1
/
5

「日本の豊かさを後世にも」〜インフラDXで日本の課題を解決しようとする社員の覚悟〜 【社員インタビュー】水野勇望

こんにちは。インターンの藤田です。

株式会社アーリーリフレクションは、インフラ維持管理クラウド「BIMSTOK(ビムストック)」を正式リリースしました。

BIMSTOKは、施設の維持管理に関わる情報をクラウドで一元管理し、管理者の業務負担や作業時間を軽減します。今回は、BIMSTOKの開発秘話を水野さんに伺いました。

▽プロフィール
東京理科大学工学部経営工学科卒業。生産管理、品質管理を研究し、大学在学中にヘルスケア商品の開発事業の起業を経験。
2020年にアーリーリフレクションに入社。同年、新規事業領域である、建設DXサービス事業の立ち上げメンバーとして、マネージャーに就任。
土木分野における三次元モデルデータ(BIM/CIM)を活用した新規サービスの企画立案も手がける。
2023年、インフラ施設維持管理クラウド「BIMSTOK」を正式リリース。

▽BIMSTOKとは
BIMSTOKは、BIM/CIMとの連携により点検・異常・履歴・計画を一元化できる維持管理システムです。情報が設備軸で整理され、施設の経時変化をわかりやすく将来へ引き継ぎます。

BIMSTOK製品ページはこちら

・・・


— まず初めに、水野さんが建設DXサービス事業を立ち上げた背景をお伺いしたいです。

アーリーリフレクションでは、建設業界を、AIやデータ解析・DXによって大きな価値貢献ができる、我々が取り組むべき"新領域"として捉えていました。
その中で、私が建設DXサービス事業を立ち上げた理由の一つは「危機感」です。
国内のインフラ施設は高度経済成長期に建設されたものが多く、維持管理のリスクは今後どんどん高まっていくと考えています。
これまでの維持管理は、予算も人も豊富で、ベテラン層もたくさんいる状況で、比較的リスクが少ない状態でした。
例えば、昔は数十人が携わっていたダムの維持管理を、人手不足のために現在は少人数で対応するケースも見受けられます。人手不足が深刻化し、ベテラン技術者が引退する中、予算も削減傾向であり、施設の老朽化も進んでいます。このため、大規模災害時のリスクも高まってきています。
現場の方々からも「これまでの維持管理の手法では将来的な維持管理が難しい」という強い危機感を伺いました。
そこで我々がやるべきことは、IT技術を使って今までより効率的な管理をしていくこと。そして「将来的なリスクに対して、安全にインフラを維持していく」ことだと考えています。
「先人たちが作ったインフラを後世に引き継いでいく」というのが、私が目標にしているところです。



— 「施設の老朽化が進む中で予算や人が減少していく」という課題をITによって解決していくんですね。その中で、BIMSTOKを作ろうと思ったきっかけをお伺いしたいです。

建設DXサービス事業の立ち上げにあたり、様々な自治体や建設コンサルタントに現在の課題や将来の懸念をヒアリングしていきました。その中で、共通した一番の課題が「事務作業」だったことが、BIMSTOKを作ろうと考えた最初のきっかけです。
事務作業の中でも特に課題を感じたのが、「資料の探索」「資料の整理」でした。例えば、ダムの維持管理の現場では、高度なダム技術の知識を持っている方が、仕事の多くの時間を資料の探索や整理に使っています。そのような状況に違和感を感じました。まずは、そこを解決しなければ、と。
ダムの維持管理に長年携わっていた建設コンサルタント出身の方曰く、例えば、安全管理業務の多くの時間は、資料の探索、整理、提携報告作成が占めているそうです。


— 専門性のある方の業務時間を、その作業で奪ってしまうのは、すごく勿体無いですね。

本当にそう思います。
このような非効率な事務作業を繰り返し行わなければならない現状があります。インフラ施設の維持管理情報は、「ちゃんと保管されているんだけど、活用できるような状態で管理されていない」「ただあるだけ」というような状態が多いです。
冒頭に話したように、これまでの維持管理は施設の老朽化がそれほど進んでおらず、一つの施設に携わる職員数も多い環境であったため、大きな問題が起こらなかったと言えます。
しかし、これまでと同じ管理を続けていくと、人命に関わる大きな事故の発生や、施設の修繕に想定より大きな費用がかかる可能性があると危惧しています。
それを防ぐためにも、維持管理情報を活用しやすく整理した上で、施設の異常や課題を可視化し、その対応状況を職員全体で把握できる体制にしていくことが重要だと考えています。
このような考え方が、BIMSTOKに反映されています。



— なるほど。その後、実際にどのような流れで開発に進んだのかをお伺いしたいです。
現場から出た課題感を田中さん(代表取締役)に伝えて、すぐに開発着手となったのでしょうか?

社内では「実際にこのような課題があり、専門家を含め問題視されていること」に加え、「業界的に新しい技術を推進していく背景があり、BIM/CIM活用が国交省を中心に政策化されている」背景をあわせて、具体的な企画立案を行いました。
若手も挑戦が可能な環境と、「世界を変える試みをする」という社内カルチャーが後押ししてくれました


— 現場の課題感と業界の動向を踏まえて提案して、" GO "となった訳ですね。

あとは、同様の課題に対してピンポイントで解決しているソリューションはない、ということもありました。


— BIMSTOKの企画・開発で苦労したことはありますか?

