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社会へ価値提供するために会社としてどう攻め、どう守るか。挑戦の日々

2016年8月、まだウィルグループ子会社セントメディアのネットジンザイバンク事業部だったフォースタートアップス(以下、フォースタ)に、町野史宜はジョインした。会社としてはまだ何モノでもなかったが、ビジョン共感と熱量だけはあった。それから約6年。自分たちのサービスは価値あるものだと信じ、それに見合う組織体であろうと努力しつづけた。決して逃げないことを自らに課し、会社の土台を固めるためのさまざまな取組を行ってきた町野の日々を振り返る。

価値あるサービスを提供していると信じ、逃げずに自らを高めつづけた日々

フォースタの草創期からヒューマンキャピタリスト一筋で、はや6年弱。今や町野は、起業家、投資家、経営者の方々のパートナーとしてさまざまなことを話し、自ら提案もすれば相談も受ける。町野に限らず、メンバー一人ひとりのこのような関係構築が結実し、この6年弱でフォースタのサービスのラインナップは広がった。戦略立案やブランディングも含めた採用全般を支援する採用コンサルティング事業もあれば、フォースタ自らがスタートアップ企業への出資もする。オープンイノベーションなども。

町野は言う。「企業さんと信頼を紡ぐことで、たとえば採用コンサルティングなど、より深いサービスや事業につながっていきます。この信頼関係から、今後も新しいサービスが生まれるでしょう。非常に拡張性のある仕事なので、この先どこまでいくんだろうと、やればやるほど楽しみが広がります」

一方で、ここまでに至る道のりは、自分たちの価値を高めることに挑戦しつづけた日々でもあった。フォースタが、まだ何モノでもなかった頃から、町野は「自分たちのサービスは高尚で価値あるものだ」と信じ、実際にそうあるために、自らを高め、企業にも決して迎合することなく向き合ってきた。

たとえばA社。町野が入社した当初は「御社に本当にできるんですか」と言われるほど信頼がなかったが、今では、セミナーなど協業の話をA社側からも打診してくる関係に。採用力とコーポレートブランディングの向上に、一緒に取り組んできた成果だ。IPOを終え、まだまだ拡大期にあるB社は、代表が町野にたびたび、採用や組織に関する相談を持ちかけてくる。C社は、当初こそフォースタに対して「数あるエージェントの一つ」というスタンスをとっていたが、マネージャーやCxOを支援したことで関係が一変。「ちょっと一回飲みに行きましょうと誘われ、じっくり話をしたところ、フォースタがいれば成長産業が盛り上がるのだと理解してもらえました」と町野。

決して迎合することなく、積み上げてきた信頼。一方で信頼関係を築けない企業、共感できない企業に対して、ときには毅然とつきあわないという選択もしてきた。それは自らを追い込む茨の道でもあった。「このような姿勢を貫く以上、それだけの価値を提供しなければいけません。JD(Job Description)をもらって紹介するほうがずっと楽だったはず。でも僕らは絶対に逃げずに起業家、投資家と向き合う道を選びました。これが、僕らが大事にしていることです」

ヒューマンキャピタリスト育成、リスクマネジメントなどの土台固めに注力

▲町野はヒューマンキャピタリスト育成プロジェクトを牽引している

高尚なサービスを提供しつづけるためには、自分ひとりが頑張るのではなく、フォースタ全体を高めなくてはならない。町野は粛々と取り組んできた。その1つがヒューマンキャピタリスト育成プロジェクトだ。

入社して日の浅いヒューマンキャピタリストや、数カ月が過ぎても苦戦中のヒューマンキャピタリストが一人立ちできるように。その次は、メンバーレイヤーの支援が中心のヒューマンキャピタリストがマネージャー、CXOなどハイレイヤーを支援できるように、段階に応じた育成プログラムを立ち上げ、この1年余り、実施してきた。

それまで、素晴らしい実績を上げつづけているヒューマンキャピタリストが何人もいるものの、そのノウハウやナレッジを共有する仕組みは、充分ではなかった。「そのあたりは暗黙知で、顕在化していませんでした。優れたヒューマンキャピタリストの能力、やってきたことをシェアすればみんなできるようになるはずだと思い、それを実行したのです」と町野は言う。

きっかけは本で読んだ、ある企業の成功ストーリーだ。「その中に『何でも型がある。人は最低限の型をつければ、それを超えるクリエイティブを発揮する』とありました。それまでは、型にはめたらそれしかできない人になると思っていました。実際、人材系の会社で、属人性を排してシステムを導入することで売上を上げているような会社もあります。それでは兵隊だと抵抗がありましたが、考えが変わりました。みんなから集めたノウハウから最低限の型を作ることで、それらを基にひとりひとりが更に昇華させることができる。そのサイクルを実際にやってみているところです」。効果はてきめんだった。会った後に支援のプロセスに進む候補者の数がグッと増えた。それだけ信頼を得られるようになったということだ。

