Contrea株式会社に、Medical teamのインターンとして参画している吉田琳奏です。
本日、ContreaのHR決算資料2024『Our Wellness Culture』を公開しました!
人的資本経営のためのHR決算資料の作成にあたり、コントレアの文化形成や組織づくりについて西尾さんにインタビューを行いました。人的資本開示に力を入れるに至った経緯から、資料作成に向けて改めて組織を俯瞰した時に見えてきた強みと新たな課題など盛りだくさんな内容となっております。また、西尾さんのVPoHRというポジションとしての意思決定、経営×組織づくりという視点からもお話をしていただきました。
何より、「働いている自分たちが安心を感じられる組織作り」「組織文化の強いコントレア」を裏付ける内容となっております!
ぜひ最後までお付き合いください。
ーーまず初めに、このフェーズのスタートアップで、人的資本開示に力を入れようと思った経緯を教えてください。
2024年から上場企業開示義務が設けられるようになったので、いろんな会社の取り組みが比較検討できるようになり、施策の中身を見れるようになったことが一つのきっかけでした。一方で、組織に対する取り組みは上場企業だけがやるべきものかと言うと、当然どこのフェーズの会社もやるべきことなので、基準として考える必要を感じました。
また、開示の中に必要な項目とは、今のフェーズの会社においても大事なことがたくさんあり、それをうちがどこまでできているのかを整理してチェックすることはやるべきプロセスだと思ったことが背景です。
ーー西尾さんの就かれているVPoHRというポジションは、どういう役割を担うものとして位置付けられているんですか。
まず、経営という大きな括りの中に、事業を進めていく・プロダクトを作っていく。それと同様に組織を作っていくという項目があるという認識です。
一般的に組織は、特に小さいフェーズだと、採用をするところにフォーカスされていて、人を採るところから切り分けられて、それとは別に経営という業務がある。また、社員を評価することや、 配置転換することを含めた経営をする話と、事業を進めていく話が比較的分断されている部分もある。でも、それは分断すべきものではなく、会社における全ての活動は事業を伸ばすためにあるわけで、組織というのは事業を伸ばしてミッションを達成するために存在しているということを考えると、組織に対してはいかに事業を伸ばすために何ができるのか考えるのが重要な役割であるというのが前提にあります。
VPoHRの話をすると、解決策が見当たってないものを仮説をはめて検証していくことが求められていると思います。HRのなかで既存の教科書をコントレアのゲームルールに適用させて判断する、あるいはまだ見ぬ手法を科学として考える、ということがVPとしてやる意義だと考えています。
ーー「事業を伸ばす」という視点で、組織を成り立たせるために意識されていることはありますか。
組織を成り立たせるために大事にしていることは、一つは見ている方向性が同じかどうかです。やはり人がたくさん集まってくると、集まる理由もバラバラになっていくので、細かいところで違うのは全然いいのですが、大きいところで一緒の方向を見てるのかというのは、ものすごく大事だと思っています。
もう一つは、この事業に共感しているところを広げたいと思っているのか・よくしたいと思っているのか、あるいはこの事業領域・医療というドメインを良くしていきたいという気持ちがある人を採用することですね。
その上で、ここの会社が目指しているいい文化をしっかりと作り上げていって、「良い事業を伸ばすための良い会社」という接続がちゃんとできているかってところは、組織作りにおいて大事にしている観点ですかね。
また、別の切り口でもう一つ大事な観点として考えているのが、やはり人が集まると問題が起きるということ。会社でなくても、人がたくさん集まることで、何らかの齟齬や情報伝達ミスが生まれますが、揉め事の形が違うだけの話だと思っています。
会社を大きくする上で、健全で前向きなエネルギーのディスカッションはたくさんすべきですが、その足を止めてしまうディスカッションもたくさんあって、それがいかに発生しないかはすごく大事だと思っています。
あるいは、会社として望まない形で会社から人が離れることによって、誰かの仕事がより圧迫されて、仕事が全体として進まなくなっていく、俗に言う組織崩壊みたいなことをいかに起こさずに、事業の推進を邪魔せずに組織をちゃんと大きくしていけるかというところがテーマかなと思ってますね。
