【COOインタビュー】大学1年での起業、そしてコロナ禍。いくつもの壁を乗り越えた今、見つめる未来とは | 株式会社JAPANDOTQUEST
株式会社JAPAN DOT QUESTは、グループ会社にて多店舗展開する飲食事業のマーケティングナレッジをもとに、飲食店や宿泊施設など観光業におけるインバウンドマーケティングを支援するベンチャー...
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株式会社JAPAN DOT QUESTは、グループ会社にて多店舗展開する飲食事業のマーケティングナレッジをもとに、飲食店や宿泊施設など観光業におけるインバウンドマーケティングを支援するベンチャー企業です。実店舗の運営を通じて実施するテストマーケティングの結果、費用対効果が高い施策のみを提案することでクライアントからの信頼を集めています。
今回の記事では、当社を率いるCEOの木下にインタビュー。当社の強みを体現する彼のマーケティングナレッジの一端や、CEOとして描く今後のビジョンなどをご紹介します。
木下 隼(きのした・しゅん) / CEO
大学時代、現在当社COOを務める松尾とともに飲食店を複数創業。役員としてマーケティング面をすべて担当し、14店舗までの拡大に大きな役割を果たす。2024年3月に設立したJAPAN DOT QUESTではCEOを務め、「日本から世界へ、心を動かす物語と体験を届け、すべての人の幸福度をぶち上げる」というミッションの元、事業者様の飲食店や宿泊施設など観光業におけるインバウンドマーケティングを支援している。
小学時代から同級生として時間を過ごしてきた松尾とともに、大学在学中に飲食店を起業したことがビジネスの入口です。私は役員としてマーケティング全般を担い、店舗運営や事業拡大に取り組んできました。結果的に14店舗まで出店したのですが、コロナ禍により縮小を余儀なくされてしまいました。
その一方で、コロナ禍を機に新規事業の展開にも取り組み軌道に乗せることができました。現在も飲食事業では各店舗の売上面に寄与する戦略面を担い、お客さまの来客頻度を増やすためにUGC(一般ユーザーによるコンテンツ)を生む“売れる仕組み”の立案をリードし、立案した戦略を具現化する施策をメンバーに落とし込む形で人材育成も担いました。
松尾は同級生で、小学校から一緒なんですね。彼と一緒にいると本当に楽しくて。松尾も私もビジネスに興味があり、自然と一緒に取り組んでいきました。「とにかく松尾のことが好きだ」と書いておいてください(笑)。
ほかの事業についても松尾とタッグは変わらず、メンバーを各事業の重要なポジションに登用しながら業績向上を目指しています。
▼木下CEOの盟友、松尾COOのインタビューはこちら!
弊社が運営する、韓国料理専門店『錦~NISHIKI~』を例に挙げましょう。飲食店の売上は“客数×単価×頻度”と定義されます。そこで、客数を増やす施策として“席効率”の向上を目指しました。
同店は1組あたりの客数が平均3名ほど。ただ、当時の店内は固定の6名席が多かったんですね。1組の客数が約3名に対して6名席が多ければ、当然空席が多くなります。そこで少人数に対応できる可変性の高いレイアウトを導入しました。
“単価”と“頻度”については、予約経路や来客頻度を分析し“年間7回以上の来店客”をロイヤルユーザーと定義して、来店理由やライフスタイルの理解を深めました。すると、当店のロイヤルユーザーは“韓流ファン”が多かったんですね。
そもそも、韓国料理店に足を運ぶ方を大まかに分類すると
「韓国コスメを愛用している」
「韓流ドラマが好き」
「K-POPをよく聴く」
など、多様な顧客群が存在します。一般的に韓国料理店の客単価は4,000~5,000円ほどですが、当店は3,000円で食べ放題が楽しめます。そんな同店には、どのような動線でお越しいただけるのか。
同店の主な客層は18~24歳女性です。その点を踏まえると、鶴橋のコリアンタウンでトレカなどのグッズを購入し来店する学生がメインと考えられます。好きなコンテンツを仲間と楽しみつつ、コスパよく爆食した後は梅田のH&Mで服を買う。そんな行動がイメージできます。
梅田には競合となる韓国料理店が45店舗ほどあります。そのなかで来店するモチベーションを高めるため、ロイヤルユーザーの韓流ファンが向けに『4,000円』『3,500円』『3,000円』と3種の食べ放題プランを用意し、4,000円プランではトレカのガチャガチャを楽しめる施策を導入しました。
他業態の店舗でもこうしたマーケティング施策を貫き、ストラテジックに集客力を高めています。
▼JAPAN DOT QUEST 運営飲食店舗一覧
