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【社員研修レポート】在来種「滋賀旭」の田植え

滋賀県の在来種である「滋賀旭」

当蔵では、地元産の酒米で造る「地」の酒にこだわり、滋賀の酒米4品種(玉栄・滋賀渡船6号・吟吹雪・山田 錦)のみを使用してきました。この酒米は記念すべき、5品種目です。

ほぼ姿を消していたこの酒米の種籾を2年前に手にする機会にめぐまれ、契約農家さんの協力のもと、
無農薬栽培した在来種での酒造りに辿りつくことができました。

2022年5月、晴天。

この日は、有志の飲食店さんと当蔵の蔵人皆んなで「お米の家倉」5代目 家倉 敬和さんの滋賀旭の圃場へ田植えに行きました。広大な土地を代々担ってきた家倉さんは、とても精力的で実直な方。笑顔で熱心に無農薬での米づくりのことを教えてくださいます。

僅か30gの種籾から大切に育ててくださり、2年の歳月を経て、今年はなんと1,200Kgほどを収穫できる予定です。

無農薬の滋賀旭(写真左)は、苗の段階から草丈も高く、太く、逞しい。
日本の良質米の祖先といわれ、かつては「東の亀の尾、西の旭」といわれるほど人気の品種であった所以を感じずにはいられません。

10年以上に渡り、無農薬栽培を続けている家倉さんの圃場は、自然界の微生物との調和が保たれて土壌も発酵しています。ゆえに、土は驚くほど滑らか。

「土がふかふかしてる。これまで体験したことがないくらいきめ細やか!無農薬の醍醐味。」
「手植えは大変だけど、土の生暖かいところ、冷たいところ、混ざり合って心地良い。」
「滋賀旭の苗が立派で、生命力を感じた。」
蔵人たちからも、色んな声が飛び交います。

田植えの後は、お待ちかねの羽釜炊きのごはんを皆んなで「いただきまーす」
(火起こしは、家倉さんと当蔵の清水が担当しました。良い火加減!)

パリパリおこげも一緒に…同じ釜の飯を皆んなで味わえる幸せ。

当蔵は家倉さんをはじめ、6軒の篤農家さんと契約して、酒米を作っていただいています。
一粒一粒大切に育てていただいた米を引き継ぎ、当蔵は酒造りのバトンを受け取り、今日も醸しています!


ー家倉さんとの出会い

「家倉くんとの出会いは2010年。会った瞬間、何よりもまず真面目な人だなと思いました。冨田酒造では当時すでに減農薬の米を使った酒造りをしていましたが、次は無農薬の米で酒を造ってみたいという思いがあって。家倉くんと出会って話をしていく中で、「一緒にやってみようか」となったのが無農薬米で酒造りを始めたきっかけです。

いざやってみると、無農薬米とそうでないお米には明らかな違いがありました。
まず、無農薬のお米は発酵が穏やかです。そしてタンパク質の含有量が少ない分、なめらかな味の酒に仕上がります。もともとは安心安全で体に優しい素材で酒を造りたいと思って始めたことですが、思いがけず「無農薬の米で造る酒」の味が確立できる結果となりました。

それ以来、毎年1月に昨年のお米についての反省と、今年に向けてのミーティングを続けていて、水の管理やより自然に近い農法など、かなり細かいところまで相談し合っています。もう10年以上の付き合いになりますが、最初に感じた真面目で人を大切にしているという印象が、今ではより強くなったように思います。
いつまでも丁寧で、気配りがすごい。会いに行けば、いつも見えなくなるまで見送ってくれます。
だから紹介する人はみんな家倉くんに惚れ込んで、この人のお米が食べたいと思うようになるんですよね。

滋賀旭を栽培する農家は他にもありますが、5年、10年と同じ場所でとれた種を使い続ければ、必ず土地やつくり手によって違う味になってきます。その違いは、もちろん酒にも現れるでしょう。そこで初めて、これまでより一歩進んだ“この土地ならではの味”が語れるようになるのかなと思うと、今からとても楽しみです。 」(15代目蔵元 冨田 泰伸)

お米の家倉: https://yagu.jp/
“滋賀旭27号”の米作り:https://onl.tw/8c9Cyr7 

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