長年にわたり出版社に勤め、編集の仕事などをしていた経歴をもつ高橋悟志さん。2014年、メンバーが10人未満だったコパイロツトに参画し、以来さまざまなプロジェクトに携わってきました。
15年にわたり前職で培ってきたスキルを、高橋さんはコパイロツトでどのように活かしているのでしょうか。担当している業務について、これまでの変化も含めて話を聞きました。
プロフィール
高橋 悟志
15年間の出版社勤務を経て、2014年に入社。課題の抽象度が高く、不確定要素の多い段階のプロジェクトに参画し、プロセス設計や進め方の整理などを中心にプロジェクト推進支援を行っている。
編集、営業、教育講座の運営など、多様な経験を積んだ15年
—— コパイロツトに入社する前に勤めていた会社では、どんなキャリアを積んでいたのですか?
高橋:広告やマーケティング領域に特化した出版・教育事業を展開している企業で、雑誌や書籍、年鑑などの編集職、広告営業、販売営業、マネージャーなどの職種を経験しました。
教育事業に携わって専門職の講座を運営したり、地方の拠点に勤務したりしていたこともあります。特定の職種にずっと就いていたわけではなく、15年の間に幅の広い仕事に携わっていました。
—— 長年勤めた会社から、コパイロツトに転職した経緯を教えてください。
高橋:直接的なきっかけになったのは、定金さん(共同創業者)との縁です。私が20代の頃に運営を担当した教育講座に、受講生として参加していたときから長年付き合いがありました。2013年に前職を辞めてしばらく無職でいたとき、それを知った定金さんがランチに誘ってくれたんです。
当時のコパイロツトはデジタルマーケティングの案件を多く手がけていて、一見すると業務に必要なスキルセットが私とは異なりました。そのためすぐに入社はせず、はじめは50%稼働の業務委託で関わり、コパイロツトという会社の中で自分はどんなことができるか、定金さんと探りました。
そのとき持っていた自分のスペシャリティを超えて、「この仕事はどうかな?」といろいろな角度からパスをもらい、自分にできることを打ち返す。それを繰り返していました。ほどなく稼働が埋まり、コパイロツトでも貢献できることがあると思えたため、社員として入社させてもらうことにしました。
—— おっしゃる通り、前職とは事業内容がかなり異なりますよね。高橋さんとしては、まったく違う仕事に転身した感覚だったのでしょうか?
高橋:100%そうとはいえません。出版社で手がけていた一つひとつの案件や、管理職として実践していたことを思い返してみると、プロジェクトマネジメントと共通する要素がとても多かったと思います。
例えば、年に一度発行する「年鑑」の編集・制作業務。発行のために必要な工程やステップを洗い出し、スケジュールを立て、各方面と調整を行って合意形成と意思決定を行いながら、制作業務を進行して成果物となる書籍を仕上げ、期日通りに出版する——その一連の業務の中で担っていた仕事は、今思えばすべて「プロジェクトマネジメント」でした。
そういった視点で捉えてみると、前職で得たスキルや経験も無駄ではなかったのだと思います。
「目指す状態が明確でない」「進め方がわからない」プロジェクトに伴走
—— 今までコパイロツトで、高橋さんがどんな役割を担ってきたのか教えてください。
高橋:自分の仕事については、「抽象度の高い仕事を担うことが多い」と説明していました。例えば、プロジェクトの詳細がまだ具体的に決まっていない、お客さん自身が目指す状態をうまくイメージできていない、ゴールは描いているものの進め方がわからない……といった課題のあるプロジェクトの推進支援です。
業種業態や扱う領域、プロジェクトのフェーズなどにかかわらず、現状を把握し、目指すゴールを設定し、現状からゴールまでの道筋をつける。そのために、情報を引き出し、仮説を立て、クライアントから仮説へのフィードバックをもらい合意形成をして、プロジェクトを前に進める。それが私の主な仕事でした。
—— 8年の間に、コパイロツトの業務内容もいろいろと変化してきました。最近、特に感じている具体的な変化や動きはありますか?
高橋:本質的な部分は変わらないものの、具体的に感じていることはいくつかあります。
まず、求められる支援内容が変わってきました。これはシンプルに、今まで主に私がクライアントに提供していた“抽象度の高い仕事”が、決して特殊な業務ではなくなりつつあるということです。私が気がついたのは直近1年ほどのことですが、実際のところはもっと以前から要望が増えていたのではないかと思います。
「VUCAの時代」と言われて久しいですが、それをふんわりとした世の中の空気感としてではなく、いま目の前で取り組んでいるプロジェクトや業務レベルで捉える人が多くなっているのではないでしょうか。
そうした状況の変化を受けて、コパイロツトの事業内容もアップデートしました。これまで追求してきた「Project Sucsess」に「Project Enablement」という視点が加わり、新たなソリューションが生まれて、クライアントに対する提案内容が変わってきました。
※参考)「Project Sucsess」と「Project Enablement」について
https://blog.copilot.jp/entry/dialogue-study-20221024
—— 「Project Sucsess」と「Project Enablement」については、私たちがここ1年で使うようになった表現ですね。高橋さんはどのような捉え方をしていますか?
