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「なぜ学生起業を志したか?」ー諦めずに戦い続けられた理由ー

2018年9月。大学3年生の秋。

「学生起業をしよう!」

そう決めた瞬間から、今日までの2年間、ぼくはずっと戦い続けてきた。

自分との戦い、不安との戦い、常識との戦い、批判との戦い、仲間を集めた責任との戦い、資金不足との戦い、知識不足との戦い、、、。

「お前にはどうせ無理だよ!」「やめた方がいいよ!」そんな周囲の声と闘ってきた。

なぜ、ぼくが起業を志したのか?
なぜ、周りの人に反対されても、
諦めずに戦い続けることができたのか?

学生時代の自己分析と、起業に至るまでの思考と行動を振り返りながら、書いてみようと思う。

目次

  1. 【第1章】 なぜ「起業」という選択肢を知ったのか ーキッカケ編ー
  2. 【第2章】 起業に至るまでの思考と行動を振り返る ー自己分析編ー
  3. 〈① 自分のやりたいことは?〉
  4. 〈②自分の“タイプと傾向”は?〉
  5. 〈③自分の“価値観”は?〉
  6. 【第3章】 起業に向けてー実行編ー
  7. 〈①起業家のモデルケース〉
  8. 〈②起業・経営の知識〉
  9. 〈③金銭的リスクを考えてみた〉
  10. 〈④キャリアのリスクを考えてみた〉


【第1章】 なぜ「起業」という選択肢を知ったのか ーキッカケ編ー

起業という選択肢を知ったキッカケは、たくさんの経営者との出会いだった。

僕にとって、最も身近な経営者は父だ。

兵庫県西宮市で建設会社を経営する父は、太陽光発電の事業に、老人ホームの事業と、複数の事業を同時に展開している。僕は学生時代から、父を尊敬していて、父の背中を追いかけていた。

とはいえ、中学・高校時代は、部活と勉強をそれなりに頑張る、至って平凡で、普通の学生生活。

起業なんて、想像すら出来なかった。

転機が訪れたのは、関西学院大学の神戸三田キャンパスに入学してからのこと。

私が学生時代に設立&運営していた、地域プロジェクトは、三田市内の事業者や経営者、行政機関と連携しながら進めることが多かった。

私にとって初めての、
学校や家庭外での「大人」との出会いだった。


どんなふうに働いてきたのか?
どんなふうに生きてきたのか?

