ファストドクターでは2023年2月現在、東京や大阪など高齢化が加速する主要都市をはじめとした全国11都道府県へ救急往診を展開しています。エリア統括部は、ファストドクターのなかでも『各事業の根幹を担うチーム』として、救急往診チームのリソース管理、提携医療機関との連携、現場対応、医療資器材の管理などプラットフォーム運営の最前線を走っています。今回はエリア統括部部長である軍司 広介さんに、部署の役割や仕事内容の変化、現在のチーム編成、今後の課題についてお聞きしました。
▼軍司 広介のプロフィールは記事からご確認ください
※内容は取材時(2023年2月)のときのものです。
救急往診に関わる全てを担う”根幹”部署
ーー以前、軍司さんに取材を行ってから約1年が経ちました。今のお仕事内容についてお伺いしたいです。
エリア統括部の仕事を大まかに説明すると以下のようになります。
- 各エリアの拠点クリニックとなる提携医療機関とのリレーション構築
- リソースの管理として、医師やDA(ドクターアテンダント)含む救急往診チームのシフト管理
- 救急疾患に対応できる体制や医療資器材の管理
- 医療法に基づいた各種届出の整備
- 医療法に基づいたレセプト関連の管理
- 往診現場で起こる各種対応
まず、往診の仕組みとして拠点となるクリニック、つまり提携医療機関から半径16kmのエリアが往診の範囲となり、この提携医療機関とファストドクターの連携によって往診することができています。
もう少し具体的な話をすると、クリニックに新たに救急往診部門を作り、ファストドクターがコールセンターや在庫管理、往診医や医療事務など資器材やリソース、労務などあらゆるサポートをしながら、救急往診が可能な体制を作っていくことが提携の基盤となります。提携医療機関の診療の幅を広げるような体制構築をしていくことが、エリア統括部としての役割のひとつです。
エリア統括部ではプラットフォームの管理や提携医療機関とのリレーションなどを広く担当するなかで、コロナ禍での救急往診に関する業務は変わらず需要が高いです。先日、政府が感染症法上の新型コロナの位置づけについて、「2類から5類に」という方針を正式に決定したばかりで、今はその決定に関する準備に日々追われているのが現状です。
ーー1年前よりも会社が大きくなったことで、エリア統括部としても組織の役割や仕事内容に変化があった部分も多いと思いますが、いかがですか。
そうですね。これまでは自治体との連携や契約医療機関との連携、資器材の管理、リソース管理など往診現場に関わることは全てエリア統括部が担っていたので、業務量が半端じゃなかったです。そのため、1人ひとりの担当領域が広く、目の前の仕事をこなしていく定常業務がメインでした。
現在は行政や自治体の対応などは地域医療推進部、医療機関の在宅医療支援に関しては法人事業部、往診資材や医療機器管理に関しては物流統括部とそれぞれ部署が立ち上がったので、エリア統括部としては一般の患者さんに対して必要な医療を必要な方へ、確実に届けることを一番の目標としています。toB事業(在宅医療支援事業)やtoG事業(自治体支援事業)は、エリア統括部が担うtoC事業(救急往診事業)を基盤としてスケールさせているので、さまざまな事業の根幹として強く責任を感じながらやっていきたいところです。
救急往診現場のリソース管理、提携医療機関のバックアップに尽力するチーム
ーー現在のエリア統括部の役割とそれぞれのグループについても詳しく教えてください。
現在は4つのグループがあります。
エリアマネージャー:各都道府県にファストドクターの拠点となる事務所があるので、スタッフの管理をはじめマーケティング部やリソース管理グループと連携をしながら、需要管理と提携医療機関とのリレーション構築を担当
リソース管理グループ:ファストドクターに登録する2000名の医師のシフト調整や往診医とDAとのペアリング、新規医師の採用などを担当
レセプトグループ:提携医療機関が施した救急往診・オンライン診療後の業務となる診療報酬の算定、管理を代行
現場対応グループ:主に夜間・休日のリアルタイムでの往診現場の管理を担当。現場のトラブル調整やコーディネーターの教育なども行っている
