こんにちは!dsc採用担当です。
dsc(大学スポーツチャンネル)のデジタルコンテンツ事業部で、フォトグラファーとして活躍されている仁科貴博さん。ドイツのサッカークラブ、アイントラハト・フランクフルトのチャンピオンズリーグの試合を撮影した経験から、日本との違いや今後のビジョンについて伺いました。
目次 -前編-
1. 他の人と違う見せ方
2. ブランドの醸成ーチームイメージの共有
3. チャンピオンズリーグの試合で感じた違い(1)
他の人と違う見せ方
ーdscに参加当時のことを教えてください
dscに参加した当時はJリーグ・WEリーグのアカウント運用の手伝いや、動画制作をやってました。並行して土日はチームフォトグラファーとしてSHIBUYA CITY FCの撮影や、某サッカーメディアのフォトグラファーとしてJリーグの試合を撮影していました。その後、dscでの仕事もしながら、某Jリーグクラブのオフィシャルフォトグラファーとしても試合を撮影する機会を頂きました。
ーそのJリーグクラブの撮影では自身を営業したとも聞きました
そうなんです。昔からそのクラブのファンで、人一倍想いが強いのでなんとか撮らせてもらえないか、と。ありがたいことに機会をもらえて、そこで自分が撮ったもの/作ったものも評価してもらえました。自分は他の人とは違う見せ方をしないといけないと思って、色々やってきた人間なので、その考えを評価してもらえたのだと思います。
ー他の人と違う見せ方をしたいと思ったのはいつからですか
最初に写真を始めたときからその考えはありました。色んな人の真似からはじめたのですが、すぐに他の人と同じものを撮っていても面白くないなと感じてしまって。もともと他の人と同じものはあまり好きにならず、同じものを追っていても面白くないという性格だったのもあると思います。
だからこそ、スポーツやサッカーを撮っている日本人のカメラマンとは絶対に違う撮り方をしたいなって思いました。日本人のフォトグラファーは一切見ずに、海外のフォトグラファーの写真をInstagram等で見ながら真似して、自分のオリジナルを出そうとしてました。
ーその考え、行動があって色んな仕事に繋がっているのでしょうね。サッカークラブ、アイントラハト・フランクフルトの撮影にドイツまで行ったと聞きました。そのきっかけについても教えてください
きっかけはInstagramですね。僕の個人アカウントは日本人をターゲットに発信していなくて、海外の人たちに興味を持ってもらえるような発信をしていました。投稿も基本的に英語で、見せ方も海外の投稿に寄せていて。自分は海外の投稿が好きなので、自分が影響を受けた人たちに認めてもらいたいと思って運用していました。
それだけではなくて、自分はアイントラハト・フランクフルトの大ファンだったので、夜中に試合を見ながらそのアカウントでテレビの画面をストーリーズで上げたり、プロフィール欄にもフランクフルトが好きと書いてました。そんなことをしていたら、そのアカウントをフランクフルトのオフィシャルフォトグラファーが見つけてくれたのが最初で、僕が発信していた海外に向けた写真も面白いと思ってくれて、フォローを返してくれました。そこからDMのやり取りをするようになり、その彼がフランクフルトの関係者に「日本にこういうやつがいるぞ」と話してくれて、その担当の人も自分のInstagramを見て、いいと思ってくれたみたいで「今度日本にいくとき是非撮影の仕事をお願いしたい」とオファーをもらいました。それが、昨年の11月中旬ですかね。
ーそのときはオフィシャルのフォトグラファーも来ると思いますが、どういう役割だったのですか
そのときはフランクフルトのチームがジャパンツアーで2,3班に分かれて行動することになっていて、一つの班にフォトグラファーが一人帯同する形で動いてました。
ブランドの醸成ーチームイメージの共有
ードイツ人クルーが来て一緒に回る中で、日本との違いや勉強になったことはありますか
何もかもですね。まず現場にかける人数が違いました。どの班にもビデオグラファーとフォトグラファーが帯同していて、撮ったものが投稿されるスピード感も違いました。日本だったら撮ったものをまとめておいて「後で出そう」となることが多いですが、そのときは自分が撮ったものを編集して、イベントの2,3時間後には編集して共有、共有した1時間後ぐらいにはInstagramや、ホームページに出てました。
