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<執行役員&セールス・マーケ責任者 対談>スタートアップの事業づくりの壁にどう向き合ってきたのか

こんにちは!ハッカズーク 人事の石川です。

私たちは「退職で終わらない企業と個人の新しい関係を実現し、退職による “損失” のない社会を作る」をビジョンに、「アルムナイ(退職者/卒業生/OB・OG)」という領域でサービスを提供しているスタートアップ企業です。

今でこそ少しずつ人事界隈で認知されつつあるアルムナイですが、ハッカズーク設立当初はなかなか受け入れられず、ビジネスとして厳しいのではないか、とお声をいただくこともありました。

そのような中でも事業・組織に向き合い、2021年と比較をすると「利用企業数4.5倍」「リカーリングレベニュー13倍」まで成長することができました。

そこで今回は、執行役員の實重とセールス・マーケティング部門責任者の大森に、お二人がどのように事業に向き合ってきたのか、インタビューしました!

執行役員 實重 遊(左) 
アクセンチュアでグローバル人事の制度設計やHR SaaSの導入・運用など、人事コンサルティングに従事。ハッカズークでは、アルムナイ事業全体の責任者として事業を推進。

セールス・マーケティング責任者 大森 光二(右)
タナベコンサルティングでHR部門のパートナーとして組織マネジメント、コンサル実務、執筆、講演など多くの経験を持つ。ハッカズークではコンサル・CS責任者を経て、現在はセールス・マーケティングチームを統括している。

「仕事は奪うもの」責任者になるまで

ー 改めて、お二人の今に至るまでの役割を教えてください!

實重:私は当初、アルムナイ・リレーションシップ・パートナー(以下、ARP)でオファーをいただき入社をしました。初日から代表の鈴木の商談に同席し、アルムナイのことや業務のことをキャッチアップしていきましたね。ただ、当時は鈴木が営業活動全てを担っていたのですが、鈴木にはもう少し中長期的な視点を持った仕事など、ほかに時間を割いてもらう必要があり、鈴木の手から営業を手放さないといけないと考えました。

私はコンサルティング企業出身なので、ARPの業務のほうが親和性がありましたが、起業に失敗した経験からセールスの力もつけたいと思っていたため、セールスに挑戦することにしました。そのため、ARPでオファーいただいたものの、結果的にARPの役割ではなく、セールス・マーケティングを担うことになりました。入社後は、鈴木が行っていたセールスとマーケティングの仕事を奪い、半年後には責任者としてチーム全体を見るようになり、昨年の3月からは執行役員 兼 事業責任者として事業全体を統括するようになりました。

大森:私は職種にこだわりはなく、「事業づくりがしたい」という思いで入社したので、顧客理解のためにARPを担当することになりました。そこから顧客担当を多く任せてもらって、入社4ヶ月目でARP責任者となりました。ARP全体を見るようになり、責任者を1年経験した後に、セールスチームも見るようになりましたね。しばらくはARPもセールス・マーケも私の管轄だったのですが、人数も増えたタイミングで役割を見直し、現在はセールス・マーケの責任者を担ってます。

その時の状況もありますが、本人のWillなど利己的な部分も含め配属の判断をするのはハッカズークならではだと感じます。私もコンサルタントの経験があるため、ARPの業務には親和性がありましたが、「事業づくりができるようになりたい」という上ではセールス・マーケの経験は絶対に必要なので、そこに注力する機会をいただきました。

實重:そうですね。経験の有無に関係なく、とにかくその時必要なことに取り組み、挑戦してきたというのはありますよね(笑)。

大森:追うべきは事業成長ですからね。そこに対して柔軟に組織も自分も変化させていくフェーズです。あとは、苦労を乗り越えた経験が人を成長させると思ってます。この会社に入ったから成長するのではなく、この会社で役割を担い、チャレンジすることで成長すると考えてます。

實重:奪う仕事、浮いていて拾う仕事はいっぱいありますからね(笑)。

イメージとは違う、「事業づくり」は泥臭い

ー 事業づくりでこれまで取り組んできたこと、大変だったことを教えてください!

