光学という自分にとって未知の分野に挑戦すべくKLVに入社した営業の山岡さん。
新しい製品の事業化に自ら手を挙げ、市場の開拓を成功させた経緯についてインタビューしました。
ビジネスをつくる仕事への憧れ
―― 新卒でケイエルブイに入社し、はじめはどのような仕事をしていましたか?
当時は既存の顧客に対する継続フォローや、顧客の求める製品の探索等、与えられた仕事をこなすことから任されていました。
―― 日々の仕事をこなす中で、何か感じたことはありましたか?
初めは苦戦したことも多々ありましたが、周りのサポートもあり少しずつ仕事に慣れていったと思います。
そうするうちに、自分でビジネスをつくる仕事をしている先輩たちを見て自分もチャレンジしたいと感じていました。
―― 「自分でビジネスをつくる仕事」とはどのような仕事ですか?
まだケイエルブイで取り扱っていない新たな製品を国外から発掘して、国内で売り方を考えて市場を開拓するという仕事です。
当時の自分にはまだ「これをやる」というものが見つけられず、既存の製品を売ることが主な仕事だったので、そのような先輩たちの働きに憧れがありました。
発掘されたのはケイエルブイでは未知の製品
あるとき海外の展示会に参加した社員が「どう扱って良いかわからないけど…」と共有した機器が、レーザーダイオードドライバという製品でした。
何それ?って思いますよね。
―― 社内ではどのような反応でしたか?
「レーザー」という名前の通りレーザー関連製品であることは確かでした。ですがレーザーとは通常レーザー光を出す機械を指すのに対し、これは「電源」でした。
誰にどう売れば良いのかもよく分からないし、ニーズがあるのかも不透明といった状況でした。
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当時のケイエルブイでは様々な光学機器を取り扱っていたものの、レーザーは扱っていませんでした。そのためレーザーについての知識や市場に詳しい社員もいませんでした。
―― そこで山岡さんはどうしたのですか?
その時点でレーザーについての知識もなく、販売先の見当がついていたわけではありませんが、製品を見て開拓できそうだなと思ったのでやらせてくださいと手を挙げました。
レーザー市場の開拓を開始
―― 「開拓できそう」と思った理由はなんですか?
ニッチな製品で差別化ができそうだったからです。ケイエルブイはこれまでレーザー関連の製品は扱っていませんでしたし、国内の他社を見てもレーザーの電源を売っているところはありませんでした。
だとしたらこれがなくて困っている人の役に立てるのではないか、会社にとっても希少な製品を取り扱える価値があるのではないかと考えました。
また、誰もやっていないことをやることに対する興味や面白そうだなという感情もありました。
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日本ではレーザーを扱っている会社は多くあり、競合の多い市場といえます。
しかし競合は光源を売る中で、電源という新しい製品から取り組めば、新たな市場を開拓し社会にも会社にもメリットがあると思われました。
―― 具体的にはどのように市場を開拓していったのですか?
まずはレーザーが使用される用途や分野に沿った顧客に、レーザーダイオードドライバを提示していきました。実際に現場まで足を運んだり、Webを使って認知を広めるなどの営業活動を行いました。
見つからない販路
―― その結果、反響はどうでしたか?
製品の受注はほとんどなく、うまくいきませんでした。
レーザーを使用している顧客であればニーズがあるのではと考えましたが、ただやみくもに提示したところで導入いただくまでには繋がりませんでした。
―― それを受けてどのように感じましたか?
自分はレーザーについて知らないことが多すぎると感じました。だからレーザーを使用している顧客の課題や求めるものが分からないし、レーザーダイオードドライバが役に立てるのかも確実でないまま提案だけをしている状態だったんだと思いました。
その気づきによって、まずはレーザーについて勉強するところから始めなければいけないのだと考えました。
―― なかなか売れない時期が続いたとき、諦めようとは思いませんでしたか?
製品によっては、日本には需要がなく市場を開拓できないものも確かにあります。
ですが自分はこれまで既存の市場や売り方に則って仕事をしていた経験から、これを成功させて会社に新たな価値を生み出したいと強く思っていました。また自分がやるといったからには途中で諦めたくなかった気持ちも大きかったです。
必要なのは知識と理解の再構築
―― 具体的に、まずはどのような取り組みから始めましたか?
レーザーについて勉強することから始めました。書店や図書館で関連する書籍を探して読んだり、Webでレーザーの基礎知識について記述のあるサイトを見たり、競合製品の情報を見たりもしました。
それによって一言にレーザーを使用しているといっても、様々な分野や用途があって解決したい課題も異なっているということが見えてきました。
―― 顧客や市場の理解を深めたのですね、他にも取り組んだことはありますか?
レーザーについて基礎を固めたうえで、改めて製品に向き合いました。
スペックの性能ひとつとっても、単なる数字ではなくそこにどういう意味があるのかをまず自分で理解することを大切にしました。
またこれまでのメーカーから情報を受け取るだけの受け身の姿勢から、自分の学びをもとにメーカーに質問をするという自発的な行動をとるようになりました。
質問は調べても分からないことだけでなく、自分の理解・解釈が正しいかなどもメーカーとやり取りをしながらひとつひとつ確かめました。
そうすることでやっとこの製品の優れた点やその根拠などが自分の中で見えてきました。
理解を深めたら見えた、強みを伝える表現
―― 営業の取り組み方はどのように変化しましたか?
