※この記事は20223年6月に公開した以下noteの引用です。
TRUMPシリーズの新作アニメ化が決まり、ニコニコの日々です。
好きなコンテンツが大きくなるってとても素敵ですね。
私はグランギニョルが好きです。
こんにちは、株式会社LOCKER ROOMのたかぴです。
今日は先日公開した自己紹介の延長戦、「漫画家時代」の話を書いていきます。
※自己紹介記事はこちら↓
私は学生時代に漫画家としてデビュー、そこから2年というスピード感で連載→単行本の発売という字面だけ見るととても華々しい作家人生を送っていました。今思うとめちゃくちゃラッキーだったな〜と思います。もう一度同じことやれと言われても多分無理です。縁と巡り合わせとラッキーがかけ合わさって起きたミラクルの2年間でした。
今日はそんなミラクル漫画家生活の2年間の話ができたらと思います。
ただの趣味が夢の仕事に
幼い頃は、ずっと紙芝居を作っていました。物語を作ったり絵を描いたりするのが好きだったのと家族に自分の話を聞いてもらうのが楽しくて、しょっちゅう作っては見てもらっていた記憶があります。
もっと面白い話を作りたい!と思っていた矢先に出会ったのが漫画でした。
とにかくどれを読んでも面白い!幼い私はあっという間に夢中になりました。特に我が家は全員漫画好きということもあり、家にはいろんな種類の漫画が溢れていたのも大きかったと思います。
物語を作るのが好きで、漫画が好き…となると、漫画を描くようになるのに時間はかかりませんでした。いつしかこれを仕事にしたい!と夢を見るようになった一方で、そうそううまくいくわけがないとも思っていました。
自分の周りにはいつも自分よりももっと絵や漫画が上手い人がたくさんいたこともあり、頭の何処かで「才能がある人でも難しいのに、自分はましてや無理だ」と無意識のうちに諦めてしまっていたんだと思います。
そんな私の作家デビューのきっかけは出張漫画編集部へ持ち込みに行ったことでした。当時の私は漫画家という夢を追いはしないものの、漫画を描くことは変わらず好きだったこともあり同人誌を盛んに出していました。その中でやるならとことんやりたい!という性格が先行し「もっと漫画が上手くなりたいけどセルフフィードバックに限界が見えてきた!プロの意見をもらいに行こう!」とプロのアドバイスをもらいに行ったのが、私の人生を大きく変えました。
「うちじゃ出せないけど、背景もうちょっと丁寧に描いて、あとエロ描ければ全然デビューできると思うよ」
編集さんからそう言われた時のこと、今でもはっきり覚えてます。
出版社を選んで、背景を丁寧に書いて、エロが描ければ
素人の私でもデビューできるんですか…?!
じゃあ自分はどこの出版社なら受け入れてもらえるんだろう、何を描けば自分はプロになれるんだろうとその日から市場調査を始めました。ここの出版社から出るジャンル的にこういう感じの絵柄とテーマが良さそうだから自分と相性悪いかも…とか、どういう雰囲気のユーザーがいて何が求められていて自分はどの領域なら描けるんだろう…とか。
自分なりに仮説を立ててチューニングして持ち込みをした結果、見事デビューが決定。
どうせ無理だと思っていた漫画家としての夢が、もしかしたら現実になるのかもしれないと思った瞬間でした。
楽しくも苦しい作家業
無事デビューが決まり、いよいよ商業作家!これでプロの仲間入り!…と思っていたのですが実はそんな華々しいものでもなくて。。
商業の読み切り作品を1本作ったくらいでは当然食べていくことなんてできません。本当に大事なのはここから継続して仕事をすること。
自分が描いた商業作品を持って営業に行ったり、出版社さんから読みました!と声をかけてもらったりと、地道にご縁を重ねていきました。
そんな甲斐もあってありがたいことに絶え間なく漫画を描き続けることができました。ここは本当に運だったと思います。とてつもなくラッキーでした。
同人活動と違いはるかに多くの人に自分の作品を読んでもらえるので、感想を頂けたり仕事としてお金をいただいたりなど、もちろん幸せな面もありつつでしたが、作家業は正直、「しんどい」の一言に尽きました。
