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【渡邊 萌円】ネガティブな私が、リスクを背負っても楽しい仕事を選んだ理由


渡邊 萌円(わたなべ もえ)
電子ホワイトボードのアプリケーション企画・設計・開発に携わったのち、『RICOH PRISM』プロジェクト(「最大化されたチームワークを体験する」ための、映像や音を駆使した空間づくりプロジェクト)に参加。アプリケーション開発などを務める。


ーーいま携わっている仕事を簡単に教えてください。

渡邊:RICOH PRISMの体験の中で、部屋を退出する際に壁面に表示するアプリケーションの開発を行っています。

RICOH PRISMではユーザーデータを取っています。私の開発している退出時のアプリケーションは、その一部を見せる事で体験について振り返るきっかけを与える目的もあります。


プロジェクションマッピングとの出逢いはディズニーランド

ーー渡邊さんはディズニーが大好きとお聞きしています。それはいつからですか?

渡邊:物心ついた時からですね。親がディズニーが好きだったので、ディズニーランドによく連れて行ってもらっていました。どこかのタイミングで好きになるとかではなく、好きなことが当たり前でした。

ーーディズニーと言うと、テーマパークや映画作品など様々な要素が含まれます。渡邊さんはディズニーのどこが好きなのでしょうか?

渡邊:昔は「行ったら楽しいテーマパーク」としての「好き」でしたが、今は少し変わりましたね。

ディズニーやピクサー(ピクサーはディズニーの完全子会社)の映画が、どうやって出来たかを書いた本って沢山あるんですが、そういう本も読むようになると、作っている人達の事が見えてくるんです。夢の世界を実現するために細部までこだわり抜いて、ものすごい努力でそれを実現される。そうして出来上がったものが人を感動させている。そういった作っている人達の事を知ったら、ディズニーがより好きになっていきました。



ーーRICOH PRISMの開発に参加したこととディズニーが好きなこと。何か関係があったりするのでしょうか?

渡邊:あまり直接的ではないですが、関係はあります。2017年まで東京ディズニーランドで行われていたプロジェクションマッピングショーご存知ですか?あれを初めて見た時に衝撃を受けて。

好きな音楽と好きなアニメーションがシンデレラ城に映し出されるのを見て、「プロジェクションマッピング楽しい!」と思いました。そういう楽しいものを自分で作ってみたいとずっと思っていて、それに近い事をしていたRICOH PRISMにも興味を持った。という感じです。


どちらもリスクがある。それなら楽しい方を

ーーRICOH PRISMに参加したきっかけについて詳しく教えて下さい。初めてコンセプトを聞いた時はどのように感じましたか?

渡邊:その時は全体は把握できていなかったです。ただ、コンセプトの一部でプロジェクションマッピングのような事をしていて、「楽しそう!」と感じたのはハッキリ覚えています。

ーーそこから、まずは本業の20%の時間を使った形での参加となりました。「本業の20%を使う」という時間の使い方はいかがでしたか?

渡邊:難しかったですね。最初は「残業時間にやれば良いや」くらいに考えていたんですが、RICOH PRISMの開発の中でチーム定例もある。その時間は本業から抜けなきゃいけないので、本業メンバーから見ると「渡邊は何をやっているんだろう」という感じで理解を得るのが難しかったです。私がちゃんと共有していなかったせいでもあるんですが...。

しかも開発チームの定例では「参加するからには何か作ったものを見せなきゃいけない」みたいな気持ちが自分にありました。なので「あまり時間の取れない中で、何かを作らなきゃ」という義務感で参加してしまっている時期もありましたね。

20%で参加してみたけど、本業もRICOH PRISM開発への参加も、どちらも中途半端な状態になってしまいました。



ーーそうした状態から、2020年4月からはプロジェクトに100%で参加する形となりました。決断のきっかけは何だったのでしょうか。

渡邊:けじめを付けたかったんです。やっぱり私には業務を2つ平行して行うのが難しかった。どちらも集中できないくらいなら、1つを集中してやりたいなと思いました。

ただ100%にするのは、実際かなり悩みましたね。今の部署から離れるという事は、それまで所属していた部署の人達とは違うキャリアになる。

前例ない道は険しいです。いろんな人を説得しないといけない。私は人を説得するのが上手くないので、そこが不安でした。

ーー不安もある中で、最終的に大きなキャリアチェンジに踏み出せたのは何故でしょうか?

渡邊:私はネガティブなので色んな事のリスクが目につくんですが、最終的には「どっちもリスクあるじゃん」と思ったんです。

前の部署に居てもずっと安定している訳ではない。事業部から追い出される可能性もあれば、会社がなくなる可能性もある。そうなった時に「事業部に残るのと、100%でRICOH PRISMの開発に参加するのは、どっちがリスクがあるだろう?」と考えました。そして「どっちもリスクはあるな」と気づきました。

それならせめて自分が楽しい方を選ぼう、と。



「どれだけ面倒なことを出来るか」

ーープロジェクトの現状についても聞かせてください。チームの雰囲気はいかがですか?

渡邊:とても良い雰囲気です。全員が情熱を持って取り組んでいて、困った人がいたらすぐに助けてくれる。

年次が近いメンバーも多いんですが、友達と言うよりかはちょっとした緊張感があります。雑談はありますが、ずっとふざけている訳ではなく適度な感じ。とても良い状態だと思います。

ーー社外から参加してくれているエンジニアも多いです。そういった方との関係はいかがですか?

渡邊:社内外を意識することはないですね。開発メンバー内ではそれぞれのタスクを理解しているので、社外から参加されている方に対してでも「今ちょっと相談いいですか」とすぐ声をかけられる距離感です。

ーー渡邊さんが担当されている退出時のアプリ開発についても聞かせてください。ユーザーが最後に体験する重要なシーンを担当する事にプレッシャーはありますか?

渡邊:「体験の最後だから」という意味のプレッシャーはありません。でも、部屋に入ってからの他の体験はクオリティ高く仕上がっています。「私が担当している部分でクオリティを下げてはいけない」というプレッシャーはありますね。

体験を終えたユーザーには「この環境だと創造性を発揮できた!もう一回来たい!」と感じて欲しい。なので、データを提示する際にもそれが健康診断の結果みたいに、見て終わりにはしたくないです。次に繋がるものにしたい。

映画で言うと「これで完結」というよりは、続編に続くような終わり方にしたいと思っています。隠し要素を作って、それを読み解いてもらうような仕掛けがあっても良いかも知れないです。

そういった工夫を加えて、ユーザーに考えてもらうような終わり方に出来たらと思います。



ーー仕事のどういった所が楽しいですか?

渡邊:やっている内容も興味がある分野ですし、自分の責任が大きいのもやりがいに繋がっていると思います。

くわえて、開発メンバーが皆それぞれ目標を持っているんです。そして、その目標を達成するための努力が凄まじい。「ちゃんと寝てるのかな?」と心配になるほどです(笑)。「熱量の高い人に囲まれて自分も頑張る」というのが心地良いです。

ーー最後に渡邊さんの夢を教えて下さい。

渡邊:いつかアメリカのピクサーで働いてみたいです。

いま私が、そこに向かって進めているかと聞かれるとなんとも言えないんですが...死ぬ前にピクサーでアニメーションづくりに携わりたい。それが私の夢ですね。


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