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SIerはこれからのIT人材の宝庫だと思っている。

今日はSIerについて僕が思うことを書いていこうと思います。
(SIerがなにか分からない方向けにもSIerとはなにか簡単に解説も入れていきます。)

IT業界で近年、SIerは諸悪の根源のように批判されることが多いように感じます。
確かに、SIerは悪と言える点も多々ありますが、ただそれだけではないと僕は思っています。
なにより、ちょっと不思議なSIerのことを詳しく知らない方が多いのではないでしょうか。

ちなみに僕はもともとSIer出身です。
新卒で入社した会社が、富士通マーケティングという会社でした。
マーケティングと名前がついているものの、マーケティングをしている会社ではなく、富士通のグループ会社の中で最大手だったSIのグループ会社です。

富士通の本体ではなく、グループ会社のSIerと、まぁまぁSIという業界のど真ん中なので、元SIerの中の人として書いていきます。

その後はSalesforce→Zuoraと、いわゆるSaaSやサブスクリプションのど真ん中の会社を経験し、今は自分でSaaSビジネスの会社を創業しているので、その方々が思っているであろう気持ちも踏まえて、書いていきます。

目次

  1. 先に結論
  2. まず、SIerってなに?
  3. SIerは何をしてくれるの?
  4. SIerの闇
  5. SIerのエンジニア(SE)の不思議
  6. 余談:SIerの人材は優秀か?
  7. SIerが存在する理由
  8. トレンドとSIer
  9. 旧態依然のSIerの得意分野
  10. ユーザー側も変わらないといけない

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先に結論

僕がSIer(特に旧態依然の大手SIer)は今後どうなって欲しいか、どうあるべきか。
という結論を書きます。

つまみ食いはやめて、本当に得意な分野に集中してほしい。

では、本題に入っていきます。

まず、SIerってなに?

SIerってまず、言葉がわかりにくいですよね。
これは、システムインテグレーション(SI)をしてくれる会社のことです。

システムインテグレーションってなんだ・・・
ネットワークやハードウェア、ソフトウェアなどを組み合わせて、システムを構築することです。

誤解を恐れずにもっと噛み砕くと、
ITを本業としていない会社に対して、外部からIT部門を代行してくれる会社と言ったらわかりやすいかと思います。

このSIerの出自を分類していくと、大きく3つのタイプが存在します。


メーカー系

​もともと、ITに関連するパソコンやプリンターなどを作って売っていた会社がSIを始めたパターンです。
SIerの象徴的な存在が、メーカー系です。

ユーザー系

もともと、自社やそのグループ会社の情報システム部門が独立し、グループ内のみならず、社外に外販しはじめたパターンです。
厳密に行くと、銀行系、通信系、商社系などがあります。

独立系

親会社やグループを持たずに、独立してSIを行っている会社です。最初からSIでビジネスをしている会社です。

SIerは何をしてくれるの?

基本的に、何でもやってくれます。

・ハードウェアの販売
→それこそ、マウス1個からでも売りますw
・ネットワークの構築
→回線を手配してくれます。
・社内システムの構築
→とにかくなんでも作ります。
・保守
→ハードウェアはソフトはもちろん、BPOをやってたりもします。
・データセンター
→自前でデータセンターを持ってたりもします。

その他諸々

とにかくなんでもやります。
メーカー系であっても、自前のパッケージソフト等を持っていない場合は、他社の製品を代理店として販売することもあります。

今となっては笑い話なのですが、
僕がSIerにいたころ、6社のコンペで会計と販売管理の刷新の案件がありました。

その時出てきたベンダーは先程例にあげたような会社だったのですが、
6社中4社がMicrosoft Dynamics AXを提案。
6社中2者が自社のパッケージを提案

結果として、Microsoft Dynamics AXが採択されることになりました。

ここでなにかおかしいことに気づきましたか?

お客様は同じ製品を提案した4社からどうやって選定したんだろう?
そもそも、同じ製品の提案を4社がするって意味があるんだろうか?
その会社はMicrosoftじゃないけど、ちゃんとしたサポートは受けられるんだろうか?

