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「学校」だけが全てじゃない。不登校経験を経た起業家の、等身大のメッセージ 〜後編〜

前回に引き続き昨年10月に開催したSOZOW FORUMのイベント株式会社CAMPFIRE 代表取締役の家入一真さんとの対談の、後編の内容をお届けしたいと思います。

前半についてはぜひ下記より御覧ください!

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目次

  • 5.あの選択は大事だった、と振り返って思うことはありますか?

  • 6.学校の外で学んだことが、今の僕をつくった

  • 7.今の僕から子どもの僕に伝えたいこと

  • 8.さいごに

  • 9.参加したみなさまの声


5.あの選択は大事だった、と振り返って思うことはありますか?

参加者自身も自分の過去を振り返りながら、
大事だったと思う選択をコメント欄に書き込む中、家入さんがとつとつと語り出します。

家入さん:数年前、福岡に帰った時「サシで話したい」とはじめて親父に伝えたんです。実は、ちょうど自分が引きこもりをしている時期に、親父が交通事故で働けなくなり、自己破産して一家離散…ということがありました。僕は一連の流れを人前で話すことも多かったので、「僕が一家離散の話をするのは嫌じゃなかった?」と親父に聞いてみたんです。

すると親父は、「まあ最初は嫌だったけど、嘘では無い事実だし、過去を話すことがお前のためになるなら、それは構わない。ただこれだけは言わせてくれ。学校に行けなくなった時に、親が諦めてくれたことで救われたとおまえはよく言っているが、俺は諦めたつもりは一度もない」と言ったんです。

当時親父が、高校の駅のホームで一人立っている僕の背中を見た時に、今にも線路に飛び込んでしまうんじゃないかという背中をしていたそうで。
それを見た親父は「これ以上無理強いさせちゃだめだ」と思ったそうなんです。「子どものことを諦める親なんて、世界のどこにもいない」と伝えてくれて、話せてよかったなと強く感じました。

6.学校の外で学んだことが、今の僕をつくった

さらに話題は変わります。

学校外で学んだことで、今の自分を作っているのはどんなこと?
という問いかけに関しては、また色んな意見が集まりました。

「子どもを産んでから学びの連続です」
「学校で学んだことの方がとても少ない気がします」
「仕事をして色んな人に接したこと」
「外部のキャンプに参加して、料理などをつくったこと」

YouTubeコメント欄より

参加者からは上記のように多様なコメントが。

家入さん:当時、雑多に本を読んでいましたね。親が持っていた本とか、郊外にある24時間やっているような本屋で手に入れたとりとか。日中は友人とかち合うのが嫌だったので、夜中にチャリで本を買いにいったこともあります。

話題はそのまま「働くこと」へと移ります。

家入さん:そもそも僕にとって起業とは、残された最後の選択肢でした…。当時就職した会社ではうまくいかないことも多かったので。
それに、普通の生き方から外れてしまった(と思う)僕だからこそ、常識に囚われることなく、怖いもの知らずで起業できた部分はあったのかなと。

ここで参加者からのコメントが。

「なぜ働かなければならないかと息子によく聞かれるのですが、なんて答えていいかわからないです。楽しむためと言いながら、働き詰めで休めなくて好きなことできていない大人がいっぱいじゃんと言われます、、」

YouTubeコメント欄より

家入さん:たしかに、なんで働かないといけないんでしょうね(笑) 悩みますが、僕だったら「働くということの定義」から始めたい気がします。「働く」と一言で言っても、色んな定義や価値観がありますよね。まずはそこから一緒に考えたり、話したりすることがよいのかなと。

小助川:なるほど。僕個人の経験としては、「自分のやりたいことを、実現するための手段が仕事なんだな」と思えるようになってからは、趣味と仕事の垣根がなくなって、楽しくなる感覚がありました。

7.今の僕から子どもの僕に伝えたいこと

最後のセッションテーマ

家入さん:今タイムマシンに乗って、当時の家入少年に会えるとしたら伝えたいことがあるんです。それは「本当に、世界は広い」ということ。
10代の頃の僕は、学校からこぼれ落ちてしまうことは、世界からこぼれ落ちてしまうことと同じように感じていたと思うんです。
しがみついて学校に行っても、ふとした時にポキって心が折れてしまうこともあるわけで。世界が学校だけだと思うと、どうしても依存したり、しがみついてしまうんですが、今振り返ってみれば、全然小さな世界だったなと感じるわけじゃないですか。世界は本当に広くて、色んな人がいて、色んな生き方がある。「今いる場所だけが、世界じゃないよ」と伝えたいですね。

