立命館大学卒業後、2019年にインターン生として当社入社した後に2023年に株式会社Encounter Japanの執行役員に就任し、同年 Encounter Japan Communication S.A de C.Vの取締役にも着任した生田祐介。Encounter Japanにとって、まさに「生き字引」のような存在である彼にとって、2024年はどのような一年だったのか。また2025年以降の展望等について伺いました。
生田祐介 プロフィール
愛知県出身。大学を卒業後、渡墨。半年間のインターン期間を経て、企画・営業部の正社員として入社。
トヨタ自動車や三菱商事等との動画制作をはじめとした様々なプロジェクトで主担当を務めた後、企画・営業部の部長に就任。2021年からは日本政府観光局(JNTO)やJETROとのマーケティングやPRに関する事業の統括、主担当を務め2023年に執行役員に就任し現職。
創業当初のオフィスから、新天地「コンデサ地区」への移転
僕が入社した2019年から5年間に渡って、メキシコシティはノノアルコ地区に拠点を構えていたのですが、2024年12月にコンデサ地区へオフィス移転致しました。
コンデサ地区は緑豊かな公園、おしゃれなブティック、シックなカフェやバーが集まるエリアでして、毎週のように新進気鋭のレストランが新規出店しています。この近辺を歩くだけで、メキシコでは今何が流行しているのかが分かるので、Encounter Japanにとってさまざまな新しい学びや効果があると考えています。
また我々のお客様がオフィスを構えるポランコ地区やレフォルマ通り等へのアクセスが以前と比べると距離的に近くなったこともポジティブに捉えています。
「ブラジル」という未知の国へ。国内外の出張で世界中に足を運んだ2024年
2024年4月、ブラジルへ2週間に渡って出張へ向かいました。弊社のメンバーは誰も降り立ったことのない2億2千万人の人口を誇るラテンアメリカ最大の国家ブラジル。滞在中は街を歩き回り、その国を五感を通じて理解するよう努めました。メキシコとブラジルの違いにも気づき、大変興味深かったですね。
メキシコは米国と隣接してることもあり、米国との関係性が強いことから米国の動きを注視する傾向にあります。他方ブラジルでは米国と距離的に離れていることもあってか、米国への関心は薄く、他国に目をむけるのでなくブラジル国内の内需に焦点を当ててビジネスに向き合い、生活を送っているように感じました。またブラジルと日本はまさに地球の裏側に位置するため、距離的に離れていますが心理的にはとても近い国であるとも思いましたね。
2024年10月にはブラジルへ再訪し、ジャパンハウス・サンパウロにて日本の観光セミナーを企画・運営致しました。まだ一石を投じただけですが、様々な文脈でポテンシャルがある国だと確信したので、より事業やビジネスに落とし込んでブラジル市場で様々なチャレンジに取り組みたいと考えています。
また2024年5月には日本へ1ヶ月半に渡って出張致しました。印象的だったのは瀬戸内地方と福岡県です。特に神勝寺の禅体験を通じて、映画の世界に自分を投影するような経験といいますか。このような体験をラテンアメリカの富裕層の方々も求めているのだと確信に近い自信を持ちまして、新規事業であるDMC事業を通じて体験の提供に努めていく予定です。
その他にも弊社が運営する飲食店や拠点があるバヒオ地域への国内出張は頻繁にありましたし、春先に訪問したエンセナーダ市内への訪問も心に残っています。アルプス処理水の関係で、日本産ホタテの中国向け輸出に規制がかかったことにより、中国からメキシコへのサプライチェーン移転に取り組むに当たって、メキシコ北西部バハカリフォルニア州エンセナーダにて水産加工業のエコシステムを生かした日本産ホタテの新たな加工実証が実施されました。ジェトロ メキシコ事務所の皆様と共に日本の水産業者の皆様、農林水産省方々に向けた視察のアレンジやワークショップの実施等に着手したことも印象的でした。
こうして振り返ってみると、2024年も移動・出張は非常に多かったですね(笑)。特に海外出張となると現地でのトラブルも付きものですので、心身的に疲れないといえば嘘になりますが「新しい都市・場所に出向く = ワクワクする」というのも本音です。オフィスでPCに向き合ってばかりの日々よりも、こうして世界中に足を運ぶ日々は、私にとっては刺激的で有意義な時間でした。
また私以外の日本人・メキシコ人社員についてもメキシコ国内の出張に留まらず、アルゼンチン・コロンビア・チリ等の海外出張も政府観光局の事業を通じて毎年行っています。会社の経理・総務部に所属するメキシコ人社員は幹部も含め、支社・新店舗「NANA」があるコロンビアへ頻繁に出張しています。
