16年前の夜、サリヴァンの旧本社の扉を私は開けました。
まさか、本当に「未知への扉」を開けるとも知らずに・・・・・・
その1年ほど前、予備校の同僚から
「面白い会社がある」「給料はいいらしい」「週1でも入れておけば何かの足しになるかも」
ということで吉田さんを紹介され、某予備校近くの喫茶店で初面談。
いろんな話をして、学内予備校の講義を週1で引き受けることに。
一般の予備校は継続しつつ、ことあるごとに普段は接しない社員さんを紹介してもらいながら、毎週楽しく、初体験の学内予備校の講義をやらせてもらっていました。そんな折に、吉田さんに「近々、本社に来てもらえませんか?迎えに行きますので!」と言われたのです。「来年の契約の話かな〜」と呑気に考えていたのです・・・・・・・
事務所の扉を開けると、その1年で一緒に仕事をしたり、紹介されたりした社員さんが全員集合していました。少し緊張した面持ちの人もいれば、ニコニコしている人もいます。中でも一番ニコニコしていたのが土岐社長だったのを今でも覚えています。
吉田さんに促され着席し、一瞬場が静まりました。
その時、社長が開口一番
「来年なのですが、後藤先生の夕方以降の時間を全て我が社にください。
要は、全ての予備校を辞めてください。一緒に仕事をしましょう!」
と言いました。あの屈託のない笑顔で。
私は、慌てて「今、出講している2つの予備校にはお世話になった人が1人ずついます。彼らへの恩返しがまだ・・・」と言って返事を濁そうとしましたが
社長は「いつ、恩返しは終わりますか?後藤先生が成長して、次のステージに行くのも恩返しですよ^^」と言いました。
「ま、とりあえず、要件は済んだのでご飯に行きましょう」ということで、近くのラーメン屋さんへ。
帰宅後、当時は新婚だった妻に相談しました。妻は「業界のことは全くわからないから、自分が後悔しないようにしていいよ」とだけ言いました。
社長のニコニコした笑顔・社員さんの前向き感やエネルギー・ご飯を食べるときのパワー(笑)・楽しそうな表情・・・を無意識のうちに一般の予備校と比べていました。
「サリヴァンだな・・・」答は一択でした。
ただ、その時一気に結論を出せなかったのは、正直言うと、その当時のキャリアに後ろ髪を引かれていたからでもあります。
20代後半から自分の時間の全てを予備校に投下し、若手講師の顔として、先頭を切っていました。週6で30コマ以上の授業を持たせてもらい、季節講習は締め切り講座の連続で、集客講座や体験授業はまず後藤に話が来ていました。また、新規に開講する校舎のメイン講師も任せてもらっていました。いろんな校舎からお声がけいただきました。全部の講義デザインを任せてもらったある校舎では、その予備校の社員さんと一丸になって2年かけて生徒を育て、規模でははるかにこちらより勝っている旗艦校に合格実績で勝ったこともありました。つまり、サリヴァンと出会ったのが「中堅として地盤が固まった時期」でもあったのです。
その中で「そのキャリアを捨てていいのか・・・」という迷いがあったのです。
しかし、同時に、生徒に「チャレンジの重要性」を予備校の教壇で説いている自分が、キャリアの蓄積に安住して新しい場所でチャレンジしなくてもいいのか・・・?これまでの生き方から考えても「正しい」よりは「楽しい」の方が自分には合っているのではないのか・・・?
そんな想いを巡らせながら、その1週間後、私はサリヴァンに「全てを差し上げます。好きに使ってください」と返信をしました。
同時に、各予備校の次年度伺いの返信に「次年度以降、現役生からは手を引き、浪人生のみの出講とします」と書き記しました。上層部からは呼び出されて説得され続けましたし、噂を聞いた同僚からは「今、ベンチャーに行くのはまずくない?」「いきなり全部は無謀だよ!!」と言われました。
同僚の予言通り、学校からの帰り道、土岐社長に「後藤先生、ごめん、来年は給料アップできない・・・」と悔しそうな顔で言われたことが数年間ありました。でも、サリヴァンでの仕事が楽しくて、すごく充実していたし、社長のことを信用していたので・・・
「大丈夫です。しっかりもらってますから。会社が安定したら、まず社員さんの給料をアップして、それでも余裕ができたらコッチのことを考えてください。その時まで裏で支えますので踏ん張りましょう!」
・・・と、自然に返していました。
しかし、今、思うのは、サリヴァンを選んだ決断は正しかったということです。その中でも一番の理由は「家族との時間」が作れたということでした。
週6日、予備校で1日中講義をする(浪人と現役を担当する)ということは、家族が起きる前に家を出て、家族が寝静まってから家に帰るということです。日曜日は、1週間分の予習やプリント作成をし、学期が終わったら季節講習・・・これ、独身だったからできていた戦い方でもあります。
(もし、あのまま一般の予備校で働いていたら、自分も、家族も、余裕で崩壊していた自信があります・・・笑)
実際、サリヴァンを選んで、全ての予備校から手を引いたのもあって、子どもが幼稚園くらいの頃から、周囲にはとても珍しがられるレベルで「家族」や「子ども」や「プライベート」に時間を割くことができています。
さて、次にサリヴァンに来て成長した部分を。
まず、様々な契約校に裸一貫で出講するので、学校トップ・教員の先生・生徒さんと初対面が基本なので「サリヴァンって何者?!」の中で信頼を勝ち得ていくというヒリヒリした世界線を毎年繰り広げています。
対大人は特に、いろんな人がいますので(笑)嫌な想いをしたり、時には激しく揉めたりすることもありますが、そこで培われた交渉力&コミュ力が生徒指導にも生きている気がします。
また、予備校と違って「生徒が嫌なら(自分に合わないなら)時間帯や曜日や校舎を変えれば、同一テキストの講義が他に存在する」という状況が100%ないため、自分しかいない中である学校の、あるレベルを担当します。ということで「最大多数のニーズを満たす」講義でありつつ、自分の色も出しながら、「さすがサリヴァン!」とも言わせるようにして、不満分子が出たら逃げすに個別にも対応・・・のような講義形態が求められるので対応力や柔軟性も身に付けることができました。
さらにはサリヴァンは「非認知能力を伸ばす」という目標も掲げており「学びを最高のアソビに」「努力より夢中」というミッションもあるので、新しく始めた勉強もたくさんあります。
ファシリテーション・AIの挟み込み方・グループワーク・個別最適化教育・インクルーシブ教育・探究学習・ICT・アクティブラーニングなどなど、一般の予備校で自分の教科だけを担当していたら絶対に学ばなかったであろうことを吸収しようと、日々フル回転で奮闘中です。
あとは、教科指導だけでなく、校舎の運営・生徒や保護者との面談・講演会・それに伴うスライド作成、またコロナ以降は動画作成やオンライン講義のクオリティアップなども、まずは自分でやって、ある程度形にしてから会社に提案する、とを自分で決めていますので、その勉強も欠かせません。
その結果、本当に充実感を感じ、楽しく仕事をしながらも、自分の時間や家族との時間は大切にしながら日々を過ごすことができています。
今は、広報の仕事も手伝っており、会社の公式LINEを2本運営し、大学生チームが運営する公式インスタグラムの監修もやっているのもあって「老けない」&「老害にならない」アラフィフという目標のために、日々成長できている気がします。
↑ 仕事先の「生徒用ホワイトボード」にイラストが…でも、こんなムキムキだっけ??
あの時、サリヴァンを選んで本当に良かったと思う日々です。