またもう一つ、親が僕にしてくれたことでありがたかったのは、色んな機会を与えようとしてくれたこと。僕の場合は「山田かまち」だった。何がキッカケになるかなんてわからないんですよね。
親世代が下の世代にできることは、色んな選択肢を与え続けることなのではないのかなと。それが上の世代から下の世代へやるべきことのように思うんです。

親は、子どもに「こうあってほしい・こう生きてほしい」といったような願いを含めて「子どもに呪いをかけてしまうこと」が時にあると思います。例えば、自分が叶えられなかった夢を託してしまったり。
だからこそ、自分の接した言葉が、子どもにとって呪いとなってしまう可能性があることに、自覚的になるのも大事なのかなと。
僕自身、子育ての中で子どもに言って後悔したことは、後から反省して、素直に「ごめんね」と伝えることもあります。
基本的に一人の人間として子どもに接していきたいなと思っているんです。人間としてやられて嫌なことは、たとえ親だとしても嫌だということをちゃんと伝えたりしますね。

8.さいごに

家入さんの話を聞き、参加者の皆さんの中でも気づきが多かった様子の今回のセッション。最後に参加者がコメント欄に感想・質問を記載してもらう時間を取りました。

コメント欄には、参加者の皆さんが共感したこと・気づきを得たことが
どんどん書き込まれていきました。

その中で一つ、以下の質問を取り上げて家入さんに回答いただきました。

「現在の不登校の増加に対する家入さんの見解を教えてください」

YouTubeコメント欄より

家入さん:「不登校」という言葉一つをとっても、そこに至る経緯は色々あります。僕みたいに「いじめられた・馴染めなかった」という子もいれば、人生の選択肢が多様になる中で「学校に行くだけが全てじゃないよね」と考える子もいます。それが総じてこの数字に現れていると思います。
やっぱり「不登校」という言葉自体がそぐわなくなってきてるんじゃないでしょうか。「登校」と「不登校」の2つに分けるから、「学校行ってない=不登校」と考えてしまうわけです。ですが、たとえばSOZOWスクール(SOZOWが運営するオンラインのフリースクール)での学びは、リアルの学校に行ってないという点で「不登校」という定義になりますが、実際にはそこで学んでいるわけで。ゼロイチではなくて、グラデーションだと思うんですよね。

僕としては「行きたくてもいけない」「馴染めない」思いをしている子たちは絶対的に減った方が良いなと思っていますけど、学校に行く以外の選択肢が増えてきていること自体は良いことなのでは?とも考えています。
最近どこかの市長が、フリースクールに対して否定的な発言をしていましたよね。ああいう価値観があるんだなとは思いつつ「みんな我慢していってんだから、行かないやつは甘えてる」みたいな考え方は、それは違うよね?と思います。
不登校という言葉の中にも、色んなグラデーションが含まれていて、多様なあり方が許容される社会になっていければいいですよね。

小助川:本当にそうですね…とても共感します。


最後に家入さんから参加者の方々へメッセージをいただきました。

家入さん:今置かれている状況が苦しい方も、この中にはいらっしゃるかもしれません。親子の関係を短期で見ると、今この瞬間が絶望的になったり先が見えないように感じがちですが、子どもとの関わりは、長期で捉えて本質に立ち返ることが大事なのかなと思います。

「僕らはどんな生き方がしたかったんだっけ?」
「子どもに何を願ってたんだっけ?」
そういった本質に立ち返って、考える時間を定期的に持つこと。長期で見ると、時間が解決してくれることもあるはずです。
短期で見たら難しい状況ももちろんありますが、今目の前で辛い状況があったとしても、いつか解決する日が来るので、あまり思い詰めずにいてほしいですね。

9.参加したみなさまの声

参加後のアンケートでは、今回の家入さんのお話が、多くのご家庭にとって貴重な機会であったことが伺えるコメントが数多く見られました。

「不登校の子ども視点のお話が聞けて目から鱗でした。」
「我が家以外でもたくさんの人が悩まれてるということもわかり、すこし勇気付けられました。」
「不登校経験のある家入さんが、その後努力して楽しく生きている姿に、うちの子も大丈夫!と安心できました。優しい語り口で、すっかりファンになりました。」
「経験者としてのお話が胸にささりました。あの時こうだった、という貴重なお話でした。」
「お父様の『諦めてなかった』という言葉に涙が出ました。私も同じ思いで、不登校の息子と過ごしています。さいごにお話のあった『長期的に考えること』を大切にしていきます。」
「家入さんのお話を聞いて、毎日これで良いのだろうかと迷いながら子どもたちと接している日々も、無駄ではないのかもしれないと思えました。」

参加後アンケートのコメントより

SOZOWは、今後もSOZOW FORUMを通じて、大人たちが「正解のない問い」に向き合い、学び合う機会を提供していきます。

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