今回は、UPDATERのファッションSX事業「Shift C」を担当している山浦誉史さんにお話を伺いました。山浦さんは、外資系ファッションブランドでキャリアを積まれ、CSRサステナビリティコーディネーターとしてアパレル業界でのサステナビリティ推進に取り組まれてきた経歴をお持ちです。
留学から帰国後、大手外資系アパレルへ
ー大学時代はアメリカで過ごされたと聞いています。どういった流れで前職のアパレルブランドで働くことになったのですか。
日本に帰ってくるまで人生の半分以上をファゴットという楽器に捧げていて、サンフランシスコの大学に通って音楽を学んでいました。自分の場合、超貧乏な留学生で、「週末5ドルしかないけど、あと3日間どうやって、何を食べて生きていこう」みたいな暮らしをしていました。
その時に前職のブランドを知って、自分でも手に入る価格のファッションってすごい助かると思って、行ったんですね。それが最初にそのブランドを知ったきっかけでした。
アメリカには8年いたんですが、「もういいかな」と思って日本に帰ってきました。帰国してからも細々と音楽をやっていましたが、「やっぱり音楽じゃ稼げねえや、自立できる仕事をしよう」と思って就職活動をしました。
英語を使える仕事であることと、せっかく働くなら公共や社会のために仕事がしたいなと思って、外資系と国家公務員の二軸で就活をしていました。両方、ほぼ同じタイミングで選考が進んでいたのですが、前職の会社から1日違いで先に連絡がきたのでそっちに行くことにしました。
ーファッションブランドに入社されてからのことを教えてください。
たまたまアメリカで知ったブランドが、日本に帰ってきたら進出してきていて、お店も地元の福岡にできるということを知って入社したら、がっつりアパレルのリテールの現場が楽しくなっちゃいましたね。オフィスの職種での採用でしたが、最初は店舗の現場から始めたいと希望して、結局6,7年くらい、店長までやってから本部のサステナビリティ担当に異動しました。
今思うと、現場はすごく楽しかったですね。人のマネジメントをすごく学ばせていただいたと思います。店長になってからも、上に立つって謝る仕事なんだなって思ったり、喧嘩を止めたり。そこでしかできない経験をたくさんさせていただいて、とても楽しかったです。
でも最初から、サステナビリティとかCSRに関係する仕事がしたい、ポジションが空いたらそこに就きたいと言っていたんです。前職のブランドの中には、今のサステナビリティに繋がる言葉としてCSRやサステナビリティという言葉が当時からあったので、民間でも公共に資することができるなんて面白そう、というのが自分の入社の決め手でもあったので。
サステナビリティについては、実はすごく早い段階から取り組んでいて、当時のサステナビリティの概念は今とは違うものではあったんですけど、90年代後半ぐらいからCSRレポートを出していました。さらに、自分が就職した2000年代には、サステナビリティレポートという名称でレポートを出すようになっていました。
ブランドとお客さま、両方が歩み寄れるサステナビリティを目指して
ーサステナビリティの担当としてはどのような仕事をされてきたのでしょうか。
自分は、サステナビリティ担当の2人目だったのですが、前の担当者が退職されてポストが空いたので異動することになりました。店舗も後輩に任せていいなという状況でもあったので。
職責としてはいくつかのものがあって、まず一番の柱だったのがサステナビリティに関する内側・外側のコミュニケーションを通して、従業員とお客さまののエンゲージメントをドライブするということで、要はサステナビリティの取り組みを通してブランドのファンを増やすことでした。
あとは、ローカル市場のサステナビリティの取り組みを推進するというもので、わかりやすい事例では、店舗の古着回収サービスを推進することで行動変容を促していました。広報的な立場でもあったので、フォーラムやカンファレンスに出てお話させていただいたり、社内のサステナビリティのブレーン的な立場で、各部署のサステナビリティに関する目標について伴走することなどもやっていました。
ー前職のブランドは「ファストファッション」として有名なブランドだと思いますが、ファストファッションとサステナビリティって結び付けるのがすごく難しそうです。それをどう近づけていったのでしょうか。
やっぱり1番難しかったのが、「ファストファッションブランド」というイメージを覆すことでした。その看板でやってきたので、このイメージって多分これからも簡単には覆らないと思うんですけどね。
ファストファッションとサステナビリティって正反対っていうイメージが持たれやすいですよね。その中でも、素材であったり、サプライチェーンを変えていたり、気候変動への取り組みであったり、コミュニケーションの材料を基に根っこから説明して、ご理解いただけるように努めていました。
ブランドの考え方として、サステナビリティってみんなで取り組んでいくことなんだよというものだったので、社内外をいかに巻き込んでいくかがとても重要でしたね。プロジェクトをやるときには、ブランドと消費者が歩み寄れるようなコミュニケーションを心がけるようにしていました。
日本のファッション業界をサステナブルにアップデートするために
ー何のきっかけでUPDATERにジョインされたのでしょうか。
今年(2024)の初めぐらいに知り合い経由でShift Cのことを聞いて、なんか面白そうと思ってたんです。前職でのサステナビリティ担当ももう6年目くらいになっていて、縁があれば、そっちの方に行くのも面白そうだなっていうことを思っていました。Shift Cの中でGood Measuresというサービスができるので、営業してほしいというお話をいただいて、入社することになりました。
入ってみたら、結構幅広く色んなことをやらさせていただいていますね。「自分は営業なので、それだけやります!」って言い切ってもいいのかもしれないですが、営業するためにはまずはここを整理しないといけないとか、ここ草刈りしないととか働き進めるごとに出てきているので、Shift C事業全体の整理整頓を進めながらGood Measuresの営業もやっています。
Shift Cチームは、日本のファッション業界を少しでも変えられるように頑張っているチームなのですが、それを実現するためには私たち自身がアップデートしていかないといけない。もっとこうした方がいいと思ったことを口に出す前にもう動いちゃってるみたいなところがあるので、そんな感じでチームと協力しながら良い事業になるように取り組んでいます。
UPDATERは、入ってみたら本当に面白くて。日々「勉強になります」の気持ちで働いています。みんな真剣に、私生活も含めて社会課題に取り組んでるのですごいなと思っています。
サステナビリティを次世代の宿題にしない
ー山浦さんがShift Cを通して実現したいことを教えてください。
Shift Cが国内のファッション市場を変えますっていうのはちょっと僭越な話ではあるんですけど、少なくともソリューションの1つにはなりたいと考えています。すごく面白い事業だと思うし、今チーム内で考えてるようなことが本当に実現したら、国内のファッション市場もより良くなると思うので。
今は事業としてやっと始まったところで、次のステージとしてShift C自体はファッションとサステナビリティの領域に強いメディアとしてのポジションを確立すること、その先に、Good Measureも含めてブランドがサステナブルに変わるためのソリューションを提供することを考えています。
Shift C事業として自立して二本足で歩けるようなステージ、つまりビジネスとしてちゃんと自立して、ソリューションをブランドや消費者の方に提供できるようにしたいと思ってます。2030年くらいまでには、そういうポジションを築きたいですね。
いろんなことが積み重なって今の地球の状況があるわけで、それを作り上げてきた自分も含めてお兄様、お姉様方の世代も一緒になって考えて実行していかなけば、サステナビリティは実現できないと思ってます。
ほら、すぐ未来に引き渡そうとするじゃん?笑 若い子たちが頑張ってくれるから、任せたって。でも自分たちがやってきたことのツケを今払っているわけだから、自分たちの世代で解決できるように頑張るんだよって、そういう気持ちで取り組んでいかないといけないなと思っています。