会社情報 | smartround
https://www.smartround.com/public/startups/d8852a47-c9e4-48d5-8c4e-98284374e88b?fbclid=IwAR3zyAiDqd1kLgoeN8zTSU2Ch0UKTO_mdVv8vRb36zXwf-e73aKrPNwVg_8
※記載の状況は取材当時(2023年8月8日)のものです。
📌「保険業界をアップデートする」をミッションに掲げ、保険代理店向けのバーティカルSaaSを提供。クラウド型顧客・契約管理サービスや、CRMシステムの提供などを通して、保険業界の業務効率化に取り組んでいる。
公式ページ:https://www.corp.hkn.jp/
smartroundページ:https://www.smartround.com/public/startups/d8852a47-c9e4-48d5-8c4e-98284374e88b
📌法務責任者として2022年9月に入社。司法試験合格後、弁護士として金融・保険業界でキャリアを積み、スタートアップ支援の事務所などを経て現職。リーガルチェックや各種規程の整備、コーポレート法務といった法務業務に加え、コンプライアンス体制の立ち上げに取り組んでいる。
事業内容について教えてください。
保険代理店向けのバーティカルSaaSを提供しています。
このサービスの前提となる保険業法、特に募集行為規制の流れからご説明しますと、もともと近代的な保険の概念は欧米から入ってきた概念で、福澤諭吉が日本に紹介したのが始まりです。そのため、もともと日本人にとっては比較的新しい概念でしたから、誰もが最初からどういうものか理解しているものでもありませんでした。
また、保険というのは、目に見えるものを売るのとは異なり、どういう内容なのか一目見てわかるわけでもありませんから、説明が十分になされないこともありました。その結果、保険契約者が契約内容を理解していなかったり、もともとの説明が不十分という事案が多発し、消費者保護は重要な問題でした。
そこで、消費者を保護するため、法律で「●●してはならない」というような募集行為における禁止事項が数多く設けられました。昔は保険募集取締法という名称の法律があったくらい、事件が多く、取り締まるものだったのです。
その後、時代を経て2014年の保険業法改正により、「してはならない」だけではなく、「こういった情報を提供しなければならない」という意向把握や情報提供といった「するべき」という義務についても保険業法のレベルで定められました。「●●してはならない」という場合、「していないことの証跡」を残すためには、すべての募集の過程を録画したりするなど、現実的には非常に難しいのですが、この「するべきこと」という義務の履行状況は、記録として残すことができます。
hokanCRMは、保険代理店における保険募集の記録を残す顧客管理ツールで、まさに保険募集において必要な記録を残すために最適なサービスです。最近では、企業代理店に対して、出納管理のDXを進めるサービス(hokan出納)をリリースしたりと、保険のバーティカルSaaSとして、広く事業展開をしております。
ご入社の経緯について教えてください。
入社したのは2022年の9月になります。
最初は企業法務系の法律事務所に勤務した後、ペット保険の会社、スタートアップ向けの法律事務所で勤務しました。その後、都内の銀行に転職し、法務部員としてリーガルチェックや民法改正などの業務に取り組んでいました。
これまでのキャリアの中で、スタートアップと行ってきた仕事が楽しかったと感じていたこともあり、スタートアップやベンチャー企業の市況等への勘を鈍らせないよう、銀行在籍時には競合調査も兼ね、Fintechに関するサービスを自主的に研究していました。
hokanを知ったのはその時です。事業内容を見て、記録を残すこととシステムの組み合わせは相性が良さそうだなと思いました。法改正に合わせた時勢ともマッチしているサービスでもあり、自分の保険会社勤務時の経験からも必要性が高く、社会的意義のあるサービスであると魅力を感じ、転職を決めました。
法務責任者の中村さん。新型コロナウイルスが流行しており、お子さんが産まれたタイミングでもあったため、フルリモートかつフルフレックスという柔軟な勤務環境も、hokanへの転職の決め手の一つだったとのこと。
シリーズAから弁護士を法務責任者に置いている会社はそこまで多くないように思います。
あまりないケースですね。この規模では珍しい役職であるからこそ、キャリアに価値を出しやすいと感じたのも応募動機の一つにありました。