ーー具体的にどんな施策を打ち出したことで、組織が良くなりましたか。
一つ大きなきっかけとしては事業と組織への考え方の分断をなくしたことです。
コントレアって、文化を大事にしていて、僕が入った時から、みんなが嫌な気持ちにならずに働いていく会社を目指していました。これは別に僕が入ったからそうなったのではなく、元々文化を大事にする思想があったから僕が入ったという順番だったと思っています。
ただ、これがよく僕が例える牧場の状態なんですけど、当時は穏やかに暮らせることだけにフォーカスされていたので、その中で成長していくとかは起きません。それは当然で、挑戦によるストレスすらも怖がってる状態に近いので「何かをするっていうことは、頑張らなきゃいけない。頑張るって汗かくじゃん。気持ち悪くない?」みたいなところまで行っちゃったような考え方だと何かを為すのは難しいということです。
でも、組織を良くするというのは、あくまでも事業を伸ばさなければいけない前提にあるので、事業と組織との接続をすることがまず1番にやったところです。具体的には、これをするとどういうことが起きるのか、しなかったらどういうことが起きるのかを1個1個説明していくということです。
他には、何か全体に関わる施策を行うときは、1個1個の背景を細かく説明しています。「なぜそれを今やってるのか」というものが、みんながわかってる状態で物事が進んでいるのがポイントだと思っています。経営として「こういうことやることにしました」みたいな話ではなく、なぜやろうと思ってるのか、やらなかった時どうなるのか、他の選択肢がなかったのかということをちゃんと伝えるのはすごく大事だと思っていますね。
ーー組織における「文化」とは何だと捉えていますか?
まず、「文化の強さとは何か」ということですが、これは文化が強い会社と文化が弱い会社で比較した時に、何が違うのかということですよね。僕は、人が集まった時のエネルギーとして、掛け算の能力が強い組織のことを文化が強い会社だと思っています。
単純に人がたくさん集まって、タスクを切り出して…ということをやっていくと、基本的には足し算、つまり総和で考えていくのがあるべき形ですよね。この人はこの仕事ができる。あの人はこの仕事ができる。いざ、それを足し合わせていった時に、いろんな仕事が埋まっていって業務が遂行されているという状態が総和の考え方なのですが、掛け算の考え方は別のところにあると思っています。
基本的に、総和を引き上げるには、採用でそれぞれの業務のスペシャリティーが高い人を集めるのがおそらく一番早いと思うのですが、掛け算の力がないとそう簡単にプラスの式にならないのではないかということです。
特に、乗り越えなきゃいけない時の踏ん張る力だったり、あるいは何らかの失敗とか自社だけじゃない環境要因によって、会社としてトラブルやインシデントが起きたりする状況からの復活・乗り越える力だったり。これは「一人が踏ん張って立ち上がっています!」というスタンスでは基本的には無理で、問題が起きている時に「自分は緊急でこう蓋をしに行きます」「自分はここを固めに行きます」という風に、みんなで粘って各々の動きをしに行った時に初めて発生するエネルギーだと思っています。このエネルギーがしっかりと出ていかないと問題が問題として出現していって、そこのリカバリーにより時間がかかってしまう。ここのリカバリーが早くできる、あるいは問題として大きくなる前に消火することができるみたいなことは、個人のスキル的な問題ではなくて、みんながどこを繋ぎに行くのか、どこのために動けるのかという話になってくるから、ここが積の力・かけ算の力だと思っていて、これが強いところが文化が強いところだと思ってます。
スキルで表現できないものの、掛け合わせで乗り越えられる問題が世の中にはたくさんあって、その問題解決に強い組織というのが文化が強い会社と定義すべきだと思っています。
例えば、「めっちゃ仲が良くてプライベートもいつも一緒です」みたいな会社って全然あると思っています。でも、いざ誰かが辞めたいと思った時に、すぐそれは他の誰かが拾える状況になっているのかと考えると、「仲が良い」というのはプロセスの話であって、結果としてそれによって何が救われるのかという話がその文化の強さだと思っています。仲は良いんだけど、人は辞めていくし、みんな言いたいことはバラバラだし…という会社が文化が強いのかというと、文化が強いかどうかは別の話じゃない?という話になってくるということです。
ーーそれでいうと、コントレアの文化は何でしょうか?
