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【updraft×駿河台大学 サッカー部】「どうしたらいいですか」が、「こうしたいので、やります」に変わる。主体性を育むキャリア・チームビルディングトレーニング

ビノベーションレポート※1を活用した選手たちへのキャリアトレーニングという新たな取り組みを開始した駿河台大学サッカー部。サッカーの指導者として25年のキャリアを歩んでこられた監督の高峯さんに、指導するうえで大切にされていることや「updraft」のキャリアトレーニングの効果について、TOiRO広報の森高がお話を伺いました。

updraft キャリアトレーニングについて
スポーツキャリアトレーニング事業「updraft」において、早期に自主自律型人材を育成することを目指し、小学生〜大学生年代向けにキャリアトレーニングを実施。駿河台大学サッカー部では、学生主体のチーム作りと、自らの意志で自分自身が描きたい未来に向かって自主的に歩める人財に育って欲しいという願いをこめて、キャリアトレーニング、チームビルディングトレーニングを実施しています。

※1:行動変革を促進し、人と組織の力を引き出すことを目的に開発された心理アセスメント。スポーツ庁委託事業「アスリートキャリアコーディネーター育成プログラム」に採用された。updraft(TOiRO株式会社)と事業提携し、キャリアトレーニングツールとして今注目を集めている。(画像:ビノベーションレポート受検結果例)


Profile

駿河台大学 サッカー部

埼玉県飯能市にある私立大学。通称「駿大(すんだい)」。 同学サッカー部は埼玉県大学サッカーリーグ1部に所属。部員数は45名(2021年3月時点) 「サッカーを通してどのように成長していくのか」を考え、自主的に行動していく事を大切に活動している。

駿河台大学 サッカー部 監督
高峯 弘樹



順天堂大学体育学部卒業 順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科博士課程修了

日本サッカー協会公認A級ライセンス/ドイツサッカー協会公認B級ライセンス取得

順天堂大学サッカー部出身。卒業後民間企業に就職、その後単身渡独し現地の指導者資格を取得。1996年Jリーグ ベガルタ仙台ユース(U18)監督、2003年 大阪学院大学高校サッカー部監督、2012年神奈川大学サッカー部(関東1部)監督、順天堂大学大学院に進学、2014年ジュニアサッカー(少年サッカー)の保護者向け情報サイト「サカイク」のキャンプヘッドコーチを経て、2016年駿河台大学サッカー部監督に就任。サッカーを通じて選手たちの『考える力を育む』ことをモットーに、監督からのトップダウンではなく、選手たちの主体性を引き出す指導を実施。現在は同部監督の傍ら地元の湘南藤沢にて「NPO法人湘南藤沢スポーツコミュニケーション」(URL:https://sfsc.or.jp/)を設立。サッカーチーム・地域向けコミュニティイベントの運営を行い、地元のコミュニティづくりにも邁進。

高峯さん、本日はお忙しい中お時間をいただきありがとうございます! これまで25年間に渡り、サッカーの指導者として幅広い年代に関わってこられたかと思うのですが、指導者の道を歩もうと思われたきっかけは何だったのでしょうか。

高峯さん:きっかけは学生時代に遡ります。高校時代、当時の神奈川県内強豪校に所属し高校選手権を目指して日々サッカーに打ち込んでいたのですが、大学に進学後は燃え尽き症候群といいますか、目指すものをなかなか見つけられずにいました。

選手としては難しくても、指導者としてJリーグに行った彼らと今度はしっかりと競い合いたい

高峯さん:また、当時はまだJリーグがなく、高校生で才能豊かな選手たちはみんな大学のサッカー部でサッカーをするような時代でした。私の進学した順天堂大学サッカー部も卒業後に日本代表に選ばれたり、Jリーグに行くような選手がごろごろいるようなチームだったんです。彼らと競い合うという強い気持ちが持てないまま、選手を続けることへの限界を感じてしまったこともあり、サッカーに本気で取り組めず、もやもやしていましたね。

そんな中、私が大学3年生のとき、数年後にJリーグが開幕することになり、同期や後輩たちが次々にJリーグでプレーすることが決まっていきました。その中には高校時代は私の控えだった選手もいました。

当時私は民間企業に就職が決まっていたのですが、「このままサッカーから離れていいのか」「何をしている時が一番気持ち良いのだろう」と考えた時に「やっぱりサッカーだ」という想いが湧いてきたんです。将来は「選手としては難しくても、指導者としてJリーグに行った彼らと今度はしっかりと競い合いたい」と決めました。

24歳のとき、単身でドイツへ

その後、どのような流れでチームを指導することになったんですか。

高峯さん:指導者としてのキャリアを歩むにあたり、まずは海外で指導のライセンスをとろうと思い、ドイツへ留学することを決めました。留学資金を貯めるため卒業後は民間企業に就職し、2年間かけて留学費を貯め、24歳のときに単身で留学しました。

