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【CTOインタビュー】創業4年を迎えたフツパーのプロダクトと「現場主義」を貫く開発環境

弓場 一輝/取締役 兼 CTO(最高技術責任者)

広島県出身。広島大学大学院先端物質科学研究科卒業。在学中はバイオ技術を主体とした専門分野の研究を行う一方、機械学習及び深層学習周辺の技術を習得し、複数のAIモデル構築を経験。新卒でフツパーを共同創業。NVIDIA「GTC 2020」登壇、「Startup CTO of the year 2023」ファイナリスト選出。

ーー前回のインタビューから2年近くが経ちました。

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ーー当時のフツパーのプロダクトは外観検査&品質管理AI「メキキバイト」のみでしたが、その後、設備保全IoTソリューション「振動大臣」が2022年12月にリリースされ、今年は人員配置最適化ソリューション「スキルパズル」のリリースを控えています。また、データ分析AI開発サービス「Hutzper Analytics」の実績も増えてきていますよね。

フツパーのプロダクト

ーー創業から4年が経過して、創業当時からのプロダクト「メキキバイト」はどう変わりましたか?

まず思い浮かぶのは、開発言語がPythonからC#に変わったことですね。

ーーこれは関東支社のAIエンジニアリング部長の廣谷さんと、ソフトウェアエンジニアの和田さんの対談でもお話されてましたね。

けっこう大変な作業だったんですが、製造業向けの外観検査サービスである以上、生産スピードを落とさずに検査するっていうことも大事ですし、カメラだけじゃなくてお客様の設備とか他のセンサとの連携も必要な場面もあります。そこでスピードと機能拡張のためにC#への移行ということになりました。

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ーープロダクトそのものってことでいうと変わったことはありますか?

メキキバイトは、画像を撮影して、エッジデバイス上で推論して、クラウドに結果をあげるという機能があるんですが、それが複雑になってきてます。

基本的なシステム構成は変わっていないんですが、例えば複数台や複数種類のカメラに対応できるようにとか、コンベアやお客様が使用している設備のPLCなど外部機器との連動をしてもうまく動くようになど、対応できることの幅が広がってきました。

あとは、創業当初からお客様が良品不良品の判定結果を確認できる画面はあったんですが、ここにお客様側の画面である程度の設定をできる機能が加わって、お客様目線でいうと利便性があがったと思います。

ーープロダクトとしてどういう方向に成長してきて、今後どう成長させていきたいと考えていますか?

どう成長したかでいうと、複雑なことができるようになって、それを簡単に使えるようになったっていうところですかね。

メキキバイトと通常セットで使ってもらう「Hutzper Insight」という管理アプリケーションがあるんですけど、このアプリの機能が増えました。
もともと、判定結果の管理、AIモデルの再学習の機能はあったんですが、そこに品質管理の機能がプラスされました。ここは、お客様のニーズというのももちろんあるんですが、製造業出身のメンバーの肌感みたいなところが機能の必要性を判断するのに大きく働きましたね。
再学習機能についても、最新のモデルにアップデートしてブラッシュアップするということをやっています。この部分は研究開発を担当しているデータサイエンス部のメンバーが担当していますね。あとは、昨年デザイナーが入社してUIの修正をし始めていて、操作性向上のために今後もっとUIの改善もしていく方針です。

◆テクノキング・オブ・フツパーことデータサイエンス部長今井さんのストーリー

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◆デザイナー 中嶋さんのストーリー

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中嶋 信博/プロダクト開発部 チーフデザイナー学生時代は広告デザインを専攻。オンラインゲームのパブリッシングやモバイル/PCゲームの開発会社にインハウスデザイナーとして勤務。ゲーム内のUIを設計...
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今後どう成長させていくか、目指すところは、お客様自身で長期的な運用が可能なAI検査プロダクトにすることですね。

導入がゴールではなく、安定して運用できてこそのプロダクトなので、今進めている機能の拡張や操作性の向上は、よりお客様の利便性があがることを目指してやってます。


ーー成長したメキキバイトをはじめとするフツパーの4つのサービスで、フツパーが目指していく製造業の課題解決とは?

