやる方も多く、その結果、そのタスクの専門スキルはあがっていくのですが、一方で他のタスクをやるには知識やスキルが足りないということもありました。幅広い研修を実施することでスキルの底上げを行い、柔軟な仕事のアサインや部門異動などができればいいなという思いもありました。



研修カリキュラムや研修内容を教えてください。

荒牧:大きく分けて、ゲーム制作時に使用されているC++アルゴリズム研修、ゲームの作り方に関するゲーム制作フロー研修、一人一人が簡単なゲームを制作する個人制作研修の3つがあります。
ゲーム制作でよく利用されるプログラミング言語のC++は、昨今、あまり学校などで習うプログラミング言語ではないため、事前に知識がなくても書けるように、丁寧に教えています。

ゲーム制作フロー研修は、Unreal Engineの使い方から、アクションゲームの作り方、3Dモデルの作り方や予算の作り方などエンジニアの担当から少し外れたものまで幅広く行いました。部門に配属されると、しばらくは狭い範囲の業務をやっていただくことが多いのですが、事前に知識を広く持つことで、他の職種の方々の理解を深め、会話のきっかけになってもらえればと思っています。また、視野を広くもち、いろんな仕事を経験することで、将来的に、ディレクターやプロジェクトマネージャーになっていく方が出てきてもらえればと思っています。

個人制作研修では、自分でゲーム企画を考えて、C++言語で一からゲームを作ってもらいました。入社する社員は人によってスキル差がかなりありますが、トレーナーと話し合いながら、わからないところは自分でも調べながら、制作を行ってもらいました。最初からできる人はあまりいなくて、どうやったら実装できるかなどをしっかり考え、みんなで問題解決に取り組んでいます。難しい取り組みではありましたが、最終的には楽しんでしっかりしたものを制作できていました。

本研修の講師は各部門から精鋭メンバーで構成されているんですよね。

荒牧:各開発部門から、20数名のメンバーを集めて、完全に社内のメンバーだけで研修の講師を担当しました。FINAL FANTASY VII REBIRTHのチームから、AIやレベル制作の講義を行ってもらったり、スマートフォンタイトルのメンバーから、サーバープログラミングの講義を行ってもらったりしました。本当に最近リリースしたゲームやツールを作っているエンジニアにも講師を担当してもらったので、実践的で、かなりレベルが高い研修になったと思います。

この研修で苦労された点、工夫された点などあれば教えてください。

小野:私はトレーナー4人と共に主に個人制作研修を担当していました。個人制作はゲームエンジンを使わずにC++とDirectXを使って1からソースコードを書く研修でした。学生の頃にUnityを触ったことがある方もいましたが、C++にあまり慣れてない方もいましたし、特にDirectXライブラリを直接使ったことがある方は少なかったです。個人制作では自分でゲームの企画を立てて計画し、実装まで行ってもらうのですが、実装したことのない要素に自信のない方が多かったです。タスクの計画で困ったり、難しそうな企画を避けたりするケースが見受けられたため、トレーナーと綿密にすり合わせを行い、企画では各々に挑戦してみることを決めたり、タスク漏れや見積もりを補正したりしました。実装も最初は特に細かくレビューしていましたし、1カ月おきに振り返りと次の月の計画をする時間も取りました。 

慣れてくると実装スキル面では困るケースはそこまで多くなく、割と順調で、どちらかというと報連相の指摘の方を多くしていたと思います。ビジネス経験がまだないので、質問するタイミングに迷って遅くなったり、計画・報告していないことの実装作業を進めていることもありました。

最初はトレーナーから声をかけていましたが、できれば困った時点で新入社員から来てほしいので、相談でも進捗報告だけでもいいから細かく連絡ください、というのは何度も伝えていました。相談前に自分で考えたい方もいるので、1-2時間悩んで解決できなかったら質問するルールにする、等のアドバイスをしていました。制作ゲームの絵が出るようになってからは毎日進捗が分かる動画をアップしてもらって、とにかく業務における報連相の大切さを理解してもらいました。

スクウェア・エニックスだからこそ実現できていることはありますでしょうか。

荒牧:スクウェア・エニックスは、これまでPCに限らずゲーム機やスマートフォンなどでも、RPGを中心にいろんなジャンルのゲームを作ってきました。そのノウハウはしっかりと蓄積されていますので、研修内容も、社外では知りえない情報を多く伝えることができていたと思います。過去のゲーム制作に関してはみなさん興味があるようで、かなり多くの質問がありました。