会社を、2つも3つも掛け持ちして働く人、
自分で事業を立ち上げ、生き生きと働く人。

人生のずっと先を歩く大人の話は面白く、話を聞けば聞くほど、未知だった世界が開けていく。

プロジェクトの合間を縫っては、深夜まで飲みに連れてもらい、夢中になって話を聞いた。

経営者の思考や、歩んできた道のりを身近に感じていく。いろんな大人の人生を追体験する。

まるで、人生の予習をさせてもらうような、そんな大学生活を送っていた。


【第2章】 起業に至るまでの思考と行動を振り返る ー自己分析編ー

「大きくなったら何になりたい?」
「あなたの将来の夢は?」

ぼくたちは幼い頃から、
こんな質問を何度も聞かれてきた。

小学生だった頃に、「将来のあなたの夢は?」と聞かれたら、お手本のように「プロ野球選手になりたい!」と答えていた。

まったく本音ではない、その場しのぎの返答をしていた。自分の将来の夢なんて分からなかったし、見つけ方も誰も教えてくれなかった。

そのまま、僕や同級生たちは大学3回生を迎える。そして、卒業後の進路や就職活動に向け、焦るように「自己分析」を開始した。

自分を理解し、人生の方針を決める「自己分析」の過程で、僕は3つのテーマについて考えた。


〈① 自分のやりたいことは?〉

まずは、自分の「やりたいこと」について。

自己分析を進める中で、僕は自分の「やりたいこと」が、「できること」や「良く理解していること」の中から、生まれていることに気付いた。

ぼくは今まで一度も、「俳優になりたい」「サッカー選手になりたい」と思ったことは無いし、きっと、これからもそうは思わない。

自分が他人より出来ないこと、あまり知らないこと、苦手なことから、自分の「やりたいこと」を見つけだすのは至難の業だ。

もし、この文章を読んでいて、「自分のやりたいことが分からない」という人がいれば、闇雲に、自分の過去を掘り起こす必要は無い。

そこに、何も答えは無いんです。

どれだけ過去を掘り返し、思い返し、ようやく見つけた箱を空けてみても、中身は空っぽで、そこから「やりたいこと」は見つからない。

自分の分析や過去に、長い時間を費やすのは止めて、自分が気になったことを学び、行動する。

出来ることや、理解できることを増やそう。

そのスキルや知識で、誰かに喜んでもらう経験を味わい、ゆるやかな成功体験を積み重ねたら、もう勝手に「やりたいこと」は生まれてくる。

〈②自分の“タイプと傾向”は?〉

人間には「何をするか」を重視する「TODO型」と「どんな状態でいるか」を重視する「BEING型」の2種類に別れる。

これは、学生時代に読んだ、北野唯我さんの著書「このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法」の一節だ。


それぞれのタイプには、
一体どんな違いがあるのだろう?

「何をするかを重視する“TODO型”」


TODO型人間を一言で表すなら
明確な夢や目標を持っている人だ。

「こんな世の中をつくりたい」「ワールドカップに出場したい」のように、「〜すること」で人生を語れる人は、「TODO型」に当てはまる。

実は、このタイプは少数派で、
全体の1%に満たないという。

「どんな状態かを重視する“BEING型"」


一方で、「BEING型人間」は、「尊敬できる仲間と一緒に働いている」「ストレスの少ない環境で働けている」「他者への貢献を実感できる」など、自分の状態に重きをおいて働くタイプだ。

残りの99%にあたる、多数派です。
僕も間違いなくこちらに当てはまる。

〈③自分の“価値観”は?〉

自分が「BEING型」と分かったところで、次に考えることは、自分にとってベストな状態だ。

とはいえ、それを頭で考えることは難しい。

そんな時、吉田行宏さんの著書『成長マインドセット〜心のブレーキの外し方』を読んだ。

特に感銘を受けたのが、著書の中で提唱される「アイスバーグの法則」という考え方だった。


「アイスバーグの法則」とは、、、

誰もが認識できる「結果や成果」は、水面に現れている氷山の一角に過ぎない。海面に沈んでいて見えない、「価値観や哲学」「習慣や行動」「能力やスキル」という土台こそが、「結果や成果」を生み出しているという考え方だ。

【価値観ワークシートの作成】


「アイスバーグの法則」に感銘を受けた僕は、この考え方を用いることにした。

スタジオMOVEDOORのメンバーと共に、それぞれの人生の方針を決めるため、「価値観ワークシート」をつくることにした。

今では、メンバー全員がこのワークシートを作成して、それぞれの価値観を共有している。

つくり方は、以下の通りだ。

【価値観ワークシートの作り方】
①大事にしたい「価値観」を知る。
②人生において進むべき「方針」を決める。
③具体的な「行動」に落とし込む。
④必要な 「能力」・「スキル」を洗い出す。
⑤本当に実現したい「成果」に気づく。

「自分だったら、どうか?」と置き換えて読んでもらえたら、新しい発見があるかもしれません。

〈-1- 大事にしたい『価値観』を知る>

アイスバーグの法則における、最も根本的な土台は、あなたが持っている価値観だ。

MOVEDOORのメンバーは、自分が大事にしたい価値観を5つ書き出すことにした。


ぼくの場合は、次の通りだ。

⑴ 大切にする価値観
1.好奇心
2.協力
3.チャレンジ
4.成長
5.責任感

もちろん、いきなり紙に書き出すのは難しい。もっと気軽に、仲間と一緒にゲーム感覚で取り組める手法やツールはないかと探してみた。

そして、株式会社カラバリで販売されている、「カラバリューカード」の存在を知った。


対面実施用のカードです。 対面研修やプロジェクトはもちろん、飲み会や友人・ご家族などのシーンで楽しんでいただけます。 キャリアの軸探しに自分と向き合う際や、チームビルディング、 採用時のお互いの価値観の共有など、さまざまなシーンでの気づきに活用できます!
(参照:株式会社ColorVariation(カラバリ) ・カラバリューカードの想い

