コパイロツトではナレッジマネジメントの重要性に着目し、2016年にチームを立ち上げ、そのノウハウや方法論について模索を続けてきました。そのメンバーとして2018年に入社したのが、米山知宏さんです。
シンクタンクで10年、地方自治体で3年のキャリアを積んだ後に、コパイロツトに参画しました。入社して4年、職種としても、社内でどんな役割を果たすかもまだ確立していない状態から、米山さんはコパイロツトでどのような道を歩んできたのでしょうか。
プロフィール
米山 知宏
シンクタンク、地方自治体勤務を経て2018年4月に入社。コパイロツトでは主にナレッジマネジメントやチームづくり・組織改善の探究と実践に取り組んでいる。最近、ハマっているものはロードバイク。
自治体の仕事をする中で、ナレッジを地域に蓄積していく必要性を感じた
—— コパイロツトに入社する以前、どんな仕事をしていたのか教えてください。
米山:私はもともとまちづくりや公共政策などに関心があり、大学で取り組んでいた研究テーマは行政の組織論でした。卒業後、シンクタンクに入社し、主に国や自治体などの公共部門から依頼される調査やコンサルティングの仕事を手掛けていました。
その会社で10年勤務した後、子どもが生まれたのをきっかけに新潟県に引っ越すことになったんです。よい機会だったので一度は行政側の視点に立って働いてみようと思い、3年間ほど市役所で仕事をしていました。
—— その次の職場として民間企業、中でもコパイロツトを選んだのはなぜですか?
米山:自治体の仕事をしていく中で必要性を強く感じるようになったのが、ナレッジマネジメントでした。地方ではさまざまな取り組みがなされていますが、単発のプロジェクトで終わってしまい、経験したことが次世代に引き継がれていかないケースが多く、課題に感じていました。
継続的にナレッジを蓄積していかないと、地域は強くならない。そう考えたとき、「ナレッジマネジメント」というキーワードから頭に浮かんだ会社が、コパイロツトだったんです。シンクタンク時代、とあるプロジェクトでコパイロツトの定金さん(共同創業者)とご一緒したことがあったので、連絡を取ったのが入社のきっかけになりました。
—— コパイロツトでは2016年頃から、ナレッジマネジメントに関する取り組みをスタートしていました。会社が目指していることと、米山さんの関心領域とが合致したんですね。
「現実で使えない」。問題提起を受け、ナレッジマネジメントについて議論を深めた
—— 入社した後、どのような仕事からスタートしましたか?
米山:どのように仕事をするかはっきり決まっていたわけではなかったので、はじめは、コパイロツト社内のナレッジマネジメントから着手することにしました。よく、ノウハウや考え方についてのブログを書いたりしていましたね。
ただすぐ、先にクライアントのプロジェクトに参加して実践を重ねていった方がよいのではないか、という話になりそちらに移行しました。
—— 役割を模索しながらの参画で難しさもあったと思うのですが、印象に残っているプロジェクトがあったら教えてください。
米山:入社3ヶ月後から担当したプロジェクトで、お客さま社内でプロジェクトマネジメントオフィス(※)の機能をご支援する機会がありました。業務プロセスの言語化・標準化をしたり、ふりかえりのファシリテーターをしたりしながら、そのチームに必要なナレッジが蓄積する仕組みの構築をサポートしました。
※ 組織内における個々のプロジェクトマネジメントの支援を横断的に行う機能のこと
私は主にナレッジマネージャー、つまり個人が持つ知を組織全体に共有し、うまく活用できるような仕組みづくりを推進する役割として参加し、プロジェクトマネジメントを主に担ったメンバーと対話を重ねながら、支援していきました。プロジェクトやチームの状態を見ながら、お互いの役割を臨機応変にスイッチさせることができたのもよかったですね。コパイロツトが今後、ナレッジマネジメントを通じてクライアントに対してどのように価値を提供していけばいいのか、ひとつの手応えを得るきっかけになったと思います。
