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起業は「見えない何かに殴り続け」られはじめてからが勝負の開始

私は「これを成し遂げたい!」ということをどのように実現できるかを具体的に考え始めたのが2012年1月頃、自分で会社をつくってしまうことにしたのが4月、一度は銀行の設立をあきらめるものの投資型クラウドファンディングという仕組みを知ってやりたいことが実現できるのではとなったのが7月か8月くらいでした。


構想段階はすこぶる快調

その後も最初の投融資先国の選定を行いペルーに決定し、9月に現地に赴いて取引スキームも固まってきました。

魅力的な貸し付けを行える国があり、現地での審査、回収は現地の市場を熟知した方と提携して、あとは日本でクラウドファンディングを行う。

その時はまだ前職に勤務していたので空いている時間をみつけての準備でしたが、様々なことがとんとん拍子に決まっていきました。


細部の設計にはいった途端、見えない何かに殴られ始める

もうこれはやりたいことがほぼ実現できるとドヤ顔で日本に帰ってきたのですが、そこで顧問弁護士をお願いしようとしていた方と打ち合わせをしたところ「そのモデルだと499人までにしかファンドを売れないよ」と言われてしまい呆然となります。

金融の法令を扱っている弁護士の友人になんとかならないかと泣きついたところ結局これ自体は前出の弁護士の方の勘違いでそもそも問題なかったのですが、これをきっかけに自分がこの事業を行うのに必要な法令やストラクチャリングに関する知識やノウハウの足りなさを痛感し、その後1年半くらいはひたすら法令、ストラクチャリングについて様々な方に教えていただくことになりました。


その後は空振りの連続に

この時を号砲として、それまでは次々に課題はでてくるもののきちんと考えて手を打っていけばどんどん道がみえてくるというかんじだったのが、ここから急に難易度が上がったようでなにをやっても空振ります。

もう開業するめどが立った思って会社に退職届を提出したところ、まさにその次の日に詳しい方から金商業登録には最短でも9か月くらいかかるんじゃないかというアドバイスをもらって正直真っ青になりました。

金融商品取引業登録のサポートを行政書士の先生にいただくにあたり、最初ネットで検索してでてきた事務所にお願いしたところ途中でほとんど何もやっていないことが発覚してなんとか前払い報酬の4分の3を返還してもらい、知人の方に今でもお世話になっている行政書士の先生をご紹介いただけそこからやっと登録準備事務が円滑に進むようになるということもありました。

資金調達も、2012年末当時はまだネット上にベンチャーキャピタルの情報もそれほどなかったので、一覧を拾ってきて電話しても「今会社を作られたんですか。。?うちは上場前のベンチャー企業に投資するVCなんですけど。。」などというように全然みているステージの違う投資家さんにコンタクトしてしまっているという具合でした。

そんな中で、一緒に創業しようと話していたメンバーともなぜか打ち合わせの内容がそれぞれの給与水準と株の持ち分の話だけになる。。なんて自分はダメな人間なんだととてもへこみました。


なんだ、全員が殴られるのかと知る

自分のダメダメさに参ってしまっている時に、たまたま買ったまま読んでいなかった、リブセンスの村上社長を取材した本を手に取って読んでいると、その中で村上社長がサイバーエージェントの藤田社長のご著書をぜひ読むべしと薦めていらっしゃるのに気づきました。

それではということで買って読んでみると、たしか「私は神経がぶっ壊れそうになっていた」のような文章から始まり、いかに藤田社長が様々な滅茶苦茶な体験をされたかが赤裸々に書かれており、それを読んで「赤信号みんなで渡れば怖くない」ではないですが、「なんだ、藤田社長みたいな人でもこんなにぐしゃぐしゃな状況の中をくぐり抜けてこられているのであって、みんながぐしゃぐしゃな状況をくぐり抜けていくんだ」ということがわかり、大分気が楽になりました。


一度殴られ始めると、(旅をやめない限り)それはずっと続く

ちなみに2012年9月に「そのファンド、500人以上に売れないんじゃない?」と弁護士の方に言われてからもう5年弱がたちますが、あれから「見えない何かに殴られ続けている」かんじがなくなったことはありません。

事業の大枠を構想していた2012年4月~9月上旬はどんどんやりたいことの実現確率があがっていくのが本当に楽しくて仕方なかったのですが、9月下旬以降は5年弱常になにかしらのことにひやひやし続ける連続でしたし、これからもそうだと思っています。


いいニュースは、天はみんなを平等に殴り続ける

ただし見えない何かに殴られ始めてから5年弱経つ中で分かったのは、天は全員を平等にくまなく殴り続けるということです。

広い世界ですので神風が吹いてラッキー、みたいな方もどこかにいらっしゃるのかもしれませんが、まだ私はそういう方に会ったことがありません。

何かをつくったりそれを運営したりしていくためには社長でも幹部でも現場のメンバーでも、常に見えない何かに殴られ続けながら心を整えてそれに向き合って次々に湧いてくる課題を解決していく。

どうやらこれができる人たちが集まっているチームだけが顧客の生活がより豊かになるサービスを世に出していけるというふうに世の中はできているようなので、何かを世に送り出そうとして活動をしていて見えない何かに殴られ続けている感触を得たら、げっそりするのではなく逆に「よっしゃ!もう漠然と考えているだけのステージは終わってサービスをかたちづくり運営していく段階に入った!」と課題解決に集中して自分が実現したい世界観の実現に果敢にチャレンジしていくのがよいのかなと思っています。

(続く)

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