人とのつながりを大切に、多様な価値観に触れてきました。多くの気づきが自分自身を作り上げている要素となります。
憧れを胸に社会人をスタート。そこから現在に至るまでを様々伺ってきました。
<インタビュアー:渡邊>
馬來国弘/コミュニケーションデザイン部/部長
ラジオ制作会社、広告企画会社を経て、2008年にD2Cへ入社。
営業部でメディアのセールスを担当。その後、株式会社電通へ出向し、デジタルメディアプランニングから、統合メディアプランニング、統合コミュニケーションプラニングに従事し、データ・ドリブンなコミュニケーション企画のプロデュースも行う。
デジタルだけにとらわれないコミュニケーション全体の施策に携わり、化粧品・消費財メーカー・放送局・耐久財メーカーなどを歴任。現在はD2CRのプランニングセクションでマネジメントをしながら
施策の組み立てなどを実施中。
広い交友関係が生んだ、たくさんのつながり
渡:本日はよろしくお願いいたします!馬來さんについて様々伺わせてください。
馬來:よろしくお願いします。
渡:早速ですが、幼少期や学生の話しからお伺いさせてください。
馬來:落ち着きがないって先生に言われていたな笑
今ほどアクティブではなかったので、勢いのある文化系という表現がしっくりくるかも。
気になることはなんでもやりたかったから、結構中途半端になったことが多かったな。バイオリンも習ったし、水泳や今も続けているスケボーなど。個人で取り組めることが多かったかもしれない。
渡:かなり多様ですね。小学生から中学生にかけて何か変化があったのでしょうか?
馬來:きっかけは、中学に入学して交友関係が広くなったことかな。中学に進学する時に、通っていた小学校の学区の関係上で3つに分かれることになり、自分が通っていた中学は他の小学校から進学してきた人が圧倒的に多くて。
新しい友達が増えたことによって、色々な趣味や文化を取り入れたら楽しくなっちゃって。そこからか、何でも興味を持ったら取り組むことが根付いているのかも。
渡:幅広く興味を持てるのは羨ましいです…。
馬來:なんとも言い難いけどね。今も続けているスケボーに出会ったのもちょうどこのタイミングだったな。隣の中学にスケボーのプロがいると話題になり、友達経由でその子とつながって。やり始めたら、さらにスケボー仲間が増えて、交友の輪が広がっていったね。
渡:中学時代から学区を超えて交友関係をつくれることはなかなかないことだと思います。
馬來:自然とつながりができたんだよね。今でも当時の仲間とはつながっているけど、スケボーを続けているのは自分くらいみたい。40過ぎても続けていられるのは才能とよく言われるよ笑
「本質を理解することの大切さ」と「考える癖付け」の重要性
渡:人とのつながりは、就活でも意識をしていましたか?
馬來:交友関係が広がる中でも音楽が共通の趣味で盛り上がることが多くて。「音楽を通じて人々へ新しいことを伝えていきたい」と考えていたので、ラジオ局メインで探していたね。
苦戦もしていたし、他業界の説明会も聞きにいったけど正直おもしろいと感じなくて。そんな中で時間だけが過ぎていったのだけど、たまたま仲のいい友人のお兄さんの友人(遠い)がラジオ局で働いていると知り、そのまま話しを聞きにいき入社が決まったんだよね。
渡:ご縁あって、希望の業界へ就職をされたんですね。
馬來:結果1年ほどで退職しているのだけど、充実していたな。今でも覚えているけどライブを開催した時に、リスナーから直接「いつも楽しみに聞いています。ありがとうございます。」と言われて。なかなかADがリスナーと関わる機会ってないからすごく嬉しかった。自分がやっていることがどう人に影響与えるかを生で体験できたのはいい経験だったよ。
ただ働き方が激務すぎて、転職したんだけどね。
渡:直接声が聞けることって大切ですよね。2社目はどのようなご縁があって入社されたのでしょうか?
馬來:この時も友人とのつながりからだったのだけど、中学の時に通っていた塾の友人から知り合いの会社が募集しているからどう?と声をかけてもらったことがきっかけだったね。
渡:今で言うリファラル採用の先駆けみたいですね。
馬來:そうそう。クリエイティブの会社に営業兼プロデューサーとして入社をして、3年半在籍した。
渡:ラジオ局とはまた異なる業界ですね。
馬來:広く広告という括りでは一緒だけど、企画を考えるとか、何かを創るということは変わらなかったからすぐにマッチしたよ。クリエイティブ=受け手視点で物事を考えるというのが最初わからなくて結構戸惑っていたけど、その経験があったからこそ今でも働く上で大切にしていることにつながったので、個人的には恵まれた会社に入社できたと思うよ。
入社して言われたことで印象的だったのは「クライアントからの依頼を鵜呑みにせずに、広告を見る人達がどう思うかを考えないとダメ。その思考を持ってクリエイティブで表現することが大切」と。今までは、鵜呑みにしてクリエイターと話していたけど、色々考えて意見をするようになったら、自然とクリエイターから馬來君と一緒に仕事がしたいと言ってもらえる機会が増えていったと思うね。
渡:本質をちゃんと理解するというようなイメージでしょうか?
