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多分コメディかファミリードラマの分類 『アンブレラ・アカデミー』シーズン1感想

こんにちは。映画を語るサロンのKKです。

今月はNetflixで配信中の『アンブレラ・アカデミー』シーズン1の感想について投稿したいと思います。



1989年10月1日に世界中で妊娠もしていない女性が突然子どもを出産するということが起き、資産家のハーグリーブズ卿がその子どもたちの中から7人を自分の子どもとして養子に迎えました。彼らはそれぞれスーパーパワーを持ち、その能力を活かして幼少期から銀行強盗事件を解決するような組織「アンブレラ・アカデミー」として活動していました。
しかし、あることがきっかけでアンブレラ・アカデミーは解散してきょうだいたちは家を出て行き、ほとんどが絶縁状態となってそれぞれが成長して別々の人生を暮らしていましたが、父親であるハーグリーブズ卿が死亡したことにより数年ぶりに兄弟が揃いました。その時、何十年も行方不明だったきょうだいの一人であるファイブが突然子供の姿で戻ってきました。彼は未来の世界に閉じ込められ滅亡した世界で何十年も過ごしており、その未来を回避するために世界滅亡の原因を探ります。


今回初めて映画ではなくドラマを紹介します。

この作品の原作はアメリカン・コミックスいわゆるアメコミとなっています。アメコミと聞くと真っ先にスパイダーマンやアベンジャーズのマーベルとスーパーマンやバットマンのDCという実写映画で有名な二大出版社を思い浮かべますが、もちろんこの二つだけでなく他の出版社も存在しています。
また、知られていないだけで実はアメコミ原作の映画というのもいくつかあります。例えば2006年に公開されたハリウッド映画『300』もダークホースコミックスという出版社のアメコミの一種であるグラフィックノベルが原作の作品で、この『アンブレラ・アカデミー』も同じくこのダークホースコミックスの作品です。


スーパーパワー・世界滅亡を防ぐと聞けば正統派のヒーロー作品だと思いましたが、見てみると全く違いました。


まずこのアンブレラ・アカデミーですが、超人的な力を持つ1号/ルーサー、ナイフを操る能力の2号/ディエゴ、自分の言葉通りに相手を操れる3号/アリソン、死者を認識できる 4号/クラウス、空間を移動できる5号 / ファイブ、身体から触手を出す6号/ベンの6人で構成されていますが、実際には兄弟の一人にもかかわらず能力を持っておらずアンブレラ・アカデミーとして活動をしたことがなかったヴァーニャもいます。
彼らは子供の頃にそれらの力を活用して正義の味方として活動していましたが、大人になってからそんな影は一切なく全員が一般人と変わらないようになっています。
この世界滅亡を防ぐというのもほとんどファイブひとりで防ごうとしています。なぜかというと、ファイブは自分の能力を過信して空間どころか時代も瞬間移動をしようとしましたが失敗してしまい、崩壊した世界で何十年も過ごしていました。彼はその未来を変えようと現代に戻ってから一人で世界滅亡の原因を調査していました。
残りのメンバーが何をしているかというと特に何もしていません。てっきりアンブレラ・アカデミーの全員で能力を使いながら協力しあって解決するかと思っていたのですが、特にそんなことなく各々が好き勝手に行動しています。
この作品がヒーロー系ジャンルの中で異質を放っているところがこの点だと思っており、きょうだい全員が協調性皆無で好き勝手にして協力しあうなんてことがほとんどありません。
スーパーパワーを使ってアクションはほぼファイブひとりでその他は時々使うくらいで、この能力自体もいらないのではないか?と思うくらいです。
世界が滅亡する危機にもかかわらず全員が力を合わせて立ち向かうなんてことなく進むのが今まで見てきたスーパーヒーロー作品と一線を画しており、ある種新鮮な気持ちで見ていました。


空気感も独特なのがこの作品の特徴かと思います。
時代は2019年と現代なのですが、何故かインターネットやスマホなどが一切登場せずに連絡を取るのは固定電話、調べ物をするときは本なので一体作中の時代がいつなのか分からなくなる時があります。
他にも戦闘シーンでは何故かポップな音楽が流れるので、激しい戦闘が行われている映像と明るい音楽のミスマッチさに最初は戸惑いましたが、段々それに慣れてくると好きになっていきました。音楽によって銃弾が飛び交う危険な状況だとしてもシリアスな雰囲気になりきらないということをこの作品で初めて学び、改めて音楽はその作品の大きな要素になると考えさせられました。
おそらく意図的に行なっているのだと思いますが、現代なのに電子機器がほとんど使われないのもバイオレンスシーンに明るい音楽というのも他の作品では普通見られないため、この作品らしさがよく出ていて魅力の一つだと感じるようになりました。


いろいろなタイプのアクション映画をよく見ますが、このドラマみたいな作品は見たことなかったです。


協力し合うことも能力を駆使するわけでもなく、ただ各々が好き勝手に自分のことをやっています。そこに今まで見てきたヒーロー映画とは全く違った個性を登場人物や作品自体にあると思えました。ヒーロー作品ですが、スーパーヒーローという存在よりも家族というものに重点が置かれており、きょうだい同士の関係が大きく取り上げられて描かれています。
自分本位のキャラクターは多いですが、きょうだいが困っていると知ると手を貸すという家族の絆があり、常に一緒に行動はしないし揉めることもあるけどそれでも家族ということが描かれているように感じられました。


一味違うヒーロー作品としてこのドラマはとても上手く作られていて、大手ヒーロー映画にはない個性を存分に楽しむことができました。

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