—— プロジェクトマネジメントとナレッジマネジメントがどう交わっていけばいいのか、社内でもはじめて形が見えたプロジェクトでしたよね。それができた要因はなんだったのでしょうか。
米山:実はそのプロジェクトがスタートする前、前述のプロジェクトを一緒に担当することになるメンバーが、コパイロツトのナレッジマネジメントチームに対して疑問の声を挙げてくれたんです。「議論の抽象度が高すぎて、現実で使いづらい」「ユーザー不在のまま、ソリューションベースで話を進めていないか」「何を目指しているのかわからない」など——当時の私も同じように感じていたので、本当にありがたかったですね。
それを受け、改めてコパイロツトが提供するナレッジマネジメントについての議論を前に進めることができましたし、その直後、実際に一緒に取り組むプロジェクトに出会うことができたのも大きかったと思います。
メンバーからの問題提起を受け、ナレッジマネジメントについて議論したときのトピックの一部。2018年当時のコパイロツトが直面していた課題が垣間見える。
明確な役割がない状態から、いかに面白がって取り組めるか
—— プロジェクトによって変動はあると思いますが、プロジェクトにおけるナレッジマネジメントの具体的な仕事内容を改めて教えてください。
米山:アクションレベルで広く共通するものとしては、チームでふりかえりをするためのファシリテーションや、フロー・プロセスの言語化、ナレッジを共有していくための場づくりなどをサポートすることになります。ただその対象はクライアントの課題認識・目的によってさまざまです。
1つのプロジェクトを対象としたものもあれば、チーム・部署を対象にしたものもありますし、組織全体に対してご支援させていただくこともあります。当然、それぞれで実際に行う取り組みも、ゴールまでの時間軸も変わってきます。
実際には、クライアントとしても必ずしも達成したいものや具体の取り組みが明確になっているわけではなく、その議論の整理からご支援することが多いです。そのため、コパイロツトは、クライアントに対してどのように関わるべきか、明確に役割が決まっていないこともあります。そういった意味で、コパイロツトで業務に携わるときに、「役割が決まっていない中で、最適な役割を模索すること」を面白がれるかどうかは大事な視点だと思います。
—— ナレッジマネジメントの難しさとやりがいを、それぞれどんな部分に感じていますか?
米山:ナレッジマネジメントといっても、単に何らかのやり方を言語化すれば良いという話ではなく、結局は、クライアントのビジネス・マネジメントの仕組み・組織文化・モチベーションなど、さまざまな要素を踏まえてアプローチしていく必要があるので、その点が難しさはありつつも一番魅力的なところだと感じています。経営・組織レイヤーの目線も持ちつつ、個人個人を見る目線も同時に持つようなイメージです。
だからこそ、関わった組織やチームが、自らナレッジを生み出すプロセスを通じてより生き生きとしていくような状態に変わっていくのを実感できるとうれしいんですよね。そのための手法やプロセスを、これからもさまざまな切り口から追求していきたいと思っています。
—— 米山さんはこれから先、コパイロツトでどんなことに取り組もうと考えていますか?
米山:誰もが仕事や活動など、何かしらのプロジェクトに関わる中で、何をどのように考えれば良い形で進めることができるかを、これからも考えていければと思います。
そこには、スケジュール管理やミーティングの進め方という話だけではなく、チームのあり方であったり、経験からどのように学び、どのように成長していくか、そして、どうすればプロジェクトに関わる我々自身が幸せになれるかということも含まれてくると考えています。その「知」は、1つのプロジェクトだけでなく、組織レイヤーや経営レイヤーにも役立つものです。
そして、このような意味でのマネジメントの形を、これからもお客さまと一緒に追求し続けていければと思います。
私にとって、コパイロツトという会社は居心地が良すぎるくらいなので、それに甘んじずにこれからもどんどん新しいチャレンジをしていかないといけないな、と考えています。