中華食材の卸売から歩みをスタートした、株式会社中華・高橋。創業70周年を迎える現在は、小売・EC販売の他、自社・OEMでの商品開発、飲食店での体験・教育提供、Webメディア運営など、中華料理で日本を楽しく豊かにできるビジネスはすべてやる!の精神で事業を順調に拡大しています。今回は、3代目である髙橋滉社長に熱く語っていただきました!何度かに分けてインタビュー記事を掲載してまいります。
①中華・高橋のこれまで 二次卸からメーカー・小売へ!働き方改革とDX
フカヒレ頼りではない事業構想を
初代が1953年に創業した際は、戦時中に中国で通訳をしていた経験を活かし、貝柱やフカヒレなど乾物の取り扱いからスタート。その後も中華料理レストランに食材を卸す二次卸だったのが、2代目である父の時代にフカヒレの生産加工をはじめ、メーカー機能を強化してきました。当時、フカヒレを扱う会社で仕入れから製造、販売も一気通貫でできる企業は他にほとんど無かったし、それは現在までも続いていて、フカヒレ市場のシェアNo1を維持できている。
自分自身は2001年、28歳のときに2代目の早逝により、3代目社長を継ぐことになりました。その時にはフカヒレの売上構成比は19%だったのが、その後どんどん増えて5割近くになって…。海外の環境保護団体がサメの保護を訴えはじめ、ワシントン条約の会合でもサメが議題に上がるようになっている中にフカヒレ依存の体制でいることに、強い危機感があった。実際には中高で使用しているサメは絶滅リスクも低く、資源状態も問題ないんだけど、ニュース等では一元的にサメ漁はNOという論調となり、取引先の大手外資系ホテルがメニューからフカヒレを外すことを決定。またその少し前に、宮城県気仙沼の自社フカヒレ工場が東日本大震災で大きな被害を受けたこともあり、いよいよフカヒレ頼りの状況から脱却するための新事業を構想していかなければならないな、とフカヒレに並ぶ製造部門を育てることを決意しました。
何をするか?そこで2点に着目した。一つは、中華食材卸を60年近くやってきたから持つシェフたちとの繋がり。そしてもう一つは、将来の料理人不足による調理品の台頭。そこから導き出した答えは、プロも納得の「美味しい冷凍惣菜」と複雑に食材を混ぜ合わせてできる「美味しい中華の合わせ調味料」を世に出すメーカーを立ち上げるということ。2013年にメーカー事業「C‘s kitchen」を開始し、現在はオリジナル冷凍総菜や調味料といった自社製品の開発製造の他、外部企業向けのレシピ開発やOEMなどを手掛けています。最初は「手元にあるものを売る、ではなくお客様の潜在意識にあるものを作って売るんだ」ということを営業部隊になかなか理解してもらえず、ホテルレストラン向けでは苦戦していたので、大手ファストフードでのフカヒレスープやコンビニのふかひれまんの具など…広域営業部隊である事業開発の案件がメインだったのが、コロナによりホテルレストランの案件もぐっと増えました。
また、リーマンショックを機に、やはり中華レストランだけでは景気に左右される度合いが大きくなるぞ、と販路の多様化も推進。これまで中華のメニューが入っていなかった和食・寿司業態や焼き肉業態などの開拓にも力を入れ、更に事業開発部により食品メーカーや大手外食チェーン、大手スーパーなどの顧客を増やすことができた。おかげでコロナ禍にレストラン向けの売上が落ち込む中でも、大手外食チェーンや大手スーパー向けの売上は例年並みを維持しています。惣菜販売やオンライン通販は前年比150~200%と、コロナ禍だからこそ売上を伸ばした事業も!
コロナ禍での働き方改革・営業手法の変革
コロナでレストラン向けの売上が減った分時間ができたので、DX化による業務改善や働き方改革を進めてきた。特に受注業務では手間のかかる昔ながらの電話やFAXでの受注をやめよう、とスマホアプリでの受注、さらにはRPA導入による入力の自動化を進め、業務にかかる時間は20分の1に激減。配送現場の改革では、夜間作業を廃止し、これまで時間的にすれ違っていた担当者同士が一緒に作業することで現場の雰囲気が良くなり、ますます改善提案が出てくるという嬉しい変化もありました。その他にも経費精算や勤怠管理・購買管理などの電子化も次々進めていき、それまで年間109日しかなかった休日を121日まで増やすことができた。その前は自分でも嫌になるくらいブラックな環境で、ずーっと変えたいと思っていたのが、ようやく若い人も採用できるようになった。
いまは主要業務である営業やマーケティングのデジタル化も推し進めている途中。2022年11月には会員制の卸売りECサイトをローンチしました。訪問型営業では、①お客様とコンタクトできる時間が限られる、②営業マン個人のスキル差により顧客が得られる情報量に差が発生する、③拠点からの距離により営業できる範囲が限られる、といった機会損失が発生してしまうのを、ECサイトでは全国の顧客が、好きな時間に、整理されたわかりやすい情報にアクセスすることができる。ゆくゆくは通常のECサイトとの差別化を進め、訪問型営業とほぼ同じことができるような、営業活動全体のデジタル化を目指しています。
髙橋社長、ありがとうございました!
こちらのインタビューの続き、代表インタビュー②~中華・高橋のこれから ミッション・ビジョンと5年後 5つの柱を一流に!も是非ご覧ください。
もっと中華・高橋のことを知りたい!という方は2022年BSテレビ東京「グロースの翼」にて髙橋社長が密着取材を受けた動画「サメに‘‘市民権’’を」もどうぞ。