どんな局面だとしても本当に自分たちがやってることは、自分たちの向き合っている顧客に対しての課題を解決しているのかという、課題解決にすごくピュアなところが文化としては大きいと思っています。また、対事業だけでなく、社内でも課題解決というものをちゃんと意識していること。社内の問題も含めて、何かが起きた時に、これはみんなで解決をすべき問題だねというのが揃ってるのがコントレアらしい文化だと思ってるし、それがあるから、例えばプロダクトチームは、現場に足を運んで課題解決の材料をしっかりと拾いに行くのだと思います。他のチームも、チーム間を超えて連携することによって、自分たちの専門性を自分たちの業務の中に閉じるのではなく、会社全体の中に散らばっているという認識があるのがコントレアらしさなのではないかと思います。
ーー人数規模も大きくなるにつれて、ワークマネジメントやピープルマネジメントも大事になってくると思いますが、その運用はどのようにされていますか?
まず、組織を作る上でのワークマネジメントとピープルマネジメントがあった時に、これは2つ揃ってモノがまっすぐに進むっていうのが前提だと思ってるんですよ。片方だけの車輪で、モノはまっすぐに動いていかないという考え方です。
そうなった時に、教科書があって汎用的に解決しやすいものはワークマネジメントのところ。これは、人が活躍しやすいという汎用的な話と、うちの会社って?という個別性の話の2つが重なった時に、どういう評価制度にしていくのか、どういう会議体設計をしていくのか、どういう等級制度・キャリア制度にしていくのかを考えていくという話です。ここは、設計の思想をしっかりとみんなに伝えて、運用していって、修正点があれば直していくということをしていけば、一定の科学がされている領域なので、それは早い段階でやっていくべきことだと考えています。
一方、ピープルマネジメントに関しては、科学がまだ世の中的にあまりちゃんとされてきていないんですよね。人対人で向き合う時の技術として、1on1の設計やメンター制度、コーチングの理論など様々あると思うのですが、そのどれもが絶対解ではないと。なぜかと言うと、取り扱う側の人間の特性と、それを受ける側の人間の特性は、人の数だけあるので、理論の中にも向いている人と向いてない人が存在するからです。ここがピープルマネジメントの難しいところだと感じています。良いとされている1on1のやり方があった時に、一定の水準まで誰にでもハマるというのが理論なのではなく、その理論にハマる人とハマらない人がいるという状態になってるのが、この領域の難しいところだと思うんですよね。
本来科学というのは、全員が一定の同じ水準までいけるんですけど、その最終の応用編みたいなところは個別差があります。これは仕方ないと思っていて、コミュニケーションとかそもそものファーストステップから実は全然合わない人がいることは結構あると思っています。そこを乗り越えるための策としては、今のこのフェーズでは個人個人と向き合うことしか今はやってないです。
その上で、例えばメンター制度では、これをやってくださいと決めるよりかは、この人にはこの人がメンターについた方がいいのではないかと考えて、その上でやり方においてはメンター・メンティーに任せています。そうすると、各々の心地良い距離感におけるメンター制度のやり方ができていきます。ゴールに関しては一応設計をしているので、ここを目指してくださいというものはあるけれども、目指す山の登り方に関しては基本的に各々にお任せする形にしてるのは、ピープルマネジメントで大事だと考えています。
また、性格的な特性って仕事の取り組み方やコミュニケーションの仕方に現れると思っています。それを抽象化して、例えば野球のチームだったらどういうポジションになるかを当てはめていった時に、うちのチームの中に足りていないポジションはどこなんだろうと見たり。他にも、ポジションごとの連携など、部署関係なく少し引きで見た時に、この人たちの仕事の組み合わせは相性が良さそうだと考えることができるといったことを1個1個やっていくことをしています。
それができるのは、コントレアのValueが、Reach Handsを始め「越境」を前提として組織が組まれているので、部署内に閉じて最適化を考えなくても、もう少し広い視野で最適化させて全体でバランスを取ることができるのが、1個ゲームルールとして違うところかなと思っています。
タスクを消化するだけだったら、本当は個別最適で部門ごとの最適化を図った方がおそらく仕事の効率は良くなると思うのですが、経営という観点で考えると、部門最適の集合が会社としての全体最適になるとは限らないので、全体最適から各部門の個別最適をそのルール下で思考する方が結果として早く意思決定と実行の伝達ができるという考え方です。
ーー西尾さんが今後目指していきたい組織を作っていく上で、規模が大きくなっていっても継承していきたいものやこだわっていきたいものはありますか?
