株式会社バニッシュ・スタンダード|VANISH STANDARD
STAFF ...
https://www.v-standard.com/
フォースタートアップス(以下、フォースタ)では、エンジニアに特化した専門チームであるエンジニアプロデュースチームを作り、スタートアップに対してキーパーソンとなりうるCTO・VPoE・エンジニアのご支援をしております。
株式会社バニッシュ・スタンダードは、スタッフを軸に店舗とEC、企業と顧客をつなぐスタッフテックサービス、『STAFF START』を展開する会社です。店舗スタッフが撮影したコーディネートを自社ECサイトに投稿することで、スタッフによるオンライン接客を可能にし、さらにスタッフの頑張りが可視化・評価されることで、待遇改善や個人の幸せを実現できるサービスです。アパレル、化粧品、食品をはじめとする小売業界からスタートし、現在はサービス業界へと横展開し、急角度で成長中です。
今回は、2020年9月に入社した大竹将司氏と代表取締役の小野里寧晃氏から話を聞きました。社員同士の仲の良さもバニッシュ・スタンダードの特長で、笑いの絶えない取材となりました。
2004年大手Web制作会社に入社、EC事業部長として主にアパレル企業などのECサイト制作に従事。2011年株式会社バニッシュ・スタンダードを設立。EC構築から運営の全てを請け負うフルフィルメント事業を提供する中で「店舗を存続するEC」を目指し、2016年に店舗スタッフをDX化させる”スタッフテック”サービス「STAFF START(スタッフスタート)」を立ち上げる。
2018年、新卒でBtoBマーケティングを手がける上場ITベンチャーに就職し、新規事業開発などに携わる。その後、エンジニアチームが独立する形で設立された子会社に移籍。いくつかのプロジェクトに携わった後、2020年9月にバニッシュ・スタンダードへ。『STAFF START』の中核を担うエンジニアとして活躍中。社内では「テン」の愛称で親しまれている。
小野里:私たちは、店舗スタッフをDX化させる『STAFF START』というアプリを提供し、バニッシュ・スタンダードという社名の通り、「常識を革める」ことに一生懸命取り組んでいます。
これまでにどんな常識を革めてきたかをお話しすると、まずは、店舗スタッフが店舗だけでなくオンライン上でも接客できるようになりました。そして、EC化によって店舗への来客が減り、活躍の場が限られていた店舗スタッフがオンライン接客により成果を上げることで、成果に応じた評価が受けられるようになったことです。
またおもしろいのが、店舗からECサイトへの誘導だけではなく、このオンライン上での接客によってスタッフのファンになり、逆にECサイトから実際に店舗に会いに来るお客様がいることなんです。『STAFF START』はまさに ”リアルとネットの架け橋” のツールなんですよね。
エンジニア目線でいうと、桁違いのデータ量が魅力だと思います。『STAFF START』は、昨年1年間で1100億円の流通売上を突破し、約1200ブランドが参加、約7万人のスタッフさんが使っています。そのため月間リクエスト数は50億を超えており、高トラフィックシステムの安定運用とスケーリングの両方に挑戦できること、またビジネスサイドと一緒に新しいプロダクトの企画や設計、開発に積極的に挑戦できること。このあたりが「STAFF START」に携わるエンジニアにとっての魅力ですね。
大竹:転職活動中、データ量に着目していて、複雑なシステムや大規模なシステムに携わりたいと思っていました。バニッシュ・スタンダードのほかにはメガベンチャー的な、既にユーザー数が多いWebサービスの会社を数社受けていて、バニッシュ・スタンダードもデータ量ではそれらに匹敵すると感じました。その中で最終的にバニッシュ・スタンダードを選んだ決め手は、小野里さんの言葉ですね。「世の中には便利なサービスはいくらでもある。でも、人を幸せにするサービスは数が限られていて、それを作ることはすごく難しいけど楽しい。」と言っていました。
小野里:メッチャいいこと言ってる。(笑)
大竹:もう一つは『STAFF START』の事業領域の幅広さ。既にコスメ、食品などに展開していますが、将来的には介護や保育まで広げられるのではないかと考えています。世の中には”価値ある仕事をしているのに、市場構造的に給料に恵まれない人”がいます。そのような人に対してアプローチするという話を聞いて、「ここならおもしろいチャレンジができる。自分も人を幸せにするサービスを作りたい」と思い、バニッシュ・スタンダードに決めました。
小野里:エンジニアの力無しでは、私たちの目指す幸せが実現できないからです。今、話が出たように、今後はアパレル以外の業界にも横展開し、サービス業界、介護や福祉の領域までサービス貢献の場を広げ、グローバル展開にもチャレンジしていきます。作らなければいけない機能は盛りだくさんで、まだ助けられていない人がたくさんいます。私たちはスタッフ、つまり人を軸にDX化に取り組む「スタッフテック」企業と呼ばれていますが、企業として強くなるためには、ビジネスサイドの人間だけでなく、必要なサービスを作ってくれるエンジニアがいなければいけません。私たちの掲げる想いに共感するエンジニアがいないかとフォースタさんに相談したところで、テンをご紹介いただきました。
フォースタートアップスに対して、どのような印象は持っていますか?
