この連載では、ハイクラス人材紹介事業を行う「WARC AGENT」メンバーが、過去に転職のご支援をさせていただいた「ベンチャー企業で活躍するコーポレート人材」の方々にインタビューをしています。ベンチャー企業へ転職をした理由や実際に働く上でのやり甲斐など、「ベンチャー企業で働くリアル」に迫っています。
今回は、株式会社フェズにて法務部部長としてご活躍されている池津さんにお話を伺いました。
■プロフィール
株式会社フェズ 法務部部長 池津 亜理沙
2012年、株式会社リクルートに入社。人材領域、住宅領域の企業法務の主担当としてソリューション法務業務に従事。その後、国内グループ全体に関わるプライバシー対策プロジェクトの立ち上げ・推進およびリスクマネジメント統括部署の設立に伴う国内グループ全体のリスクマネジメントプロジェクトの立ち上げ・推進を担当。2020年6月より株式会社フェズに入社し、法務の体制構築と法務業務に従事。
▼目次
リクルートからスタートアップへのチャレンジ
“ビジネスも作れる法務”になるまで
「強くしなやかなコーポレート組織」でカオスを楽しむ
リクルートからスタートアップへのチャレンジ
- 本日はよろしくお願いいたします!まずは、簡単に自己紹介をお願いします。
池津さん:新卒でリクルートに入社し、8年間在籍していました。1年目は経理部に配属され、リクルートの分社化に向けた新しい会計システムの導入プロジェクトに参加しました。そこから、2年目の人事異動で法務部に配属になり、6年間勤めあげることになります。その6年間は、人材領域と住宅領域、それぞれ3年ずつ新規ビジネスの立ち上げ支援やビジネスモデルのリスク検討、契約書のリスクレビュー・交渉サポートやサービス・アプリなどの利用規約作成・改定、トラブルの相談対応など事業サイドのリーガルサポートを全般的に担っていました。
その後、全社ガバナンスの領域にチャレンジしたいと思い、希望してリスクマネジメント統括部に異動しました。その部署では、国内約34社に対してのリスクマネジメント、コンプライアンスやリスク方針などを検討するプロジェクトの立ち上げと推進を行いました。その後、8年間リクルートにいた経験を活かして、新たにキャリアアップをしたいと思い、現在はフェズで法務担当として働いています。
- 当時の転職のきっかけを教えていただけますか?
池津さん:前職では、経験してみたいと思ったことは一通り経験できたなという一区切り感があったので、辞めることを決意した上で、転職活動をスタートしました。そのため、実際に動き始めたのは有給消化期間中でした。
- 次のキャリアとして、なぜベンチャーを考えたのですか?
池津さん:もともとベンチャーにいくことは目的としておらず、自分自身が面白いと思える事業か、その事業に情熱を捧げている人たちがいるかというような事を軸に、転職活動をしていました。
紹介をいただく中で、ベンチャー企業は任される領域が広いということをとても強く感じました。リクルートを卒業してチャレンジするならば、会社の規模が同程度の法務より、より広く携われるベンチャーの方がより自分自身が成長できる環境があると考えました。
- 沢山ある企業の中から、フェズを選んだ理由を教えてください。
池津さん:先程少しお話ししたように、私の中で転職活動の軸を3つ設けていました。
まず1つ目は、自分がワクワクできる、情熱を捧げたいと思える人がいたりそういう事業をやっているかどうか、2つ目は、企業法務としてのスキルを高められるところか、そして3つ目は、ワークライフバランスを見直した働き方ができるかという点です。
特に大事だと思っていた1つ目と2つ目は、フェズがドンピシャだったと思います!会う皆さんの人の良さはもちろん、リクルートやGoogleなどの有名企業出身で優秀な方が集まり、皆が信念を持って、スピーディーに事業を進めている人が多いと感じました。この人たちとだったらお互い信頼し合い、情熱を注ぎながら働けるんじゃないかと、イメージを持てた事がフェズへの入社を決断したきっかけでした。
- とてもパワフルな方達が多く人事含めて女性も多く活躍されているなと思いますが、池津さんはどう感じていますか?
池津さん:印象通りだと思います。
私が入社した時は、そもそも会社として女性の割合が少なかった時だったのであまりコーポレート系の女性陣はいませんでしたが、そんな中でもやはり優秀で自分の芯を持っている女性が多く、今も一緒に仕事をしていて気持ちがいい方がとても多いです。
- オープンなコミュニケーションや芯のある人たちが多いことに魅力を感じて入社を決めたと言っていましたが、実際入ってみてギャップなどはありましたか?