實重:はじめは「アルムナイという概念、価値」を伝えるという啓蒙活動がほとんどでした。入社当時はアルムナイという言葉がほとんど企業に知られていない状態で、営業をしても実際は営業になっていないということも多かったです。アルムナイは異世界のもの、自分たちとは程遠い未来の話をされているような状態になってしまうんですよ。「面白いですね。そんな未来が実現するといいですね」という感じで。

他人事ではなく自分たちが今後やっていくべきことで、今後さらに重要になっていくことだと伝える、感じてもらうということに時間をかけていました。

大森:私の入社は實重さんの1年半後なので、その時は「アルムナイは必要そうだよね」という解釈に世の中が変化し始めていました。それでもまだまだ「アルムナイ」に対して「本当にビジネスとして成立するの?」という反応はまだまだありました。

ちなみに2020年頃は問い合わせはどのくらいだったんですか?

實重:月に1件問い合わせがあるのか、という感じでした。問い合わせがきたら社内がすごい盛り上がっていましたね(笑)。

大森:なるほど......。私は入社前の2019年からハッカズーク自体は知っており、その時からアルムナイに可能性を感じていました。そのため、入社する2021年時点では、もっと事業も伸びていると思っていました。しかし、実際は2020年のコロナもあって、想像以上に苦戦していたんですよね。当時、「アルムナイの必要性は感じているけど、お客様の優先度が上がらなかった」と言っていましたよね。

實重:そうですね。まさにその通りでした。ただ、その時から「本当のカスタマーサクセス」に力を入れて取り組んできたことは良かったと思っています。当時、「アルムナイの成功事例はないけどやってみよう」と信じて試してくれたイノベーターに対して「しっかり価値を出すんだ」と奮闘していました。このイノベーターが「アルムナイはこんなもんか」と思ったら終わると思っていたので。

コロナになっても信じて継続してくれているクライアントにコミットして、絶対成果を出すと必死でした。そこから成果が出て、成功事例が出せるようになってきて、遠い世界の話だと思っていた人たちが少しずつ自分ごとに感じてくれるようになっていきましたね。

大森:私も入社をしてから、「本当の成果は何か」にしっかり向き合うために、お客様の目的から落とし込むということにはずっとこだわっています。そのため、責任者になってからは全ての案件に入って、必要に応じてテコ入れをしていきました。これは本当にやって良かったと思っています。

實重:そこは本当に泥臭くやっていますよね。クライアント企業とアルムナイに入り込んで、双方の理解を深め地道に関係を構築していくことが大事ですからね。クライアント企業もアルムナイも、何かあれば大森さんに相談するという状態を作っていて、そういったパートナー関係が今のARPの当たり前にもなっていますよね。

大森:そうですね、ありがたいです。ただ、すぐに結果につながるわけではないので、目標と計画を組んで少しづつでも変化させていくことが大事ですよね。「想定通りに反応が得られるのか」「思った通りに動いてくれるか」と思うことはあっても、ちゃんと根拠を積み上げたり、根回しをして、できる限りのことをやったうえで最後は自分を信じて突き進むしかないんですよね。そして成果が出るまで徹底的に向き合う。そうやって、向き合ってきた結果が今に繋がっています。改めて、事業づくりはキラキラしたものではなく、泥臭く取り組んだ結果だと思っています。

實重:本当にやり切るって大事ですよね。私も最初は、事業計画や戦略を練ることが事業づくりのイメージでした。実際にそういった取り組みもしました。2022年の夏に1泊2日の合宿を行い、1日中事業に向き合う時間を作り、その議論をベースに初めて事業計画をつくりました。ただ、実際に作ったものの「数字遊び」みたいになっていたんですよね。ここの数字がこうなれば、理論上売上もこうなる、みたいな関数いじりをしていました。ただ、「結局これってどういう意志なのか?」というのを鈴木さんにも大森さんにも突っ込まれて。

この「意志をもつ」というのが私にはとても難しかったんです。コンサルタントの仕事はクライアントの意志をまずは引き出して、それをどう実現するか?を考えることが基本でした。そのため、いざ自分で意志を持てと言われると難しく、そのため「理論上数字はこうなる」、「このまま積み上げていくと、このくらいで着地する」という数字をつくることで安心しようとしていました。

そのため、私が作った事業計画の数字には意志がなく、そこを見抜かれ叩かれまくりました(笑)。意志を持って初めてこの数字が成り立つということに気づきました。事業づくりに正解はないから、最終的には「強い意志」が必要なんですよね。

大森:まさにその通りですね。責任者になり、より意思決定の場面が増え、そこには「強い意志」が必要だと感じています。

圧倒的クライアントファーストで、正しく支援する

ー いろいろと大変なことがあった中でも、大事にしてきたことは何ですか?