色んな価値観が書かれたカードが、山札に積み重っています。初めに、5枚のカードを引き、手札には5枚だけカードを持てます。山札から1枚カードを引き、6枚の価値観を比較して検討します。自分にとって、必要が無い価値観のカードを1枚選んで、捨てていく。


これを何度も繰り返すことで、いろんな価値観を比較しながら、自分の大切でない価値観や、大切な価値観を楽しみながら、探せます。(詳しい使い方は、上記の動画を見てください。)

最後まで、あなたの手札に残った5枚のカードが、最も大切にしたい価値観です。

仲間の新たな一面を知って、お互いの価値観を共有した上で、仕事ができるようになり、チームビルディングの基礎になりました。

<-2- 人生の方針「コンパス」を決める>


カラーバリューカードで見つけた、5つの価値観をベースに、人生の方針を決めていく。

僕は「好奇心・協力・チャレンジ・成長・責任感」の5つ要素から、次の方針にたどり着いた。

⑵ 方針
信頼できる仲間と、
ワクワクする目標を追いかけ続ける人生。

「〜な人生したい」「〜に生きる」のように、自分の希望を書いたり、宣言するような文言にすればスムーズに考えることが出来ます。

大きな判断に迷ったり、自分を見失いそうな時は、この方針に立ち返るようにしている。

<-3- 具体的な『行動』に落とし込む>

人生の方針が決まったら、「どんな行動をするのか」「どんな行動を辞めるのか」自分の行動や、習慣に、落とし込んでいく。

⑶ 行動
起業する・会社経営をする・最高の仲間を見つける・仲間を大切にする・目標を持ち続ける・情報収集・社会と顧客とチームに価値を提供し続ける&人と会い続ける&人としっかり向き合う

