「僕、倉庫見学行ってきます!」
ある日、自身の担当するシステムを理解するために、システムが使われている現場へ向かった社員がいます。今回は、「現場を知らずして顧客の課題解決はできない」ことを身を持って知った西村さんにお話を伺いました。
物流企業の顧客の課題解決を担う
ー まず初めに、西村さんはどんなプロジェクトにて、どんな仕事をしているのでしょうか?
西村:物流企業を顧客として、基幹システムのマイグレーション(※1)における更改プロジェクトに所属しています。
ー 西村さんのチームでは、どんなことをしているのでしょうか?
西村:僕たちの役割は、オフショア先(※2)と顧客の間に入って両者の間に生じるギャップを洗い出し、ブリッジ機能として課題解決に努めることです。開発をするオフショア先で発生する問題や、顧客の業務で発生する問題など、日々起きる様々な問題に対して、どうしたら顧客が安心してシステムを利用し、業務に取り組めるかを考えアプローチする点に難しさを感じています。
※1:システムを旧環境から新環境へ移行開発する対応
※2:開発業務を海外の企業へ委託すること
ー チームには、他にもメンバーがいるのでしょうか?
西村:そうですね、主に先輩社員と一緒に業務を行っています。タスクを分担したり、時にはカバーし合ったり、お互いに協力しながら進めていきます。
ー やりとりをする相手には、どのような人たちがいるのでしょうか?
西村:ステークホルダー(利害関係者)としては、
1.ベトナムのオフショア開発企業
2.アイエスエイプラン
3.物流企業の情報システム部門
4.物流企業の倉庫担当事業部(エンドユーザー)
がいます。
もっと先まで考えると、エンドユーザーの顧客は荷主さんであり、エンドユーザーからしたら荷主さんに迷惑は掛けられないという点も考えなければなりません。
リリースに向けた準備の大詰め段階
ー 現在プロジェクトでは、どんなことを行っているのでしょうか?
西村:一通りテストが終わり、最後の大きい総合試験が待っている状態です。簡単に言うと、リリースに向けた最終準備をしているところですね。
ー 大詰めですね。
西村:結構忙しいですね。僕の知識がまだまだ足りていない部分もあるのですが、そんなことは言ってられませんね。やるしかないです。
倉庫見学へ行くことになった経緯
ー 今回は、どんな経緯で倉庫見学へ行くことになったのでしょうか?
西村:総合テストの実施内容としては、業務で実施していることと同じことを行う「シナリオテスト」というテスト手法にて実施する計画となっています。
そのシナリオ(脚本)を作成するにあたっては、どのような実際のオペレーションにてシステムを利用しているのかを知るために、実際に倉庫へ行って現場の様子を見学して来ました。
ー シナリオテストとはどういったテストなのでしょうか?
西村:シナリオテストとは、システムを利用する人の実際の利用手順に沿って、問題無くシステムが動くかどうかを確かめるテストのことです。
今回で言えば、更改されたシステムが実際の業務に影響無く動くかどうかを確認することが目的です。倉庫の各工程には各機能を実際に使う人たちがいるわけで、その人たちが入庫から出庫までの一連の流れを、今までと遜色なくできるかどうかを確認する必要があります。
ー シナリオというものは、実際の現場を見なくては作れないものなんでしょうか?
西村:いえ、もちろん現場を見ずに作ろうと思えば作れるとは思います。
システムには設計書があるので、システムのロジックを見れば機能の流れは分かるし、業務の流れも想像することはできます。
ー それでも現場を見に行こうとしたのにはどんな理由があるのでしょうか?
西村:やはり、実際の現場や業務を知らないことには良いシナリオが作れないと感じたんです。テストの質が担保できないということは、顧客の課題解決も十分にできない。そのため、想像ベースでシナリオを作るのではなく、実際の現場へ見学に行くことを決めました。
ー 倉庫見学へ行こうと決めて、上司からは何と言われましたか?
西村:もはや相談無しに、「1,2日使って、現場見学行ってきます!」という事後報告的な感じでしたが、快く「いってらっしゃい!」と言ってくれました。
ー 必要であれば自由に行かせてもらえる環境、いいですね!
実際の現場を見て初めて分かったこと
ー 倉庫見学では、どんなことをしたんですか?
西村:現場の方たちが使う、各工程のシステムの業務フローが書かれた資料をもとに、実際のシステムの使い方や手順を見てきました。プラスαで、「こういう場合、この荷物はこの後どうなるんですか?」など、各工程で出てくる疑問点を潰していきましたね。
ー 実際に倉庫見学へ行ってみて、いかがでしたか?
西村:行って初めて気付いたことがあったんです。当初は設計書を見て、「この機能は重要そう」と思っていた機能があったのですが、倉庫で働くみなさんは全然気にしていなかったり。一方で、僕たちが全く気にしていなかった機能がめちゃくちゃ大事だったり。他にも、システム上の機能を使わずに、別システムでまかなっている部分もありました。
ー 現場を見なければ分からなかった内容ですね。
西村:シナリオを作るにあたって、漠然と現場を知ることが大事だと思っていましたが、こんなに重要だと気付かされたのは驚きでした。システムの画面を見ているだけの理解では、シナリオは作れなかったです。
現場を知ることの大切さ
西村:このプロジェクトはだいぶ前から始まっていて、僕は去年の7月から参画しました。今までは、プロジェクトができた背景や、システムの使い方、プロジェクトの課題、顧客が何を大切にしているのかなどを知らない状態でしたが、実際に現場に行くことで初めて知ることができたので良かったですね。
ー 今回のシナリオテストに限らず、現場を知ることの大切さが実感できたんですね。
西村:そうですね。自分の携わっているシステムの意味や重要性を理解できた経験は、必ず今後に活きると思います。プロジェクトによっては、現場を直接見に行くことが難しい場合もあるかもしれないですが、可能な限り情報を取りに行くことが大事かなと思います。
ー 他にも嬉しい出来事があったとか?
西村:そうなんです!現場の倉庫で働く方たちから、「こんなにしっかり現場を見てもらえたことは初めてです!これから相談したいときに大変心強いです!」と言われました。これはものすごく嬉しかったですね。
ー 嬉しいお言葉ですね!
西村:今までのアイエスエイプランと倉庫担当事業の方との関係性もあると思うのですが、今回の行動によって、より信頼関係を作ることができたと思うと嬉しいです。
情報システム部門の方はもちろん、最近はエンドユーザーである倉庫担当事業の方から直接電話がかかって来ることもあります。「エンドユーザーとして全力で協力しますよ」と言ってくれたり、プロジェクトに影響の出そうな事象が発生すれば共有してくれたりと心強いです。
最後に
自分が担当しているシステムだけを理解するのではなく、実際に現場を見て業務の流れやシステムの使い方を理解しようとする姿が印象的でした。今後も、顧客の課題解決に邁進する西村さんに注目です!