大竹:熱量がすごいですよね。私の話を聞いて、それに沿っていろいろな会社を紹介してくれて、選考もスムーズに進めてくれたのでやりやすかったです。
小野里:そう、熱量。フォースタさんは本気で言っているんですよね。それが伝わってきます。「上っ面で言っているな」と感じる会社も他にはありますが、フォースタさんは本気で私たちのことを理解しようとしてくれていて、その上で「この人がいい」、「この人は正直、向かないと思う」などと同じ目線で意見をくれる。これは、企業からしたら最も信頼できる要素です。「この人たちから紹介してもらった方なら信じてみよう」という気になります。人を紹介してもらうという、企業成長において一番大事なことをお願いしているので、その信頼がなかったら成り立ちません。ピュアな気持ちがあり、バニッシュ・スタンダードとはまた違った熱量をくれる点が、とても良いと思っています。
小野里:最初に話した時から「いいな」と思いました。とても生意気で(笑)。よく言えばピュアで素直。素直にものを言ってしまうし、不器用なんですよね。でも、その真っ直ぐさがいい。私たちの目指す「人々を助ける、幸せにする」ことを実現するためには、素直さとビジョンへの強い共感を持ったメンバーが集まる必要があると思うんです。もちろん技術はあるとわかっていたので、頑張るし、素直だし、私たちの想いにも共感してくれそうだと感じたので、すぐに「来なよ」と言いました。
恐らく、彼のスキルがあれば他の企業でも受かるでしょう。その中でもバニッシュ・スタンダードという名もなきスタートアップ企業を選んでもらうためには、彼にも覚悟がいると感じました。それで、さっき彼が言った「人を幸せにするサービスは数少ない」という話をしました。理解し共感してもらえてよかったと思います。
大竹:小野里さんと話したときは、最適な表現ではないかもしれないのですが「宗教家っぽいな」と思ったんですけど(笑)。逆にそんな人にこれまで会ったことがなかったので、印象に残りました。サービスにも関心が持てたので、最悪、入社してうまくいかなくても「それはそれでよかった」と思えそうだったのでジョインを決めました。結果事業として上手く行かなくても経験としてプラスになるはずだと。
大竹:サービス開発チームで、新しい機能の開発をメインにやっています。山ほどやりたいことあるので、とにかくスピードをもって進める必要がありますが、技術力も求められるので、精度は高くかつ速く、必要な機能を作っていきます。
今、担当しているのは、スタッフさんの評価に関する機能の部分です。スタッフさん一人ひとりの売上が蓄積されて、それを基に、例えば「一定の条件を達成したら、どのように評価に反映するか」や、「スタッフさんに点数が付く」といった仕組みを作っています。スタッフさんが数値でしっかり評価される文化を作っていると言っていいかもしれません。蓄積されたデータを基に、こちらから「このような評価の仕組みを導入しませんか」と、企業側に提案していく動きをしています。
小野里:いちばん重要なシステムの心臓部分を彼に任せました。彼はできますから。
大竹:はい、難しさはデータ量がとにかく多いこと。下手にさわるとシステムに負荷かかるので、細心の注意が必要です。加えて、機能が増えるにつれてデータもどんどん蓄積していくので、長期的な見通しを持って設計をしなくてはいけません。スピード感は求められるけれども、丁寧に設計しなくてはいけない点が難しいところですね。
しかも、機能もカッチリと決まっているわけではなく、フィードバックをもらいながら進める中で、あとで壊す可能性もある。そこも、ビジネスサイドと話しながら進めています。「この機能があれば良くなるんだよね」というようなフィードバックも頻繁にあるので、そういうアイデアをどんどん取り込みながら作っていくイメージですね。それがインパクトになり、スタッフさんの幸せに繋がると考えるとやりがいは大きいです。