大森:圧倒的クライアントファーストですね。クライアントに価値を提供できないと「そもそもこの事業は本当に正しいのか」と思います。そのため、「正しいことを言う」よりも、成果を出すために「正しく支援をする」ことを大事にしていますね。メンバーに対しても、クライアントのために何ができていて、何を果たしたのかを重視するよう伝えています。

實重:まさに、大森さんといえば「クライアントファースト」ですよね。そして、大森さんと関わったメンバーを中心に、ハッカズークとしても浸透していると思います。

私は「違和感をなあなあにしないこと」を大事にしていますね。社外に対しても、社内に対しても、難しい問いに向き合わないといけない場面が多くあります。それは例えば、新入社員メンバーからの素朴な疑問だったり、株主からの本質的な問いかけだったりさまざまです。それを見て見ぬふりをして放っておくと大きな問題になったり、迷惑をかける可能性があると思っています。なあなあにしたくなることも正直ありますが、必ず自分の中で答えを出すことを心がけています。

あとは、うまくいかないと思ったときには、「変える意思決定をする」ということを大事にしています。物事が予定通りに進んでいない時でも、ついつい大きな方針や体制は変えず、細かなアクションを変えて何とかしようと考えがちなものです。自分もそうでしたが、この点は鈴木から度々指摘を受ける中で考えが変わりました。「うまくいかないかもな......」と思いつつ誤魔化しながら進めることはしません。これだけ私や大森さんの役割が変わっているのもその表れですよね!役割も変えようと思って計画的にしてきたものばかりではなく、「このままではうまくいかなさそう」と思い、変化させてきたことが大半です。変えることが目的ではないですし、変えたからといってうまくいくかもわかりません。でも、うまくいかない可能性があると思っているなら、変えて試すべきだと思っています。

ー さまざまな壁を乗り越えて今に至りますが、現状の課題は何ですか?

實重:本来のアルムナイの考え方や解釈を、まだまだ世の中に浸透させられていないことに課題を感じています。アルムナイの認知が広まり、さまざまな企業の人事施策の検討テーマになってきているのは嬉しい反面、アルムナイは人的資本経営の中核をなすものであるという解釈はそこまで広がっていないんですよね。アルムナイ=採用チャネルと捉えて、とりあえず採用ページに導線を張っておこうとか、そういう解釈が増えてきています。もちろん、間違いではないですが、アルムナイの価値はもっと多様にあります。

だからこそ、アルムナイの多様な価値をもっと世の中に示していかないといけないと思っています。とはいえ、いきなりそういう壮大なことに取り組める企業だけではないということは理解しています。企業がアルムナイに取り組むにしても、まずはスモールスタートが必要であったり、社内で理解をしてもらうために事例をつくる必要があり、そこに合わせて少しずつ本質的な価値に近づけられる支援がしたいです。

大森:この課題は、セールス・マーケでも感じています。アルムナイに対する捉え方が業界によって異なることもあり、まだまだ本当の意味でのアルムナイの概念を届けきれていない業界もあります。一部には届けられているけど、一部からは価値を感じてもらえていないという課題感がありますね。

また、アルムナイの取り組みは、企業にとってもアルムナイにとっても価値ある場をつくることがとても重要です。企業側は当然ながら自分たちのメリットを考えて投資をしますが、そのメリットを得るためにはアルムナイにとってのメリットも必要です。そうやって、アルムナイにとって価値ある場をつくることが、結果的に成果にもつながります。win-winの状態をつくっていくという必要性は、もっと発信していかないといけないと感じています。

「強くて、いい会社」であるために

ー 10人以下の時と比べて、組織として変化したことはありますか?

實重:さまざまな働き方ができるようになったという変化がありますね。10人以下のときは、仕事だけにコミットするというような人だけが集まっていました。ただ、組織をより拡大するためには、より多様な人材が働ける環境を作ることが必要だと考えました。もちろん、今でも仕事にフルコミットしたいという方は大歓迎ですし、そういった方がとことん挑戦できる環境でもあります。ただ、それができるには前提条件が必要です。優秀だけど時間や働き方に制限がある人は迎え入れられない、となると組織はグロースできないと考えています。

いまは20人強の組織になりましたが、子育てと両立している社員も増えここ1〜2年でだいぶ変わってきましたね。とはいえ、「ただ働きやすいいい組織」にするのではなく、働きやすいけど「強い組織」という「強さ」は必要です。ただただ働きやすいぬるま湯のような組織にするつもりはないです。働きやすさや柔軟性は大事にしつつ、スタートアップらしい仕事に対する熱量やコミット力、スピードは落とさないということが必要ですね。

