我々は、1999年に「TENDO BREWERY」というクラフトビール工房を立ち上げ、酒造りの現場に25年以上身を置いてきた。発酵の奥深さ、生産者や自然との対話、そして醸造家としての創造性。これらに誇りを持ちながら歩んできた。
しかしながら、こと日本料理とのペアリングや、その歴史・文化の奥深さにおいては、正直言って日本酒の酒蔵に敵うものではない。その背景には、何世代にもわたる職人たちの探究と、日本という土地が持つ自然と文化の複雑さがある。
昨年12月5日、パラグアイのアスンシオンで開催された政府間委員会にて、日本の「伝統的酒造り」がユネスコ世界無形文化遺産に登録された。これは日本酒だけでなく、そこに込められた文化や地域の物語が、世界に認められた瞬間だった。
この快挙を祝し、今回は山形の日本酒、そしてその楽しみ方の可能性を掘り下げてみたいと思う。
熱燗の可能性とペアリングの妙
日本酒の楽しみ方は無限に広がる。その中でも「熱燗」という世界は、奥深さと遊び心が共存する特別な領域だ。温度を変えるだけで、酒の表情がガラリと変わる。その変化を料理と合わせて探るペアリングは、まるで化学実験のようだ。
たとえば、まろやかなコクのある山廃系の純米酒を45℃に温め、味噌田楽や濃い目の煮物と合わせる。この温度だからこそ引き出される旨味と、料理の味わいが見事に調和する。
さらに冒険するなら、一つの酒蔵の銘柄だけでペアリングを組み立てるという楽しみ方もある。例えば、山形のある酒蔵の純米吟醸を冷やで、山廃仕込みの純米酒を燗で。ひとつの蔵が持つ哲学と個性を、料理とともに堪能できる贅沢な時間だ。
山形が誇る日本酒の風土と哲学
山形は「吟醸王国」と呼ばれるだけあって、地域ごとに異なる個性を持つ酒蔵が点在している。鳥海山や月山、朝日連峰がもたらす名水、それぞれの土地の気候風土、そして酒造りに込められた技術と情熱。これらが山形の日本酒を支えている。
山形の特徴はその多様性にある。名水の質は山系ごとに異なり、これが酒の味わいに微細な違いをもたらす。また、「出羽燦々」や「雪女神」といった酒造好適米は、山形でしか生まれない洗練された味わいを実現している。
吟醸酒の出荷割合が高い山形ならではの、フルーティーで香り高い日本酒。これは、和食だけでなく洋食やスイーツとのペアリングにも無限の可能性を秘めている。
LOCALな酒と食材が生む食文化
山形には、日本全国の市場では見られないような「LOCAL FINE FOOD」が数多く存在する。江戸時代以前からその土地で受け継がれてきた食材や調味料は、地域文化の宝庫だ。
例えば、山菜の塩漬け、地元の発酵食品、あるいは昔ながらの製法で作られた味噌。これらを山形の日本酒と合わせると、東京や海外では絶対に味わえない唯一無二の体験が生まれる。
我々は、こうしたLOCALな食材と日本酒のペアリングを追求し、他にはない「食文化体験」を提供している。これは、ただのグルメではない。地域の文化を深く知る入り口であり、その価値を再発見する行為でもある。
酒器が生む新たな物語
日本酒の世界をさらに広げるのが「酒器」の存在だ。陶器、磁器、ガラス、それぞれの素材や形状が酒の味わいに影響を与える。
お猪口に注いだ吟醸酒は香りを閉じ込める一方で、片口で注いだ熱燗は空気に触れることでまろやかさが際立つ。冷酒をガラス製の酒器で楽しむと、視覚的な涼しさも加わり、五感を使った体験が完成する。
酒器を変えるだけで、同じ酒が違う顔を見せる。この遊び心こそ、日本酒の奥深さだ。
未来を創る—地域と世界をつなぐ力
ユネスコの世界遺産登録は、日本酒が持つ文化的価値を世界に示した。しかし、真の魅力を伝えるには、地域と世界をつなぐリアルな場が必要だ。
日本酒を通じて山形、天童、そして地域全体に足を運ぶきっかけを作りたい。訪れる人々がその土地の文化や人々と触れ合い、地域を盛り上げる流れを生み出したい。それが、我々の目指す未来だ。
さあ、日本酒の新たな物語を共に創ろう
あなたの力が必要だ。リアルな場で、日本酒、クラフトビール等、山形のCRAFT SAKEと山形の魅力を世界に広めていく。この新しい時代の波に乗り、一緒に物語を紡いでみませんか?
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