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『ドラゴン桜』三田紀房先生に現役東大生が質問!

大人気漫画『ドラゴン桜』『ドラゴン桜2』(講談社)の作者、三田紀房(みた・のりふさ)先生と、『ドラゴン桜2』の編集を務めた西岡壱誠(にしおか・いっせい)が対談!

さらに、対談見学に参加した現役東大生からのさまざまな質問を、三田先生にお答えいただきました。「今後のドラゴン桜での桜木の展望!?」「なぜ目指すなら東大なのか?」といった質問から、今後の人生相談!?まで、盛りだくさんでお届けします。

三田紀房(みた・のりふさ)先生
1958年生まれ、岩手県北上市出身。明治大学政治経済学部卒業。
代表作に『ドラゴン桜』『インベスターZ』『エンゼルバンク』『クロカン』『砂の栄冠』など。
『ドラゴン桜』で2005年第29回講談社漫画賞、平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。
現在、「ヤングマガジン」にて『アルキメデスの大戦』、グランドジャンプ」にて『Dr.Eggs ドクターエッグス』を連載中。
公式サイト:https://mitanorifusa.com/
ドラゴン桜 公式Twitter:https://twitter.com/mita_norifusa

目次

  • 東京大学理学部3年 Kさんからの質問

  • 東京大学医学部4年 Eさんからの質問

  • 東京大学法学部4年 Kさんから質問

  • 東京大学文学部4年 Fさんからの質問

東京大学理学部3年 Kさんからの質問

Kさん:
お話ありがとうございました。先ほど西岡より「勉強を通じて人間性が成長する」という話があったと思います。勉強を頑張るという点だけなら、東大意外にも京大など様々ないい大学があると思うのですが、そんな中で先生が敢えて東大をおすすめする理由をお聞きしたいです。

三田先生
むかしある議員が「二番じゃダメなんですか」って言ったことがありました。別に僕は京大が二番とは思ってないし、なんなら分野によっては京大の方が優秀だと思います。優秀なひとが何人いるかって話だと思うけど、「東大が一番」とか「京大が二番」とかっていうことはできない。

でも、世の中の価値と併せて考えることも必要だと思うんだよね。自分は唯一無二だと思うかもしれないけど、一人では生きていけないわけだから。社会の中で生きていく中で、自分の価値をどうやって高めていくかとなったとき、人からのある程度の評価を気にしたほうが自分の個性を作りやすい。

そうなったときに、「京大出ました」と「東大出ました」だと人から感じられる評価が若干の差があるんじゃないかなと僕は思う。皆さんは若いから自分を大切にしたいと思うかもしれない。これは全く当たり前のことなんだけど、自分が自分だけのものじゃないと意識して、人から与えられる評価を持つということで、自分の価値をより高めていけるんじゃないかと思う。

Kさん:
なるほど。ありがとうございます。自分自身も東大生であるという評価を重視していないという部分はありました。

西岡:
三田先生は前に「東大に行った意味」は東大を卒業してからしか分からないって仰ってましたよね。Kさんは在学中だからまだ分からないのかもしれない。

Kさん:
なるほど、確かに。ありがとうございます!

東京大学医学部4年 Eさんからの質問

Eさん:
お話ありがとうございました。
先生は先ほど「東大というものは入る前の受験生が過大評価している」ということを仰っていましたが、私の場合は入学後に周囲から寄せられる期待に対して、自分の中身が伴っていないのではないかと感じ悩んでいます。「東大理3です」と言うにもためらわれて、いまも休学しています。私が東大に胸を張って戻れるように何かアドバイスいただけませんでしょうか。

三田先生:
まぁ医学部ですよね。いまは何年生ですか?

