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「未経験」だけど「未来」を感じるコピーライター

テーマは『コピーライター未経験者のどこに可能性を感じるのか』

吉本も25歳のとき(現在38歳)未経験からディレクターとしてクリエイティブ業界へ飛び込みました。

その当時、制作職に就くために、どんなことを意識していたのか。
面接する側となった現在、選考ではどんなところを見ているのか。
振り返りながらまとめてくれたので、今回のブログで紹介します。

これからクリエイティブ業界でのデビューを目指す。そんな人が「一歩踏み出してみよう」と思えるきっかけになればと思います。

(ここからは吉本の文章です)

「コピーライター経験3年以上」という壁

まず、未経験からコピーライターを目指そうと考えたとき、ブチ当たるのが「コピーライター経験3年以上(もしくは5年以上)」という
制作会社の応募条件だと思います。

ボク自身もクリエイティブ職を目指すときには、この条件を満たしていないことが9割で
「どうすれば…」とアタマを悩ませる毎日だったようです。

けれど、いま選考する側に立ってみて「この条件、本当にいる?」と思うことがよくあります。

もちろん他の制作会社が条件としてかかげるように経験があって、即戦力として活躍してくれる
そんな仲間がいたらいいなぁと思うこともあります。

でも、そんな経歴やスキルを抜きにしても面接で大切に見ているポイントがあるので、参考にしてみて欲しいと思います。
(汎用性のない『トゥモローゲートのクリエイター選考攻略法』かもしれません)

未経験者から未来を想像するポイント

では、コピーライターもしくはライター未経験の人のどういった点に将来性を感じるか。
どういったポイントで一緒に働いてみたいと感じるか。
(いきなり結論ですが、感じるという曖昧なポイントが大きいです)

4つのポイントに絞ってお伝えしたいとおもいます。

【その人は、生活感があるか】

初めて入社した会社でキャッチコピーの研修を受けていたとき、当時の師匠にこんなことを言われたことがあります。

「ヨシモト、お前、ちゃんと家事やってる?」

食器用洗剤のキャッチコピーを書いて添削を受けているときの言葉でした。

ぼく自身は、今もこの問いかけを大切にしていますが
この言葉の真意、読んでくれている皆さんには伝わるでしょうか?
(ちなみに、当時25歳の僕にはまったく理解できず、心に響きませんでした)

この言葉の意味を文字どおり受け取ると
<家事をやっていないことをただ詰められている男>みたいな絵づらですが

真意は「ちゃんと生活者目線に立ててる?」という問いかけなんですよね。

先ほどの言葉のあとに「“ちゃんと”皿も洗ったことがないやつに良いコピーなんて書けないよ!」
という言葉も追加で浴びるのですが、本当にそのとおりだと現在は思っています。

もちろん、いい歳した大人なので、お皿を洗ったことはありました。
だけど、“ちゃんと”の中に含まれる“自分自身の感想”を持ちながら、皿は洗ったことが僕にはありませんでした。ただの“やっつけ家事”というやつです。

コピーライターやライターは、あくまで言葉の受け手である生活者の目線に立たないといけません。(企業目線に立つこともあるけど)
生活者は、何に不満を覚えているのか。どこに得を感じるのか。自分の目線で日々感想を抱きながら、いろいろな視点で言葉を考え、アップデートし、伝えていく職業です。

「クリエイター」「アーティスト」のような言葉につい気持ち良くなってしまいがちな職種ではあるんですが、浮世離れしていては生活者の心を掴むことなんてできるはずがないのです。

家事をする専業主婦(夫)の気持ちが少しはわかるか。
犬の散歩をする人の気持ちが少しはわかるか。

書くとキリがありませんが、僕らクリエイターは「人間」に興味を持ち、関心を払っていかないと生きていけない生き物だと考えています。

いきなり説教くさくなるのでまとめますが、その人の生活感から何を見出すか。

僕はその人の「好奇心」や「まなざし」を見ています。
決して偏ることなく、いろいろな角度からの気持ちを汲める人か。
面接の会話の中から、意識して感じ取っていることが多いです。