僕の場合は、「起業する」「会社経営をする」などの行動が浮かび上がってきた。

忙しくて行動できない時には、「どんな行動を辞めるか」を考えてみるのもオススメだ。新しい時間をつくることも、立派な行動だと思う。

<-4- 必要な『能力とスキル』を洗い出す>

行動が決まれば、価値観と方針を振り返りながら、「身に付けたい経験」「知識」「人間性」「生かしたい性質」を、さらに深掘りする。

⑷ 能力・スキル
チームビルディング・マネジメント・コーチング・熱量・ライティング・経営・愛され力・好奇心・資金調達・プレゼン・思考力・素直さ・撮影

代表としてのスキルと、個のスキル。全体的に経営やマネジメントに関する要素が多かった。

<-5- 実現したい『成果』は?>


これまで考えてきた4つの土台があり、ようやく実現したい「成果」を見出すことができる。

アイスバーグの法則でいう、氷山の一角だ。

⑸ 成果
・自分と仲間と周囲を幸せにする
・幸せに生きる人を増やす
・自分と仲間の自己実現
・価値と楽しさを生み出し続ける

こうした長い思考の末に、僕の人生における、価値観ワークシートがついに完成した。


「どんなことを実現するか」
「自分が起こす結果や変化」
人の目に触れるのは、いつも「成果」だ。

これまで出会ってきた大人たちや、何かの成果を出した人たちも同じで、きっと僕の目に映っているのは、彼らのほんの一部でしかない。

しかし、その根底には、必ず一人一人が大事にする価値観があり、習慣や行動があり、積み上げてきた、スキルと能力がある。

強く大きな土台こそが、大きな成果をつくることを、いつだって忘れないようにしたい。

【第3章】 起業に向けてー実行編ー


「就職しようと思わなかったの?」
「周囲からは反対されなかった?」

起業を決意してから2年が経ち、僕はよくこんな質問をされるようになった。

もちろん、就職は視野に入れていたし、就職活動もしていた。企業に勤めなければ、経験できない仕事があることも重々承知の上だ。

当然、周りからは大反対された。

「新卒はたった一度しかない」
「キャリアが潰れてしまう」
「リスクが大きすぎる」と、、、。

面識のない人からの意見は気にならなかったが、お世話になってる方々や、親族に就職を勧められた時は、さすがに心が揺らいだ。

叱ってくれる上司がいない環境、理不尽を学べない環境は、人を天狗にする。大きい会社に入って学べることを、若いうちに学んでほしい。

僕の将来を心配してくれた、アドバイスでした。

「学生起業とか意識高いな」
「お前には、絶対無理だよ」
「起業ごっこは辞めなさい」
「そんなビジネスプランじゃ通用しない」

同級生や面識のある人から、こんな風に馬鹿にされたり、批判されたことも1度や2度ではない。

でも、僕は人と同じことをしても、面白くないと思った。そして、自分の決めた道を変えようとしたことは、一度もなかった。

今、世の中は「ライフワークバランス」や「働き方改革」が提唱され、仕事だけでなく、プライベートを大切にする風潮も広がっている。

それでも、1日8時間。
人生の2/3を費やすのが「仕事」だ。

この時間を、誇りを持ち、心から没頭できる仕事に費やすのか、それとも、自分に合わない環境や仕事に悶々とする日々を送るのか。

僕にとって仕事は、人生とは切り離せない、生き方を左右する、大事な決断に思えた。


大学に入ってから、僕は子ども向けのボランティアや地域プロジェクトに、日々熱中していた。

信頼できる仲間と、ワクワクする目標を立て、達成することに、これ以上ない喜びを感じていた。進路選択に大きな迷いはなかった。

もはや、目標無しでは生きていけない。ある意味「目標依存症」「目標中毒」なのかもしれない。

大きなビジョンを掲げて、まだ無い事業を生み出し、世の中に大きく貢献できる仕事……

僕にとって、その最たる存在が起業家だった。いろんな批判や指摘にも負けず、起業を実現するため、私は4つのテーマについて勉強した。

〈①起業家のモデルケース〉

少し調べてみると、日本にも僕とそう変わらない年齢で事業を起こし、世界にインパクトを与えている若手起業家の存在を知った。

たとえば、1992年生まれの堀江裕介さん。彼は学生時代に「dely株式会社」を立ち上げた。

起業当初のdelyは、フードデリバリー事業に目をつけた。今では、誰もが馴染みのある事業だ。

しかし、数年前は、全国に展開されるコンビニエンスストアが競合となり、2015年にサービス廃止まで追い込まれた。

その後、デリバリー事業から、レシピ動画サービスへの事業転換を図り、delyが運営する『クラシル』は、レシピ動画数で世界一に成長を遂げた。

「スキマ時間を使って、面接無しでアルバイトができる」ワークシェアリングアプリ『タイミー』を開発した、小川嶺さんは1997年生まれ。

僕と同い年だ。高校時代から起業を志し、4度の事業を起こしては、失敗して、試行錯誤の末に、現在のサービスを生み出したという。

その結果、株式会社タイミーは、名だたるベンチャーキャピタルや、エンジェル投資家から、数億円希望の資金調達に成功している。

若くして挑戦して、失敗しても、諦めずに何度も這い上がって成功する。僕はそんな若手起業家に、人間としての色気や貫禄、魅力を感じた。

堀江裕介さんの話が聞きたくて、気がつけば、関西で開催された「dely株式会社」の就職説明会に参加していたこともあるくらいだ。(笑)

もちろん、株式会社タイミーの小川さんのトークイベントにも参加させてもらった。

子どもたちが、プロ野球選手に憧れるように、僕は日本の若手起業家に憧れた。いつか自分もそんな存在を目指すと思うと、胸が高なった。


海外に比べると、日本は若手起業家が少ない。根本的な数も少ないが、途中で事業が立ち行かなくなり、諦めてしまう人が多いという。

先程も例に挙げた、堀江さんや小川さんも、起業から数年間、何度も廃業し、現在に至っている。

成功モデルとして語られる人も、数えられない程の失敗を経験している。反対にいえば、誰よりも失敗して、それでも最後まで諦めず、続けられた人だけが成功を掴める。それが真実だ。

それなら、「起業するリスク」とは何なのか?