Eさん:
三年生です。

三田先生:
僕は『Dr.Eggs』って医学生の漫画を連載しているんだけど、医学部って特殊ですよね。この漫画を書くにあたって医学部ってこんなところだったんだってある意味驚かされたことが多かったですね。

自分と周りからの期待とのギャップに苦しめられているってことだったけど、そこは振り切っちゃうのがいいと思う。おそらく、休学している一番の理由は医学に興味がないんだと思う。つまり、すごい優秀な方だと思うんだけど、勉強の能力を発揮するということが目的化しちゃっていて、「新たな自分を発見できる」という部分へ興味が至っていないんじゃなかな。

やっぱり国立大学の医学部の学生さんに話を聞くと、最初は医者になろうと思って入っているのに、医学に興味持てないとドロップアウトしちゃう人が多いって話をよく聞きます。何が好きだとか何を知りたいとか、医学にもっと興味を持たないと、苦しいんじゃないかと思う。

だから、人体に対する飽くなき探求心みたいなものが必要で、それが持てるかどうかで大分違ってくるみたいだから。自分っていうものに対する考えというよりは、問題の本質は医学にあると思うな。

Eさん:
そういわれてみると、受験生の頃は楽しく勉強していたんですが、医学部に入ってからの勉強はその頃より楽しさも少なかったので……。これからの休学期間は医学に興味を持てるように頑張ってみます。

三田先生:
やっぱり医学に興味がないと、勉強量が半端じゃないから、すごく辛いらしい。医師国家試験って朝の9時から夜の6時までやるんだって。それを突破しないと医師免許が取れない。合格率95%とかいうけど、中身はとんでもないもので、ちゃんと勉強しないといけないんだって。なんでここまで合格率が高いかと言えば、受かる人しか受けさせてくれないから。落ちちゃうような人は留年やら落第やらで大変なことになるらしい。

ということは、医学に対する探究心がないと辛いんじゃないかと思う。それを見つければ、持ち前の集中力と粘り強さであっという間に大学に戻れると思いますよ。

Eさん:
ありがとうございます。興味を持つことを第一に据えていきたいと思います。

西岡:
なるほどなぁ。

東京大学法学部4年 Kさんから質問


Kさん:
お話ありがとうございました。東大が一番だとお話されていて、今東大生として生活していてもありがたさを実感するところですが、『ドラゴン桜2』でも海外大に少し触れられていたように、世界的には東大が一番ではないわけですよね。そういう中で、今後は桜木先生も東大ではなくて、「世界で一番のプラチナチケットをつかみに行け」と海外大学進学を進めるようなシーンも出てくるのでしょうか?また、その延長で大学4年間のその先を見据えた話を桜木先生がすることはありうるのでしょうか?

三田先生:
そうですね、海外の大学がどうだって言うけど、落ち着いて考えてみれば、明治政府になってから日本人はずっと海外に憧れてるんだよね。海外の大学に対する尊敬と海外の知識を得たいという願いがあって、今に始まったことじゃない。海外ということを考えるのは昔からそうだし、当たり前だと思う。

やっぱり海外で勉強したいという人は自分で海外に行くんですよ。じゃあ海外に行くのは優れていて日本に残るのは劣っているかと言われれば、それは違うと思う。行きたい人は行くし、行きたくない人は行かないしという好みの問題に過ぎないんじゃないかと思う。居酒屋行って生ビール飲みたいかハイボール飲みたいかくらいの好みでしかなくて。

一同 (笑)

三田先生:
だから、それにとやかく言うのは違うと思うんですよね。だって、それぞれ飲みたいものを飲みたいんだから。お互いに乾杯って言って仲よくすればいいだけでsあって。海外に行ったから尖ってカッコいいって思うのは、僕はモノの解釈の違いを間違えていると思う。それはただの好みだから。

だから僕はあまり深刻に考えなくていいと思う。いわゆる大学ランキングというものもあるけど、あれもランキングをつけている側にとって都合の良いようになっているから。

Kさん:
なるほど(笑)

三田先生:
あのランキングはイギリスの雑誌社か何かがやっていたけど、あれもイギリスの大学が一番だってアピールするために、自分たちに都合のいいデータでつけている側面があって、絶対的な評価ではない。でも日本の社会とか国民ってやたらとああいうランキングを気にするんだよね。

西岡:
確かに気にしますね。

三田先生:
僕は大した指標じゃないと思うんだけど、世の中はそういうふうに思うなら、それはそれで仕方ないかなとも思うね。あとは個人的には海外はちょっと留学するくらいでもいいんじゃない?って思うよ

