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齊藤 篤史
株式会社リンク・プロセシング 代表取締役社長
株式会社インフキュリオン 執行役員
複数のSIerにて金融・流通・公共等のシステム導入プロジェクトに従事した後、事業会社にて開発と運用の統括責任者として事業拡大に寄与。その後、グローバルコンサルティングファーム日本法人に所属。2018年8月よりインフキュリオンにてBaaSプラットフォーム事業の立ち上げに従事。2021年より株式会社リンク・プロセシング取締役として参画し、2022年6月、代表取締役社長に就任。
加盟店への決済ソリューション提供でキャッシュレスを推進
ー リンク・プロセシングではどのような事業を行っているのかを教えてください。
当社のメイン事業は、加盟店(※1)とペイメント事業者(※2)をつなぐキャッシュレス決済ソリューション「Anywhere」の提供です。
加盟店が操作する決済デバイス(端末)と、それに組み込むアプリケーション、読み取ったカード情報などをペイメント事業者へ連携する決済ゲートウェイ(情報処理センター)の開発・運用を行っています。
(※1)消費者がキャッシュレスサービスを利用できる店舗
(※2)クレジットカードや電子マネー等のキャッシュレスサービス提供企業
(参考図1)
これまで店舗では、クレジットカードや電子マネーなど、それぞれの決済手段に合わせてペイメント事業者が提供する専用端末を置く必要がありました。お店の狭いカウンターに、決済手段ごとに専用端末を3つも4つも並べていたのです。
私たちのソリューションを活用すれば、加盟店は多様なペイメント事業者が提供するキャッシュレスサービスを一括で管理・提供できるようになります。
(参考図2)
私たちが提供する決済ソリューションの仕組み、情報の流れを細かく説明しますと、キャッシュレス決済のための端末で読み取った情報を、アプリケーション、決済ゲートウェイを通じて各カード会社や金融機関、QRコード決済事業者などにデータを送り、各社が処理した結果を端末に戻すという処理を、高速で正確かつ大量に行っています。
物理的な端末に組み込むアプリケーションも開発
ー 一般の消費者からはなかなか見えにくい部分だと思いますが、例えばどのようなところに導入されているのでしょうか。
皆さんにとって身近なところでは、タクシー業界で広く導入されています。乗車料金を支払う時に使う決済デバイスとして、mPOSと呼ばれる認証端末が使われています。タクシーの台数を分母とした場合、当社が提供する端末のシェアは20%を超えてきている状況です。
暗証番号を入力するピンパッドと接触型/非接触型ICカードリーダーが一体になったもので、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスと連携して通信し、決済の認証を取る端末です。
レシートプリンタやユーザー操作部が揃ったオールインワンの一体型決済端末の提供も行っています。
これらの決済端末と決済センターを総じてAnywhereというブランドで提供しています。
ー タクシー業界以外の導入例はありますか。
生命保険会社でも導入していただいています。いま、保険の外交員の方はタブレットを持ち歩いていて、そこにインストールされている専用の業務アプリを使って商品の説明をしたり加入手続きを行ったりしているのですが、そこに当社の決済ソリューションを組み込んでいただいています。
mPOS端末と連携することで、キャッシュカードやクレジットカードなどを支払い方法に設定でき、保険加入の申し込みがスムーズに行えるため、大変好評をいただいています。日本全国の生保外交員の方の人数を分母とした場合、当社が提供している端末のシェアは十数%となっており、今も増え続けています。
キャッシュレスだけでなく、ペーパーレス推進にも貢献しているといえます。
生命保険会社では保険料の口座振込の申し込みを従来は紙ベースで行っていて、業務負担が非常に高く、一般的に不備率が20%近くという手続きミスの多さにもつながっていました。申し込み書ではなくデジタルで口座振込の申し込みを完結させることができるようになり、ペーパーレスを推進するという意味で、社会的な意義は大きいと思います。
そのほか、キャッシュカードを用いて、銀行口座から現金を経由せずに加盟店事業者のハウス電子マネーにチャージするソリューションも開発を進めています。
このようなソリューションは、インフキュリオングループが目指すものと同じで、キャッシュレスを通じた社会貢献につながるでしょう。
mPOSを用いた企業のサービスへの組み込みやすさが強み
ー 業界内での立ち位置と、どの辺りに競合優位性があるのかを教えてください。
加盟店での対面決済の領域に絞ってお話しすると、小さな個店や小規模な企業は出来合いの汎用化されたソリューションを導入するケースが大半です。
これが中規模〜大規模の間くらいの規模の企業になると、自社サービスの中に決済ソリューションを組み入れたいとか、自社サービスと連携を取りたいというニーズがあり、出来合いのソリューションでは対応しきれないことが多くなります。
さらに規模の大きな企業になると、部分的なカスタマイズでは対応できないため、一からシステムを開発する必要があり、SIerが請け負う領域になっていきます。
その中で我々は、中堅企業から大手企業の層を主な対象とし、部分的にカスタマイズを施し、企業のサービスや業務に連携して組み込んでいくような決済ソリューションを提供しています。
もちろん、このセグメントにおいても競合となる企業・ソリューションはいくつかありますが、その中で当社はmPOSに大きな強みを持っています。
先ほどの保険会社やタクシー会社の事例のように、自社のソリューションに組み入れるニーズに対応しやすく、それが競合と差別化できる強みとなっています。加えて、当社のmPOSはリカーリングという定期的な継続支払いの機能を実現しており、これもリンク・プロセシングの強みであり、競争力となるところだと思います。これによりジム・塾などの費用は月額支払いを自動的にできるため、利便性の向上につながるという声を頂いてます。