その正体が知りたかった僕は、事業にまつわる情報を徹底的に調べ、勉強することにした。

〈②起業・経営の知識〉


身近に経営者がいるとはいえ、会社の作り方なんて分からない。正真正銘、0からのスタートだ。

「代表取締役とは?」「会社の作り方は?」
基本的な知識から1つずつ。積み重ねる。

本を読み、インターネットで調べ、税金のルールから支払い、組織のつくり方、見積書や契約書のつくり方などを、学ひまくり、実践し続けた。

数学に歴史、化学や物理。これまでの学校生活における、決められた学びとは異なる生きた知識。

そうして、1年が経った頃だろうか。

起業やお金、組織運営の知識が身に付くほど、自然と周りの声が気にならなくなっていた。

そして、リスクに対する謎は深まるばかりだ。

当時、日本の雇用の流れを調べた。今後、人口と市場が縮小する日本では、どんな大企業であっても、「終身雇用」の保証が難しくなることを理解した。会社の寿命も、益々短くなるだろう。

数年後には、個人の時代がやってきて、社内起業や副業をする人が、どんどん増えてくる。

力なき者に、安定は存在しない。大きい会社に入れば安心できる、そんな時代は終わりを迎えた。

どんな場所や会社でも通用する、個人の能力こそが重要視される。高い能力があれば、所属する会社が潰れても、すぐに転職できる。

何がリスクで、何がリスクでは無いか?時代の急速な変化により、その意味が再定義されている。

〈③金銭的リスクを考えてみた〉

お金についても、知らないことばかりだった。

10年前までの「起業」といえば、多額の銀行融資を受けてスタートさせる、失敗すれば借金を背負う、そんなイメージが強かったかもしれない。

しかし、インターネットの普及と共に、IT分野の事業領域が拡がり、起業のあり方が変化した。


デザイン・動画制作・プログラミング・システム開発などは、パソコンやカメラさえあれば、小さなリスクで、すぐにでも挑戦できる。

ベンチャーキャピタルや、エンジェル投資家を味方につけた、株式による資金調達も普及した。

その場合、事業が失敗しても、返済事務は無い。(もし、会社が上場したり、他社に売却できた場合は、投資家に莫大なリターンをもたらす。)

「起業」=「金融的リスク」

もう、そんな単純な公式は成り立たない。誰もが、起業しやすい世の中になりつつある。

〈④キャリアのリスクを考えてみた〉


同じくらい何度も指摘されたのが、「起業」=「新卒のキャリアが潰れるリスク」だった。

確かに卒業して、すぐに起業してしまえば、いざと言う時に叱ってくれる上司には出会えない。

社会人としての上下関係や、ビジネスマナーを学べる機会は減ってしまうだろう。

会社員として、ステップアップすれば、昇進という形で自分の成長を感じられるかもしれない。

では、起業はどうだろう?

自分で事業を起こしても、お客様が存在する以上、信頼を勝ち取るために、社会人としての上下関係や、ビジネスマナーは学ばざるを得ない。

さらに、仕事で結果を出さなければ、会社を存続出来ないという、健全なプレッシャーを持てている。失敗すれば、全てが自分たちの責任となるため、一瞬たりとも気は抜けない。