私たちが運営していた飲食店舗でインバウンドマーケティングが成功しており、ほかの飲食店さまからご相談いただく機会が増えたことですね。広く伝えられているとおり、円安を追い風にインバウンドは増えています。JNTO(日本政府観光局)が定期的に発表している『訪日外客数』(※)によると、2024年6月の推計値は3,135,600人となり単月としての最高数を更新し続けています。
右肩上がりにインバウンドが増え、滞在時間や消費額も伸びている。今後、インバウンドに対応できない観光地の飲食店や小売業は衰退していくと私は考えます。そうした背景において、インバウンドが利用する飲食・小売店やアクティビティ施設といった業界の市場最適化を担うマーケットで、当社の強みを活かしシェアを獲得したいと考え、起業しました。
日本のブランド力が低下していると叫ばれるなか、新しい目線で新たな日本の価値を探求(クエスト)し、埋もれている観光資源を見つけてプロモーションして認知獲得をサポートする。当社の強みを発揮してインバウンドにアプローチし、さらなる消費を呼び込みたいですね。日本政府が推進する『観光立国推進基本計画』で提唱される「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」にも寄与できると考えています。
当社は2024年3月に設立したばかりですが、先ほどお話ししたように私は大学時代から飲食店を運営しています。インバウンドマーケティングは、2019年10月に京都・河原町に店舗をオープンした際に取り組みをはじめました。
先ほどお話しした『錦~NISHIKI~』のほか、当社ではA5ランクの近江牛と中央卸市場から仕入れた海鮮を楽しめる『肉のあさつ』も展開しています。『肉のあさつ』は客単価が7,000~8,000円の店舗です。高級牛のしゃぶしゃぶと新鮮な江戸前寿司を楽しめる店舗ですが、日本人が利用する場合はどうしても限られたシーンでの来店が中心となります。そこで、増加傾向にあったインバウンドの来店を増やそうと施策を実行しました。
JNTO(日本政府観光局)『訪日外客数(2024年6月推計値)』で発表されたインバウンドの国・地域の上位は
▼韓国:703,300人
▼中国:660,900人
▼台湾:574,500人
▼香港:250,600人
となっており、中華圏(中国・香港・台湾)の方が数多く訪れていることがわかります。その点、私たちも中華圏のインバウンドに向けたマーケティングに当初から取り組んでいました。中華圏におけるInstagram的な存在といえる『小紅書(RED)』を活用したデジタルマーケティングを実践し、そのなかで“KOC(Key Opinion Consumer)”と呼ばれる一般消費者によるコンテンツを軸にしたマーケティング手法を知ります。
たとえば、TikTokで飲食関係のコンテンツを眺めているとグルメクリエイターが出てくると思います。それを中国のSNSでは“KOL(Key Opinion Leader)”と呼んでいる。いわば“インフルエンサー”ですね。KOLの発信が中国の消費者の購買意欲に影響する点は、おそらくイメージどおりだと思います。
一方で“KOC”は、いわゆる“口コミ”で影響力を持つ人を指します。この消費者目線によるコンテンツが、中国を含めた中華圏インバウンドの行動を左右するといっても過言ではありません。中華圏の方々はステルスマーケティングへの耐性が強く、一般ユーザーの投稿=宣伝色の薄いコンテンツファーストの投稿のエンゲージメント(いいねや保存数)が高いのです。
実際に『小紅書(RED)』でも、一般ユーザーによる旅行ガイドがインバウンドの行動に影響を与えています。たとえば『関西国際空港に到着してから大阪や京都を楽しんだ1週間の旅記録』のようなコンテンツには、数多くのエンゲージメントが集まるんですね。自分と同じ目線で発信されたコンテンツを参考に行動するというわけです。
当社には以前より中国語ネイティブのスタッフがいるので、日本に住む中国人の方々と連絡をとり店舗に招待しました。そして、そのときの体験をSNSに投稿していただく。これもKOCを活用したマーケティング施策の1つです。その結果、KOCの投稿を見たインバウンドに数多く来店いただくなど大きな効果が出ました。
そうですね。自社運営の店舗があるからさまざまなマーケティング施策を実践できます。先ほどのKOCの話ですと『梅田エリアおすすめ美食ガイド』のようなまとめコンテンツをつくり、そのなかに当社運営の店舗も記載して反響を測るなど、さまざまなテストを実施しています。