保険という専門性の高い領域で適法性を判断して事業に伴走するには、実務経験もある弁護士レベルの法律知識を持っている人が必要だったのではないかと。経営陣も全体的に「きちんとやりたい」というマインドの持ち主が多く、法律の立て付けがわかる人が社内にいる、ということがお客様の安心にもつながると考えたのではないでしょうか。
管理部門はどのような体制なのでしょうか。
私が入社するまではCFOを中心に3名で回していたようですが、私が入社してからは投資家対応や取締役会周りはCFOと私の2名で対応しています。法務関係は、私が中心となって捌いています。
取締役会の設置を契機に、例えば、監査役を増やす場合、選任時に他の監査役の意見が必要で、取締役会の段階で議事録に意見を残す必要があるとか、法律の勘所がないと気付けない領域が増えてきていますね。
現在社員が50名程度ということもあり、ツールも活用して適切に運用すれば、自分一人で回せる環境が作れています。スタートアップはリソースが有限なので、この領域は専門知識のある自分が間違いのないように運用し、他の人は別のところに集中してもらえればと思っています。
導入のきっかけについて教えてください。
入社してすぐ、株主総会を準備していた時に「smartroundというツールがあるよ」とバックオフィスの担当者に言われたのがきっかけです。
入社した初回の株主総会は慣れないツールのキャッチアップをする余裕がなかったため、紙ベースで開催したのですが、その次の株主総会では、委任状を回収してリアル開催することとなりました。その株主総会は当初予定していないものであり、委任状の回収に工数を割く余裕がほぼなかったことから、ツールの導入を決めました。
導入後、どう変わりましたか。
作業の手間の削減はもちろんですが、心理的にとても楽になりました。
一番良かったのは、委任状や同意書の回収状況がすぐ分かるところです。メールで五月雨に委任状が提出されると流れてしまうことも多くて、ちゃんと回収しきれているかというのが常に不安でした。
smartroundを導入してからは、いつでも現状を確認できて、回収した委任状も併せて確認できるのでとてもありがたいです。
特にみなし株主総会の同意書は全員分回収しないといけないため、とても気を使うところなのですが、smartroundで管理していると回収状況が見えるので、かなり安心感があります。
株主総会smartroundでは、招集通知送付後に委任状回収状況を自動で集計し、一覧で状況を把握できる。持ち株数に応じて決議状況も確認できるほか、議事録も格納可能。
最初は、株主の皆さんから「何のメールかわからない」「どう操作すればいいかわからない」という声をいただくこともあり、個別にご案内することもあったのですが、すぐに慣れていただいたようで、今ではスピーディーにご返送いただいております。
再送の必要性が出た時の対応についても、これまではメールを作り直して、招集通知と委任状を添付して送付するというステップが必要でしたが、smartroundではワンクリックで再送できますし、一度再送すればすぐに対応していただけるので、工数がかなり削減されました。株主側の負担も減らせているのではないかと思います。
中村さんは弁護士のため法律については専門家となりますが、士業の方から見てもsmartroundを利用するメリットがあったということでしょうか。
株主総会から登記までの一連の業務は、専門的な法解釈というよりも手続きをいかにスピーディかつ間違いなく進められるかが重要になってきます。
資金調達の場面だと対応期限が決まっていることも多い中で、例えば1ヶ月しか猶予がない中で、総会開催中7日前に招集通知を出して、議事録を作成して、法務局に行って登記をして、とやらなければいけないことをタイトなスケジュールの中でこなす必要があります。登記となると間違えられない、後戻りできないというプレッシャーもあります。
代表者の変更や資金調達、その他諸々やらなければいけないことが山積みだったので、smartroundがなければスケジュールに間に合っていなかったんじゃないかと思います。言葉を選ばずに言うと、今こうして普通に働けているのはsmartroundのおかげだと思います。
よく使っている機能はなんですか。
最も利用頻度が高いのは株主総会smartroundで、次点はライブラリですね。ライブラリでは、書類の最新版が確認しやすくなることが一番ありがたいです。