当然ながら、挑戦した数だけ、
失敗の数も増えていくだろう。

だけど、トライ&エラーを繰り返しながら、全力で駆け抜ける時間は、必ず自分を成長させる。

直属の上司がいなくても、尊敬できる仲間や先輩と出会い、経営者を始めとした、クライアントに全力で向き合うことで、刺激を受け続けられる。

独り立ちした自分として、誠意を持って、相手と向き合うことで、助け合える関係性を築きたい。

最悪、起業で失敗してしまったとしても、また、0から這い上がっていけば良いだけだ。全力で挑戦する中で勝ち得たスキルや知識は、ぼくの血肉として、これからも残り続ける。

何度も何度も方向転換して、そのたびに、また新しいスキルと知識を磨き続ければ良い。

ファッションもレストランも全て、他と異なるものにこそ価値が生まれる。僕にとって、起業は人生最大のリスク回避だった。

知れば知るほど、新卒で起業することが、自分のキャリアを潰すとは、到底思えなかった。

僕にとっての、本当のリスクは、何にもチャレンジしないまま、20代を終えることだった。

自分に合わない環境を選び、納得感を得られないまま、仕事に熱中できない。何年もその場に身を置いている自分を想像すると、怖さを感じた。

言い訳ばかりを並べて、頑張れない。
何も挑戦しないまま、人生を終える。

それこそが、本当のリスクでは無いだろうか?

【第4章】 諦めずに戦い続けられた理由 ーまとめ編ー


「やりたいこと」を見つけるためには、「できること」「良く理解できる」ことを増やしていく。

気になったこと、無理なくできること、嫌いじゃないことには、どんどん挑戦してみる。

誰かに喜んでもらえた時、自分の成長を実感できた時、それが自分の「やりたいこと」に変わる。

キャリアに正解なんてない。だからこそ、まずは、多くの選択肢があることに気付くべきだ。

よく勉強して、よく考えることで、他人からの評価や常識という思い込みから、自分を解放する。最後は自分の感情に、素直になって決断する。

あらゆる不安と心配は、知らないことが原因になっている。不安と心配に打ち勝ち、自分の気持ちに正直な人生を生きるために、学び続けよう。

少なくとも僕は、徹底的に調べて学んだ、あの日々が、周囲からの批判や迷いから、自分の決意を守り抜いてくれたと感じている。

それでも不安が消えない人は、心の余裕を保つため、リスクヘッジをするのも、悪くない。

僕は意外と心配性だったので、残りの大学生活を「起業準備8割・就職活動2割」で過ごした。

もし事業が軌道に乗らなければ、潔く就職する。数年間修行すれば、また起業にリベンジする。

理想主義に偏りすぎず、現状と理想の差分を正しく認識する。そのバランスを取りながら、計画を立てることで、迷いなく、起業に挑戦できた。


いま、コロナ禍の状況下で、多くの大学生が就職活動や進路に不安を抱えていると思う。

「今の学びが将来に繋がるのか分からない。」
「やりたいことが見つからない。」
「でも、刺激のない人生は嫌だ。」

確かに、一歩踏み出しずらい状況だ。でも、こんな時代だから、未来は全く予測できないのか?

答えはNOだ。誰にでも情報が手に入る時代、誰かに会って話せなくても、自分の手で何かを調べたり、社会のトレンドを読み解くことができる。

あなたのことを想って助言してくれる人が、人生の責任を取ってくれるわけではない。助言は感謝して受け止めながらも、自分はどう生きたいのか、その素直や気持ちを最優先して欲しい。

決めるのは、いつも自分だ。


こんなことを書いている僕も、まだまだ道半ば。ようやくスタート地点に立ったところだ。

自分との戦い、不安との戦い、常識との戦い、仲間を集めた責任との戦い、資金繰りとの戦い。

戦いは、まだまだ続きそうだ。険しい山を選んだからこそ、「成果」を手にするまでの道のりは、遠くて、想像以上に険しいはずだ。

「お前には絶対無理だよ!」
「そんなビジネスプランじゃ通用しない!」

そんな声に、心が揺れることもあるだろう。それでも僕は、自分の気持ちに正直でありたい。

そして、迷うたびに僕は、自分自身に、何度も何度も、こう問い続けるのだろう。

リスクのない人生こそが、最大のリスクだろ?

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