まず、メキキバイトで外観検査を自動化することで、人手不足の解決はもちろんですが、品質管理やコスト削減にもなります。

振動大臣は、異常検知のプロダクトなんですけど、機械の予知保全するだけじゃなくて、異状検知した場合に機械を自動停止することもできるので人が監視している時間を削減できたり、加工技術とか加工条件をデータ化して蓄積していくことで、今まで職人さんの勘に頼っていたノウハウを可視化することができたりします。

データ分析っていうと、製造業のイメージがあまりないかもしれませんが、実は製造現場でしかとることができない有効なデータが膨大にあるんですよね。そのわりに活用はあまりされていなかったりします。これを、お客様がどういう課題を抱えているかというのに合わせて最適化や効率化に活用するというのはすごく効果が大きいんです。データ分析に関しては、製造業だけでなく周辺の物流業界のお客様からもニーズをいただいてますね。

スキルパズルはリリース前ですが、すでにめちゃくちゃ反響をいただいてます。製造業の自動化のプロダクトで、「人」に目を向けたものは実は珍しいんですよね。でも製造現場ではたくさんの人が働いていて、製造工程によって必要なスキルが違ったり、有資格者を配置しないといけなかったり、かなり複雑なシフト作成をしないといけないんです。ここに目を向けて、単に配置を自動化するだけじゃなくて人材育成や生産の効率化までできるものを作ろうというのがこのプロダクトです。

今は特に課題が大きい部分からそれを解決できるプロダクトを作っていってますが、プロダクトどうしを連携していき、プロダクトが増えていき、製造工程をフツパーのサービスでカバーする。フツパーのプラットフォームでまるっと製造現場の困りごとが解決する、そういう未来を目指してます。

フツパーの開発環境

ーー弓場さんが率いるフツパーのエンジニア組織は、今年の4月時点で26人と全社員50人の半数以上を占めていて、部署はメキキバイトの開発を主に担当するAIエンジニアリング部、管理アプリやSaaSサービスの開発を主に担当するプロダクト開発部、データ分析案件とリサーチを担当するデータサイエンス部と分かれています。

ーー以前のインタビュー時にはまだ人数も少なく、担当に関係なく幅広く業務に関わる状況だということでしたが、今の状況はいかがですか?

各部の専門性がより明確になったっていう感じですね。

2年前は本当に全員が何でもやる、みたいな状態だったんですが、役割分担がはっきりしてきて、責任がどこにあるかも少しずつ明確になってきています。

一方で、どこにも属さない新しい業務みたいなものもまだまだあるフェーズで、そういうものは人数が少なかった時からのいい文化が残っていて、部署関係なく協力して進めていってます。

ーーAIエンジニアリング部はメキキバイトの案件に関連する開発を担当する部署なので、創業当初からあった部署ですよね。当時と変わったことはありますか?

大阪本社は人数が増えて、チーム制になりました。メキキバイトのデスクトップアプリの開発を担当するソフトウェアチーム、光学設計や治具設計を含めて全体の構成を担当するハードウェアチーム、AIモデル作成を担当するAIチーム、各チームをまとめて案件進捗管理と営業担当との連携をするPMという感じですね。

チーム制になって、各エンジニアが得意なところに集中できることで、作業効率はあがったと思います。

一方で、案件ごとの要件定義から導入までの工程が分担されることになるので、ちゃんとコミュニケーションが取れていないと進捗管理をスムーズにできなくなってしまいます。ここはPMと各チームのリーダーの情報共有やPMのマネジメント力に支えられていると感じてる部分ですね。Githubを使って進捗管理したりしてますが、会社内に定着してるコミュニケーションスタンスの方が大きい気がします。




ーーAIエンジニアの業務内容は基本的にメキキバイトの各案件に関わる開発ということですが、他の業務に関わることはないんですか?

現状はメキキバイトの各案件と、プロダクトとしてのメキキバイトの強化にあたるような開発がメインの業務です。

ただ、AIエンジニアのAIチームと研究開発を担当するデータサイエンス部の連携も一部始まってますね。外観検査関連の画像データの取り扱いはAIエンジニアリング部、そのほかの画像や数値データはデータサイエンス部が主に担当していますが、今後は新しいAIモデルなどの研究開発にAIエンジニアも関わるようになっていく予定です。

◆AIチーム 小川さんのストーリー

日本の製造業をAIで救う、フツパーイチ現場を知るエンジニアの熱い想いに迫る | AI Engineer
小川 洋平 / エンジニア神奈川県出身。学生時代に空気圧制御ロボットの製作及び制御について研究、卒業後は工作機械業界にて主にNC制御盤の製造を担当。 退職後は技術請負として、新型車両の実験開発業...
https://www.wantedly.com/companies/hutzper/post_articles/878632


ちなみに、関東支社はまだAIエンジニアリング部の人数が少ないので、全員が幅広い工程を担当するというスタイルが続いています。その分知識や経験が身につく範囲も広くなるので、これはこれでいい環境だと思ってます。

