岩下 真也(いわした しんや) 株式会社リコー
2019年春より、社内副業制度を利用して『RICOH PRISM』プロジェクト(「最大化されたチームワークを体験する」ための、映像や音を駆使した空間づくりプロジェクト)に参加。データ解析全般に携わり、サーバー構築などを務める。
ーーはじめに、本業での仕事について教えて下さい。
岩下:産業用の異常検知装置のサーバー開発を行っています。機械にセンサーを取り付けてデータを取って、何かおかしいデータが来たら「壊れてるかもしれませんよ」と教えるサービスです。車の工場で金属を削る機械に使われています。
ーーRICOH PRISMにはどのような立場で参加されているんですか?
岩下:データ解析の部分に参加しています。主な目的は、RICOH PRISMを利用してくれた人のデータを取って集めること。具体的には、サーバー構築やデータベースの設計を行っています。
「足りてないよね」で終わらずに「そこやるよ」
ーーRICOH PRISMを知ったきっかけは何だったのでしょうか?
岩下:海老名事業所の同じフロアで働いていた同期から紹介されました。
当時の私は、社内公募を利用して部署異動してから半年くらい。異動したは良いけど、部署の中でどういう立ち位置で振る舞えばいいか、少し悩んでいた時期でした。
そこでRICOH PRISMの話を聞いて、「ちょっとやってみようかな」と参加を決めた形です。
ーー活動に参加してみて、いかがですか?
岩下:ずっと感じているのは、達成感を感じやすいプロジェクトだなということです。成果がわかりやすいんですよね。
RICOH PRISMでは「場を作る」という大きな目標があります。なので、開発を進めると目に見える形で場がどんどん進化していく。ずっとそういう達成感を感じながら取り組めています。
ーーチームメンバーの雰囲気はいかがでしょうか?
岩下:実現したいもののイメージをみんなで共有しつつ、技術分野では分業できています。
みんなが本当の意味で協力的なんです。「ここ足りてないよね」だけじゃなくて、「そこやるよ」と言ってくれる。みんながプロジェクトを自分ごと化して進めようとしているんです。
こういった動きが出来るのは、メンバーの能力が高いという面もあります。でもそれに加えて、RICOH PRISMの開発を進める中で培われた力なんじゃないかと思うんです。
開発では隅から隅まで指示してくれる人は居ません。各メンバーが自分でやることを決めて、それをやりきる。そういう風にずっとやってきたからこそ、指摘で終わってはダメで自分が動く必要性をみんなが理解している。
本当に良いチームだなと思います。
ーーRICOH PRISMの開発では、一人一人に大きな裁量権が与えられています。裁量権があるのは嬉しいことでもありますが、人によっては不安に思うのではないでしょうか。
岩下:そうですね。会社の中で自由に考えて行動できるのは、もちろん悪いことではないです。でも自分自身、最初はなかなか慣れないことでした。
誰にも確認を取らずに、自分が必要だと思ったら行動する。これには自由であるぶん責任が生じます。そういう考え方にシフトして実行していくのには、時間と経験が必要だとは思います。
ーー本業副業のバランスについても聞かせてください。本業80%、副業20%という働き方でメリットを感じる部分はありますか?
岩下:ありますね。本業と副業、両方あるからこそメンタルが安定している気がします。1つのことだけやってると、それが上手くいかなくなった時に逃げ場がないですよね。
私の場合は、たとえば本業がしんどい時はRICOH PRISMの開発で息抜きをする。ここでの開発は本業ではないので、プレッシャーが少なくてリラックスできるんです。100%でやっていたら、こんな風に肩の力を抜いて気楽には取り組めないと思いますね。
「仕事2つもよくやれるね」と言ってくれる方も居ますが、「2つあるからこそ頑張れる」が正しい気がします。
チームの特徴を「良さ」にしてほしい
ーー岩下さんはRICOH PRISMの中で、「創造性をデータ解析する」という難題に挑んでおられます。どういった点が難しいですか?
岩下:結果における正解が無いというのが一番の難しさです。
たとえば工場部品の故障探知の例だと、「故障率が下がった」という結果が出ればそれは成功だったと言える。ただ創造性に関しては正解がないんです。「こうなったら良い」がまだ言えないのが難しいですね。
ーー正解がない中で、いかにユーザーにフィードバックしていくのでしょうか?
岩下:いわゆる数値評価は出来ないので、ユーザーに何か返せるとしたら「チームの特徴」なのかなと思っています。「このチームはこういう特徴がありますね」という形です。たとえば「キーパーソンが居てその人が引っ張っていますね」みたいなチームの特徴は、チームの創造性に繋がっていると思うんです。
もちろん、「『特徴=良さ』なのか?」という話はあります。ただ私は、そこから良さを感じてほしい。「チームにそういう特徴があるんだったら私たちはこう活かしていこう」となってくれたら嬉しいです。
ーーどういった形で「チームの特徴」を表示するのでしょうか?
岩下:よくネットで「質問100個答えたら性格分類してくれる」みたいなサービスがありますよね。「あなたは参謀タイプです」みたいな。
それのチームバージョンかなと思っています。「あなたたちのチームは〜タイプです」という見せ方をしたいです。
ーーそれを知ったユーザーはどうすれば良いのでしょうか?
岩下:正直に言うと、そこにはまだ手を着けられていません。いま考えているのはチームの特徴を示すところまでで、たしかにそれをどう活かすかが課題です。
たとえば部品検査で工場からの出荷物の故障率を下げる AIだったら、「壊れている部品を交換してください」と言えば良い。けどチーム、人間になった時にそれって凄く難しいですよね。
とはいえもちろん諦めている訳ではないですよ。ゆくゆくは「こうするともっとチームがよくなるよ」と提示したいです。
3年後の目標はない。期待に応え続ける生き方
ーー最後に岩下さん自身のはたらくうえでの目標を教えて下さい。
岩下:「今は」という言葉をつけるのであれば、RICOH PRISMがある3Lという建物で、ユーザーデータを集めるための仕組みを作り切ることです。
ただこれはあくまで「今は」で、「3年後これがしたい!」とかはないんですよね。その時その時で必要なもの、やった方がいいことを見つけてそれをこなしていく。その方が自分の性に合ってるかなと。
これまでRICOH PRISMの活動の中でもやることが変わってきましたが、それで良いと思っています。目標が変わっていくのは自然なことです。
ーー「ありたい姿」のようなものはありますか?
岩下:勉強し続けて、自分の出来ることを増やしていきたいですね。
エンジニアとして求められることを出来るようにする。すぐには出来なくても、出来ることに変えていく。この進め方が、私のエンジニアとしての姿勢です。そうすることでチームに貢献しながら、自分自身も成長していきたいです。