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【代表取材】創業5年、平均年齢28歳の清掃オペレーション×テック集団 Edeyans。“ホテルのインフラをともに創る” 原体験とは?

Introduction

大学卒業後、すぐに起業して Edeyans を成長させてきた創業者の片山さん。現在に至るまでの5年間には、コロナ禍による利益の低迷、ピボット等、さまざまな紆余曲折がありました。それでもなぜ、平均年齢20代のベンチャーが清掃業界を変えようと挑むのか?そのモチベーションの源泉と今後の戦略を伺いました。

成長マーケット×できることが軸
日本発の清掃にポテンシャルを感じ、
大学卒業後に起業。

ー 起業のきっかけは何ですか?

大学時代に学生起業家の方と出会ったことがきっかけです。
「2〜3歳しか変わらないのにこの人はすでに社長なんだ...。かっこいい!俺も社長になりたい!」と思って。いま思うとめちゃくちゃピュアですよね。大学3年生で起業を志すようになりました。

ー 起業の経緯を教えてください。

最初のアイデアは、海外の日系企業に日本の大学生をインターンとして仲介する「海外インターン事業」でした。
調べると同様のサービスがすでにあり、直接その社長に話を聞いてみると「まずは実際に自分自身が海外インターンを体験してみないことにはわからないよね」と言われ、すぐに休学届を出して、そのサービスを利用して2週間後に10ヶ月間ベトナムに旅立ちました。

ー あれ?でもちょっと待ってください。インターン事業と現在の清掃事業は繋がらないですよね。どのように現在の事業に繋がったのですか?

ベトナムインターン時に思考が変わったことがきっかけです。
その時に社長は頻繁に「そもそもマーケットが伸びていないと、事業は立ち上がらない」「自分の専門性がない分野で事業を立ち上げることは難しい」と話していて、大学生の自分自身が起業するならマーケットが伸びていて かつ 売上がすぐに立ちやすく、資金がなくても始められる事業で勝負しようと決意しました。それが、民泊向け清掃サービスだったんです。

メンバーと MTG する片山。隣に座るのは大学時代の同級生でもあり、新規開拓を担当するメンバー。

ー なぜ、民泊向け清掃サービスに目をつけたのでしょうか?

日本発の清掃にはポテンシャルがある。
海外展開も見据えることができる大きな事業になる、と思ったからです。
ベトナムで生活して日本の高い衛生レベルは当たり前ではないことに気づきましたし、帰国した2017年当時の大阪では民泊をはじめとしたインバウンド向けの宿泊施設が急増していました。そして、清掃ならマーケットが伸びていて、自分にもできそうで、なおかつ日本が No.1 になれるポテンシャルがあると思い、大学卒業後、起業しました。

ー まさに成長マーケットがあって、売上が立ちやすく、資金がなくても始められる事業が清掃だったんですね。

価格で勝負する限界。
デジタル投資は Edeyans にとって必然の選択だった。

ー Edeyans は創業1年で軌道に乗ったと聞きました。

そうですね。でもその当時この事業は誰がやっても成長したと思います。民泊オーナーは清掃に困っており、とにかく安く早く請け負えば全て受注できたんです。清掃のオペレーションは後輩や友達も集まってくれて、当時は1日も休まずに働いていましたね。

2018年のメンバー写真

ー 大学卒業後、すぐに起業して順調に成長していたのですね。

特に起業2年目の2019年頃は民泊マーケットがさらに伸びていたので、それに乗って Edeyans も成長しました。
でも価格優位性で勝負していたので粗利は低かったですし、アナログなオペレーションだったので、事業規模が大きくなって人が増えるにつれて管理コストも上がってしまって...。売上が2,000万円を超えたころからどんどん利益が出なくなっていきました。

そこで生産性を上げ、オペレーションコストを下げる方法として、テクノロジーの活用=デジタル投資を考えるようになっていきました。そうして2019年夏頃からシステム開発をスタートしました。

ー 2020年から始まるコロナ禍直前で、デジタル投資を始めたんですね。

実際にプロダクトもできていました。
自社だけでは案件が回らないときに他社に再委託するために使っていた民泊清掃の受発注管理プラットフォームです。このプラットフォームは受発注管理だけでなく、清掃後、きちんと掃除ができているかの “現地チェック” を写真撮影で代替するサービスでもありました。
クオリティにこだわる民泊オーナーからは、多少価格が上がっても現地チェックをしてほしいというニーズがあったんですが、一方、コスト重視の民泊運営会社からはそんなものは必要ないと言われる。僕らはそこに目をつけたんです。
この “サービス” をフックに、たくさんの民泊清掃を受注していました。

ー サービスの評判はいかがでしたか?