池津さん:人に関するギャップはありませんでしたが、私自身がベンチャー企業は初めてだったので、上場前の100人いないベンチャーの会社は、制度が整った前職と比べると自分の想像以上にカオスだったというギャップはありました(笑)
ただ、会社の成長にとって必要なことや大事なことであれば、年齢や役職、部署に関わらず、素直に経営層に伝えられる雰囲気があり、それをきちんと受け止めて人材やお金を投資する判断ができる経営層がいるのは心強く、そこは聞いていた通りでした。
最初は、体制が不十分なまま進んでいた部分も多いことに衝撃を受けましたが、これを改善し土台を作っていくことがまさに自分自身に求められている役割だと改めて感じ、覚悟を決めました。
“ビジネスも作れる法務”になるまで
- 素晴らしいですね!入社後から今までの間に、最もエキサイティングだった経験を是非聞かせてください。
池津さん:フェズに入ってから1年間は、守りと攻めそれぞれの側面で頑張れたなと思っています。守りの面では、フェズはまだルールが不十分な会社だったので、契約フロー全て刷新をし、ガバナンスを強化していくことに丸1年取り組んできました。具体的には、全ての契約フローが管理できるマネジメントシステムを入れる提案をし、ワークフローの設計やシステム設計を全て行いました。スモールスタートを挟んで、この6月からは全社員が活用できている状態を作り切ったのは特に達成感を感じられたところです。
攻めの面では、お客様のプライバシーリスクをコンサルティングするサービス、”Urumo PrivPro.(ウルモ プライブプロ)”を立ち上げた事です。お客様が個人データも活用して最適なデータマーケティングができるようになるためには、今までフェズが提供してきたデータの活用支援の面だけではなく、お客様が適法にデータ活用ができる基盤を整える支援までもフェズがワンストップでできれば、フェズとして、お客様に対してより多くの価値を提供できるのではないかと考えて、私から社長の伊丹に提案しスタートさせたサービスです。このサービスの企画・立案から、リーガルの側面を対応していただくTMIプライバシー&セキュリティコンサルティング株式会社との業務提携、お客様へのサービスのご提案、お客様へのプライバシーコンサルティングまでを、全て自身が中心となって推進しています。
- お客様から預かる大事なデータをどう扱うかなどの、ノウハウも提供できる新規事業がまさか法務から出てくるとは・・と驚きです。伊丹さんも想定外だった思います!フェズのどんなカルチャーがその成功を後押ししたと思いますか?
池津さん:会社の成長にとって必要なことであれば、部署や役割などに関わらず、チャレンジできる環境とそれが適切に評価される環境があるからだと考えています。評価の面についてお話すると、どんな会社でも営業力や数字に評価が付きやすく、そもそもコーポレートは全社で表彰の対象に入っていないという様な会社もあると伺いますが、フェズはそんなことはありません。全部署フラットに評価されており、今回の上半期は私もMVPをいただきました。私自身、未経験の中でも日々リーガルリスクマネジメントをする中で、リスク対策案としてA案・B案など打ち手を複数考え、メリットとデメリットをきちんと提示して、”会社にとって成長を考えるのならばB案だと思います”と理由も明確にして、事業に説明するということを常に行ってきました。
今回のMVP受賞にあたり、新規事業立ち上げの側面だけではなく、社長が私の提案方法について、「とても信頼もできたし、意思決定がしやすかった」というコメントもしてくださり、メンバーの日々の積み重ねまでも経営層がしっかりと見て評価しているという信頼があります。この様な文化が、フェズという会社に対して、コーポレートのメンバーとしてもとても信頼を寄せられるポイントだと思っています。人の良さや、会社にいる人たちが全力で前向きに当事者意識を持って仕事に取り組んでいる環境自体は、前職ともあまり大きく変わらないです。前職の好きだったところをそのまま引き継いで、新しい会社で働けていると感じています。
「強くしなやかなコーポレート組織」でカオスを楽しむ
- そんなご活躍されている池津さんから見て、良いベンチャーのコーポレート組織とは、どのような組織だと思いますか?
池津さん:「強くしなやかなコーポレート組織」が大事だと思っています。
強くという部分の側面の一つは、ガバナンスをきちんと整え、事業が攻めの戦略をすることだけに注力できるように、コーポレート組織が強固なガバナンス体制や仕組みを構築をして運用していることです。また、ベンチャーのコーポレートは、事業が先に立ち上がる影響で、立場が弱い傾向にありますが、その上でもリスクになることに対して、合理的な理由に基づいて毅然と止められる姿勢が強さの部分だと思っています。
次に、しなやかなという部分も2つの側面があると思っています。
1つ目は、一度決めた体制や仕組み・基準に固執するのではなく、会社の成長にとって必要なことを見極め、常に改善し続けることです。なぜルールが必要なのか、そのルールが今の会社にとって最適なのかというのを自問することが大切です。
2つ目は、NOと言うだけではなく、法令違反とならないよう、どこを工夫・改善すればその事業や施策が実施できるかをきちんと提案できることです。
強さの部分としなやかさの部分を備えたコーポレート組織になれば、会社の成長を後ろから推し進めることができる組織になることができると考えています。
- 最後にベンチャーのコーポレート部門にチャレンジしようと思っている人に対して、当時や現在の経験を踏まえて一言いただければと思います。
池津さん:一言で言うと「カオスを楽しむ」です!(笑)
ベンチャーでのチャレンジは、本当に覚悟がいることかと思いますが、あまり構えすぎてもよくないかと思っています。カオスの状態を楽しむぐらいの気持ちで自分自身がチャレンジしたいと思っている領域に飛び込むのがいいのかなと思います。
ベンチャーは、大企業に比べると制度は整っておらず、教育環境も充実しているわけではないので、入社してからパワーがかかることは多いです。また、任される領域が多いという良い側面もあれば、意思決定の責任の重さや業務量が多いという側面もあります。ただ、そうした環境だからこそ新たにチャレンジできる領域は多いので、そこをいかに自分自身が楽しめるか、辛さがあっても乗り越えて何か掴みたいものがあるか、もしそのような思いがあるなら、ベンチャーにチャレンジすることは素敵だと思います。
- ベンチャーの魅力が存分に伝わるメッセージありがとうございます。本日はありがとうございました!
ご一読ありがとうございました!
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