やはりレーザーダイオードドライバは市場が無いわけではなく、これまでの取り組み方が間違っていたのだと再認識することができました。
そこでマーケティング担当と連携し、即座に取り組みの方向転換に動きました。
レーザーのユーザ目線で顧客に響くポイントを提示する、勝負できるスペックや性能を提示する、この製品を本当に求める顧客に役立つ情報を展開する。そうやってWebマーケティングと営業活動を組み合わせて進めました。
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一見すると地味な取り組みが続きました。
人によっては「こんな細かい言葉を直して、意味があるの?」「見る人もプロなんだから、スペックの数値さえあればわかるのでは?」とスルーしてもおかしくないところまでこだわりました。
わからないことをわからないままにせず、裏付けを取り、腹落ちするまで掘り下げて、どうすれば顧客にこの製品のメリットが伝わるのかを追求しました。
メーカーには、些細なことでもしつこく確認し、確かな理解の元、顧客に価値を与えられる提案を追求しました。
「未知の製品」からKLVの柱となる製品へ
―― その結果、反響はどうでしたか?
それまで反応もまばらでしたが、あるときから急に売れ始めました。
その反響を受けてこの方向性に手ごたえを感じ、マーケティング担当の協力も受けながら、さらに顧客にとって意味のある情報を提供する施策を考えていきました。
それらの新しい施策の連続に、会社も信じてバックアップをしてくれたことで市場を広げていくことができたと思います。
レーザーダイオードドライバが売れるにつれ、施策の効果もあり自然とレーザー関連製品の全体の売り上げも増えていきました。
今ではレーザー関連製品は、ケイエルブイの事業のひとつの柱となるまで成長しました。
失敗しても次がある環境、だから成功が生まれる
―― 元々大学などで光学について学ばれた経験はありましたか?
いいえ、光学系には触れたことがなく、新卒で入社した際には予備知識はゼロでした。
―― なぜ光学という分野の営業職を選んだのですか?
シンプルにチャレンジしてみたいと思ったからです。
元々自分は一般的にイメージする「営業向きのタイプ」ではないと思っていましたし、実際やってみて大変なこともたくさんありました。でも人生は一回なのでチャレンジしてみたいという気持ちが大きかったです。
―― 今はどのような仕事をされていますか?
自分の担当している製品1個1個を理解して、それを求めている、必要としているお客様に対してアプローチを行い、受注に結びつけるという仕事です。
またお客様に一方的に製品をご提案するだけでなく、何について困っているのか、何を探しているのか根本を探ることも大切です。
お客様の課題に対して私たちが扱っている製品が協力できるのかを考え、他の製品が有効な場合もありますし、協力できるとしたらどのモデルがいいかなどの案内をしていきます。お客様にとって最適な提案をしていくことが重要だと思います。
―― KLVで新たなビジネスをつくる
―― 今後やりたいことはありますか?
一つは語学力を上げたいです。海外のメーカーとのやり取りでは英語を使っているのですが、英語が得意というわけではなく技術的な質問や納期については要点を押さえてやり取りできているところです。契約などの込み入った話では社内で英語の得意な人のサポートを受けているので、そこも含めて自分一人でできるくらいの語学力を身に付けたいです。
もう一つは新たな製品を自分で探してくるところから、国内の市場を開拓するまでの一連を自分でやりたいと思っています。実際に今年から始めていて、海外の展示会に行って製品を発掘しています。最初から最後までを自分でやり遂げられたら良い経験になると思います。
―― そのように挑戦することを恐れず進めるのはなぜだと思いますか?
基本的に「やりたい」に対してポジティブで、失敗しても何か言われることはあまりない環境だからというのもあると思います。
ケイエルブイでは考え方がシンプルで、目標を達成すれば良く、何を考えてどう動くのか、プロセスは任されています。
もし自分で考えて実行した結果が失敗だったとしても、誰かに責められたり何か言われることはありません。
また個人的には、汎用的で既に市場に出ているものをやってもあまり面白くないと思っていて、新しい技術やあまりケイエルブイがやってこなかったところに取り組めるとモチベーションを感じるという考え方もあるのだと思います。
先進的な技術を扱う光学分野においても、さらに尖った製品を扱うことで定評があるケイエルブイと、根本的な部分で相性が良かったのかもしれません。
継続的な売上の土台があり、安定した経営基盤の上でチャレンジングな製品を積極的に扱う、そんな多面性もケイエルブイの魅力だと思います。
―― この会社で成長できることは、具体的に何がありますか?
自分で探してきて売って立ち上げるという一通りの事業をつくるプロセスを学べることが大きいと思います。
頼まれた仕事や決まった仕事をただやればいいということはなく、幅広く動くことができ、自分の働きの結果生まれる影響を感じることができます。
―― ケイエルブイを検討されている方へのメッセージ
私は仕事への向き不向きよりも、気持ちのある人の方が貴重な人材だと思います。
もしその気持ちがあるのであれば、チャレンジしてみては?
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このインタビューの直前、山岡さんは海外の展示会へ赴き、可能性のある製品に出会ったそうです。
海外の展示会は素直に「楽しい」とのこと。
新たな製品の展開が形になるのはまだこれからですが、皆楽しみにしています。
ケイエルブイは次のバッターボックスに立っていただける、挑戦する人材を求めています!