小野:研修で新入社員が調べ事をする際に、思った以上にAIを活用していることが印象的でした。弊社では全社的にAIの活用を推進していて、私たちのAI&エンジン開発ディビジョンではAI技術について情報発信したり、ツール開発したりしています。今後の研修ではゲーム開発に繋がるAI活用について研修カリキュラムに盛り込んでいけると思います。

本研修を実施してみて、新入社員の反応や社内からの評判はいかがでしたか。研修後の前と後で社内での変化はありましたか。

小野:新入社員には研修を通して概ね楽しんで勉強してもらえました。触れたことのなかった知識を得たり、勉強したりするきっかけとしても効果はあったようです。個人制作でも最終的に全員自作のゲームを仕上げることができました。
入社2年目3年目の社員からは手厚い研修が受けられて羨ましいという声もありました。今回新入社員のプログラマー全員で研修を行ったことで、新入社員間で相談したり、教えあったりして、お互いを高め合う流れができていたのも良かったと思います。

一方、C++アルゴリズム研修の課題が難しかったという意見が多かったので、今後はレベル調整や講義の組み立てを調整していきたいと思います。特に今回は個人制作をしながら研修講義を受けつつ、課題もこなしていく、というマルチタスクになったことで、新入社員には負担が大きかったというのは反省点です。

研修前は勝手がわからず自信がないという方もいましたが、研修で開発に必要な基礎知識とツールの使い方を学んだため、配属先の部門では比較的早く業務に入れている印象です。各配属先部門での評判はこれからではありますが、私たちのAI&エンジン開発ディビジョンに配属されたメンバーは配属早々に業務で活躍してくれていて、研修の成果がしっかり出ていました。

今回の研修時の課題や、次回のエンジニア研修に活かしていきたいことをうかがえますか。

荒牧:単にゲームの作り方・C++言語の研修であればよく行われるものだと思っています。

今回、ゲーム制作全般の知識やスキルの研修も行い、すぐに関わらないような広い範囲の仕事の理解を深めてもらうことができました。専門スキルのアップだけではなく、他職種の業務理解、スキルのベースアップを行うことは今後も続けていきたいと思っています。

苦労したところでいうと、プログラミングスキルやゲームの作り方などのしっかりした研修は今回初めてで、講義内容の資料を作るのにもかなり時間がかかりましたし、教える講師も教えた経験がなかった社員が多く、苦労しました。特に講義の内容の難易度をどのくらいの難しさにすればいいのかわからず、簡単すぎた、難しすぎたというのは散見されました。

研修が終わった後には実際に研修を受けた新入社員にアンケートなどでヒアリングし、次回の研修内容に活かし、毎年講義内容もブラッシュアップできればと思っています。社内のメンバーで講義を行っていますので、カリキュラムの変更も容易にできますし、よかった部分は前回のものを利用するということもできます。
また社内講師も経験を積んでより良い講義ができるようになると思いますし、今回の研修を受けた新入社員が講師になってもらえれば、今後の研修もいい循環でできるようになると考えています。


これからスクウェア・エニックスを目指す方々へメッセージをお願いします。

荒牧:ゲームエンジニアの仕事は本当に楽しいです。エンジニアの仕事は作りたいものに対してプログラミングすることで形にしていくことができます。その時、必要となるのはプログラミングスキルというより、アイデアや自由な発想で、やりたいことができるようになると、とても仕事が面白くなります。会社にはいろんな考えを持った方がたくさんいるので、そんな方たちと話している中で新しい発想がでてくることもあります。

会社に入る前にやってほしいのは、自分のやりたいこと・やってみたいことにとことん打ち込んでほしいです。何事にもチャレンジすることができれば、会社に入っても十分活躍できると思います。

小野:自分の好きなことを見つけてほしいです。やっぱり楽しんで開発に臨める人は伸びますし、結果を出せます。
ゲーム業界の開発情報が少なくてどんな勉強すれば分からない部分も多いと思いますが、分からないなりにも、とにかく調べたり手を動かしたりしてみてほしいです。


エンジニア研修後の懇親会の様子

いかがでしたでしょうか。2024年度はプログラマー職種向けの研修のみでしたが,来年度以降はプランナーやデザイナーといった他の職種向けの研修を拡充していくことも視野に入れています。

入社時に知識やスキルに不安があっても、社内では様々な研修や勉強会を実施していますので、自分次第で十分にスキルアップしていける環境があります。

そんなスクウェア・エニックスでぜひ一緒に働きませんか。皆様からのご応募をお待ちしております!


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