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~世界銀行での経験(商品部 大西編)~

世界銀行でのインド駐在・・・とアフガニスタン!?

前回のブログ(https://www.wantedly.com/companies/crowdcredit/post_articles/132649)で触れた通り、2012年1月から2015年6月まで、世界銀行の南アジア金融・民間セクター開発部門(後に金融・競争力・市場プラクティス)で働きました。フランス人のセクターマネージャーの下、15か国40人くらいの非常に多国籍なチームで、約半数が南アジアのカントリーオフィス(各国にある世界銀行事務所)に駐在していました。



世界銀行の本部があるワシントンD.C.で採用されましたが、私も一度も米国に住むことなく、着任初日からD.C.に“Tele-commute”、つまり電話やメールベースで本部に報告する形で、インドのニューデリーオフィスで働くことになりました。

実は、面接の時にはインドとバングラデシュ、どちらに駐在するかという話しか出ていませんでした。ところが、最終面接終了後に届いたTOR (Term of Reference:職務内容)を開けると「アフガニスタン50%、インド50%の勤務時間配分」となっていたんです!その瞬間の夫の青ざめた顔は今でも鮮明に覚えていますが(笑)、最終的には私のやってみたいという思いを快く支援してくれました。

インドとアフガニスタン、それぞれの魅力とやりがい

当初は驚きの形で紛争後地域に関わることになりましたが、結果的にはインドとアフガニスタンという開発ステージの全く異なる2つの国に携わることが出来、学びがとても多かったです。

インドは多言語・多民族・多宗教国家で、州により開発の段階や制度の違いがあるものの、総じて民間企業の活動が活発です。かたやアフガニスタンはムスリム国家でタリバン崩壊後の混乱の中にあり、金融・民間セクターもかなり未成熟な状況でした。世界銀行のような国際機関が果たすべき役割も、これらの国の発展の状況によって異なってきます。

インド:仲介金融機関を通じたファイナンス供与

インドには、民間企業の補完的役割を果たす、IIFCL(インフラ金融), NABARD(農村金融), SIDBI(マイクロファイナンス)、NHB(住宅金融)という、4つの政府系仲介機関があります。世界銀行での仕事は、こうした機関を通じての資金供与と彼らの能力強化支援が中心でした。

例えば、当時のインドでは、インフラ分野は地場銀行も活発に融資していたものの、インフラ開発の急速な発展に、特に採算性が低めの案件は資金供与が追い付いていませんでした。そこで、インフラを専門に扱うIIFCLが再生エネルギーと道路分野を中心に融資を行い、世界銀行がその融資に対して資金供与(バックファイナンス)を行いました。私も候補案件のデューデリジェンス(融資価値の査定)に同行し、現地で実査を行いました。



また、農村金融を専門に扱うNABARDを通じては、アジア開発銀行(ADB)等とインドの農協の組織改革と農村金融の拡大を図る案件に携わりました。インドの農村にあるPACS(※)と言われる農協の最末端の支店は何と全国に10万店、顧客数は日本の人口と同様の1.2億人!その規模に圧倒されながらも、顧客増加やサービス向上など、訪れるPACSで変化を目にした時には、非常にやりがいを感じました。

(※単位農業信用協同組合 ”Primary Agricultural Credit Society:(PACS)”)

アフガニスタン:紛争後地域での仕事とマイクロファイナンス

アフガニスタンでは、2001年のタリバン崩壊後、金融セクターを一から構築する必要に迫られていました。中央銀行と共に、金融規制の策定・能力強化・信用情報機関の設置・決済システムの構築等、セクターの礎作りに関わりました。

インドと全く異なるのは、身の安全を守るため、フェンスに囲まれ地下に防空壕がある施設で生活をし、徒歩は厳禁、常に防弾車での移動を行う必要があったことです。下の写真のような環境で仕事をしていました。



在職中、出張の度にお世話になっていた国際通貨基金(IMF)のアフガニスタン代表がテロ事件により逝去するという出来事にも遭遇し、紛争後地域での仕事の難しさを痛感しました。

そんな中思い出深いのは、未成熟の中小企業・マイクロファイナンスセクターを成長させるために行ったAccess to Financeの案件です。これは、(1)MISFAという政府系仲介機関を通じてマイクロファイナンスのサービスやアウトリーチを拡大させることと、(2)地場銀行の中小企業への融資に保証をつけリスクを軽減させ、融資を活性化させること、を目的としました。この案件は現在進行中ですが、セクターは少しずつでも着実に成長しているようで嬉しいです。また、不自由が多い中での仕事だったからこそ、同僚や援助機関で働く人たちとの友情は深まり、今でも親しい交流が続いています。


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