私たちは20代のメキシコ人・日本人が集まるインターナショナルな集団です
私自身が29歳ですが、メキシコシティに拠点を構えるEncounter Japan Communication S.A de C.Vの社員は20代のメキシコ人・日本人で構成されており、情熱を持って日々業務に取り組んでいます。割合としてはメキシコ人が7割、日本人が3割程度ですね。
学歴やスキル、語学や経験等よりも人間性を重視して採用に取り組んでおりまして、信頼に足る人間かという視点で求職者の方々と向き合うよう努めています。
現時点では「何者でもない若者」だとしても「それでも人生で何かを成し遂げたい」というエネルギーを持った方々が集まり、活躍できるフィールドを作りたいと考えています。
メキシコ合衆国では母国語がスペイン語であり、私たちの業務ではスペイン語、英語、日本語を用いて社内外のコミュニケーションを行っています。採用時点で言語ができるに越したことはないのですが、個人的には外国語が達者だからといって仕事が出来ると思っておらず、弊社では採用する際に語学を必須科目としていません。
現在も英語・スペイン語が満足に出来ない日本人の社員もオフィスで勤務していますが、彼自身もコミュニケーションが取れない悔しさと日々向き合いながら仕事に取り組んでいます。日本語だけで完結するプロジェクトや仕事は殆どないので、翻訳ツールを活用しながらどうにかコミュニケーションしようと努力していますね。
日常的にメキシコ人の従業員に対して「Cómo estás ? (元気?)」と何気ない会話を通じてコミュニケーションに努めてます。向き合い方、学ぶ姿勢次第かと思いますが、ラテンアメリカでの在住・勤務が1年程度経てばスペイン語を通じたコミュニケーションの土台が出来上がってくるはずですね。
海外生活は、メキシコに限らずですが楽しい事ばかりでなく、文化や生活環境の違いもあって苦労もありますが、強い想いを持っていたり、何かに挑戦したいと思ってくださる方々にぜひ弊社の門を叩いていただければと考えています。
現在の業務内容等について教えてください。
Encounter Japan Communication として、主に三つの領域での業務に取り組んでいます。
① 主にラテンアメリカに進出する日系企業向けに広告制作業務・マーケティング支援事業、並びにメキシコ市場をはじめとした中南米市場の市場調査や進出支援に取り組んでいます。お取引させて頂くお客様の業種は自動車、食品、電機、医療機器等と幅広いことが特徴かと思います。
② 次に、日本政府や政府関連法人・団体に向けた事業支援です。メキシコ国内において日本の農産物のプロモーションに取り組む他、ラテンアメリカ市場からの訪日旅行者数増加を目的としたマーケティング・プロモーション支援等を行っています。
③ 最後に、新規事業として中南米に特化したDMC事業「Encounter Japan Trave」が本格的に動き始めました。中南米市場にフォーカスして、主に富裕層をターゲットとながら訪日旅行体験を提供したいと考えています。
中南米市場特化型 DMC 「Encounter Japan Travel」について
メキシコから日本への訪日旅行者数の伸び率については世界的に見てもトップレベルで高く、DMC事業を行う上で商機があると確信しています。実際にこの一年間、日本国内でDMC事業を展開する様々な企業の皆様にもヒアリングの場を頂戴し、ポテンシャルがあると感じた各都市へ足を運びました。
メキシコ人をはじめとしたラテンアメリカの皆様に対して、Encounter Japan Travelを通じて「知り得なかった場所・体験し得なかった経験」を提供したいと考えています。ゴールデンルートにおける旅行のコーディネートも必要ですが、西日本を中心とした地方都市への送客にフォーカスしてサービス提供に努めてまいります。
メキシコ国内の旅行代理店に向けた訪日旅行セミナーの実施や、訪日旅行に関連したイベントの開催等をメキシコ人社員が中心となって現在推進してくれています。お客様のご要望に応じて日本人が直接出向いてお客様対応を行う他、メキシコ人が旅行会社向けにセミナーの企画を行う等して、日本人とメキシコ人の強みや特性を活かしながら事業の立ち上げに着手しています。
今後はラテンアメリカのターゲット層に対して更なる情報発信を行い、地方都市への渡航喚起に向けて徹底して取り組んでいきます。
この事業を通じて「日本といえば、Encounter Japan」。「日本の観光といえばEncounter Japan Travel」と多くの方々に思ってもらえるよう、2025年以降も真剣勝負を重ねていく次第です。