◆関東支社のAIエンジニア 小池さんのストーリー

バックパッカーもフツパーも未知の世界に出会えるからこそ楽しい。AI経験なしで転職を決めたエンジニアが語る魅力とは | AI Engineer
小池佳輝/AIエンジニア東京農業大学卒業。新卒でコーヒー豆の加工販売を行う会社に入社し、コーヒー豆の品質・入庫管理等を行う。退職し、1年間海外をバックパッカーとして旅する。帰国後、ソフトウェア開...
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ーープロダクト開発部にはwebエンジニアとデザイナーが所属していますが、webエンジニアというと多くの会社で働ける一方、開発環境が会社によってけっこう異なるのではと思います。フツパーの開発で特徴的なことはありますか?

「妥協しない」ところはフツパーの開発で僕の好きなところです

プロダクトをいざ作るとなると、それを実現するために使用する技術の選定をしていくと思うんですけど、そこで、これまで使っているからなどの理由で楽な選択をせずに、作りたいもの、ユーザーの喜ぶ姿の実現に向けて、しっかり調査して、その時に最適な技術を選ぶことを徹底しています。

その技術のキャッチアップのスピードも、すさまじくていつも驚かされています。

◆プロダクト開発部長 山田さんのストーリー

社運を背負って新天地で支社設立!プロダクト開発の柱を担う凄腕エンジニアの"今" | Product Development
山田裕太郎 / 研究開発本部 プロダクト開発部 部長福井県出身。新卒でシマノに入社し、電動変速機のファームウェア開発を担当。退職後は自作センサの開発等に取り組み、2021年2月よりフツパーに参...
https://www.wantedly.com/companies/hutzper/post_articles/473418


こういう技術選定の過程も、カルチャーでもあり開発環境のひとつだなと思ってます。AIエンジニアリング部でメキキバイトの開発言語をC#に変えたときもそうでしたね。

こんな感じで、開発言語についてもけっこう柔軟です。決まったものがあってずっとそれでやるというより、目指すプロダクトに一番合ったもの選ぶ、その時の最新のもの含めて選定するんですが、ただ最新を追っかけるというよりは、最新のものまで情報収集しておいて、ちゃんと最適なものを選べるようにしている、というやり方です。

これは、今いるエンジニアが新しい言語や技術の習得に意欲的で、開発がうまくできること、プロダクトがいいものになることを最優先で考えるメンバーだからこそだと思いますね。

ーーデータサイエンティストは会社によって役割や守備範囲がかなり違うと思いますが、フツパーのデータサイエンティストにはどういうことが求められますか?

たぶんデータ分析の進め方で多いのは、上流工程を担当して分析設計をする人がいて、実際に手を動かして分析作業をするチームが別であるっていう形かなと思うんですけど、フツパーのデータサイエンス部の仕事のスタイルは、役職や担当で分担せず、1人がひとつの案件を責任を持ってやっていくという形です。

これって自分の担当案件については最後までお客様に伴走することになるんで、分析設計からレポート、その後のフィードバックまで自分でできるということで、裁量はめちゃくちゃ大きいんですよね。こういう新しい技術があるのでこれを使いたい、というような手法の選定も、各担当者がやります。もちろん部長であるテクノキングの確認やアドバイスがあってのことですけどね。

◆データサイエンティスト 大津さんのストーリー

ベンチャー志向じゃなかった?!大手出身データサイエンティストが語るスタートアップで働く魅力 | Data Science
大津龍 / 研究開発本部 プロダクト開発部長崎県出身。京都大学に入学、同大学院に進学し、情報通信を専攻。大学院在学中に日立、エクサウィザーズでインターンを行う。新卒でソフトバンクに入社し、ネット...
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フツパーのエンジニアの魅力

ーー弓場さん自身がいちエンジニアとして働くとしたら、フツパーで働く魅力はどういうところだと思われますか?

フツパーのエンジニアって、実際に使ってくれているお客様と現場で実際に会って話せるんですよね。もちろんいいご意見ばっかりじゃないですけど、悪いものはお客様から直にもらえる最高のフィードバックだと思って対処しますし、いいものは本当に嬉しくてモチベーションにつながります。

エンジニアと話しててけっこう聞くのは、自分の作ってるものが何に使われてるかわからないとか、世に出ないけど開発してるっていう環境で、それってただ開発してるだけならおもしろいかもしれないんですけど、相手があるものというか、実際に困っている人がいる課題に向けて作ってるからこそ、生の声のありがたみがやりがいに直結すると思ってます。

