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実際に経験して見えた起業家と投資家の課題
スマートラウンドのアイデアでその課題を解決したいなと思われたのは、どのタイミングですか?
NTTドコモにイグジットをした後に資金ができて、エンジェル投資を始めた後からですね。
投資先が増えていく中で、投資先の管理ができないことに課題を感じていました。一方で会っていた起業家さんたちは資金調達に苦労していました。
その時、両方の課題を一度に解決できるツールをつくったら面白いと思ったんですよね。
(画像:TechCrunch https://jp.techcrunch.com/2019/07/01/smartround/)
起業家の課題を具体的に説明すると、自分自身はベンチャーキャピタルにいたので、ある程度ファイナンスの基礎知識がありましたが、そもそも共通言語で話ができないぐらいファイナンスについて何も分かっていない人たちもいます。
「そんなことしちゃまずいよ」みたいな危険水域にいる人たちも多いので、親身にアドバイスしますが、とても時間がかかります。
そもそも情報の非対称性がこんなにあるのは、資金調達がブラックボックス化されているからだと思います。それを透明化し、標準化していくプロセスが必要です。
一方で起業家の方々が勉強することも大事ですから、双方が歩み寄っていくことも必要だと思いますね。
投資家側が抱えている課題はどういったものですか。
起業家の問題点とは違う話になりますが、一言で言えば管理が大変ということです。
投資家は生業として投資業務をやっていて、制約事項やルールがある中でやっています。投資先ポートフォリオについてモニタリングをしなくてはなりません。
ただし投資先の情報が必ずしもリアルタイムでアップデートされていなかったり、会社法的に必要とされている大事なドキュメントを間違えたりといった、問題が発生しています。
ですから投資先についてしっかりモニタリングできるツールは必ず必要だと考えました。そのツールとしてExcelが使われている状況を変えたいと思ったんですよね。
投資家も起業家も経験豊富な方ばかりではないので、プラットフォームに経験を溜めることも重要になります。一方でスタートアップに関連するビジネスは市場が大きくないこともあり、ビジネスを成立させるのが難しい側面もありますよね。
1つ勇気付けられる事例があって、Cartaという資本政策シェアツールを提供しているアメリカの会社があるんですよ。彼らは今やユニコーン企業になっています。
やり方によってはスタートアップに関連するビジネスでも大きくなれることを示してくれたので、そこを研究していきたいと思います。
資金調達の透明化で、スタートアップはもっと盛り上がる
実際のスマートラウンドの画面を使ってサービスをご説明いただけますか。
スマートラウンドでは、ファイナンスの知識があまりない方でもボタンを押せば、資本政策がつくれて、資金調達の準備が完了できるようなUIを目指しています。
まずスタートアップ側がどう使用するか説明していきます。
この画面は会社の情報を入力する画面ですが、投資家目線で「少なくともこの辺の情報は欲しいよね」というところを記載してもらっています。
(画像:サービス画面より)
次は資本政策の画面です。右上の「新規入力」というボタンを押すと、イベントを1個ずつ追加していくことができます。
(画像:サービス画面より)
「資本政策は逆戻りできない」とよく言うじゃないですか。しっかりイグジットまでのシナリオをつくっておくことが大事だと思います。
たとえば、IPOしたときに33.4%以上の株式を持つことを想定しているのであれば、「シリーズBのときはこれくらいの調達をして、シリーズAのバリュエーションはこれぐらいでいい」といった流れで逆算できます。
スマートラウンドの強みの1つは、そのシナリオを複数つくれることですね。
投資家、ステークホルダーとコミュニケーションできる画面もありますね。
みなさんはDropboxやGoogleドライブといったツールで会社の資料をシェアされていると思いますが、「この人に対してはこの情報を出してもOKだけど、この人に出すのはNG」といったケースがあります。
(画像:サービス画面より)
ツールもいろいろと使用しているので、必要なファイルの場所がすぐに把握できないこともあります。資料を修正したりアップデートしていく中で、それぞれの方に違う内容の資料を同じバージョンとして送ってしまうこともあるんです。
なぜこういう事が発生するのかというと、起業家も忙しくてどのファイルを誰にあげたか分からなくなっているからです。
そこでタイムスタンプを利用することで、どのファイルがどのタイミングで送られたか分かるようにして、共有ドライブから同じファイルが見られるようになっています。
フォルダーはある程度プリセットされているので、どの資料を入れるべきか分かりやすいと思います。
今後、スマートラウンドをどう発展させて、どんな未来を実現したいかお聞かせください。
マーケットが小さいという話が先ほどありましたが、資金調達はブラックボックス化されているところが非常に多い分、透明化することによって大きなマーケットに広がる可能性はあると思っています。
現在のスマートラウンドはファイナンスに絞った機能を提供していますが、スタートアップの経営にはさまざまな課題がありますよね。
たとえばマーケティングや人員計画といったところで、そういうテーマに取り組んでいる企業と連携できるとよりマーケットが広がっていくイメージがあります。
そういう未来を実現していくためにも、どういう価値観を共有するような人と一緒に働きたいでしょうか。
大事にしている思いはやはり「スタートアップ・ファースト」です。いろいろな人が関わっている業界ですが、結局は起業家がメインであり主人公です。
その人たちをどうやって盛り上げていくか、盛り立てていくかというマインドセットを持った人と一緒に働きたいです。