すごく注目していただいて新聞などにも取り上げてもらい、それをきっかけにいろんな VC からも声が掛かり…
すごく浮かれていた時期でしたよね(笑)
25~26歳当時、自分はすごい起業家になれるんじゃないか!?と勘違いしちゃっていました。

コロナ禍で売上9割減!
ピボットを重ねてたどり着いたホテル客室清掃。

ー そんなタイミングでコロナが来たわけですね。

そうなんです…。
晴天の霹靂でした。

ー コロナショックで Edeyans に何が起きたのでしょうか?

売上は単月ベースで9割減。
コロナ影響は長期化しないだろうと楽観視していたところ、一気に情勢が崩れて売上が激減したんです。そんなときに先輩経営者からの助言もあり、2020年秋すぐに “除菌清掃サービス” にピボットを決定。即プレスリリースを打って、そこから受注が止まらなくなって経営危機を乗り越えました。

除菌清掃サービスの LP

おかげで誰一人リストラもしていませんし、メンバー冥利に尽きるのですが、この危機をみんなで乗り越えようと一致団結して乗り越えることができました。
ただ、その影響でデジタル投資が不可能になり、システム開発は全てストップ。
そもそもマーケットクラッシュしたので、そこからとにかく明るいニュースのない2年間が続きました。

ー 現在の事業は民泊向けではなく、ホテル向けの清掃サービスですよね。そのピボットにはどのような背景がありますか?

観光は国家戦略ですし、時間軸はどうであれ、いずれマーケットは戻ると考えていました。
そのように考えたときに、コロナ前の民泊客室数はわずか6万室。対してホテルは100万室の超巨大マーケット。だからこそ、マーケットクラッシュしているタイミングでホテル清掃に参入し、アフターコロナの観光を支える戦略に切り替えました。
さらに、創業の地 大阪よりも先にホテルの需要が戻ると予想される東京進出の意思決定もしました。
そうして、2021年4月大手ホテルから受注ができ、ホテル清掃オペレーションに乗り出しました。

ー 清掃業界の平均年齢が41.8歳。そんな中で20代のベンチャーが清掃事業に参入するのは異例だと感じます。何が決め手で大手ホテルは Edeyans に任せてくれたのでしょうか?

まずホテル運営戦略はコロナ前の稼働率至上主義からコロナ禍・アフターコロナに向けてコスト改善のニーズが高まり、その期待感が DX に向けられていました。そんなタイミングで我々はホテルマーケットに参入したんです。
僕らが民泊向け清掃サービス提供時に開発していたプラットフォームでは、クラウド上で清掃写真をチェックしたりしていたじゃないですか。このオペレーションをホテルでも転用すると営業したところ、それが刺さり「Edeyans ならなんだかやってくれそう!」という期待感で発注してくださったと思っています。

20代を中心に元アクセンチュア、元サイバーエージェント 他、様々な経歴のメンバーが集まる

でも、当時の僕らはホテル清掃について解像度がかなり荒く、結果、ホテルと民泊の清掃はまったく違い、民泊清掃のプラットフォームは全然ホテルに転用できないし、完全に的外れだったんですが (笑)
でもホテル担当者に聞いてみると「この若者たちはこれまでのホテル清掃とは違う形でやってくれるんじゃないか」という期待はあったと言ってくださっていますし、僕らもその一点突破でしかありませんでした。

ー その期待の背景には、ずっと業界が変わらないことへのフラストレーションがありそうだと感じました。

はい。ホテル清掃は30~40年、ずっとやり方が変わっていないと言われているんです。
前提としてホテル清掃は8〜9割がアウトソーシングされており、ホテルの夜勤スタッフが深夜に清掃会社のスタッフ一人ひとりへの清掃指示書を作成するのに、毎日2〜3時間...

「この部屋は15時にチェックインです」
「この部屋はこういうプランなので、このアメニティを置いてください」
「この部屋はリピーターなのですが、前回こういうクレームが出てます」

こんな膨大な情報が含まれた指示書を何百枚も作っていて、対して清掃会社側もだれがどの部屋を掃除したか?というクリーニングレポートを紙で残さなければいけません。
僕ら Edeyans もホテル清掃を請け負ってみて初めてアナログで非効率なオペレーションを知りました。そして、「サービス開発すべきはここだ!」「絶対に必要とされるサービスを作れる」と思ったんです。この課題を解決できる SaaS を開発し、それをフックに清掃オペレーションを受注するというモデルは絶対に売れると考えて、1年ほど SaaS を開発してきました。それが2021年9月に開発を開始した、ホテル客室管理 SaaS 「Jtas (ジェイタス)」です。

誰も取り組めないからこそ、意義がある。
30年変わらないホテル清掃の課題を解決する、
ホテル客室管理 SaaS「Jtas」

ー 「Jtas」とはどんなサービスですか?

