徳島県の自治体、都市部から人材誘致 複業も活用
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC121RF0S1A910C2000000/
こんにちは。日経COMEMOのKOLの大林です。
KOLを拝命して毎月寄稿させていただき1年が経ちました。主には複業を中心としたキャリア論、地方創生についてなどを寄稿テーマに執筆しています。私にとっての"複業"が日経COMEMOのKOLでもあります。
そして普段は複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」を運営している株式会社Another worksの代表をしております。
さて、年の瀬に近づき、1年を振り返る時期になりました。
2021年はコロナを契機に個人の可処分時間が最大化され、個人のキャリア自律の重要性が高まり複業(副業)が一気にブームになりました。企業成長戦略において外部人材登用が当たり前になり、自治体も複業人材を積極登用するなど複業(副業)が文化になる兆しが見えた1年だったと思います。
特に自治体の複業人材登用は複業の社会実装に向けて大きく「山が動いた」と思っています。オンラインでの仕事の依頼・作業が当たり前になったことで自治体が政策実現、DX推進を目的に移住定住以外での複業による人材登用が可能になりました。
弊社も現在20自治体と連携協定させていただき「自治体×複業」を推進しています。
市町村が外部人材活用 副市長公募、副業・兼業も市町村で外部人材を活用する動きが広がっている。市長の右腕となる副市長を公募したり、DX(デジタルトランスフォーメーション)www.nikkei.com
DXや企業誘致、自治体が民間人材の採用増 試験なしも関西の自治体が、デジタルトランスフォーメーション(DX)などの専門人材の採用を増やしている。行政サービスの改善や業務効率化www.nikkei.com
総務省による「自治体DX推進計画」が自治体のDX人材登用を一歩前に進めた理由の一つです。自治体にとってDXは手段に過ぎず、職員さんの生産性向上、コロナという未曾有の状況の中でも最適な行政サービスを町民に提供するためのDX推進です。そのためには首長、そしてDX推進に関わる職員さんのDXへの知見やリテラシー向上が急務となっています。
そこで民間で活躍するDXに造詣の深い人材を、移住定住など大きく環境が変わらない複業という形で登用する、というのがトレンドになってきました。
複業人材にとってもオンラインで複業として地域活性に携わることができたり、故郷に恩返しができたり、キャリアアップに繋げられるので双方メリットが多くあります。
2022年、このトレンドは「DX」以外の領域(たとえば、広報誌のデザインやふるさと納税のマーケティング、など)で複業人材登用は加速していくと思います。
そして、大手企業の複業解禁も大きく「山が動いた」1年でした。早速解説付きで振り返りましょう。
2021年の大手企業の副業解禁を振り返りましょう。
改めて、社員にとって副業のメリットは多くあります。シンプルな年収アップに繋がりますし、1社に所属し続けることへの不安から副収入を得ることで精神的な安心に繋がるというメリットもあるでしょう。スキルアップを目的にボランティアという形で複業し、市場価値の最大化・生涯年収の最大化を狙う方も多くいます。
また、副業解禁することによる企業のメリットも多いです。従業員のスキルアップによる本業での活躍を期待できること、副業容認による従業員の定着率向上、優秀人材の流出防止、採用力の強化、などメリットは多く期待されます。
2020年はアサヒビールやライオンなどの大手企業が副業解禁をしました。2021年、印象に残っている解禁企業をご紹介します。
年始早々ビッグニュースがありました。誰もが知るIHI社が国内約8千人の正社員を対象に副業解禁しました。他社や研究機関などで副業し、既存事業以外の知見をインプットしたり、人脈を作ったりすることを期待しているようです。
インタビューで同社社長も下記のように解禁について触れています。
「副業解禁は人件費を減らすことが主な目的ではない。在宅勤務や一時休業などにより、従業員はこれまで以上に自分の時間を有効に使えるようになった。労務管理など難しさはあるが、役員などによるサポート体制を組み、社員の新しい発想を生かす環境整備を進めていきたい」
と。注目すべき点は「労務管理の難しさ」に触れている点。今は個社毎で体制を組んでルールを定めていますが、2022年はより労務面でのルール整備が進んでいくと昨今の副業解禁の流れを見ても思います。