現在、このプログラムは別のメンバーに引継ぎ、町野は中途採用メンバーのオンボーディングを担当する。最近のフォースタは採用数が大幅に増え、リソースを投入して本格的に育成に取り組まないといけない状況だったため、町野に託された形だ。

ほかにも社内のさまざまな取組を立ち上げてきた。現在、並行して取り組んでいるのが契約管理を含むリスクマネジメントだ。コーポレートサイドのリーガルチェック機能はもちろんあるが、ビジネスの観点で、内容が適切かどうかを詳細にチェックする機能やリスクマネジメントの機能がなかった。また、一人ひとりのリーガルリテラシーの向上も喫緊の課題だったことから、課題に感じた町野が立ち上げ、進めているところだ。

発想が『I』から『We』へ。会社としてどう攻め、どう守るかと考えるようになった

町野は言う。「僕は、高尚なサービス、事業であることを突き詰めたい。マーケットの情報を取ったり、起業家と会って視座を高めたりすることは、もちろん大事です。一方で、法律、業界の商慣習、リスク管理などを含むフォースタートアップスが向き合う市場における専門性なども求められます。サービスに相応しいエスタブリッシュな人材の集団であるために、攻めと守りを備えたリテラシー高い人材の教育はマストです。我々の扱う情報はそれだけ希少性が高く、我々のビジネスは価値が高いのだと自覚しないといけません」

町野は新卒で入社した会社で、入社後ほどなくリーマンショックに遭い、関りたかった事業が売却されてしまった苦い経験がある。早期退職、事業売却なども目の当たりにした。「あの経験を、フォースタのメンバーにはしてほしくないのです。自分がやりたいことが素晴らしいことであるならば、足元をすくわれたくない。そのための守りが必要です。自らの価値を高めつづけなければ、時代に置いていかれる。個人もいろいろな能力を身に着けていく必要があります。その土台がなければ、一人ひとりのクリエイティブに時間を割くことはできません」。

入社当時は個人事業主の集まりのようだったフォースタ。町野も、自分がどうパフォームするかしか考えていなかった。「今は社としてどう攻めるか、どう守るかをすごく考えるようになりました。発想が『We』になったと思います」。町野の6年弱の変化だ。振り返って言う。「逃げ出したいほど大変だと思ったことは何度もあります。でも、一つ決めているのは逃げないこと。それが凡人の僕にできる唯一のことだから。能力が高くていい人でも、誰も逃げる人に仕事は頼みません。逃げないと決めている人には仕事が降ってきます」。その姿勢を貫き、社内外から頼られる存在になっている。

人の価値は無限大。「Startups First」、「Be a Talent」、「The Team」を胸に挑戦はつづく

さまざまな取組は着実に成果を上げている。だが「まだまだ」と感じることも多い。スタートアップを盛り上げ、日本を再成長させるためには、もっと会社を大きくし、プレゼンスを発揮しなくてはならない。そう考えたとき、最近の町野は、より高いポジションを目指すことを意識するようになった。

現在のフォースタは、ヒューマンキャピタリストの増加ペースに比して、束ねる役職者の数は圧倒的に少ない。クライアントも、大事なことは信頼できる個人と組織に頼みたいだろう。会社のケイパビリティを広げ、より社会に価値提供するには、自分がポジションに就くことが必要と思えたのだ。そのためには、今以上に社内外の信頼を得る必要がある。町野はますます自分を追い込む決意だ。

「僕は親に心配されるほど引っ込み思案な性格ですし、実家もすごく田舎で昔ながらの考えが根付いてます。東京でスタートアップに勤めていることも、ウソだと思われているんです」と笑いながら町野は言う。それでも懸命に自分を発信し、頑張れるのは、この使命感と仲間の存在が大きい。「この組織にいると、自然と熱量高くしゃべることができる。自分の考えを出すことが当たり前だから、やはり変わります。このちょっと溢れ出るくらいの熱量の高さは他にない、フォースタの魅力だと思います」。

学校教育でも企業でも、没個性を求めてきた日本社会。かつては明らかに、今も根っこの部分では変わらない。多くの大企業が個の力ではなく、組織力で戦う。「それはそれでいい文化です。でも個人の価値を高め、発信するには不向きです。その点、フォースタは、個人の価値を高めつつ組織づくりもできる稀有な組織だと思います」と町野。

バリューが象徴的だ。「社としての根幹になっている『Startups First』、個人の価値を尊ぶ『Be a Talent』。そして、それをプロデュースするのが『The Team』です。この3つのバリューがいいなと思います。よく社会的価値創造と言いますが、組織の力でそれをやる会社もあれば、プロダクトでやる会社もある。いずれも素晴らしいです。僕らは人の価値を無限大と信じ、人の力でやる。人の力で事業を創造し、社会課題を解決し、社会に価値提供ができると思っています。それをずっと目指しつづけています」。人の力を最大限に引き出すべく、町野の挑戦はつづく。

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