ドイツに知り合いがいるというわけもなく、何もあてがない状況でしたが、手当たり次第に連絡をとって色んな方の繋がりで行くことができました。「絶対にドイツに行くんだ!」という気持ちで必死でしたね。


渡独後も色々と苦労があったのですが、なんとか指導者のライセンスを取得し、帰国後はブランメル仙台(現:ベガルタ仙台)のサテライトチーム(2軍)でドイツ人コーチの通訳をするチャンスをもらいました。そこで、「どうしても育成年代のコーチをやらせてほしい」と懇願し、ちょうどコーチの枠に空きができたことも重なって指導に関わることができたんです。それから7年間はベガルダ仙台のユース・ジュニアユースのコーチ、監督を務めました。

サッカーを通じて、人生を生き抜く糧となる『考える力』を育みたい

指導者になると決めてからの行動力と実現力、すごいですね。その後高校生、大学生、小学生と幅広い世代の指導に関わってこられて、今の育成年代にはどんな教育が必要であるとお考えでしょうか。

高峯さん:私の指導における一番大きなテーマは『考える力を育むこと』です。世代に関わらず選手たちに指導していると、『自分で考える』ということをあまりにもしないことに驚きました。教えて貰うことが常態化していて、こちら側が解決策を出さないとすごく不満そうな顔をするんですよね。

早く結果を出すこと、すなわち勝利することを目的にすると、知識、経験のある指導者トップダウンで指導した方が簡単ですし早いです。でも、そうすると選手たちは思考停止してしまい、「言われたことだけやればいいんでしょ」となってしまいます。

自分の学生時代を振り返ると、あまり情報がなかった時代というのもあるかもしれませんが、どうやったら少しでもスピードが上がるんだろう、どうすればあんなボールが蹴られるのかな、と自分で考えて調べて研究していました。肉体的なポテンシャルが低かったので、どうやったらこの中で生き残れるんだろう、と少ない情報から自分なりに考えて実践してきたように思います。

その経験があったからこそ、指導者になると決めた後、社会人になりドイツに行ったときも周りの力を借りながら自分で考えてサバイバルしてこられたんだと思います。だからこそ、『自分で考える力を育む』ことは彼らの今後の人生にとっても非常に重要なことだと考えています。


ピッチ上で選手たちが一丸となり重要な局面に立ち向かう姿を羨ましく思った

駿河台大学でupdraftのキャリアトレーニングを実施することになった背景にも、『選手たちの考える力を育くむというテーマが関係しているのでしょうか。

高峯さん:まさにそうです。きっかけは、鶴巻くんが以前指導していた文教大学サッカー部の選手たちの試合を見たことです。ピッチ上で選手たち自身がどうするかを考え、ベンチも一体となって声かけをしながら、重要な局面に全員で立ち向かっていく姿を見て、すごいな、羨ましいなと思いました。

知り合いのコーチに鶴巻くんを紹介してもらい、「どうやったらあんな風になるの?」と聞きました。そこでupdraftのトレーニングでの取り組みについて教えてもらい、『選手たちの主体性をより引き出すにはどうしたらいいか』と模索していたタイミングだったので、ぜひ駿河台大学サッカー部にもキャリアトレーニングを取り入れたいと伝え、2020年2月からトレーニングを開始しました。

お互いの理解が深まり、チーム全体のコミュニケーションが改善

updraftのトレーニングを開始して、チームに変化はありましたか?

高峯さん:初回のチームビルディング合宿後、練習の質がガラッと変わりました。合宿の中で選手たち自身が納得感を持ってシーズンの目標、チームのビジョンなどを決めたことで当事者意識が芽生えたのだと思います。自己開示のワークを通してお互いの理解が深まり、コミュニケーションの質も変化し、選手同士のポジティブで率直なコミュニケーションが増えました。「こんなサッカーがしたい」と夜遅くまで話す選手たちの姿を見られたのは、嬉しかったですね。


また、ビノベーションレポートを活用したトレーニング後はひとりひとりの資質がデータとして可視化され、お互いの理解が深まったことで、運営側の対選手や対スタッフへのコミュニケーションが変化しました。お互いのレポートで個々人の適性を知れたことで、適切なコミュニケーションを心がけるようになり、通り一遍ではない効率的なアプローチができるようになったのだと思います。

例えば、私は指示をされることがストレスになり、やる気がなくなる傾向が強いため、「指示を待つ人なんていないはず」と思っていたのですが、コーチ2人は指示がないことにストレスを感じやすいということを知り、その考えが自分の思い込みであると気づけました。それからは具体的な指示と要望を出すことを意識するようになり、コーチとのコミュニケーションが楽になりました。


