#8 観光業における『TESLA』さんに
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会社紹介にとりあえずキャッチーなこと書いておこうと思って書いたら「どういう意味ですか」とご質問を受けたので改めて書き起こしたいと思います。
車を作るのが得意なテクノロジー企業
観光業における『TESLA』さんと書いた理由には2つあります(※余談ですが、弊社内では基本的には企業さん・業者さん等は"さん(様)"を付けるようにしています)。
1つ目は、「表層的にはホテル屋さん」と見えていたとしても、実際にはテクノロジー企業を目指している、ということです。TESLAさんも、一般の方は自動車メーカーの1社だと認識している方がほとんどだと思います。しかし、あれは自動車ではなく走るパソコンとでも言うべきもので、TESLAさんは紛れもなくテクノロジー企業です。
今後、テクノロジーを活用せずに企業がスケールする(より多くの方の課題を解決する)ことは不可避であると考えます。同時に、そういった企業で働く方々は、すべからくテクノロジー人材にならなければならないと考えています(勿論一部例外はいるでしょうが)。
巷では猫も杓子もDXと言っていますが、本当の意味でのDXとは、自動車メーカーが「自動車を作るのが得意なテクノロジー企業」になることだと思います(業務のDXではなく、企業のDXとして)。要するに、「IT業界」のようにITを切り出して考えるのではなく、もはやITを使わない企業などなくなっていくということです。※このお話は、G's Academyというセカイを変えるGEEKのための起業家・エンジニアスクールで教えていただいたお話の私としての解釈です。
弊社のパーパスは『観光業をもっとも魅力的な産業に』することです。この業界のより多くの方の課題を解決する為には、テクノロジーを抜きにしては絶対に不可能だと思います。だからこそ、我々は「ホテル経営が得意なテクノロジー企業」を目指しています。
そして、私はこの業界をもっともっと稼げる産業にしていきたいと思っています。稼ぐ=付加価値の総和を最大化することだと思います。付加価値の総和を上げるには、希少性を高めて値上するか、提供数(価値を届ける数)を増やす必要があります。希少性の方は一旦割愛しますが、提供数を上げるには効率を上げるしかありません。効率を上げるには(いろいろな方法はあるにせよ)テクノロジーを活用するのが常套手段です。であるならば、すべての企業がテクノロジー企業になるのと同時に、すべての人材がテクノロジー人材になっていかなければならないのだと思います。それがこの業界の平均賃金の向上や労働時間の削減の為の一手だと思っています。だからこそ、我々はテクノロジー企業を目指していきます。
金にならないことを掲げる
2つ目の理由は、TESLAさんが「金にならないビジョン」を掲げているからです。TESLAさんは「化石燃料に依存する文明の在り方に終止符を打つ」というようなビジョンを掲げています。創業者のイーロン・マスクさんは『テスラをエネルギー企業にする』と2016年にぶち上げています。
ここで大事なのは「誰もそんなの頼んでいない」ということです(この話の詳しい内容は、山口さんと中川さんの対談をお読みください。)。Googleさんの「世界中の情報を整理して、誰もがアクセスできるようにする」なども同様の例として語られています。
弊社の『観光業をもっとも魅力的な産業に』というのも、別に誰に頼まれたわけでもなく私が勝手に言っていることです。同時に、「自社(ORIGO JAPAN)がどうとか」「自社がどこに辿り着きたいとか」「誰に何かを提供したいとか」そういう話はしていないです。上記の対談の言葉を借りれば、弊社のパーパスに「顧客」は存在しないです。旅行者にとって魅力的な産業なのかもしれないし、ホテル等にとって魅力的な産業かもしれないし、国にとって魅力的な産業かもしれません。ただ、この業界をより良くしたいと考えています。その為に、旅行者やホテル等にとって時には敵になり時には寄り添うことになると思います。ただ、「こうあるべき」というお節介をひたすらしていきたいと思います(この「お節介」というのは前述のG's Academyで教えていただきました)。
弊社のパーパスを実現する為には、これから商品市場・人材市場・資本市場の3つの市場で選ばれる企業やサービスにならねばなりません。その過程においては、如何にN1に刺さるかが重要だと思っています。誰しもが求める欲求はほぼ満たされてしまっています。商品市場において機能差分はどんどんなくなっています(生まれたとしてもすぐに模倣されます)。人材市場においては労働環境は(優良企業群の中では)差分がなく、「その会社じゃなきゃいけない理由」を機能的価値で生むのは難しいのではないでしょうか。そして、資本市場においては(想いのある資本の方が個人的には好きですが)、この商品市場・人材市場で選ばれている企業にお金は集まります。
となった時に、機能的価値ではなく情緒的価値が大切になります。情緒的価値を最大限に研ぎ澄ますには、N1にぶっ刺さる必要があります。そして、そのN1は「誰しもが心のどこかに抱えている潜在的欲求の権化(化身、体現者)」である必要があります(ただのニッチなN1を選んでしまうとスケールしないからです)。今は「わけのわからない金にならないことを言っている会社だな」と思われてていいです。でも、私はこの考えがきっといつかどこかのN1(と呼ぶと失礼ですが)にぶっ刺さると思っています。そして、それがより多くの方の深層心理に広がっていき、共感してくださるお客様や求職者の方が現れると信じています。それまではお節介をし続けます。
最後に
ルフィは言いました。「俺には強くなんかなくたって一緒にいて欲しい仲間がいる」と。取りあえずスキルは要らないので、もし少しでも本投稿に共感してくださった方が居ればお気軽にご連絡ください。