一番大変だったのは、課題に対して「それを解決するための解決策を決めること」です。
今回は、まずはじめに「システムで解決する」という大枠が決定しました。
そのあと「実際にどういう機能や画面だったらそれを解決できるのか」という、当たり前ですが答えがない点に考えを巡らせるのが大変でした。


— まだ、どこの企業もやっていないようなことですもんね。

もちろん、部分部分で参考になる他のシステムはあるのですが、直接的に「これが正解です」というシステムはありませんでした。
その「正解」や「スタンダード」を我々が作るために、業務フローを正確に理解したり、現場の方がどのようなところに過分な労力を割かれているかを理解しなければなりませんでした。


— どのようにして、その状況を乗り越えたんですか?

とにかく自分がインフラ施設の管理者になったと想像して、「こういう探し方だったらここでクリックするのが便利だな」とか、「こういう機能だったら情報にアクセスしやすいな」など様々なパターンを検討しました。
私はインフラ施設維持管理に携わった経験がないので、疑問に感じることは現場の方にヒアリングしたり、何度も施設の点検作業に同行させていただくなど、実際に利用するユーザーと乖離が出ないようにということを一番に注意していました。
今振り返ると大変でしたが、一度もやめようと思ったことはなく、とにかく前に進むことを意識していました。


— このような製品は、もともと業界にいた方が、そこで感じた課題に対して解決策を見出すケースが多いですが、水野さんは建設業界出身ではないんですよね。

だからこそ新しい発想ができるのかなと思っています。
建設業界だけに精通している中で作られた建設システムが、本当に使いやすいかと言ったらそんなことはなくて、時代に追いついておらず使いづらいのもあると感じていました。
我々は、他業界や海外の様々なSaaS系システムを幅広く見ながら、本当に最適な解決策ってなんだろうという思考をもってプロダクト化しています。その中で実現できるシステム、というのが一つの強みではないかなと。



— 建設業界に対する水野さんの原動力が何なのか、気になります。

モノづくりに対するリスペクトが当初からありました。
そして、冒頭でも触れたような「先人から引き継いだインフラの豊かさと国の豊かさは繋がっている」と常々感じていて、それを後世に繋いでいくというのが我々のやるべきことじゃないだろうか、という使命感が原動力になっています。


— そうなんですね。話を聞いていて、すごく熱量を感じます。BIMSTOKに戻りますが、実際にトライアル版を利用していただいた際の反響はどうでしたか?

反響は本当に大きかったです。非常に良い反響でした。
「まさにこういうシステムは必要だと思っていたけど、ずっと“なあなあ”にされていたところだよね」と言っていただいたことが印象に残っています。
また、施設維持管理の現場では、事務所の異動や転勤が多いのですが、そうすると異動の度に違う点検方法やシステムを覚える必要があったり、事務所によって管理の仕方が異なっていたりします。
BIMSTOKを中心とした維持管理情報の整理がスタンダードとなることで、「管理者が変わっていく中でも施設の情報を安心して引き継いで管理していけるのが良い」という意見も多くいただきました。


— 引き継ぎの作業も楽になりますね。

まさに、引き継ぎ作業も飛躍的に効率化できます。
また、同じ管轄内の施設の維持管理情報を見える化して共有することができれば、他の事務所の管理方法を参考にすることもできます。
例えば、「このひび割れに対してこういう対応方法をしているのか。じゃあ、うちもこうしよう」とか。
横の繋がりにある情報を知ることで、自分たちの維持管理にも反映させていくことができます。


— 横の繋がりを参考にできる、というのは、今後人手が少なくなる中でもメリットですよね。
BIMSTOKの今後の展望はありますか?

BIMSTOKは、インフラ維持管理のデータ管理における理想型だと考えています。
全てのインフラ維持管理の現場で利用いただき、その結果、これまでの事務作業や資料整理の課題を解決したいです。
さらに、BIMSTOKは海外展開も視野に入れています。
日本のインフラ技術は海外でも信頼されています。例えば、降水量が多いフィリピンのインフラ施設でも、日本の設計・施工技術が用いられています。
それと同じように、BIMSTOKを皮切りに海外でも日本の維持管理のスタンダードを広めていきたいと考えています。


— 最後に、今後のインフラ業界、特に維持管理分野でのビジョンを教えてください。

今後の維持管理業界への思いとしては、後世に繋いで行けるような維持管理を我々が作っていきたい。
そのために、長年維持管理に携わってきた「ベテランの技術者の知見や経験」と「IT技術者の力」が組み合わさることで、本当に現場の方が使えるものを作っていきたいと考えています。

それは、BIMSTOKに限りません。昨今、点検を自動化しようという流れが強く、既に弊社でも、これまで人の目では見逃してきた異常箇所を「点群」技術を活用して発見する、というような取り組みをしています。このような技術を維持管理の現場で活用することで、大きな問題が発生する前に補修・修繕ができるようになります。

我々は、ただ業務を効率化することに囚われるのではなく、"より安全に" 効率化していくということを目指していきたいです。

—水野さんのBIMSTOKに対する熱い想いがとても伝わりました! 貴重なお話を、ありがとうございました。

▽BIMSTOK(ビムストック)とは
BIMSTOKは、BIM/CIMとの連携により点検・異常・履歴・計画を一元化できる維持管理システムです。情報が設備軸で整理され、施設の経時変化をわかりやすく将来へ引き継ぎます。

BIMSTOK製品ページはこちら






株式会社アーリーリフレクションからお誘い
この話題に共感したら、メンバーと話してみませんか?
株式会社アーリーリフレクションでは一緒に働く仲間を募集しています
7 いいね!
7 いいね!

同じタグの記事

今週のランキング

Gen Fujitaさんにいいねを伝えよう
Gen Fujitaさんや会社があなたに興味を持つかも