留学そのものを否定しているわけじゃなくて、たしかに、2年か3年か海外という違う文化の中で生活することは決して悪いことじゃないので。お金と時間があればいいんじゃない、と思うし、逆に言えばその程度のことだと思うかな。

Kさん:
とても興味深いご意見だと思いました。その上で、これまでの話で「やっぱり東大が一番」と言われてきたことからすると、日本国内における東大とそれ以外とは、単なる生ビールかハイボールかという好みだけの問題とは少し違った役割を持っているのかもという印象を受けました。京大など様々な日本の大学も、いいところはたくさんあるけれども、外から見たら一味違って見えるところがあるんだろうなと。

三田先生:
みなさんまじめだから世論を正面から受けようと思っちゃうかもしれないけど、語られいてることの大体は誰かが適当に言ってることなわけなんだから、そこに何かしらの真実なんてないんじゃないかって思ったほうがいいと思うんだよね。あまり深刻に考える必要はない。

Kさん:
ありがとうございました。

東京大学文学部4年 Fさんからの質問

Fさん:
お話ありがとうございました。文学部4年のFと申します。
僕は完全に東京大学の受験をキャリアとして受験していまして、生家の世帯年収が低かったのもあって将来安泰になるだろうと思って東大を受けました。それで東大に入ってから入ったサークルも応援部でして、これもやはり就活に強いと聞いて入ったのです。しかし、入ってから東大という環境や応援部のような管理された環境に全く適応できていないことに気付きまして、いまは応援部もやめてライターとして仕事を受けたりしているのですが、これはとても住みよいんです。そこで、私の心は先生の言うところの荒野を行きたがっているのですが、私自身どうするべきかも分かっておらず(笑)このままレールに乗っていくべきか先生にアドバイスいただければと思います。

一同 (笑)

三田先生:
おそらく目の前にレールないよね。

Fさん:
ないですね。

三田先生:
就職を目的に応援部に入ったけど、全然馴染めなくて、別の世界に出会って荒野型の世界に行こうとしてはみたものの、自分に不安があって……という心境だよね。いまお話を伺っている限りでは目の前にレールがないんだから、レールの乗りようがない。でもせっかく東大に入ったんだから東大というキャリアは活かしたいわけですよね。じゃあそういった場合はどうすべきかだけども、これはね、東大にいられるうちはいた方がいいと思いますよ(笑)

一同 (笑)

三田先生:
東大にいられる期間があるうちは、居続けてみるのも一つの選択肢だと思います。つまり、西岡君は偏差値35から~というのを金看板にしているわけだけど、東大出ちゃったら看板に陰りが見えるよね。だから、東大云々を活かせるうちに、つまり東大にいられるうちにやった方がいいよとなっているわけだよね。

そのパターンが今のところ一番いいんじゃないかと思いますよ。東大出ちゃうと本当の荒野に直面しちゃうわけだから。荒野に降り立った元東大の人に対して日本の社会は本当に厳しいから。だから、東大にいられるうちはいた方がいいと思いますよ。

Fさん:
なるほど……分かりました。

三田先生:
いるうちに環境は変わりますから。レールが見えるようになったら飛び乗っちゃえばいいし、ないうちは荒野に降りるリスクを冒さない方がいい。あと君は文学部だったよね?

Fさん:
文学部です。

三田先生:
文学部なら大丈夫だよ。変わっていても許されるから(笑)

一同 (笑)

三田先生:
他の学部だとアレかもしれないけど、文学部だから。なんとかなるよ。「ちょっと変わっている個性的な自分」で通せるから(笑)そういうフリで通しているうちに「うちとこんなことしませんか」って仕事を持ちかけてくる人が出てくるかもしれない。

東大生なら大丈夫だよ。「なんかできそうだな」って相手が勝手にイメージもってくれるから。経済的な事情もあるかもしれないけど、そこは何とか稼いで、変わっている自分を演出する方向で考えたらいいんじゃないかな。

Fさん:
ありがとうございます。


"ドラゴン桜"公式チャンネルに対談風景をアップしました!ぜひこちらもご覧ください。


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