インフキュリオングループのシナジーを今まで以上に高めるために
ー 齊藤さんは2022年6月にリンク・プロセシングの社長に就任されました。背景にはどのような期待があったと思われますか。
今後、インフキュリオングループのシナジーを高めることへの期待だと認識しています。私が以前インフキュリオンで担当していたBaaSプラットフォームの領域と、リンク・プロセシングの事業である加盟店ソリューションとをいかに組み合わせて、相乗効果を出していくことへの期待だと思っています。
リンク・プロセシングは昨期、クラウド活用を含めた決済センターシステムに関して大きな品質改善を遂げましたが、今後の成長に向けた人材育成や体制強化を全面的に行っていく必要があり、その意味で、システムの管掌だけでなく、社員の働き方や労働環境、社風などを含めて、今後さらなる成長を遂げるための組織基盤を築く役割を担っているのだと考えています。
ー 社長としてどのようなことに力を入れていこうとお考えですか。
1つは、現在のビジネス成長の過程で発生した課題対策にリソースを振り向けることです。これまでの体制や積み重ねの中で、業務面・システム面ともに複雑になってしまった部分があります。また、クライアントが増えるのに合わせて業務も増えてしまうという課題もあります。
そうした課題に対し、システム化・自動化することによって省力化し、そこで生まれたリソースを業務改善や事業開発・企画に充てられるようにしていきたいです。業務やサービスの品質を改善しながら、コストを高めずにビジネスを成長させるための施策を推進していきます。
また、当社は多種多様な決済手段に対応する決済センターを運営しており、多様な決済ソリューションを実現するための要素機能を保有しています。これら機能を部品として、外部サービスと連携したり機能を転用したりして、対面・非対面を問わず、クライアント事業者のビジネスに組み込んでいくことによって、ソリューションの幅を広げていきたいと考えています。
技術の幅が広くいろいろな方向性で成長が望める環境
ー エンジニアからの視点で、リンク・プロセシングの技術面の特徴を教えてください。
スマートデバイスにおいては、iOS/iPadOS/Android/Windowsのアプリや端末組込みアプリの開発を行っておりますし、サーバサイドではAPI基盤や加盟店向けwebシステムなど、幅広い技術に触れられるという点は特徴的です。物理的な決済端末のハードウエアも取り扱っているという意味では、インフキュリオンよりも幅広いといえるかもしれません。
リンク・プロセシングが開発したスマートデバイス向け決済アプリケーション画面の一例。
リンク・プロセシング設立からの10年で、さまざまなレギュレーションに対応してきたほか、ブランド認証も全て取得し、どのような決済手段にも対応できるサービスを提供できるようになってきました。技術とノウハウには膨大な蓄積があります。
今後の新しい技術的なチャレンジとしては、複雑多様になったアプリケーション群をFlutter/Dartなどの技術を使って共通部品化し、リファクタリングを進めていこうとしています。そうすることによって、現在我々が取り扱っている以外の端末にも展開を広げたりSDKなど含めてアプリケーションを展開しやすくなる環境を構築していきたいと考えています。
サーバーサイドは、大規模な決済トランザクションを処理するシステムを運用をしています。今も急速に伸びていますので、性能やセキュリティも含めて非常に高い水準が求められる領域です。AWSのプラットフォーム上で最新の技術やサービスを柔軟に取り込みながら、システム運用の自動化や高度化を図っています。
このような決済ゲートウェイを外部利用できるようにAPI化し、例えばBtoBの領域に使っていくとか、非対面の決済シーンに活用するなどして、決済ゲートウェイとしてのビジネスを広げていくといったことも想定しています。
リンク・プロセシングのサービスや決済ソリューションは、生命保険会社の導入例のように業務や利便性を大きく変える事ができるため、クライアント事業者のビジネスにインパクトがあり、その点も醍醐味だといえます。
ー どのような人を採用したいと考えていますか。
ここ3〜4年で事業の規模が急成長してきた中で、カスタマイズ開発や業務改善など複数のプロジェクトを同時並行で進める必要に迫られています。今なら多数の部署でポジションがございますし、皆様の様々なご要望にお応えしやすいタイミングです。
我々は規模的にはまだまだベンチャーで、大手企業のような組織力はありません。そのような違いがある状況では、エンジニアサイドも新しいことにチャレンジしよう、勝ち筋を導き出そうという意欲がなければ大きな成長につながっていきません。
インフキュリオンの3つのバリューの1つに「Infinite Curiosity.」があり、いろいろなものに好奇心を持ってチャレンジする意欲のある方に来ていただきたいです。
また、当社には決済関連の業界以外からもいろいろなソリューションや業界を経験してきた方に入社いただいています。多様性のある組織の中で、いろいろなアイデアを出し合いながら、新しいことや大きな仕事を“みんなで”やっていこうという、これも3つのバリューの1つですが「Great Work, Great Team.」の意識を持って取り組める方にも、ぜひジョインしてもらいたいと思います。
ー 最後に求職者の方にメッセージをお願いします。
日本のキャッシュレスはまだまだ成長段階であり、当社は独自性を磨きながら成長を続けています。事業会社として自社サービス・ソリューションの開発を通じて、社会変革の一翼を担えることは、リンク・プロセシングで働くことの大きな魅力だと思います。
リンク・プロセシングの正社員はまだ60名を超えたくらいの規模感で、チームビルディングはまだこれからという部分もあります。組織づくりに興味がある方には、魅力的な環境だと思います。
常に新しい技術に触れたい人、幅広い技術を身につけたい人、システム運用に興味のある人、ビジネス・企画にも携わりたい人──リンク・プロセシングはいろいろなチャレンジを受け入れる素地がある組織ですので、伸び盛りの業界で成長したい人にぜひ入社していただきたいと思います。