そのため、ルールや制度ではなく、一人ひとりがあたりまえの基準を上げていく必要があります。それがあるからフレキシブルに働けるとおもいます。鈴木も以前言っていましたが、制度やルールよりモラルとコモンセンスは本当に大事だと考えています。

大森:そうですね。だからこそ、現在のハッカズークは、あえて制度やルールを細かく設けていません。細かいルールがなくても、何が大事かを考え自律的に動ける組織でありたいからです。

もちろん、人数が増えたり、IPOに向けて整えなければいけないところは出てきます。とはいえ、「制度やルールがあるから」ではなく、「アルムナイをさらに社会に浸透させて価値ある取り組みにするためには、自分はこう取り組むべきだ」と考えられるかが大事ですよね。

採用の際も「事業共感」と「ハッカズークで働く目的」は重要視してます。ここがないと互いの向かうべき方向がずれて行ってしまいます。採用でも社内でもここの発信は大事にしていますし、いつまでも何度でも言い続けることは必要ですよね。

實重:何度でも言い続けることは本当に大事ですよね。ただ、ビジョンへの共感も大事だけど、成果や数字の意識が薄れると良くないし、数字ばかりでビジョンがないがしろになってもブレてしまう。ここのバランスもすごく大事ですよね。

今後、モラルとコモンセンスだけではどうにもならない場面も出てくるかもしれませんが、可能な限りこのスタンスは大事にしていきたいと思ってます。

まだまだ事業も組織も正解がないフェーズなので、制度をつくって言われたことをやる組織ではなく、自ら意志を持って進んでいけるような組織でありたいです。

大森:多様な働き方は可能になりましたが、みんなで事業を伸ばし、顧客の価値に向き合うというのにかわりないですからね。「いわれたからやる」のではなく、何かしらの目的を持ってハッカズークに入社をしているので、その実現のために、利己的なくらいがいいです。自分の目的のために会社を利用するという考えで構いません。そうやって自分の目的のために全力を尽くすことが、結果的に顧客や会社への価値創出につながりますからね。

ー その上でどんな人に仲間になってほしいですか?

大森:「危機感のある人」ですかね。事業にも自分にも「このままではまずい」と危機感を感じて、状況に合わせて動ける方と働きたいです。事業成長はしてますが、正直まだまだです。この先多くの壁にもぶつかると考えています。そうなった際に、これまでの経験からなる危機感を周りに共有したり、自ら動ける人がこのフェーズでは必要ですね。

實重:評論家は誰でもなれますからね。うまく行っていないこと、行かなそうなことを批判するのではなく、そこをどう乗り越えていくかを考え動けるかは大事です。

あとは視点の行き来ができる人ですね。このフェーズのおもしろさは、5年後10年後の事業の未来を熱く語った5分後には、その実現のために目の前の企業人事1人にアルムナイの価値を必死で説明するとか、1人でも多くのアルムナイと接点を持ってディスカッションするとか、差が激しいところです。壮大なビジョンを持ちつつ、そのために泥臭く目の前のことにも向き合い、目標達成に向けて最後の1秒までも諦めない。そうじゃないと絵に描いた餅で終わります。

この規模、フェーズだからこそ上が決めたことをひたすらやるのではなく、ビジョンを語り実行もできます。ここの必要性を感じ、泥臭くやっていきたいと思っていただける方と働きたいですね。「事業を伸ばす」という力は、かなり鍛えられると思っています。

ー 實重さん、大森さん、ありがとうございました!

泥臭く事業に向き合ってきたからこそ今があると伝わってくるインタビューでした!
今でこそ、少しずつ世の中に認知されつつあるアルムナイですが、とはいえまだまだこれからも泥臭く事業を伸ばしていくフェーズです。

きっとこの先も多くの壁があると思いますが、アルムナイという市場をつくる壮大なビジョンに共感した方はぜひ一度お話ししましょう!


<イベント告知>

今回語りきれなかった内容をオフラインイベントにてお話しします!代表の鈴木も含め、パネルディスカッション形式&交流会もございますので、ぜひお気軽にご参加ください!

▼イベント概要
開催日時:8/21(水)19:30〜21:30 
開催場所:ハッカズークイベントスペース(最寄駅:飯田橋)
参加費:無料

オープンポジション
CEOが語る事業成長の裏側!HR領域で新たな市場を開拓、成長できた理由とは
株式会社ハッカズーク



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