また、今回の印象的な取り決めとしては
「副業を始める前は研究開発の計画や製品の納期などに支障がないかも上司と確認し、時間などを調整する。業務上の秘密の漏洩や競合他社で働くことなども認めない。」
という部分。週所定労働時間の半分以上(20時間以上)はIHIでの就労を義務付けており明確に定量的なルールを設けています。特許や知財など絡む企業での複業・副業は承認ハードルは高いと思いますが、事例が増えることを願うばかりです。
三井化学も管理職を対象に副業を解禁しました。
「データ解析などデジタル技術を使ったサービスの重要性が高まっていることから外部の技術やアイデアの獲得が急務となっている」
と日経には記載がありましたが、素材や機器開発だけではなくDX推進をしていく中で社員の副業による「自社還元」を期待しての今回の解禁と見受けられます。
そして同社は、月4日以上出社すれば残りはテレワークを可能とする制度を導入しています。社員の可処分時間を増やし副業しやすい環境を作っていくなど、レガシー産業の中では非常に稀有な取り組みを実施。柔軟かつ多様な働き方を認め、事業イノベーションに欠かせない優秀人材の確保や育成、定着を図るクレバーな戦略です。
大手生保では初の副業解禁は第一生命。今年の4月に約1万5000人の職員を対象に副業を解禁しました。勤務時間外での個人事業主としての業務受託などでの利用を想定しているとのことです。
元来、セキュリティ面で副業解禁を敬遠していた金融業界ですが、みずほ銀行の副業解禁を契機に風向きが変わりました。そして、第一生命の解禁もさらに「山が動いた」大きな発表です。
金融業界の方の副業は見方によっては金融業界でしか活用できないと思われがちですがそんなことはありません。たとえば、金融知識をベースとしたセミナー講師やベンチャー企業の会計財務支援、Fintechベンチャーの事業支援など、かなり専門性と汎用性が融合した副業が実現できると思っています。
昨年2020年は、四国最大手の伊予銀行の副業解禁が話題になりました。2021年は複数の地銀による副業解禁が目立ちました。千葉県内の地銀初として、千葉興業銀行が4月から副業を解禁。また、東証一部の奈良県唯一の地銀である南都銀行も4月に行員の副業を認める制度を導入しました。関西の地銀が副業を解禁するのは初めてになります。
まだまだ続きます。横浜銀行も副業制度を10月1日から導入しました。県内の金融機関では初の解禁です。行員の人脈構築や銀行業務以外の専門性を高めるなど、社員のスキルアップやキャリア形成が目的です。
早速この制度により行員がテレビ神奈川で副業を開始したという記事もありました。その他には九州フィナンシャルグループと傘下の肥後銀行も9月に副業を認める発表もしています。
情報管理や利益相反のリスクを背負ってでも副業解禁する流れは、社内でのニーズ増と社外で学び「還元」して欲しい、という覚悟だと思います。
大きく山が動いた2021年。2022年もこの流れは止まることなく山は動き続けると思います。
しかし、2年間で大きく複業・副業への価値観や考え方、情勢が変わった分、2022年はあえて「整備」する年になると予想します。
副業解禁による労働時間や、健康管理を中心とした労務問題、社員からの副業申請の承認審査基準など、各社ルールがまとまっておらず明確な「基準」が定められていません。
そもそも副業を受け入れる側は業務委託で契約されるので労働基準法で定義する労働者性がありません。しかし個別具体的な事例を見ているくと、さまざまな解釈がある中で、そろそろ政府などが現行の商習慣に則った形でルール整備をする必要があると思っています。
機運が高まっている今だからこそ、拡散するよりも整備する必要があり、ブームではなく文化になる潮目が2022年になると予想しています。正解かどうかは来年のこの時期にnoteで振り返りますので複業プラットフォームの経営者のいち意見として参考になれば幸いです。
「複業クラウド」というSaaS型複業プラットフォームを運営しておりますが、本気で「多くの人が様々な仕事に挑戦できる『複業』文化を日本に定着させたい」と思っています。
企業と複業希望者を繋ぐだけではなく、自治体と複業希望者を繋ぎ、複業社会を目指している会社は弊社が一番だと実績含め自負しています。
2022年も引き続き、複業登用を企業や自治体に推進し、複業を文化にしていけるよう尽力していきます。
企業への複業や自治体複業などに興味がある方は下記からぜひ複業クラウドの世界観を楽しんでください!