毎月月初に営業会議を開催している。前月の試算表が出てから行うのが通例である。以前は全国から久留米本社に集合もらい開催していた。さすがに移動の負担が大きいからとTV会議システムは10年くらい前から導入していて、節目の会議以外は遠方の拠点の社員はTV会議での参加がメインになりつつあった。そこに起こったパンデミック。県内や近県の拠点からも集まれなくなった。各拠点にも集合できないので自ずとZOOMでの開催となり、投資したTV会議システムは無用の長物となった。
営業の方針、業績について、重点取組み事項、仕入先様からのプレゼン、各委員会やプロジェクトからの発表、営業成功事例の共有などが主に行われる。営業の部門長が輪番で司会を務める。毎月の大きなテーマは司会者となる部門長のアイデアに委ねられる。それぞれに個性が出る。
今年から新たに、営業会議には「新規事業のプレゼン」が加わった。誰でも提案して良いことになっている。良い提案があれば、その場で事業化にゴーサインを出すなど、スピードを重視したいと思っている。社員さんから全く提案がない場合も想定されることから、毎月最低ひとつ、司会の当番になった営業部門長には必ず提案してもらうことにした。
1月は一般の社員さんからの提案はなかったが、執行役員のHさんが司会当番で、なかなか良い提案をしてくれた。さすがベテランだと思ったし、前職では経営陣に名を連ねていただけあって、お客様のニーズを的確に捉えていて、且つリスクの抑えられた提案だと思った。許認可取得も必要なことから、即ゴーサインという訳にはいかなかったが、事業化の検討を前向きに継続している。
2月はこれに触発されたのか、合計3つの提案があった。軽作業の内製化、社員食堂とその外販化、介護分野の3つであり、どれも面白かった。どれもスペースが必要であったり、許認可が必要であるのだが、中には許認可の要件など詳細および取得の可能性まで調べて提案されたものもあり、現実味を帯びていた。どれもすぐにゴーサインとはならなかったが、継続して検討することとなった。
昨年から今年にかけて、様々なコンサルティング会社さんのセミナーを受講したが、多くは新事業や第二本業の重要性が説かれていた。コロナ禍の陰に隠れているが、着々と我が国の人口は減り続けている。これからの10年間で福岡県の全人口に匹敵する人口がこの国から消える。当然ほとんどの産業で国内の需要は逓減し続ける。それでも企業として成長を期すのであれば、成長を海外に求めるのか、新しい事業に求めるしかない。弊社の場合はローテクで海外に出ても勝機があるとは思えない。であるならば、本業が堅調であるうちに新しい事業にチャレンジする以外ない。
新しい事業といっても、儲かるからとか、成長が見込めるからという理由だけで取り組む訳ではない。我が社の基本テーマである「お客様へのお役立ち」に繋がらないものはやる意味がない。そこで考えてもらう為のフレームワークとして、新規事業を検討する条件を5つ出した。そして初歩的な考え方やアイデアを整理するツールとしてアンゾフの成長マトリックスも簡単に説明した。
①お客様のお役に立てるか?、「不」の解消につながるか?
②自社や自分のリソースが有効活用できるか?
③地域や社会問題の解決につながるか?
④頑張れば自社で取り組み可能か?
⑤将来丸信があるべき姿から逆算
3月からホールディングス体制に移行する。二つの子会社も丸信と同列になる。そして今後、このような新規事業はスピンアウトして、HD傘下の子会社として増えていくだろう。会社の数だけ社長が誕生してくれると嬉しい。経営者を育てるには経営者をやってもらうのが一番だ。何人の社長を誕生させられるだろうか。経営者の仕事の醍醐味を多くの社員さんと共有したい。組織として特定の経営者に頼らず、「新規事業を生み出す仕組み」を内包することは、とても重要だと思う。