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-1匹目- ネコの手も借りたい情報デザイン "SN比"

"ネコの手も借りたい情報デザイン"のルール

実践の中からかき集めた、分散的な情報デザインについてのメモを捻り出します。
以下は、ルールの詳細になります。

  1. 他分野からキーワードを引用し、情報デザイン用にカスタマイズします。元々の言葉の意味から変質することがあります。
  2. 古くなったり、使わなくなったキーワードは、記事を消さずに残します。有効ではないことを明記します。
  3. 冒頭の猫の写真は本文とは関係ありません。猫の集客力を活用した、賢いSEOです。なお、今回はインドネシアのボゴールにあるオープンカフェに居候している猫ちゃん(半野良)でした。


SN比とは"シグナルとノイズの比率"のこと

"SN比"の元々の意味を確認してみましょう。

SN比(エスエヌひ)は、情報工学(特に通信工学)において、信号量 (signal) と雑音量 (noise) の比である。
信号雑音比 (signal-noise ratio) または 信号対雑音比 (signal-to-noise ratio) の略。S/N比、SNR、S/Nとも略す。
desired signal to undesired signal ratio、D/U ratio ともいう。
SN比が高ければ伝送における雑音の影響が小さく、SN比が小さければ影響が大きい。SN比が大きいことをSN比がよい、小さいことを悪いとも言う。 (引用:wikipedia SN比

これを情報デザインに置き換えると、Sとはつまり"シグナル"のことで、受け手にとって"意味のある情報"です。Nとはノイズのことで、主に"無駄な装飾"などを指します。

つまり、SN比を情報デザイン的に言い換えると、"ある画面において、伝えたい情報そのものが全体要素のどれぐらいの割合を占めるか"という尺度になります。

過度な装飾によって情報の本質が見えづらい場合、 "SN比が低い・悪い"となります。それに対して、ミニマルなデザインによって情報の本質が分かりやすくなっている状態は、"SN比が高い・良い"と表現します。


昔の人は言いました。「シンプル イズ ベスト」

SN比を"高い・良い"状態にするには、どうすれば良いのでしょうか? 

簡単です。無駄な装飾を極力排除すれば良いのです。しかし、ここで重要なのは、"装飾"というものがビジュアルに関するものだけではないということです。

例えば、"ことば"の装飾も少ない方が好ましいです。明日の天気を伝える際に「私の予想では、明日2022年4月1日の0時から24時までの降雨予想量は限りなく0%に近い」より、「明日は晴れ」の方がSN比が高く本質が伝わりやすいです。

"機能設計"においても同じことが言えます。
惰性やファッション感覚で、無駄な機能を実装しようとしていませんか?
そのアニメーションは本当に必要ですか?

"ビジュアル・ことば・機能"の無駄な装飾を排除することは、制作コストの低減やバグの抑制にも繋がります。良いこと尽くしですね。


一般的には、SN比は高い方が好ましいのだが

情報の伝達効率だけを考えると、極論を言えば、ノイズが全く存在しないことが理想的です。しかし、そのような純粋で無垢なデザインは、下手をすると拡張性や機能性に乏しく、アイデンティティが薄くなったり面白みがなくなったりします。「まじめすぎてつまらない」というような状態にもなりかねないのです。

情報デザインにおいて、"魅力的であるかどうか"や"記憶に残るかどうか"という要素も重要です。設計要件において、どのぐらいのSN比が理想的であるかはケースバイケースでしょう。通信工学では、ノイズは単なる邪魔な存在でしたが、情報デザインにおいては、ノイズはバランスを形成するファクターという側面を持っていることも意識するべきなのです。

下の例では、Yahoo!とGoogleのトップページを比較しています。Yahoo!が多機能設計だとすると、Googleはシンプル設計と言えます。

→Yahoo!は、罫線・枠線や塗りなど装飾要素が多いデザインと言えます。Web検索に着目すると、検索機能自体を発見しづらいため使いやすいとは言えませんが、Yahoo!トップを開けば大抵の欲求を満たすことが可能です。(Yahoo! JAPAN


→Googleではミニマルデザインが採用されており、Web検索機能のみが強烈にフォーカスされているものの、他の機能はほとんど何もありません。(Google

個人の好みは別として、それぞれ設計思想が異なるので、Yahoo!とGoogleの優劣を一概にのべることはできません。


シグナルとノイズをコントロールすることが設計の本質

SN比の概念を頭の片隅に置いておくと、設計対象の状況によってシグナルとノイズの量をコントロールできるようになります。ぜひ、みなさんも賢いSN比設計をしてみましょう。


次→二匹目 "情報の形態"

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