もう一つはクオリティ。誰が撮ってもある程度同じレベルになるようにできていました。もちろん撮る人のセンスとかも大事ですが、チームのプリセットが決まっていたので、みんなそのプリセットを使って写真を編集してました。色みとか撮り方とかも、「これがフランクフルトっぽい」「これはちょっとフランクフルトっぽくない」が共有されてました。
スピード、クオリティにおいて、みんなが同じイメージを持っていましたね。日本だとその辺がバラバラな印象です。
ー事前にクラブの出すものはこういうものにする、といったブランドイメージが浸透しているのですね。どうやって実現しているのでしょうか
そうですね。写真については、自分を誘ってくれたドイツ人フォトグラファーが先導を切って進めてました。彼が作る世界観が他の人にも共有されていて、「彼に寄せていこう」という方向性が決まっていました。お手本にする人が1人いて、皆でできるようにする仕組みができているのかなと思います。
ーその経験をもとにdscの仕事に活かしたところ、自分の中で変えたところはありますか
ありますね。まず誰か1人で動くよりは、チームでどう動くかを考えるようになりました。ただみんながバラバラに撮るのではなく、「こういうシーンがあるから、動画、写真ではこういう撮り方をしよう、収めよう」みたいに事前に共有して動くようになりましたし、撮ったものを出すスピードも、より早く出せるように動きました。どうしても1人ではできないので、チームで連携して進める動きをJリーグ、WEリーグの撮影チームでも意識的にやるようにしてますね。
もともとJリーグ、WEリーグの撮影チームは現場でそうした動き方をしようとしていたのもあり、自分が見たもの、感じたことを仲間に伝えて、動いてもらうことはスムーズに進みました。
そのあとは、JリーグのFUJIFILM SUPER CUP 2023、キックオフカンファレンスといった4,5人で現場稼働するイベントがあって、ここでもどう動くかのパターンや、どういった順番で投稿するかを話し合って進めました。
チャンピオンズリーグの試合で感じた違い(1)
ーその後、ドイツに行くのですね
はい。彼らが日本に来たときに、「ぜひフランクフルトに来て」と、いろんな人から誘ってもらいました。決め手は一番仲良くしてるフォトグラファーが、日本での仕事が終わったあと3,4日、日本に残っていたので、観光のサポートをしたらとても喜んでくれて、「フランクフルトに来たら、おれが持ってる仕事をお前に振ってやるよ」と言ってくれました。
だから直接クライアントからオファーがあったというよりは、彼のチームに入れてもらったので、彼が個人で受けてる仕事の中で、チャンピオンズリーグの試合を振ってもらいました。「来たら、お前に振ってあげるから」って話してくれて。結果彼から仕事をもらったっていう形ですね。
ー試合を撮る中でも、動き方や撮る位置は違いましたか
写真を撮る位置は、全然変わりなかったです。ただ「こういう場面を押さえてほしい」と言われました。試合前だと、ファン・サポーターの様子はもちろんのこと、スタジアムと空の写真とか、町と空とか、フラッグを撮ってとか、、景色的なところは絶対押さえてほしいと言われましたね。日本だったらサポーターの様子を撮って、とかは言われるんですけど、それ以上に求められる写真のバリエーションが多いなって思いました。試合中も、普通に撮ってたら選手がボール持ってるところとかシュートを打ってるところ、あとは喜んでるところを撮るのは当たり前ですが、もっといろんな角度の写真が欲しいって言われて。撮る位置は固定されているので、そこからできること。例えば選手の足元だけの写真が欲しいとか、本当にいろんな表現を求められました。
要望の多さからは「こういう考え方で撮ってるんだ」「そういう見せ方、そういう表現の仕方があるんだ」って気づくきっかけになりましたね。いろんな表現を求められながらも、試合中にニアライブですぐに出したいという要望があって、試合中でも良いものが撮れたら、すぐ共有して数分後にはTwitterやInstagramのアカウントで投稿されるので、ずっとパソコンを広げながら、カメラ向けて、ボールが近づいてきたら構えてを繰り返してました。いろんなところを見ていないといけないし、編集もミスれないので、両方集中する必要があって、要領よく進めないといけない。それを当たり前にやっているので、「隣に座っているフォトグラファー全員すごいな」と感じました。
仁科さんが経験したものをdscチームにどう生かすかについて、引き続きインタビューしております。
後半に続きます。