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【前編】COOインタビュー|正解のない0➡1への挑戦、限界を超えるアプローチの可能性とは。

Save Medical採用担当者が、今回はCOO野添にインタビューをしました。
学生時代は石油の研究をしていたという野添が、なぜビジネスに興味を持ち、なぜヘルスケア業界へと進んだのか。前編ではたっぷりとその背景について聞いていきます。

【COOプロフィール】

ジョンソン・エンド・ジョンソン(株)に新卒で入社。薬事として国内治験計画デザインに従事し、20品目以上の新製品の承認・認証を取得。またGlobalと連携したQMS改善やERP入れ替えなど、Quality Compliance業務にも精通。工学修士。


これまでのキャリア

ーーまずはこれまでのご経歴を教えてください。もともと大学院で化学系の研究をされていた、というのはプロフィールで拝見しましたが、研究内容は医療関係だったのでしょうか?

大学では石油などの研究をしていたのですが、それまで私は理系の院生で、社会のことなどに対して興味がなかったというか、ビジネス的な話はチンプンカンプンでした。

ただ、石油の研究や背景を理解する上では、ビジネスの話が沢山出てきます。たとえば、原油の価格がどのように決まっているのか理解するためには、先物取引の仕組みや貿易の話を避けて通れません。それがきっかけで、ビジネスに興味を持ちました。本当はずっと大学に残って研究者になるつもりだったのですが、学び始めたビジネスへの興味が日に日に増していき、民間企業への就職を考えるようになりました。

自分が社会に出て何をしようかと改めて考えた時に、自分が社会の一部として行ったことが社会に役立っているということを実感できる仕事が良いなと考え医療の分野を選びました。自分のことを改めて見つめ直すと、私の家族に医療職がたくさんおり、小さい頃から親の仕事が終わるのを待ちながら病院で遊んでいることも多かったので、医療は身近に感じられるものでした。また、小さい頃、私は祖母の家でずっと暮らしていたのですが、ちょうど進路を決めるタイミングでかつては元気だった祖母が膝を悪くしてしまい、なかなかどこにも出かけられなくなってしまったことも関係していたかもしれません。そして石油とは全く関係のないジョンソン・エンド・ジョンソン(以下JJ)で医療機器を扱っている部門の開発職に興味を持ち、入社しました。もともと社会に出る目的が、研究を続けていくという目的ではなく、ビジネスに興味があったというところだったので、研究のバックグラウンドがありつつ、それを社会実装に活かせる仕事がしたいと考え、開発職の中でも「薬事」という職種採用をしていたJJが自分のやりたいことができそうだと思ったのです。

薬事は研究データや臨床試験のエビデンスや、どういう風に社会で使われたいか、売っていくのかといった事業戦略をしっかり理解し、ステークホルダーの立場や想いをまとめた上で当局に理解・承認を得る、という仕事です。こういう仕事がある、というのを知らない人のほうが多い仕事の一つだと思います。

当局に価値を説明して、安全で有効だということを証明していく役割なので、研究のバックグラウンドの知識や関係者を巻き込むオペレーション能力も必要ですし、ビジネスの知識も必要で、個人的には非常に合っている仕事だと思いました。

0➝1に挑戦するためにスタートアップへ

ーー今のお話だとご自身の理想に近い環境・職務内容で、かつ世界的大企業に努めていらしたところからなぜスタートアップに転職するという大きな意思決定をされたのでしょうか。

薬事はコミュニティが小さく専門性が非常に高いため、職種をまたいで転職することは少ない職種の一つだと思います。

JJ自体とても良い会社で、そのままでもハッピーに過ごせたとは思うのですが、どうしても経験できないこともありました。それは0から1を生み出すところです。

医療機器の開発は日本に限らず海外でも、スタートアップが0→1で開発したシーズがあり、それがある程度育ったら、それを大企業が買収したりして1→100にして社会実装に持っていくというのが王道のパターンなんですね。0→1を自社内だけで実施している大企業はほとんどないと思いますし、特に最近はそういう製品は少ないと思います。