【その人は、誕生日をどう祝う人か】

未経験者には、もちろん仕事での実績がありません。
では、どこでその人のスキルみたいなものを感じるか。

もちろん、大概の人が面接に携えてくるポートフォリオでというのもありなんですが、
学生生活や私生活で、どんなことを仕掛け、企んできた人のなのかみたいなエピソードを質問しながら汲み取るようにしています。

その一番わかりやすい例が、誕生日です。

自分の大切な家族や友だちにその日どう歓んでもらおうか。どう驚かせようか。しっかり企むことができる人なのか。何気ない雑談から見出しているような気がします。

僕らの仕事は、誰かを驚かせたり、涙を誘ったりするような仕事です。

けれど、そんな結果を広告やツールの制作の中で、ぶっつけ本番で発揮しようと意気込もうものなら
野球で練習なしに150㎞のストレートを打ちにバッターボックスへ入るようなものだと、ボク自身は思っています。(野球がわからない方、大変申し訳ありません)

先日、後輩が弟の誕生日で「なに欲しい?」と聞いたところ、「なんでもいいよ」と返事があって「一番困る」といった言葉をこぼしていました。

けど、こういったシーンは僕らクリエイターと呼ばれる人にとっては、腕の見せどころです。
「どう驚かせてやろう」とか「どう泣かせてやろう」という気が本当は働くはずなんです。
もちろん仕事でクリエイティブの力を発揮できることも素晴らしいのですが、生活の場でこそ、大切な家族や恋人、友だちにこそ、仕事で培ったクリエイティブの力を活かして欲しいと僕自身は思っています。

長くなりましたが、結論まとめます。

誕生日などのお祝いごとをその人はどう過ごすか。そこから「企画力」の可能性(伸びしろ)を見ていることが多いです。
ぜひ、どんなことを人生で企んできたか。選考を受ける前に考えて、整理してみることをオススメします。
きっと、ここまで読んでくれている方なら、いろいろとあるはずです。

【その人は、居酒屋でどう振る舞うか】

コピーライターの大先輩に怒られたエピソードから紹介します。

大人数で居酒屋に行ったとき(もう一度そんな時代がくることを願います)よくこんなシーンがないでしょうか。

追加ドリンクを店員さんに注文。
ドリンクがくるまで、みんなとの話で盛り上がりすぎてしまい、店員さんが「ウーロンハイの方〜?」みたいに聞いてくれているのに、頼んだ本人はもちろん、他の人も応答しない。店員さん、困る…。

こんな状況、もちろん僕も例に漏れず経験し、こんなシーンで大先輩にしこたま怒られた記憶があります。

どんな言葉だったかご紹介すると「人を無視するようなやつには、人に無視されるようなものしか書けねえぞ」という言葉でした。

ぐうの音も出ませんでした。たしかにドリンクを追加注文したのは自分。けど自分は、注文したら終わり。それで満足。あとはサービスなんだから、よしなに提供してくれるでしょ。
店員さんへの感謝のかけらもない。さもサービスしてくれて当たり前の思いやりゼロ人間。

おなじ居酒屋なら「取り皿にとる」行為も似ています。
今の時代でこそ、直箸に気を目一杯使うようになりましたが、ちょっと前までは、気にせず、いきなり直箸で口に食べ物を運ぶ方もいましたよね。

気兼ねのない気軽な関係なら別に良いんです。
でも一度立ち止まって「直箸で良いですか?」みたいな声をかける配慮が、コピーライターには求められると思います。

「自分は良いけど…」ではだめなのです。
「あの人だったらどう思うかな?」を立ち止まって考えることが、とことん求められる職業です。

なんだか、クリエイター採用というよりは、「人として…」みたいな話になってきたのでまとめます。

選考でこういったシーンは中々みられないけど、居酒屋でのその人の振る舞いから何を感じるか。

それは「想像力(思いやる力)」です。
僕らは言葉を扱うお仕事です。そして多くの人の目にふれる仕事をしています。
だからこそ、その書いた言葉でひとを傷つけていないか。ひとをおとしめていないか。嘘ついていないか。とことん臆病になりながら検証できる想像力が必要だと感じています。

その人は、よく笑うか。

さて、最後のポイントになりました。最後はさらっと、まとめます。
(ここまでお付き合い、どうもありがとうございます!)