小野里:『STAFF START』は、すでに店舗スタッフさんのインフラになってきています。データ量も凄まじい。このデータ、サービスを活用して、例えば何か有効なマッチングとか、新たなCtoCアプリケーションとか、ワクワクするような事業展開は当然、考えています。店舗スタッフさんが頑張ってきたオンライン接客の実績を偏差値化して、リクルートサービスなどに展開してもいい。アパレルや化粧品など幅広い業界の大手各社とのシステム連携は、毎日のように決まっているので主力サービスをもっと広げていくことももちろん忘れていません。
私が思うに、業界を問わず、コロナの影響で今はもう日本全体が打撃を受けている。企業や店舗ももちろん厳しい状況ですが、やはり一番打撃を受けているのはそこで働いている店舗スタッフさんです。従来の働き方では、どれだけ頑張っても給料が上がらないし、店舗が撤退すればいきなり仕事がなくなるということも考えられます。
そこに対して何とかテコ入れしていきたい。少しずつ店舗スタッフさんの給料が上がれば、少子化すら防げると思っています。先ほどテンが言いましたが、福祉、介護、保育など日本中で必要とされている職業の方々の給料も、早く上げていかなければいけないと思っています。
つまり、いくらでも考えることはある。展望はいくらでもあるということです。世の中にある今流行りのソリューションは、技術によって精度を上げたり、便利にしたりするものが多いですが、私たちは「幸せにする」と言っているので、幸せに対してシステムの限界はないんです。機能もシステムも技術も、多分、永遠にいろいろなものを搭載し続けられることが、『STAFF START』の魅力だと思います。
小野里:はい。だからテンも最初、「宗教家っぽい」と思ったんでしょう(笑)。
「技術で何かをしよう」ではなく、「この人たちを幸せにしたい。」という想いからスタートしているので、ソリューションのきっかけが違う。なので、成長の可能性は無限大になっているわけです。それがおもしろいと思ってもらえると思うし、テンのように、若い人でも実力があれば、企画やビジネスの部分から一緒に話をして、システムの心臓部を任せます。アイデアから新しいものを次々と作っていける環境であることは、本当に魅力的だと思いますよ。
大竹:ありますね。個人としてもやりたいことがとてもたくさんありますが、技術的なハードルを超えないとできないことも多くて、だからこそ楽しいと感じることができています。
他の会社では、「使いたい技術があるけれど、ビジネスに対してインパクトがないから使えない」という悩みがよくあると思いますが、バニッシュ・スタンダードは逆。「新しい技術を使いたいから、こういうことをやりたい」ではなく、「これを作るためには、この技術を使わなければいけない。」となります。どんどん技術的にチャレンジするし、逆に、チャレンジしなければサービスに貢献できない。エンジニアにとっては非常に楽しい環境だと思います。
小野里:ビジネスは止まらないし、技術も止まらない。常に煽られているような感覚(笑)。世の中の需要が怖いくらいに強い。
大竹:はい。小野里さんはお客様先で、ない機能を「ある」と言っちゃうし(笑)。だから急いで作らないといけない。そういうイベントもあります。
一同:爆笑
小野里:熱をもって話しているうちに、あったような気がしてきちゃうんだよね。
大竹:で、辻褄を合わせるために急いで作る。そこに対してネガティブな気持ちになったことはなく、むしろ面白いと感じられている。こんな環境なので、まったく飽きません。仕事が退屈だと思ったことはないです。だから地力がついたなと思いますね。人としてもエンジニアとしても。