今、医療機器の世界の中でも革新的な医療機器っていうのはほんの一握りです。ほとんどのものがすごく細かい改良をいっぱい重ねてブラッシュアップしたものだったり、ユーザビリティを改善してちょっとでも競合に勝てるようにする、ラインエクステンションをするみたいな物が多いです。ゲームチェンジャーみたいな製品っていうのは大企業の中の研究開発というよりは、失敗できるリスクを取って0→1にチャレンジするスタートアップから生まれてくる。

ですので、いわゆる新医療機器などと呼ばれるような物が産声をあげるところは、どうしても大企業ではなく0→1のところに携われるようなスタートアップに行かないと経験することが難しい。

日本で0→1のポジションができるところはないかと考えた時に、日本医療機器開発機構がそれをビジョンに掲げている企業だと知り転職しました。

正解がないところを自分で作っていきたい

ーー0→1といっても多くの選択肢があったと思います。その中でもDTxという領域をなぜ選ばれたのでしょうか。

もともと日本医療機器開発機構の中でやろうとしていたビジネスの中にDTx(糖尿病)のアプリがあったのですが、それを分社化して事業化しようという話が出てきました。

もともとの想いとして自分で0→1のところの事業化に関わっていきたいという想いがあったこともあり、分社化したタイミングでSave Medicalのオポチュニティにチャレンジすることにしました。

正直、当初は私が関わるとは思っていませんでした。DTxが最初からすごくやりたかったかというとそうでもなく、最初に話を聞いたときは半信半疑なところもありました。

薬事承認はとれるかもしれないが保険適用されるはずがない、保険適用されたとしても点数は大してつかないだろうというのが、当時の医療機器や薬事を知っている人と話している中での共通感覚でした。ビジネスとして成り立つのか分からない部分はあるなと思いながら、DTxのプレイヤーたちを見ていました。

ただ、そこで何故Save Medicalでやろうと決断したかというと、製品のコンセプト自体は特徴があって面白かったのと、いまはビジネスとしての完成形は見えてなくても、5年後、10年後の視点で見たときにDTxがどういう風に社会に出てフィットしていくのだろうということに興味があったからです。

今の姿のまま社会実装されるということは無いだろうけど、確実に未来の社会の構成要素の一つになってくるものだろうなとは考えていて、正解がまだないところを自分で見ていきたいという想いで始めました。

当時と現在の違い

ーー当初は半信半疑だったということでしたが、その後社会や野添さんご自身の見方や考え方で変わった部分はありますか?

社会的に変わったのは、デジタルを推進する官民の空気があるところです。それは医療業界に関わらず、コロナで一層加速されましたよね。歓迎する部分もあれば、まだまだ足りないと思う部分もありますが、こういうものを産業化していかなければならないというところは国や社会の空気として出てきているというところは大きな違いです。

その一方で患者様の受容性はまだまだと感じています。

医療機関に行って処置を受けたり、薬を出すので飲んできてくださいね、というコミュニケーションは患者様の中では当たり前の形で、ほとんどの方が受け入れられると思うのですが、アプリを使って家で治療してきてくださいと言われて、それをどれくらいの方に受容していただけるのかは未知数です。

そういう意味では、かつてDTxは「薬のように、アプリを処方する」みたいな言い方をされていたのですが、恐らく既存のアプローチで展開しても受け入れられづらいと考えています。そうではなくて、アプリが標準的な治療として違和感なく使用されるような患者体験のアプローチを今は考えています。単純にアプリを作り臨床試験をして薬と同じように提供するというアプローチだけだと不十分なので、患者様や医療現場で使ってもらえるようなサービス設計を新たにしていかなければいけないと考えています。

海外に目を向けても、アメリカやドイツですら、DTxがしっかり産業化されて根付いている、すごく売れている製品があるとか社会的に広がっているというプレイヤーは今のところまだ無いので、やはりアプリを受け入れてもらうには既存の医薬品とは違うアプローチやサービス設計が必要なのではないかと思います。

ーーお話ありがとうございました。
後編では、DTxプロダクト開発でのやりがいや面白さ、どんな会社にしていきたいかについて聞いていきたいと思います。


【後編】COOインタビュー|想いを巡らせ、学び続ける | 株式会社 Save Medical
Save Medical採用担当者が、COO野添にインタビューをしました。前編につづき後編では、DTxプロダクト開発する上で感じること、目指す組織の姿について聞いていきます。 【COOプロフィール】 ...
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