基本的に会社が大きくなってくると、いろんなやり方を変えていかなければいけないのが前提の中でも、変えたくないものがあるとすると「人が育つ組織であること」は変えたくないと思っています。
普遍的なものとして「いい組織を作るとなんか世の中が良くなる」ということが、僕が前提として信じてるもので。活躍する人が世の中で増えていくって、ものすごく大事な社会貢献だと思っています。もう出来上がった人がいろんなところに移って活躍していますというのは、世の中としてやはり限界があると思うんですよね。
なので、まだ芽が開いていない人とか、自分の可能性が残されている・可能性の余白がある人が、コントレアを通じてレベルが上がっていく・さらに先に進んでいくという、人が育っていける場所は残していかなきゃいけないと思っています。ただ、誰もが育てられますみたいな場所は絶対に作れないと思っているから、コントレアを通じて育っていくって人に入ってほしいっていうのがやっぱり大きいかもしれないですね。
ーー人が育つ組織を目指していく中で大事にしているものは何ですか?
「〇〇だからしょうがない」というものをやらないのが結構大事だと思っています。
例えば、こういうドメインで事業をしているから、と誰かが嫌な気持ちになる施策を置き去りにしてしまったり、スタートアップだからという理由で整っていなくて、それにより困ってる人がいるのを見過ごしてしまったりするようなことは、あまりやらない方がいいと思っています。
これはただ単純に、嫌なものが放置される組織って長く居続ける絵が見えないということですよね。逆に、外的なストレスが少なく自社に馴染んでくれて、いろんな背景をいちいち説明しなくても理解してくれて、物事を遂行してくれる人は当然歴が長くなって人数も増えていくと思うし、みんなが色んな事をできるようになっていくと思うんです。
新しく優秀な人を連れてくることと、今まで活躍してくれていて成長してくれてる人が残っていくことの大事さで言うと、明らかに残ってもらうことをまず重視すべきだと思うんですよね。
活躍し続ける、あるいは成長し続ける上で残ってもらい続けるという仕組みが成り立っている上で「じゃあどういう人に入ってきてもらえたらいいんだっけ」というのが、組織戦略として大前提の考え方だと思います。人員計画で離職率を高く設定して採用計画立てるなんて、やりたくてやってる人はほとんどいないと思うので。
ーー確かにそういう嫌な気持ちの人を生まないことは、単純な話で直接やりがいやモメンタムにも繋がってくる気がしますね。
とてもいい事業をやっているのに、中で働いてる人たちがすごく嫌な気持ちで働いているとしたら不安じゃないですか。不安になるだけではなく、継続性としても問題はないのか?と感じてしまうんですよね。
そもそも嫌なこととか嫌な気持ちの人を放置するのは、慣れの問題だと思っていて。マイナスの掛け算が存在していて、その嫌な気持ちの人を放置するという「文化」があると思うんですよね。
極端な例ですが、飲食店に行って、店の中で子供が親でもなさそうな人に怒鳴られていたら、おそらく放置しないですよね。自分が止めに行くのか、店員さんを呼ぶのか、警察を呼ぶのか、何らかの手立てをとって止めに行くと思うんですよ。なぜかと言うと、それはおかしいことだし倫理的にダメなことだから、一刻も早く止めなければいけないという認識がみんなの中に刷り込まれているからやるんですよ。これって倫理観が備わっている「文化」だと思うんです。
でも、会社になると、横で暴言を吐かれているとか、ものすごいパワハラが発生している時、あるいは誰かが病んでいる時でも、無視していく状況がいろんな会社で生じている。これって別に現状は同じことなのに、会社という単位だと「ちょっと今は無視しよう」と決めてるから無視してるわけじゃないですか。それって無視する方がいい、あるいは自分の身に火の粉が降りかからないというように、様々な防衛本能の中でやらないことをみんなで決めてないと、置き去りにされないと思うんです。1発目が起きた時点で問題になる会社もあれば、置き去りにされ続けてる会社もあるというのは、まさしく「文化」の話だと思うんですよね。