大竹:バニッシュ・スタンダードに入社する前は、転職活動の時もそうですが、技術面や自分の成長を重視していて、ベクトルは常に自分に向いていました。でも小野里さんやほかの役員を見ていると、ベクトルが自分ではなくて、スタッフさんに向いているんです。スタッフさんの幸せを軸に行動していて、それがすごく私には印象的でした。
世の中の会社は、素敵なビジョンを掲げていても、やはり利益を追求します。私利私欲で動く人が大半だと思います。良い、悪いではなく、それが普通。だから今まで、本気で「人の幸せのためにやっている」という人に会ったことがなかったのですが、ここでその価値観に触れて、自分も、ベクトルが自分のままだと最終的に幸せになれないと思い始めました。「誰かのために仕事をしたい」と本気で思い、人生の時間を費やさないと何も残らないと考えるようになったのです。
将来、自分が人を引っ張る立場になったとき、特にそれは大事で、夢を語れる人にならないといけないなと。「あれをやれ、これをやれ」ではなく、「こんな将来に向かって行くんだよ」と言えば、それぞれが勝手に動く組織がベストだと思いますし、そのような発信をできる人になりたいです。そのロールモデルになる人が会社にいるので、すごく勉強になるし、人として成長したと感じています。
小野里:テンは、最初はクールに振る舞っていましたが、今ではすっかり熱い想いが抑えきれなくなっているのを感じています(笑)。弊社はそんなメンバーばかりです。私がいつもメディアに出てしまっているので、あまり他の社員を紹介する機会がありませんが、熱量がすごい。「何かやってみよう」、「やらないほうがダサいよね」という空気に、私がいなくても自然になっています。エンジニア組織に限らず、会社全体としてそのようなカルチャー、空気がありますね。
大竹:一緒に働いているメンバーの技術レベルが高いので、一緒にいるだけで学びが多いです。様々な視点から教えてくれますし、自分の知らない話も聞かせてくれるので、そのようなメンバーと日々、仕事をしていることで技術的にも成長します。加えて、先ほども出ましたが、日頃から求められる要件が高く、必然的に技術力は上がっていくので、ここで得られる経験は幅も深さも大きいと思います。
小野里:言葉が適切ではないかもしれないですが、現職で「くすぶっているエンジニア」に来てほしいです。どういうことかというと、毎日、きっちり求められる仕事をして、ある程度、収入にも満足していて、不満足でもないけどすごく満足もしてない…というエンジニアは多いと思うんです。満足はしているけど何か一味足りないと。
それは何かと考えると、技術を追い求めることは、エンジニアなら誰でも求めていて、どこででもできる。ただ、「人のために何かをしたい」、「自分が本当に求められている」という感覚は、技術レベルだけでは満たされないと思います。自分の想いや行動で、本当に助かる人がいる。それを、弊社では強く感じることができます。「自分が動いたから、このスタッフさんがすごく助かった」と感じることができるのは、他の会社には絶対にない部分だと思っています。
大竹:確かに、私も当時くすぶっていて、その気持ちを揺さぶられた感覚がありますね。心の中に火をつけられたような気がします。
大竹:変わりましたね。「技術は手段だ、でも手段はとても大事だ」と考えていて、技術が主体になってはいけないけれども、疎かになってもいけないという考え方は今も変わりません。ただし、それだけではダメ。人として信頼されること、魅力的であることがすごく大事だと思います。技術を持っていても、それだけで私について来る人がいるかと考えるとそうではない。プラスして人を引き付ける力や発信力がないといけない。以前は、技術さえつければいいと思っていましたが、今は、人としての魅力も大事だと思うようになりました。
ちょうど取材終了時がランチタイム。オフィスにキッチンがあり、社員みんなでランチを食べる様子は、バニッシュ社の雰囲気の良さを表していました。