ーーAIエンジニアの和田さんもストーリーでそんなお話をされていましたね。

◆AIエンジニア(ソフトウェアチーム)和田さんのストーリー

「ニーズを掴んで伸びていく」ゲーム作り一本だったエンジニアがAIベンチャーに転職。フツパーに感じた魅力とは。 | AI Engineer
和田悟/AIエンジニア5歳でスーパーファミコンに出会う。ゲーム漬けの日々が始まる。ゲームプログラミングの専門学校を経て、テレビゲーム制作会社に入社。ゲーム会社では、主にコンピューターグラフィクス...
https://www.wantedly.com/companies/hutzper/post_articles/533629


もっと言うと、ただ声を聞けるだけじゃなくて、お客様の目指すものが完成した時には、一緒に喜ぶことができるような関係でもあります。

データ分析もそうなんですけど、お客様としっかり話して抱えてる課題をヒアリングして、どうすれば解決できるか、分析設計して提案して、という過程はお客様と二人三脚とまで言えるんじゃないかなと思いますね。

営業担当とももちろん密に連携してますし、フツパーのエンジニアと営業の関係性はかなり良好なので、ここの間も二人三脚なんですけど、お客様とっていうのは珍しいですよね。

ニーズを直接聞ける良さでいうと、プロダクト開発部がやっているスキルパズルもそうです。営業担当がお客様とお話してるなかでニーズを拾って、プロダクトの方向性が固まって、マーケティング担当がメルマガでモニターを募集したら大反響があって、お客様にモニター利用してもらって、製造現場の方の生の声のフィードバックがあって、今はβ版のフィードバックをさらにもらっているところです。

フツパーが会社として製造業の課題解決を進めてきて、ビジネス側のメンバーがお客さんと関係を築いてくれて、エンジニアが良いものをお客様に届けていって、一人ひとりが責任をもって仕事に臨んできた積み重ねがあるからこそ、こういった反応をしっかり返していただけるのかなと思ってます。

現場主義って僕らよく言うんですけど、ただ現場に行きますってだけじゃなくて、現場のために作ってるっていう意識を常に持って開発するっていうのが、フツパーのエンジニアの特色でもあり、魅力ですね。

フツパーのCTO

ーーずばり、フツパーのCTOであることの醍醐味って何ですか?

今CTOやってて、シンプルに働いてて楽しいです。

フツパーのメンバーはいろんなバックグラウンドの人たちが集まっていて、得意な領域もひとりひとり違う。今ある4つのプロダクトも、それぞれの領域に精通してる人がいるからこそできたものだと思ってます。なんか、図書館にいるみたいなんですよね、いろんな知識に触れられる。

そこが一番おもしろい。ここの領域はこの人が得意よね、このスキルはこの人がめっちゃ高いよねっていう会話が社内であたりまえのようにある。これはお互いのリスペクトが自然にできてるってことですよね。

ーーHPにも載せているカルチャーは、まさにこのことですね!


ーーCTOとしての今後の目標や理想像はありますか?

もともとがエンジニアじゃなかった僕は、あるべきCTO像を目指すとかじゃなくて、今のフツパーに必要なことをしっかり見極めて、自分にしかできないことをやっていくしかないかなと思ってます。

ほんとフツパーのエンジニアって強者ばっかりなので、CTOとして僕の果たすべき役割ってその強者たちの技術力をどうプロダクトにしてお客様に届けて、会社も成長させていくかを考えることなんですよね。

会社の未来図を描いて、それに沿ったロードマップをひいて、そのために足元で何をしていくか、近いところからゴールを決めて、皆に伝えて、そのゴールをちょっとずつ伸ばしていくっていう役割なんだと思うんです。

そのためにできることは120%全力で取り組みます。そして今できないことも、フツパーの精神を持って、チャレンジし続けていきます。

ーーまさにBe Hutzperですね!

ーー弓場さん、ありがとうございました!フツパーでは、オフィス訪問やカジュアル面談を歓迎しております!インタビューを読んで、フツパーのエンジニアとして働くことにご興味をお持ちいただけましたら、Wantedlyからのメッセージをお待ちしております!

Startup CTO of the year 2023でのピッチ内容はこちら

コンセプトは「『はやい・やすい、巧い』AIを。」 市場マス獲得を狙う"製造業向け外観検査AI"の開発戦略
CTOの秘める"知と熱"を解き放つ、唯一無二のピッチコンテスト「Startup CTO of the Year」。ここで登壇したのは、株式会社フツパー・取締役 CTOの弓場一輝氏。外観検査AIサービス「メキキバイト」におけるプロダクト戦略について発表しました。
https://logmi.jp/tech/articles/330185
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