資金調達のデュー・デリジェンス(編注:調達や上場前審査のこと)を受けたことがある方にはお分かりいただけるかと思いますが、提出する書類を整理する時、過去の書類がGoogleドライブ内に散らばっていて、どれが最新版か確認する作業はかなり大変です。
実際に、このままの運用だと苦しいなと感じていたタイミングでライブラリ機能を知り、とても助かりました。
今はこれからの資金調達やIPO準備に向けての体制構築としてガバナンスを整える必要があり、smartroundで取締役会や株主総会の議事録を管理し、データルームとして活用しています。
Googleドライブなど、他のデータ共有サービスとの違いはなんでしょうか。
アクセス権の管理が楽なところです。Googleドライブでは、フォルダとファイル、それぞれ権限を個別に管理する必要があることに加え、誰に権限が付与されているかが相手にも見えてしまうことから、デュー・デリジェンスの時は投資家ごとにフォルダを作って資料共有をしなければなりませんでした。
一方、smartroundでは、権限は会社ごとに管理できますし、誰に共有されているかも相手には見えないようになっているため、その手間がありません。
また、Googleドライブだと自由度が高すぎるという問題もあります。
管理業務の経験や知識があれば、どうやってフォルダを設計して何を格納すればいいのかという整理して運用もできますが、馴染みがない方にとってはどこに何を入れればいいのかということを考えるだけでも大変だと思います。
他のメンバーと一緒に使うということを考えると、smartroundにあるフォルダに入れておいてくださいと伝えておけばいいようになっているので、異なる場所へ格納してしまうというミスも防ぐことができ、安心して運用できています。
smartroundのデータ閲覧権限設定画面。会社ごとにデータの閲覧範囲を細かく設定し、権限を付与できる。
smartroundに期待する機能やご要望はありますか。
取締役会もsmartroundでできるようになったら便利だなと思います。
基本的に取締役会は月次開催のため、毎月第何曜日と設定しておくと、3日前くらいにリマインドがきて、事前準備にスムーズに取りかかれるといったフローが構築できるとありがたいです。
取締役会の招集は、法律解釈上、事務方による代理送信が難しいため、バックオフィスや経営企画の担当者ができるところまで準備しておいて、社長(招集権者)が最終チェックしてボタンを押すだけで取締役、監査役へ招集通知を送れる、という仕組みがあればいいですね。
招集通知を出すのは社長にとっても定型的な作業なので、smartroundで効率化できれば喜ぶ企業は少なくないと思います。
ありがとうございます。類似の機能では、事前承諾機能のベータ版を8月中にリリース予定です。
そうなんですね。スタートアップは投資契約や株主間契約での制約が多く、新規事業をやるにも投資家様の事前承諾や定款変更の手続が必要だったりします。
機能自体だけでなく、投資契約書や法律の定義などを踏まえて、そもそも事前承諾や定款変更が必要であるというアラートも、smartroundから飛ばしていただけると、とても助かります。
スタートアップの管理部門の方に向けてメッセージをいただけますか。
スタートアップの管理業務というのは、法律、経理、財務と多岐に渡り、かつ、種類株などの特殊事情があり複雑なため、とにかく難しい。大手企業の社員では経験しないような業務も多く、弁護士や司法書士といった専門職でも、会社法施行規則まで気を配って実際に手を動かして、タイムラインの管理に気をつけながら業務をしている人は多くありません。みんな、会社法や株式実務に関する書籍を横に置いて、おっかなびっくりやっていると思います。
だからこそ、招集通知を送って委任状を集めるといった、法律上省略できず、外部専門家からは「やっておいてください」と言われるものの、実際には種々のGoogleドライブやメール、チャットなどと睨み合いながら、「何をいつまでに、誰に、どうやって行うか」など複雑なプロセスを持つ業務を肩代わりしてくれるsmartroundのようなツールがあるのは助かります。効率化できる分、事前準備をしっかりやって、前倒しで色々なことを進める余裕もできます。
何が起きるか分からないし、何かにつけて登記の必要があるスタートアップだからこそ、余裕を持ってリカバリーしやすい体制を構築し、安定して回すことを目指していくのが良いのではないでしょうか。
ありがとうございました!smartroundで効率化できる範囲を広げて、これからも管理部門のみなさまの負担を減らせるようなサービスを提供してまいります。
株式会社hokanの会社情報は、下記ページからご覧いただけます!