フローレンスの活動は多くの寄付者の皆さんによって支えられています。
2004年の設立から20,000人以上の方と80社以上の企業様にご支援いただいています。
そんな大切な寄付をお預かりするためのシステム(CRM)を2022年3月に全面的にリニューアルしました。
中心となったのは、みんなで社会変革事業部寄付担当の寺本と小林、そして働き方革命事業部システム担当の菊池と榎本です。
その4人に、プロジェクトを振り返り、座談会形式でざっくばらんに語ってもらいました。
どんな大変なことがあったのか、それをどのように乗り越えたのか、そして、フローレンスならではのポイントとは?
フローレンスのシステム導入プロジェクトの裏側を、どうぞご覧ください!
――最初に、寄付リプレースプロジェクトが立ち上がった背景を教えてください。
寺本:2020年4月、コロナ禍が始まったときにプロジェクトが立ち上がりました。当時はフローレンスとしても緊急支援を行い、ありがたいことに例年に比べ4倍以上の寄付金が集まる状況でした。
異常なスピードで寄付が成長していく中で、人が手作業で対応するには限界を迎え、システムリプレースの重要性が高まっていました。
――当時の寄付業務の課題はどのようなものでしたか?
寺本:とにかく人がやらなきゃいけないことが多すぎました。クレジットカード決済のシステムへの取り込みを1件ずつ人がやっていたんですね。
当時は営業担当やマーケティング担当にも声をかけて人海戦術で対応していたんですが、このままだと寄付を獲得することのボトルネックになるので、なんとかしなければと思いました。
(みんなで社会変革事業部 寺本。寄付担当。あだ名は”てら”さん)
――今回のリプレースの内容を教えてください
寺本:フローレンスは、企業の社会貢献活動としての寄付(法人寄付)と個人でフローレンスを応援してくださっている方からの寄付(個人寄付)をいただいています。
もともと法人寄付と個人寄付で業務フローが異なり、データベースが別管理になっていたんですね。また単発寄付の決済データも手動で登録する必要があり、業務工数の肥大化につながっていました。
菊池:これらを解決するためにデータベースをSalesforceのNonprofit Success Pack (NPSP)に一元化しました。
取引先・見込者・商談といった、寄付に必要な情報を一箇所で統合管理できるようにし、決済連携処理も自動で行えるようにしました。
寺本:実際にデータが一元管理されたことでかなり業務負荷は減りましたね。
例えば、この法人は担当者が誰で、いつ最終入金があって、という当たり前のことが追いかけられるようになり、本当にありがたい環境になりました。
決済連携は今まで1件1件処理していたのが一括で処理できるようになったので、寄付件数が増加しても工数がふくれ上がらないようになった安心感もあります。
――今回のプロジェクトで大変だったところはありましたか?
菊池:旧データベースから、SalesforceNPSPにデータを移行する作業が一番大変でしたね。これまでの取引先や商談のデータが数十万件に及んでいて、しかもデータソースが複数あったり、データソースの構造が違ったりと、データマッピングには相当苦労しました。
(働き方革命事業部 菊池。システム担当。あだ名は”きくちん”)
榎本:今回のプロジェクトは「無停止で行う」、「お金に関わる」、「失敗したら寄付者の方にご迷惑がかかる」という3つが重なって、業務上クリティカル度が高かったんです。滞りなく決済もできるようにするなど、外部のステークホルダーに金銭的影響を発生させないよう最大限に気を配りました。
菊池:決済の連携はもちろん、寄付者からの問い合わせも止めるわけにはいかないんです。うまくいかなかったときに戻せるよう、設計・テストするのが苦労したポイントでした。実際には決済も問い合わせも止めることはなかったので良かったです。
榎本:本番ではないですが、データ移行のリハーサルがうまくいかなかった時は頭を抱えましたね(笑)
菊池:本番移行2週間前のリハーサルでデータ移行が固まることが2,3回起きたんです。本当に本番移行できるのか悩みました。そのときはなっちゃんさんのアイデアもあって、無事に解決できました。結果的にリハーサルを何回もやったことが、本番のデータ移行がうまくいった理由だと思います。
――寄付チームのお二人はシステムチームと仕事をしてみていかがでしたか?
小林:現場の運用が回ることを第一に考えてくれたことがありがたかったですね。ちゃんとシステムを使う人を見てくれていました。どんなに素敵なシステムを作っても、運用が回らなかったり、使いこなせなかったら意味がないじゃないですか。
システムチームのみなさんから「これで本当に運用回りますか?」という確認も入れてくださって、それによってこちらも運用を考え直すこともありました。
(みんなで社会変革事業部 小林。寄付担当。あだ名は”かこ”さん)
寺本:私達がそこは諦めていいよって言ってるのに、きくちんが「いやいけるんじゃないか」と言ってくれたりしてましたもんね(笑)。
小林:ビジョンをちゃんと共有して仕事するって初めての経験なんじゃないかって思います。
ビジョンをきちんと共有してるってスキルよりも大事なんだと気づきました。スキルが高い人が集まってもビジョンが統一できていないと、工数ばかりふくらんだり、険悪なムードになったりすることが起きがちですよね。
限られた人と時間で最善を尽くすためには、チームワークって大事なんだなと改めて学びました。ビジョンが統一されていると、少ない人数でもこれだけできるんだなって。
――プロジェクトを成功に導いたポイントがあれば教えてください。
菊池:私たちシステムチームの役割はシステムを導入することですが、ただ導入できれば良いのではなく、実際にできたものがうまく回るかどうか、そして現実的で無理のないスケジュールで導入できるかどうか、という観点も大事にしています。
細かい設定や要件にとらわれすぎず、後回しできる課題は一旦スコープから外すなど、大枠をきちんと考えてやっていました。
榎本:優先順位としてデータを移すということがまず大事だよねというのはお互いに認識合わせをしていました。それをやり遂げるために、業務上絶対必要なものと、なくてもどうにかなるものを切り分けながら進めていけたのは大きかったです。
(働き方革命事業部 榎本。システム担当。あだ名は”なっちゃん”)
寺本:システムチームがちゃんと同じゴールを目指してくれたことが一番大きかったと思います。
お互いに忌憚なく意見を言い合って、判断の軸を明確にしながらスムーズに決めていくことができました。相互理解が高いチームだった気がします。「業務フローをもっと教えてください」ってよく言ってくれたんですけど、お互いにちゃんと根底から理解しようという気持ちが最初の段階から働いていたからうまくいったのだと思います。
菊池:寄付チームのみなさんと働いてみて、本当に寄付者さんのことをすごく大切に考えて業務をされているのを感じました。
前職だと”その仕事ってなんのためなの?”と思うことが多かったのですが、今回のプロジェクトでは自分も同じ方向を向いてリプレースを成し遂げることができました。なかなかそういう仕事場って多くないと思うんです。
寄付者さんを大事に考えるという姿勢があったので、寄付チームからのリクエストにも納得感を持って動くことができ、やりがいを感じて仕事ができました。
――寄付業務と寄付システムの今後の展望を教えてください
寺本:コロナ以後はいろんな種類の寄付が増えてきています。寄付金だけでなく現物寄付も増えているし、いろんな属性の寄付者さんも増えています。寄付獲得だけじゃなくて、定着率を伸ばしたりアップセル・クロスセルしていただいたりというところは、まさにCRMの本領発揮の部分かなと思っています。
ただのシステムというよりは、寄付者さんのエンゲージメントを高めていくための土壌だと思ってるので、そういった育て方をみんなでしていきたいです。
いかがでしたでしょうか?フローレンスでのシステム導入の雰囲気を感じていただけたら幸いです。
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