ホテルと清掃会社、両者が利用する ホテル客室管理 SaaS です。
ホテルにとっては清掃指示書作成にかかる2~3時間を30分に短縮できるサービスであり、清掃会社にとってもその清掃指示書の確認やクリーニングレポートの提出が効率化できます。さらにまだ日本語に不慣れな外国籍スタッフでも指示書の内容がわかる言語翻訳機能によりマネジメントコストやコミュニケーションエラーも減らせるようになりました。
ホテル側からは「残業しなくてよくなった」「夜勤スタッフがしっかり休憩できるようになった」
清掃会社側からは、「全体的なマネジメントコストが減った」という声をいただいており、ローンチわずか半年で続々と大手ホテルに導入いただいています。

ー 「Jtas」開発の一番のモチベーションは何だったのでしょうか。

コロナ禍でマーケットの波に乗るだけの事業は脆いということを痛感しました。なので、アフターコロナは一事業者として波に乗る事業ではなく、業界全体にポジティブなインパクトを与える事業を作りたい。それが1つのモチベーションでした。
あとは同じ課題を抱える清掃業界がたくさんあると知り、絶対に業界を変えないといけないと思ったことですかね。

ー 他の清掃会社も課題に気づいているはずなのに Edeyans のようにデジタル化しようとする会社はない。それはなぜなのですか?

明確な理由は、ホテル清掃の粗利率が低く、PL 経営をしようと思うとデジタル投資する余裕がなく、一方で、スタートアップがエクイティで資金を集め、赤字を掘りながら第三者的に業界を DX しようとしても、着目するのはフロント業務や集客などのホテルの基幹システムだからです。
ホテル清掃に目をつけるスタートアップはいないと思いますし、そこにどんな課題があるのかは、業界の中からでないと見つけられない複雑さはあると思いますね。
ホテル清掃オペレーションにも取り組む Edeyans だからこそ、業界の解像度を高く捉えてプロダクト開発できますし、それは僕ら Edeyans じゃないとできないと強く思っています。

ー 「Jtas」をフックに清掃オペレーションも順調にクライアント数が増え、売上は急成長したとか。

そうですね。
マーケットも回復してきていますし、加えて清掃管理 SaaS「Jtas」×清掃オペレーションの提案がかなり当たっており、見込み以上の成長ができており、来期もさらにチャレンジを続けていく予定です。

4つの課題に3つのソリューションで挑む、
カオスなフェーズにワクワクする人と働きたい。

ー 来期はどんなチャレンジをするんですか?

事業戦略でいうと SaaS 事業を持つことでしっかり優位性を出していければ、他の清掃会社と比べて高単価での受注も可能ですし、業界の慣例も変えられると考えています。そのために直近3年は清掃オペレーションで生む利益を SaaS に投資してきましたが、今後3年は SaaS で利益を生んで海外展開や人材育成に投資をしていく予定です。
中長期では2030年までに日本全国のホテルの20%に対してサービスシェアを広げ、観光立国日本を裏側から支えていく黒子のような存在になっていきたいですね。

ー 今後はどんな方と働いていきたいですか?

いまマーケットの状況としては、コロナ禍で大打撃を受けた中、徐々に再復興をはじめ、一度流出してしまったオペレーションスタッフによる人手不足解消のための省人化やオペレーションの見直しが盛んに行われています。そのため、Edeyans の取り組み(Edeyans は4つの課題に対して、3つのソリューションを提供)は必ずニーズがあると確信しています。


Edeyans は業界でも珍しく平均年齢は20代。アクセンチュアなどのコンサルティングファーム、スタートアップ、清掃業界、国籍もさまざまでいろんな経歴のメンバーが集まって、みんなで何が正解なのか模索しながら取り組んでいるフェーズです。客室清掃オペレーションは案件数を拡大し続けていますし、清掃管理 SaaS「Jtas」がローンチしたばかりのところたくさんの発注をいただいていますし、さらに新規事業がもうすぐローンチするなど、スピード感を持って挑戦しています。その分、楽なことばかりではありませんが、僕らの取り組みは必ず日本の観光やホテル業界の変革に大きな影響を与える、僕らが業界にイノベーションを起こしていかなければならない、と使命感を持って取り組んでいます。

このカオス かつ 一番エキサイティングなフェーズをおもしろそう、業界の新しいインフラを作ることにワクワクするという方はぜひ一度お話しさせてください!

取材企画・協力 / 世界線株式会社

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