ここがSIerの不思議ポイントです。

もっともっと誤解を恐れずに言います。

SIerは、ITに関することならなんでもやる、いわばIT商社です。

SIerの闇

ここで、商社と表現したのには意味があります。
どこかから物を買ってきて、販売する。そして、基本的に他社と競合する。価格競争も発生する。
当然、このビジネスだけでは儲かりません。

もっというと、素敵な自社パッケージがほとんど存在しないw

では何で儲けるのか。

人を動かして儲けます。

エンジニアを稼働させ、そのシステムのカスタマイズや開発を本当に必要か否かは考えず、とにかくエンジニアを稼働させることを重要視します。

そして、そのエンジニアが実際に技術力を持っていて、手を動かしているかというと、そうではありません。

えげつないレベルの多重下請け構造になっており、実際に手を動かすのは下請けを行っている小さな会社であることが多いです。


良い画像があったのでお借りします。
出典:https://bit.ly/32ZPsco

僕は富士通マーケティングという、メーカー系のSIerだったこともあり、95%くらいは一次請けでしたが、場合によっては富士通の下請けを行い二次請けであることもたまにありました。

そして、この下請け構造は三次請けなんて甘いレベルではなく、僕が関わった案件で、僕が把握しているだけで5次請けまで存在するものもありました。(多分、もっと先があると思います。)

SIerが嫌われる理由として、この多重下請け構造があると思っています。
エンジニアの方で、元請けの会社から「安くしろ!早くしろ!」と言われた経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ちなみに、最上流だとエンジニアの1時間の単価は2〜3万円で受注し、お客様からお金をもらっていますが、最終的には2〜3千円でどこかの開発会社が動いていたりするのです。

なので、SIerが嫌われるのは、SIer自体よりも、
大手SIerが行うSES(エンジニアの委託契約)による、多重下請け構造による、中間搾取だと僕は思っています。

THE中抜きビジネス・・・

SIerのエンジニア(SE)の不思議

SIerのSEの多くが本当に広く浅く仕事をします。

・営業に同行し、一緒に提案をする
・受注後のプロジェクトのPM
・外注先のマネジメント
・お客様からの問い合わせサポート

これを全部一人でやるって、死ぬほど大変な割に、何かに特化して技術やスキルが身につくわけでもなく、自分が稼働しないと赤字になる。
なので、とにかくなにかお金になる仕事を取らないといけない。
取れるなら多く取りたい。

とまぁ、こんな感じになっていると思います。

外資系だと必ず営業とタッグを組んで受注まで実行するプリセールスエンジニアがいますが、SIerにはほとんど存在しません。

受注後はプロジェクトマネジメントを専門で行うPS(プロフェッショナルサービス)の部隊がありますが、SIerは基本的に提案時に同行していたSEが実施します。

日本のSaaS企業でエンジニアというと、自社のサービスの開発を行う方が多いと思いますが、SIerのエンジニアはコードを書くということはほとんどしません。

せっかくエンジニアとしての技術やスキルを身に着けようと思っても、なかなか身につかないのではないでしょうか。

余談:SIerの人材は優秀か?

しかし、不思議なことにSIerには結構優秀な人材がたくさんいます。
特に若手で高いポテンシャルを持っている方が多いです。

NTTデータ、日立、富士通なんていったら、超大企業なわけで、それこそ凄い学歴であったり、学生時代に凄いことした人だったりと、リーマンショック以降は特に優秀な方が入社をしているイメージです。

が・・・
・びっくりするくらい転職して入ってくる人が少ない
・大企業すぎて外の世界を知らない

という、不思議な環境にあるので、外の世界にでるとびっくりするということがあると思います。

SIerが存在する理由

ずばり、日本企業のITリテラシーの低さと、IT人材の配置です。


ぼくはこの3点が大きな問題だと思っています。

ソースはこちら


なんでもかんでもSIerに頼っていたら、IT人材がIT企業以外にいなくなってしまったのが日本なのです。

とはいえ、世の中の企業ができないことをやっている部分を担っているという観点では、SIerの存在価値はあると僕は思っていますが、どうしても1つ気になる点があります。

トレンドとSIer

SIerは、ITに関することならなんでもやる、いわばIT商社

と、先程書いたとのですが、IT業界、もとい、テクノロジーの進化は驚くほど早いです。

現に、クラウド、特にSaaSの台頭によって、受託開発ソフトウェアから、パッケージ型のソフトウェアに移り変わりつつありますが、日本では圧倒的に遅れが生じています。


他にも、AIやIoT,ブロックチェーンなど、さまざまな新しいテクノロジーが生まれてきています。

最近の日本のIT業界でいうならば、DXという言葉を聞かない日は無いですよね。

そして、SIerもDX,DXと叫んでいますよね。

ここからは完全に僕の私見ですが、
SIerはこういった新しい技術に対応するノウハウもリソースがほとんど無いと思っています。

なので、外部から大金を詰んで人材を確保しようとしています。

SCSKは年収3000万円で募集、IT業界の高度人材争奪戦が止まらない(ニュースイッチ) - Yahoo!ニュース SCSKは、年収3000万円を提示できる高度IT人材の募集を始める。既存の枠組みを超える優れた人材を「ADV職掌」としてnews.yahoo.co.jp