その良し悪しで考えた時に、シンプルにどっちがいいの?という話なだけであって「嫌な気持ちの人が少ない方が良くない?」という倫理感を、単純に「会社だから」という特殊な箱にしまわないようにしましょうという話だと思うんですよね。やはり感謝をされたら嬉しい人が多いし、困ってる人がいたら手を差し伸べるとか、悩んでる人がいたら一緒に解決策を考えてあげた方が物事は良くなるだろうと。世の中的にその方がみんなが過ごしやすいことを既に全員が知っていても、知っていることを会社だからという特殊な理由で排除しない。それだけの話だと思っています。ただ、人が集まるところではどこでも難しくなるという前提で、どうやったらみんなが過ごしやすい場を整え続けるのかみたいな話として捉えています。
そもそも、1対1の時って、欲求を相手にぶつけやすいですよね。今お腹が空いているとか、何かに困っている・メンタルが落ちてるとか、今嬉しい気持ちですとかって、1対1の関係性の箱の中にいたらその人に伝えるしかないから伝えやすい。しかも、2人しかいない中で、そのうちの1人がメンタルにきているなら、その状況は少ししんどいからその人たち同士でどうにか解決しに行こうとなると思うんですよ。
でも、人が増えれば増えるほど、誰かがやってくれるんじゃないかという意味での放置もあるだろうし、人が増えてくると階層ができてくるから、自分が早く認められたいという欲求の方が先に来た時に、目の前の感情や問題をどうでもいいと思ったり、自分の中で優先順位が低いものに対して時間を使えなかったりすることもあるだろうと。自分の部門が最も評価されていれば、自分も評価されて給与が上がる条件であれば、他のことは無視した方がいいという意思決定もあるだろうし、そうすると、部門最適、個人最適になっていくということです。
どこまで立ち返ってもとにかく大事なのは、 会社というのは何らかの問題を解決していて、お金をいただいてる組織なので、取り組むべき問題をちゃんと解決することで、それで事業が成長するということなんですよね。
だから、「コントレアが」という話もあるのですが、大前提としては、どこの会社・人の集まりだとしても、こうなっていくと嫌だよねということをいかに起こらないようにしていくかというのが、僕が1番に取り組むべきことだと思っています。
いい気持ちで仕事していたら自然とよりよくするための動きって発生するじゃないですか。しかし、誰かが身の危険を感じたり、すごく嫌な気持ちで働いているとなったら、良くしていくとか、それどころの話じゃなくない?となりますよね。自分たちらしさを語る前に「問題が放置されているこの状況はいいんだっけ?悪いんだっけ?」というところで思考が止まってしまうので、一般論として考えた時の悪さみたいなものは、経営としてはしっかりと減らしていく必要があると思っています。
実は、合理的に物事を考えた時に、人の悩みや不快感を解消する工数を手間だと思わないことも、合理性として正しいと思っています。合理性というとすごいドライに聞こえますが、結局それは立ち返った時に、嫌なところで長く働きたくないという想いや、嫌な気持ちになる人がたくさんいるのはいい環境ではないよね。という本当にそれだけの話で、そうするとパフォーマンスが上がらないから「パフォーマンスが上がらない会社で、結局事業を伸ばせるんですか?課題を解決できるんですか?」という話です。
結局1番は、限られた最少人数で最大限のパフォーマンス・効果を出し続けること。それが経営としては1番いわゆるコスパがいい状態なんですね。
元気な人100人で働いているのと、悩んでる人500人が入れ替わりながら働いて同じぐらいの売り上げになってるのとでは、どちらがいいですかって聞く必要もないじゃないですか。
