SESとSIerの働き方を比較した際、SESには1企業に属しながら複数の企業を渡り歩ける強みがある一方で、なかなか大きなプロジェクトに参画しにくいともいわれています。この点においてビューテック(Vuetech)社では、大手企業との関係構築を積極的におこなうことで、大半の案件が大手企業のプロジェクトとなっております。
今回は未経験からエンジニアに転身し、複数の大手企業のプロジェクトを通じてスキルアップしているTさんに、SESのエンジニアとして大手企業のプロジェクトに参画する魅力を伺いました。
K.Tさん / エンジニア
2018年入社。キャリアショップの店長や不動産の広告営業を経験後、未経験で株式会社Vuetech(ビューテック)へ入社。1年半の研修を経て、バックエンドエンジニアとして複数の大手企業案件でWeb開発に取り組む。
社会的な需要が高いからこそ、エンジニアの道に惹かれた
――エンジニアとして働くまでの経歴について教えてください。
携帯ショップに6年ほど勤め、店長を経験した後に不動産の広告営業に転職しました。当時は関西に住んでいたのですが「上京したいな」と思っていて、少しずつ準備を進めていました。
――どちらの仕事もITが身近にあるイメージですが、エンジニアに興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?
きっかけは、広告営業で働いていたときにエンジニアと直接話す機会があって、「これを自分の手で作れるようになったら良いな」と感じたことです。
当時は手に職をつけたいと考えていたんですよね。携帯ショップや広告営業でもスキルは身に付きますが、重宝されるレベルではないなと感じる部分もありました。
一方で、ITは時代の中心を担っていて、エンジニアなら将来性の高いスキルが身に付くんじゃないかと感じたのが、エンジニアに興味を持ったきっかけです。
――携帯ショップや広告営業で働いていたときから、ITには詳しかったのでしょうか?
携帯ショップで端末のスペックを覚えたり、広告営業ではWebページを扱ったりして、ITを身近に感じてはいたのですが、エンジニアに求められるレベルではありませんでしたね。自宅にPCがあるわけでもなく、Webページやアプリがどうやって動いているかも分かっていませんでした。
しかし、長期研修を通じて未経験からスキルを身につけて、大手企業のプロジェクトにもチャレンジできるビューテックに魅力を感じて、「ここなら自分でもやれるんじゃないか」と思って入社を決めました。
大手企業のプロジェクトなら、現場ごとに優秀なエンジニアと出会える
――入社してから今までに担当したプロジェクトについて教えてください。
これまでにバックエンドエンジニアとして、大手企業の3つのプロジェクトにジョインしました。1つ目が楽天保険のホームページ制作、2つ目がNTTドコモ「Dメニュー」のアプリ開発、3つ目がPlayStation4やNintendo Switchでプレイする、超有名アニメをテーマにしたゲーム開発の案件です。
――1つ目のプロジェクトは初めての現場だったと思いますが、どのような業務を担当したのでしょうか?
ホームページ制作のプロジェクトでは、発注者の希望に沿って画面構成を決めて、4〜5名ほどのチームを複数つくり、担当を割り振りました。私はPHPプログラムの実装を担当し、入力情報のデータベース保存と処理結果の反映をおこなっていました。
――本プロジェクトでの学びについて教えてください。
ホームページは裏側よりもユーザーから見える表側が大事で、そういう意味では形になっていれば良いのかなと思っている部分がありました。しかし、ホームページはただ作るのではなく、ユーザーがどのような使い方をするのかを想定することが大切です。ユーザーがどのような目的でホームページに流入して、ホームページ内をどのように動くのかをイメージできていないと、形になっていても作り込みの甘さが目立ってきます。
また、形にすればいいという観点で作業を進めると、ホームページを改修する際に他の担当者がコードを読み解けない可能性もあります。だからこそ、ユーザーの使い方を想定したコードを、開発者にも伝わりやすいかたちで書くことが大事だと学べたことは非常にありがたかったですし、それが今の現場でも活きています。
――2つ目のプロジェクトでは業種・開発物ともに異なりますが、担当業務はいかがでしょうか?
アプリ開発のプロジェクトで私が担当したのは地図検索の内部処理で、ユーザーの近くにある店舗を検索して、お得な情報を表示するために必要な処理をおこないました。基本リモートワークの案件だったので、文章でのコミュニケーションが中心でした。
――リモートワークだとコミュニケーションが取りづらいなどの課題が一般的ですが、この点における学びはありましたか?