僕自身「つまらなくても笑え」と言われて育ちました。

曲がりなりにもその言葉を突き通して生きてきた結果、「笑顔」は人を安心させるし、いい人間関係を築くきっかけになるし、本音を引き出す力があると体験の中から実感しています。

クリエイティブ職とはいえ、どこまでいっても人付き合い。

一緒に制作するチームとタッグを組んで仕事を進めないといけないし、クライアントと呼ばれるパートナーともひとつのチームになって仕事を進めていくことが求められます。

このとき、仕事をうまく進めるための触媒のようなものが、「笑顔」だと僕自身は思っています。

笑う人のところに人は集まるし、笑う人のところに情報やネタと呼ばれるものが集まる。

僕らコピーライターは「書く」のではなく「見つける」感覚で仕事をするので、どういったところから「見つけるか」が大切になります。

それって結局「人から」学ぶことがほとんどで、人間関係を肥沃に築くことが、その近道だと思っています。

“さらっと”なんて冒頭で書いときながら、嘘つきそうなのでまとめます。

「よく笑う人かどうか」から何を見ているか。
人間関係から、いろいろなことを学べる才能・姿勢があるかどうかを見ています。

「学べる才能」は長い目で見て、成長していくためには不可欠なものです。

力まず、仕事で成長していくために、ぜひ笑顔の装備ができているか。
皆さん、振り返ってみてください。

ちょっと偉そうに語りましたが…

僕自身がここまで語った4つのポイントを完璧にモノにしているかというと、決してそうではありません。まったくもって怠惰な人間です。

この業界に飛び込もうと思ったのも、めちゃくちゃ不純な動機で、ガッキー(新垣結衣さん)に恋したことが、ひとつのきっかけでした。
もうちょっと語弊なく正確に書くと、当時流行っていたポッキーのCMが大きな影響を受け、飛び込みました。

同世代、いや同世代じゃなくても、あのCMに心を奪われた人は少なくないと思います。

かっこよく言えば「こんなCMがつくれるようになりたい」が動機ですが、本音では「ガッキーと仕事がしたい!!」という想いで、広告界を目指すこととなります。(迷惑な話です)

だから、最終的に採用をしてもらったリクルートメディアコミュニケーションズの面接で「好きな広告はある?」みたいな質問を受けたとき、「ポッキーのCMです!」と全力で答えていました。

これ以上の広告知識がないレベルで「他には?」と聞かれた時、答えられる広告もなく、浅〜い会話のキャッチボールで面接が終わったと記憶しています。

正直「落ちた…」と思いましたが、奇跡的に拾ってもらった。
そんなところから、キャリアをスタートしています。

今回書いたような4つのポイントを、何もない僕に見出してくれたのかは定かでありませんが、チャンスを与えてくれたのは確かな事実です。

だからおなじように、僕も「未経験から」チャレンジしたいと本気で企んでいるような人は応援したいし、育てたいという思いが強くあります。そして、そんな人と選考で出会いたいと思っています。

人事担当者として思う事

ここから浦下目線に戻ります。人事担当者として数多くのポートフォリオを見ました。特にクリエイティブは正解がないから難しいもの。コピーライティングもいい例だと思います。

ただ「カッコよく言う」「言葉を上手くまとめる」という単純なものじゃないからこそ、このような視点が大事になってくるのではないでしょうか。

この経験に少しでも共感いただいた方、トゥモローゲートに興味を持っていただいた方、コピーライターとしてオモシロイ会社づくりをしませんか?

ぜひエントリーをお待ちしています。

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