逆に言えば、テクノロジーに関するスタートアップのほうが圧倒的にこのような知見を持っていると思っています。

そもそも、最初からデジタル化したビジネスをしている会社にDXは不要なのです。

つまり、

SIerはDXともっともらしく言うのですが、その負の種を撒いたのはSIerだということをもう少し自覚して欲しい

と思っています。

最先端の技術について知りたいのであれば、それこそメルカリやスマートニュースに相談するほうが確実に知見もリソースもあるはずなのです。

(最先端のテクノロジーによってSIや受託開発をする会社も存在していますが、今回のSIerの定義は、旧態依然の大手SIerだと思ってください。)

もちろん、「2位じゃだめなんですか?」でおなじみのスーパーコンピューターを作っていたり、5Gに関するインフラ周りのハードなど、彼らにしかできないお金を必要とする技術や知見があることは分かった上で言っています。

旧態依然のSIerの得意分野

SIerはもともと、ビジネスモデル的に受託開発をすることで成り立っている会社ですし、メーカー系であればハードウェアを作っていることに強みがあります。

そもそも、このビジネスモデル自体がDXの対象ではないでしょうか。

ここでは、労働集約的なビジネスが悪と言っているのではなく、改革改革といいながら、結局、大きな会社の根幹の収益源を変えられず、レガシーな受託開発を続けてしまうことを指してます。

なので、あえて最先端のトレンドをつまみ食いするのではなく、本当に自分たちの強い領域に尖って欲しいと思っています。


経済産業省のDXレポートによると、日本の企業の8割はレガシーシステムを抱えていると言われています。

そして、9割が技術的負債を抱えていると言われています。

これらをDXという耳障りの良い言葉で自分都合でビジネスチャンスに変えようとするのではなく、あえてレガシーに尖ってそれを強みにすれば良いのではないかと思っています。

例えば、オフコンを今後も作り続け、どうしてもオフコンを使いたいお客様のためにCOBOLのエンジニアを育成し続けるとか、

ドットインパクトプリンタ(カーボン紙の複写紙に印刷ができるプリンタ)を作り続けて、それが必要なお客様に提供して保守を続けるとか。

全国に拠点があることを活かして、ハードウェアが壊れたらすぐに駆けつけてくれるとか。

そのほうが自分たちの強みを活かせると思うんですよね。

ユーザー側も変わらないといけない

もちろん、SIerだけが悪いのではなく、全てSIerに丸投げをし、社内にITのノウハウやリソースを確保してこなかったユーザー側にも大きな問題があるのも事実です。

実際に、SIerからSalesforceを買ったところで、そのSIerは多分、Salesforceのこと詳しくないですよ。それで、しっかりサポートしてもらえるんでしょうかね?

中抜されちゃうだけだと思うんですよね。

しかし、これからの時代はローコードやノーコードといわれる、プログラミング不要で開発ができる時代になりつつあります。

また、社内のIT部門に任せっきりにしてきた、それ以外の部門の人にも問題があると思っています。
これからは、だれもが仕事をする上で絶対にITと関わるので、すべての人がIT人材になっていくべきだと考えています。


苦手意識を持たずに、IT部門以外の方も、もっとITを使っていく世の中にしていきませんか?

SaaSは素敵だけど弱点もある

僕は、ほとんどプログラミングができません。
(一応、高専の電気科出身なので、PICアセンブラとC言語を底辺レベルで触れる位ですが・・・)

しかし、SaaSやローコード、ノーコード開発のお陰で社内の仕組みはほとんどデジタル化できています。

基本的にSaaSは多くの企業のベストプラクティスの集合体でできており、それに業務を合わせる形で効率化をはかるものです。基本的にSaaSに受託開発は不要なのです。(あくまで基本的に!)

これらをSIerに丸投げをするのではなく、IT部門に丸投げをするのではなく、自分たちで導入し、活用していく努力が必要ではないのでしょうか。

とはいえ、SaaSにも弱点は存在します。今回のnoteでは割愛しますが、SaaSが大好きな僕ですら、SaaSがすべてだとは思っていません。

「一方ロシアは鉛筆を使った」というような状態になっているケースも散見されます。

SaaSを盲信するのではなく、SIerを盲信するのではなく、ITにおける適切な判断を自分たちで行う。
そんな世の中になってほしいなと思い、それを支援するプロダクトを弊社は作っていますので、折をみて、またご紹介できたらと思っています。

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SIerご出身の営業やエンジニアの方で、上記内容にご共感いただける方はどこかで一緒にお仕事ができると嬉しいです。

もちろん、弊社に入社いただけると嬉しいですが、SIerで今後のキャリアに悩んでいる方もお気軽にご連絡ください。
そして、採用もしていますw


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