対面と違って表情や口調を伝えられないので、最初は苦労しました。しかし、リーダーがコミュニケーション能力の高い方で、文章のまとめ方が本当に上手だったんですよね。「何でこんなに分かりやすいんだろう」と考えてみると、意図が明確化されていることに気づきました。
表情や口調で温度を伝えられないからこそ、なぜこの会話をしているのかが大切で、言葉の意図が上手く伝えられるかがコミュニケーションの要です。その点においてリーダーの文章は的確で、文章の5W1Hがはっきりしていました。分かりやすい文章だと無駄なラリーが生まれず、生産性にも良い影響を与えるので、リーダーを見習って私も文章の意図をきちんと書かないとなと思うようになりました。プロジェクト自体は短期間でリリースが完了して終わってしまったのですが、この現場で得た経験を活かして可能な限り1通で伝わるように、文章を書くように気をつけています。
――その後、ゲーム業界というエンターテイメントのジャンルに移っていますが、この現場での担当業務について教えてください。
有名なゲームタイトルの開発で、リリースに向けて開発当初からプロジェクトに参画しました。ゲームには処理を送って結果を反映するという一連の流れがあり、私はバトルやガチャの結果を返す裏側のAPI作成を担当しました。2022年に無事リリースを迎え、今は保守とアップデート対応をしています。
――ゲーム開発ならではの経験・学びはありましたか?
ゲーム開発はスケジュール管理が永遠の課題と称されるほど難しいと言われています。なかでもコンシューマー向けのゲームはプロトタイプ版、アルファ版、ベータ版と段階を経て完成形に近づけていく特徴があり、ゲームの全体像が見えにくいんです。また、バトル機能だけでもかなり複雑で、表側の機能と裏側の機能をつくっている会社が違うことも珍しくありません。加えて、スポンサーの意向や版元からの指摘などにより、開発途中でゲームの仕様が変わることもあります。
そのため、情報共有が上手くできていないと、いざ実装したときにデータが噛み合わなくてエラーが起きやすくなります。想定外のバグが見つかって、開発側への手戻りが発生することもありますね。特にゲーム開発は関係者が多いこともあって仕様の伝言ゲームになりやすいので、調整力がないとスケジュールがどんどん後ろ倒しになってしまいます。
その点において、リーダーのスケジュール管理力がすごく高かったんです。遅延が常態化しがちなゲーム開発を進めていくうえで、開発進捗を細かくチェックしながら、誰に何を割り振ればスケジュール通りに進められるかを的確に判断していました。仕様が変わっても現状がきちんと見える化できていれば対応しやすいと知れたのは、大きな発見だったと感じています。
――3つのプロジェクトを振り返ってみて、エンジニアとしてどのように成長できていると感じますか?
やはり、大手企業で何年も先頭に立って活躍してきたベテランエンジニアとともに仕事を進めていくことになるので、日々の本当に貴重な経験を詰めているなと感じます。
仕様書を見たときに、どういったものを作りたいのかという部分の理解力・読解力が高まったと感じています。仕様書の意図が分かれば使い勝手などのユーザビリティも考慮しやすくなるので、ユーザーの使い方をイメージしながら「こうすればもっと使いやすくなるんじゃないか」というアイデアも出せるようになるんです。理解力・読解力が高まったことで、ただ言われた通りに作るのではなくて、もっと良くするためのプラスアルファの提案ができるようになりました。
また、開発はチームで進めていくため、コミュニケーションが適切にできていないと上手く回りません。担当者ごとに現状の進捗を見える化して、課題を洗い出していく必要があるんです。今の現場では毎日朝礼がありますが、それをルーティーンとしてこなすのではなく、必要な情報をチームに向けて適切に共有できるように心がけています。
現場経験を深めながら、ゆくゆくは自社開発にも挑戦したい
――優秀なエンジニアからの学びが多かったようですが、大手企業のプロジェクトの働き方はいかがでしたか?
やはりオフィス環境が優れていると感じました。仕事に集中するスペース以外にリフレッシュ専用のスペースも設けられていて、働くモチベーションに対する投資がしっかりおこなわれているのが印象的でした。以前担当したプロジェクトはドリンクが自由に飲めるだけでなく、時間帯によってはビールなどのアルコール類も飲めたので、そういう意味でもメリハリの付けやすい環境が多かったように思います。
――近年は出社回帰を宣言する企業も増えていますが、今の現場は出社前提の働き方にシフトしていますか?
いえ、そんなことはありません。確かに一部の企業では出社頻度を上げる取り組みを進めていますが、国内の大手企業はハイブリッドワークを重視するところが多いです。
今の現場はリモートワークが普及していて、通勤をしなくて済むのがありがたいですね。もちろんプロジェクトによるとは思いますが、今の現場はリモートワークがあるおかげで時間を有効活用できるので、仕事に集中しやすいと感じています。
――様々なエンジニアの方と出会ってみて、Tさんは今後のキャリアをどのように考えていますか?
今まではPHPを軸にSymfonyやCodeIgniterなど、フレームワークが違う現場で働いていたのですが、今後は違う言語にも積極的にチャレンジしていきたいと考えています。技術力がある程度固まってきたら、PL・PMといったプロジェクトを管理する側にも回ってみたいですね。
そして、大手企業のプロジェクトでスキルを吸収していった暁には、自社開発にシフトチェンジしたいです。一般的なSESとは違い、ビューテックには自社開発のプロジェクトがあるので、大手企業のプロジェクトで培ったスキルを自社開発に活かすという働き方に興味があります。やはり自社からシステムをリリースすることは、他社のプロジェクトに参画するのとはまた違ったやりがいがあると思うんですね。だからこそ着実にスキルを磨いていって、社内外どちらでも活躍できるエンジニアを目指していきます。