しかし、経営者が経営者の視点で判断するとこの辺りは間違えると思うんです。なぜかと言うと、経営者はまっすぐに会社が伸びていくことがそのまま喜びや達成感に繋がるけど、そこに集っている人が「会社の成長こそが何よりも喜びです」と全員が純粋に優先度の1番に置けないんですよ。個々がいろんな欲求の下で旗印に集まっていることからはもう逃れられないので、そうなるとコトだけをなす合理性とは別の合理性が走っているということです。
それぞれに色々な感情や課題があった時にそれを放置する、我慢させると、何かが起きたときに「自分だってこんな我慢してるのに」となってしまう。そうなると収拾がつかなくなるので、小さい悩みや課題からお互いで解決していける自浄作用が働く組織というのが大事な組織の考え方の土台だと思っていますね。
Contrea株式会社について
コントレアは「医療にかかわる全ての人に安心を」というミッションを掲げ、「安心」というキーワードを大切にしている医療系スタートアップです。そのミッションを達成するために、テクノロジーで患者さん中心の医療を実現できるよう、「MediOS」という医療者と患者さんのインターフェースとなる基盤プロダクトを提供しています。
今回の人的資本経営に関する資料作成にあたり、現時点での働く人も「安心」を感じられる組織づくりのために力を入れていることや取り組み内容を整理いたしました。
プレスリリースは、以下をご覧ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000062517.html
今後も「医療にかかわる全ての人に安心を。」届けられるように、安心できる組織を目指し、社会全体の人的資本経営の指標となれるよう組織開発に取り組んでいきます。
編集後記
4月に西尾さんから声をかけていただき、人的資本とは何か?という基本のところから始動したものだったので、いざ完成までたどり着いたことが単純に嬉しいというのが今の素直な気持ちです!!感激です!
この場を借りて、声をかけてくださった西尾さん、デザイナーの坪田さんに改めてお礼を伝えさせていただきます。
インタビュー部分を担当するにあたり、
「組織とは?」「文化とは?」
今までぼんやりとしか考えたことがなかったことと向き合うことになりました。
事業を推進して利益を生み出さなくては、組織にいる人も守れないし存続もできないということ。しかし、組織で起こっている課題解決に時間を取られてしまうと、事業や顧客に向き合う時間が圧排されるという本末転倒な話になるということ。
当たり前の話なのですが、意識的に目を向けないとそういった悪循環に陥ってしまいがちなのではないかと感じました。
組織を成り立たせるという意味でも、単に事業が成功すればいい、利益が生み出されればいいというものでもなく、そこにいる人たちが働きながら醸成していく・体現していく組織文化が強みとして活きてくるのだと学びました。
私にとって最初で最後のインターンがコントレアにあたるわけですが、改めてコントレアの文化について言語化をしてみて、誰かの違和感といった気持ちの部分から具体的な事業に関するところまで、組織の中にある課題にみんなの意識が向いていて、すぐに解決に動こうとするところはValueやCheersといった明確な文化とは別に、根底に文化として強く根付いていることを再認識しました。
今回の人的資本に関する資料作成を通して、コントレアの文化や組織作りに向き合って気付いたことを、自分だけに留めず、伝えていくこと。さらには自ら体現することが求められていると感じています。
また、自分が組織の一員としてどこに寄与できるのか、誰かのためになるにはどう動くべきなのか。働いていく中で考えをさらに深めながら、今後の自分の働き方にも活かしていきたいです!
という決意で締めたいと思います!