汚い話で恐縮ですが、食事を摂るたびにトイレへ直行する日々…。トイレとお友達!と最初は笑ってましたが、笑えないくらいずっとこもっていました。自分はストレスが臓器にテキメンに出るタイプだったことをこの時に初めて知ることになります。
そんなやっとの思いで脱稿しても、リリースされるのは数ヶ月後。温かい言葉と厳しい言葉が飛び交っているのも、全部が終わった後に反省会のような気持ちで見ていました。その合間にも締切はずっとくるわけで…。
自分は何が描きたかったんだっけ?自分は何が好きなんだっけ?なんとか答えを出せたとしても、でもそれは誰からも求められていないのかもしれない。そんな自問自答を繰り返しながら漫画を描いていました。
仕事がないと収入がなくなり食べていけない。でも仕事をしている間はずっと臓器が悲鳴を上げ続け、心がすり減っていく。
漫画の世界はとても厳しい。夢だけではやっていけない世界だと痛感しました。
プライドと憧れの天秤
そんな日々を数ヶ月繰り返して、夢が形になって手に届いた瞬間のこと、今でもはっきりと覚えています。自分の漫画が単行本になって、いつも通っている書店に平積みで並んでいたのを見た瞬間、今までで一番嬉しくて、でも想像よりもキラキラしていませんでした。
今思うととても贅沢な感想だったなと思います。
でもそう思ってしまったのはきっと満足いくものを出せなかった悔しさだったんだろうなと。自分と同時期に出した同じレーベルの作家さんや同時期にデビューした作家さんのことを思うと、全然自分の実力が足りていなかったのを形になったからこそ実感してしまった。
自分の心をすり減らして身体をボロボロにしても、全然届かない圧倒的な壁。
そこから私は経済的な理由を盾にして筆を置いてしまいました。
社会人になることを決めてからの日々
とかなんとか言ってますが、要するに半端なものを出してしまって恥ずかしくなって逃げてしまったわけです。このまま逃げ切ってしまおうかとも思ったのですが幼少期の時からやるならとことんやりたい!な性格がここでも発揮されてしまいました。自分のダメなところを見つめ直して、どうやったらもっと良くなるのか、自分に何が足りないのかをひたすらに考えました。
そして閃きます。
「自分の作品は話がワンパターンで面白くない。引き出しが足りないから浅い話しか描けないんだ。もっといろんな経験を積めば人の心に響く面白い漫画が描ける」
かのバクマンでもそんなシーンがあった気がするなと思いますが、「社会人の漫画を描くなら社会人の経験を積まないとリアリティが出ない」というような解像度の部分が当時の私にとって1番の課題だと感じました。
ということで人としての経験値を積まねば!と前向きに就職することを決意。…したはいいものの、ギリギリまでずっと漫画を描いていたので、もちろん就活の準備など何もできておらず、、ESって何?SPIって勉強しないとダメなの?の始末。
結果としてはIT系の代理店会社とご縁があり、無事就職が決まりました。漫画家としての経験が仕事に生きることはまずないので、経験値!と割り切っていたのですが、実はそんなこともなくて。社会人時代の話もまた今度書けたらと思っています。
元漫画家としての今
そんなこんなあって現在はwebtoonプロデューサーになっているわけですが、漫画家としての才能がなくても、漫画に携わる仕事ができるんです。なんだか夢みたいですね…。
本気で漫画が嫌いになりそうな瞬間もありながら、どれだけ心がすり減らされても形を変えてでもやっぱり漫画に戻ってきてしまうあたり、なんだかんだ自分の人生は漫画が全ての軸になっているんだなと。そう気づいてから「元漫画家」という響きだけなら誰でも言える、と以前までは恥ずかしくて隠していた肩書きが少し誇らしく感じられるようになりました。
これだけ好きなものに出会うこともそうないだろうと思うと、やっぱり私はラッキーなのかもしれません。
これからまた臓器をひっくり返すような日々が始まるかもしれませんが、自分の好きだという気持ちを大切に、精進していきたいと思います。
ではでは。繭期が恋しくなってきました、TRUMP見返そうかな。。
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