どこから考えたらいいかわからない学生たちにとって、将来を考えるきっかけをくれたキャリアトレーニング

チーム全体のコミュニケーションが改善に繋がったんですね。そのほかに感じていただけているキャリアトレーニングの価値はありますか。

高峯さん:将来自分がどのような仕事で社会に貢献していきたいか、選手たちが考えるきっかけを提供してくれることですね。私の子どもたちもそうですが、情報が溢れ選択肢があまりにも多く、どこから考えたらいいかわからず、将来のイメージがぼやけている子どもたちがほとんどです。

そんな子たちにとって、例えばビノベーションレポートで自分の資質を知ることで「今後自分の能力をどの様に活かして社会に貢献していけるのか」自分たちの将来について考えるきっかけになり、それは彼らの将来にとってとても価値のあることだと考えています。

updraftの提供するトレーニングはどんなチーム・指導者におすすめでしょうか?

高峯さん:子どもたちの主体性をもっと引き出したいチームや、チーム力を高めてさらに強くなりたいというチームには特に力になれるものだと思います。駿河台大学で実施してもらったトレーニングで確実に成果を感じたので、選手の主体性を大事にする指導をされている知り合いのチームにもupdraftのトレーニングを紹介しています。

また、子どもたちの変化や成長が嬉しいと感じる指導者の方におすすめです。私もそうなのですが教育現場にいる方々は、自分が小さい時に先生、コーチ、周囲の大人から自分が変わるきっかけを与えてもらった経験があって、今度はたくさんの子どもたちに「こんなに変われるんだ」という経験をしてほしいという方が多いと思うんです。子どもたちの変化を目の前で体感できるので、感動されると思います。


高峯さんが今後注力されたいことについて教えていただけますでしょうか。

高峯さん:ひとつは高校時代の友人と立ち上げたNPO法人の取り組みです。地元の藤沢で、湘南藤沢スポーツコミュニケーション(SFSC)という団体を立ち上げました。育てていただいた地元に、スポーツを通じて何か恩返しをしたいという想いで、サッカーチームの運営とスポーツと健康をテーマにしたイベントを地域の方々や子どもたちに向けて行っていきたいと考えています。

原点はドイツでの経験です。ドイツでは日曜は基本的にお店はどこも閉まっていて、日本のようなレジャー施設は無く、現地の方々は族や愛する人たちや友人とサッカーを観たり、川べりを散歩したり、カフェでコーヒーを飲んだりして過ごす様子に、彼らはとても幸せで贅沢な時間の使い方をしているな、と思ったんです。SFSCも藤沢の地域のコミュニティとして、人が集まれる場所にしていきたいです。

選手たちが、スポーツに本気で取り組みながらも自分の将来を見据えて行動ができるきっかけづくりをしたい

もうひとつはアスリートの育成年代の教育という観点ですが、それはやっぱり『自分で考える力を育む』というところに行き着きます。サッカーを続けるけど、そうじゃない人生もあり、そこもしっかり準備をしていく必要があると小さいときから分かっていることが大事だと思っています。

例えば15歳で見極めようと決めることや18歳だったらプロでやりたいけど冷静に自分を顧みて、違う道に向けて準備をしないといけないときもあります。そういった進路についても、選手たち自身が考えられるようになる必要があります。

そういうことが考えられる選手であれば、自分の特徴はこうだから、ここで生き残る必要があって、そのためにこういうことをしなければいけない、というのを考えることができると思います。考えるきっかけを提供することで、スポーツにも本気で取り組みつつも冷静に自分の人生を見つめて行動ができるように促していきたいですね。スポーツ、サッカーが「考える力」を育む1つのツールとして認められるようになって欲しいと思います。


最後に、updraftに期待することについて一言お願いします。

高峯さん:期待することといいますか、updraftや鶴巻くんのことを、知れば知るほどすごくいいなと思います。鶴巻くんとは話す機会も多いのですが、いつもその若さでなんでそこまで知ってるんだろうと尊敬しています。その若さで、これからどこまでいっちゃうんだろうとも思います。(笑)

これから期待することとしては、提供するサービスに対してきちんとした対価を受け取りながら広げていってもらうことです。ビジネスですのでもちろん儲けが出ないと回っていきません。いいものに対しては対価が得られないとダメだと思っています。

updraftの提供するサービスは誰のためにもなる、価値があるものだと信じているので、少しでも多く、みんなの目に映るようなところに出ていってほしいと思っています。

長年サッカーの指導現場に関わってこられた高峯さんの貴重なお話を聞かせていただき、とても勉強になりました。本日はありがとうございました!

企画・編集/TOiRO 広報

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