高橋:もともとコパイロツトが提供してきたプロジェクト推進支援サービスにも、一定のラーニング効果は感じていました。実践していくと、プロジェクトを推進するテンポのようなものが、だんだんとチーム全体で当たり前のものになっていく感覚がありました。
そうしたラーニングの側面を明確にしたのが「Project Enablement」だと思っています。実業務の推進だけではなく、お客さま側にもあらかじめプロジェクト推進の考えや技術を習得する意識を持っていただいた状態で、プロジェクトに取り組めるようになりました。
社会が大きく変わる中、次は何に取り組むべきか?
—— クライアントと共にプロジェクトに取り組む中で、今後の自分に必要だと感じる取り組み、課題などはありますか?
高橋:入社した当初から企業のDXプロジェクトに多く関わってきたのですが、今まではデジタル領域に詳しいメンバーや社外のパートナーさんにサポートしてもらうことがほとんどでした。自分は専門知識外のところで、価値を提供しようとしていたんです。
ただこの3年ほどで、状況は大きく変わっています。一般的な事業部門でもDXが推進されるようになったことで、デジタル領域とは縁遠かった人たちがお客さまとしてAI活用や業務を自動化するRPA(Robotic Process Automation)などに関わりはじめました。
DXそのものが多くの企業において前例がなく、非常に不確実性の高いプロジェクトです。コパイロツトにご相談いただくことも多く、おそらく今後もさらに増えていくでしょう。そうした中で期待に応えられるよう、私個人としてもビジネス文脈からさらにもう一歩踏み込んだDXのスキル、知識を身につけようと、ラーニングに励んでいるところです。
—— クライアントへの提供価値を高めるためには、どんなことができそうでしょうか?
高橋:新しい取り組みは本当に大事なので、怠らないように気をつけています。一方で、そもそも私たちが日頃当たり前に実践していることをふりかえり、そのベーシックな価値を見つめ直して伝えていくことも必要だと思っています。
たとえば、コパイロツトでは何かしらの取り組みがはじまったときにそれを「プロジェクト」と捉え、はじめに定例ミーティングを設定します。そしてマイルストーンを決め、マイルストーンまでの道筋を立てます。社内のメンバーはみんな定例ミーティングの重要性を認識しているので、ミーティング前にアジェンダを設定して各自準備をしています。
定例ミーティングでは議題ごとにゴールを設定し、そのゴールを達成するための段取りをします。この段取りがうまくいけば、プロジェクトは着実に前進していくわけです。万が一うまくいかなかった場合でも、一度たどった仮説の道があるので、つぎのステップに進めることができるようになります。
このように自分たちが実践し、成果を実感できているナレッジを改めて整理し、一つでも多くのプロジェクトがスムーズに推進できるよう広く提供していくことも、コパイロツトの価値のひとつだと思います。
年齢を重ねても、意欲さえあれば成長できる環境がここにはある
—— 働く環境として、コパイロツトという会社はいかがでしょうか?
高橋:私は39歳のときに転職しましたが、年齢やそれまでのキャリアにかかわらず、自分自身の意欲さえあれば学べることがあり、仕事を通じてさらに成長できる環境だと感じています。
一緒に働くメンバーと、仕事のことや自分の思考などについてオープンに話せることがよい刺激になっています。それぞれ多様なバックグラウンドをもっており、ものごとを俯瞰して捉える視点をもつ人もいれば、より具体的なフィードバックをくれるメンバーもいます。そうした仲間たちと話せる環境があることそのものが、この組織に所属している最大のメリットかもしれません。
—— 今後、高橋さんがコパイロツトで達成したい目標はありますか?
高橋:ずっと、手元に飛んできた球——そのとき目の前にある業務課題などを打ち返すスタイルで仕事をしてきたので、長期的なキャリアを描き、目標を設定するのがなかなか難しいんです。「目標に向かってどうなりたいか」よりも、「いま、どうありたいか。どうあるべきか」を行動指針にしています。こういう生き方を許容してくれているコパイロツトに、とても感謝しています。
多様なメンバーとスキルを磨き合いながら、プロジェクト推進をサポートしませんか?
コパイロツトは、実践知と形式知を行き来し、その知見を仲間とシェアしながら、「これからの時代に求められるプロジェクト推進のあり方」を実践・探究しています。私たちと一緒に、さまざまな会社のプロジェクト推進に取り組みませんか?