馬來:そうだね。例えば「商品を売りたいからタレント起用と絡めてデザインして」と言われることがあったけど、雑誌広告と店頭用ポスターは同じグラフィックでいいんだっけ?見る人も違えば見せ方も異なるし、また何を目的にして表現するのかということを徹底的に考える癖付けを意識していたかな。
多様な価値観に触れたからこそ得られた気づき
渡:充実していたように感じますが、何がきっかけでD2Cグループに転職をされたのでしょうか?
馬來:制作の経験や受け手視点で考えるということがわかるようになるにつれ、もう少し大きく広告に関わりたいと考えるようなったことが理由かな。創ることはできるようになってきたけど伝える手法を知らなかったから、伝える手段が学べ、表現を考えることもやっていたD2Cに入社を決めたね。
渡:入社後はどのような業務からスタートされましたか?
馬來:まずは2次代理店の対応からスタート。正直クライアントの声や何がしたいのか2次代理店の対応のため、全く分からず問題の本質を考えることがしにくい環境で苦戦していたね。
その後、組織変更があり専業代理店(1次代理店)の担当として、クライアントの声や明確に何がしたいのかも把握できるようになってからやりがいを感じるようになってきて。売上拡大のためにメンバーも増え、チームをまとめる職にも就いたのもこのタイミングだったかな。
渡:入社半年で変化があったんですね。その後のご経歴もお伺いしてもよろしいでしょうか?
馬來:メディア業務に慣れたなと感じたタイミングで縁があって電通に出向をしたのだけど、これが大きなターニングポイントだったと思う。
渡:具体的にお伺いしてもよろしいでしょうか?
馬來:いくつかあるのだけど、1つ目は「考え方、仕事の進め方、そもそもの人間性など多種多様の人がいて、今までで体験したことのない人間関係が築けた」こと。2つ目が「代理店として業務をすることで、今までよりもクライアントの近くで彼らの問題を聞け、その問題解決に向けて社内の様々な職種の人と一緒に仕事をすることができた」こと。3つ目が「マスとデジタルのメディアセクションが統合した際に、様々な人とつながりそれぞれのメディアセクションの考え方や動き方など新しい仕事の仕方を間近で見ることができ、さらに視野が広がった」こと。
最後が「電通内でデジタルが徐々に伸びた時から仕事をさせてもらっていた為、経験値なども多くなり、クライアントやクリエイティブ、ストプラなどからも頼られる存在になれ、クライアントからもデジタルを任せてもらえる信用を得られた」ことかな。
渡:7年半のご在籍と伺っていますが、多くの気づきと学びがあったんですね。
馬來:そうそう。4つ話したけど広告業界って多様な方が働いている分、価値観も様々。本当に多くの価値観に触れたことは刺激になっているな。
あとは、「電通のメディアマンとは」「電通の営業とは」を徹底的に教えてもらったんだけど、まさしく自分がやりたいことを表現していて。「クライアントの商品やサービスを売るために相手のことを考えて、最終アウトプットがメディアになるかもしれないが、関わる全ての人のことを徹底的に考えて提案すること」を意識しなさいと。2社目で学んだことと通ずる部分もあったし、やっぱりやりたいことは広告業界で間違いないなと再認識したタイミングでもあったね。
先入観やテクニック論よりも自分の目で確かめる
渡:ここからは今後のキャリアについても教えてください。この先挑戦したいこと、取り組みたいことはありますか?
馬來:部署目線では、「メディアのプランニング力とディレクションスキルの向上」かな。個人としては「顧客体験(CX)」に関心があって、考え方や実現するための手法などの情報をインプットしている。
1つ目の部署目線の話しは、全社的なスキルの底上げが必要だと感じているため。変化の早い業界だし、常に最新の情報や問題に対して適切なプランニングをすることは、業界の中で埋もれないために必要だと思っている。
凝り固まった知識の中で、デジタルはこうだからと決めつけたくないんだよね。テクニックは大切かもしれないけど、クライアントの問題に照らし合わせた時に本当に正しい提案なのか。ちゃんと人と問題を見ないといけない。マーケティングも仕組みだし、デジタルも仕組みだと思う。でも結局モノを買うのは人だし、広告を見て動くのも人。だからこそちゃんとエンドユーザーのことを見ていますか?と部署メンバーと自分には常に問いただすようにしたいね。
渡:先入観があるがゆえに失敗したことは僕もあるので響きます…。CXについては、なぜ関心をお持ちなのでしょうか?
馬來:何かに出会うってその前の体験で全てが決まると思うんだよね。例えば、ライブを見ることがゴールだとしたら、チケットを買うことも、電車で会場までの移動、席に着くまで。終わってから帰宅するまでを全てひっくるめて1つの体験だと考えていて。
顧客体験をより良くするための手段として広告があり、CRMやDX、データ活用などが存在していると思うんだ。接点ポイントだけではない入口から出口まで一貫して関わるおもしろみを感じたいなと思っている。
渡:ライブの事例はすごくわかりやすかったですが、確かにその通りだと思いました。最後に1点だけ伺わせてください。馬來さんが仕事をする上で一番大切にしていることはなんでしょうか?
馬來:「常に新しいことに挑戦し続けること」。今の仕事の領域もそうですが、それ以外にも挑戦したいし、メンバーにも挑戦する機会を提供できるようになっていきたいね。
あとがき
人とのつながりの大切さを改めて実感しました。学生時代に関わる範囲を狭めずに多くの価値観に触れてきた馬來ならではのインタビューでした。
「挑戦」と「継続」をキーワードに馬來が率いる組織がこの先のどのような活躍をしてくのか注目していきたいと思います。