なかでも現場対応グループは、人数が少ないので今後増やしたいところですね。
ーーそれぞれのチームのやりがいはどのようなところだと考えますか。
エリアマネージャーは、提携医療機関と折衝を重ねていくので、自分の折衝・交渉能力も上がります。医療機関側のニーズを最初にキャッチして解決に導いていけるのは、楽しいところではないかと思います。
リソース管理グループは、より多くの患者さんに医療を提供できるかを握っているチームなので、いかに新規医師を採用できるか、どうすれば継続していただけるのかを常に考えています。そういった意味では、自分の施策が反映されて、ダイレクトに手応えを感じることが仕事のやりがいに直結しているのではないかと思いますね。
レセプトグループは、提携医療機関の算定業務を代行しているチームです。ファストドクターのマネタイズはこのチームがいて成り立つものですが、正しい請求を月内にきちんと終わらせる達成感を毎月味わうことができます。
現場対応グループは、現場でどういう声が上がっているのかを最初にキャッチアップして、日々改善していくのを一番実感できるところではないかと思います。
予測しきれない往診現場における変化、今後の課題
ーー新型コロナが2類から5類になるとのことで、ファストドクターではどのような変化が考えられますか。
まず、考えられるのは新型コロナが2類から5類になることで、平常時の往診の需要に戻る可能性があります。これまでのように長く繁忙期が続いていた時期から、閑散期と繁忙期というような時期が出てくることも考えられます。特に閑散期のときにどういった需要に対して準備していくのか、提携医療機関や法人事業部が支援しているクリニックに対しての付加価値として、どのようなものを出していけるのか。ファストドクターと一緒に取り組んでよかったと思ってもらえるようにと考えることは、今後の大きな課題だと思っています。
ーー閑散期や繁忙期というのは、どのようにしてキャッチアップしているのでしょうか。
ここはオペレーションコントロール(OC)部の方が関わりとしては近いと思いますが、圧倒的にコールセンターで対応するコール数が減ります。コール数が減り、応対の履歴も少なくなれば、需要が減ったとすぐにキャッチできるので、そうした状況を随時チェックしつつ、場合によってはエリア統括部も医師の人数やシフトを調整しないといけません。その見極めはOC部とマーケティング部の主な役割だと思います。
現状は第8波が落ち着いたところなので、いつ来るかわからない次回の繁忙期に備えた振り返りと、休息を全社に促しているところです。
ーー今後、エリア統括部としては、どのような組織を目指していますか。
エリア統括部としては、変化に柔軟に対応できる部署を目指しています。これからは高齢化が進む未来に向けて、どのように救急往診エリアを展開していくのか。繁閑差や地域差に対して、どのような動き方や提案をしていくのかが、次の大きなステージになるかと思います。また、みんなが楽しく働き続けられる組織でもありたいです。特に往診現場の対応も含めると、夜間に働くことも多いのですが、日中か夜間で働くかはフレキシブルに対応している部分でもあります。
中長期的な計画としては、2023年はベースグロースを目指しており、往診展開エリアの拡大やプラットフォームの規模を大きくしていきたいと思っています。もちろん、提携医療機関や新規医師の登録を増やしていくことも引き続き行っていきますが、一番は主要首都圏のみならず、小規模都市圏のエリア展開も前進させていきたいと考えています。より多くのエリアにファストドクターのソリューションを組み込むべく、人口密度が低いエリアの対応も地道に進めているところです。また、医師のシフト管理に関しては、「医師の働き方改革」に対する課題とも関連しており、常勤医を増やすことやシフト管理、往診時の医療資器材バッグのパッケージ化や軽量化などの見直しを含めて、年間を通して大きなミッションとなるでしょう。
課題は山積みではありますが、引き続き「各事業の根幹を担うチーム」として、その課題を解決していきたいと考えています。
文:白石 弓夏
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