そうした施策を積み重ね、低予算で中華圏のインバウンドに訴求できるコンテンツなどのナレッジをどんどん蓄積しながら売上アップを図りました。しだいに評判を集め相談を寄せられるようになったので、サービス化に踏み切ったわけです。クライアントから「系列店舗に導入したい」「知り合いに紹介したい」と信頼をいただき、リファラルのような形で当社サービスの導入数が増えています。
実店舗におけるインバウンドマーケティングの最適化は、上場企業も取り組んでいます。ただ、当社が主に支援する中小規模の店舗にはなかなか予算が合わないようです。JAPAN DOT QUESTは1店舗に深くかかわりながら、店舗さまの売上を高めるサポートを目指している点が特徴的で強みだと考えています。
※引用:JNTO(日本政府観光局)『訪日外客数(2024年6月推計値)』
https://www.jnto.go.jp/news/20240719_monthly.pdf
日本に訪れたインバウンドの幸福度を上げていくことはもちろん、効果的な施策により店舗や施設が稼げれば日本人も幸せになりますし、当社にとってもニーズが高まり事業を拡大できれば新たな雇用を生み出せる。いわば“三方よし”を実現したい思いがあります。
そして、本当に「すべての人の幸福度をぶち上げる」ためには、まず私たちが日本での観光をはじめとしたブランドを見つけ出さなければ話になりません。ミッションを実現するために「世界最高峰の価値あるJapanブランドを探究し感動するシーンを創出する」というビジョンを掲げました。
日本での旅を楽しんだインバウンドが、半径5m内にいる身内の方々に「日本にはこのようないいものがあったよ」と発信してもらうには、まずはそのインバウンドに感動を届けることが必要です。その実現が、さまざまな人を幸せにする第一歩になります。
飲食・小売店におけるインバウンドマーケティング市場でトップシェアを獲得したいと考えています。自社内には飲食店経験のあるメンバーが多いので、その強みを活かして、飲食店向けの事業展開を中心に進めています。現在、大阪・京都・東京・福岡・広島・北海道エリアでパートナーとなる代理店を集めながら、サービスを広げている最中です。まずは多くの店舗に当社の価値を提供したいですね。
その後は、たとえば“飲食・小売業1,000店舗の支援”などの実績を積んだあと、その信頼を基に他分野でもインバウンドマーケティングを展開していきたいです。万博に向けたプロモーションの相談もいただいていますので、そうした動きをさらに広げていくことが目標です。
また、仲間と共にJDQが持続的に成長し続けることにも注力しています。『何でも創り出し、伸ばせる企業』を目指して、マーケティングと事業運営の境界を超え、新たな価値をどんどん生み出していきたいですね。新規事業の開拓やM&Aを通じて、事業を創り、育てる力を磨きつつ、ユーザーと社会を戦略的に動かすことを追求します。最終的には、どんな事業でも創り、成長させる企業として、『永続的な熱狂を生む』コミュニティを築いていきたいと思っています。
全員が『楽しいな』『幸せだな』『あの頃に戻りたいな』って思える場所にしたいですね。単に仕事をするだけの場所ではなくて、人生を共に歩む仲間が集まる場所でありたいなと考えています。『何をするか』よりも『誰と』『何をするか』が大事で、その考え方が組織の中にもしっかり根づいています。
JAPAN DOT QUESTは会社というより、もっとコミュニティに近い感覚ですね。なんというか、村とか家族みたいな温かい集団を目指しているんです。『組織』という言葉を避けて『コミュニティ』と言うのは、社員一人ひとりの人生をより幸福度の高い、楽しいものにしたいという思いがあるからなんですよ。
幸福度の高い、楽しいものって、友情とか努力、それに何度も挑戦することから、目的を達成したときに生まれると考えています。そして、そうした勝率が上がれば、仕事に対する幸福度も自然と高まりますし、仕事を心から楽しむことができるようになるんです。仕事での幸福感が高まれば、プライベートも充実し、上手くいくはずです。だから、みんなで人生の物語を作り上げて、振り返ったときに『あの時は本当に楽しかったな』って思える瞬間を味わえる、そんな会社にしていきたいと思っています。
私がすべてのメンバーに共通認識として常々伝えていることは「一つの目的を達成するために戦略を立て、アクションしていくこと」です。戦略は、文字通り次の行動をすぐに起こすための一手です。
いたずらに悩み続けることは本当にもったいない。目的達成のために考えながら動いていく、臆せずに挑戦できる方は当社で活躍の場を広げられると思います。
意欲的な方にはしっかりとナレッジやノウハウを伝え、早い段階で活躍できるようにサポートします。成長意欲の高い方は、ぜひJAPAN DOT QUESTでチャレンジしていただけるとうれしいです。