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コロナ禍でも契約継続率99.0%を実現したUPWARD CS戦略 - 第3回 組織Missionの定義と基本戦略の策定

目次

  • このストーリーについて
  • 組織Missionの定義
  • 1.Churnをコントロールすること
  • 2.社内のフィードバックループの起点となること
  • 基本戦略
  • 1.タッチモデルの導入
  • 2.オンボーディングへの注力
  • 3.定期的な顧客接点の担保
  • さいごに

このストーリーについて

UPWARD CCO (Chief Customer Officer/最高顧客責任者)の剣持と申します。
このストーリーではUPWARD Customer Successの戦略を複数回にわたって公開していきます。
UPWARDのCSは「日本のSaaS企業からベンチマークされるCustomer Success組織」を本気で目指しております。もちろん大前提として、SaaS企業のCS組織として自社のプロダクト を通じてお客様に成功していただくこと、それを通じてChurnRateの最小化、LTVの最大化を行うことで事業貢献を行う事、ひいては、UPWARDが日本デファクトスタンダードになることにより日本、世界の労働生産性向上に寄与していくことを目指しております。ただし、それだけにとどまらず、そこに至るノウハウを広く公開することにより今後CS組織を構築、進化させていく方々の参考となり、日本からより優れたCS組織が多く生まれることの一助になりたいと考えております。
第1回では現在のUPWARD CSチーム立ち上げの歴史、第2回では戦略策定のために行った現状分析について記載しました。今回は第3回として、組織のMissionと、策定した基本戦略について記載させていただきます。

過去分ストーリー
第1回:組織立上げの軌跡
第2回:実行施策の策定に向けたChurnと既存顧客状況の分析

組織Missionの定義

基本戦略を定めるために、まずはUPWARD CSとしての存在意義および成し遂げたいこと、つまり組織のMission定めました。当たり前な話ではありますが、当たり前を言語化し強く共通認識を持ちブレずに向き合うことが、組織として正しい意思決定をすること、現場が迷わずに業務に取り組め高い生産性を発揮できること、そして組織が拡大していった際にも共通意識をもてるようになるので、あえて繰り返しメンバーに伝え続けています。

1.Churnをコントロールすること
2.もっとも顧客に近い部門として社内のフィードバックループの起点となること

1.Churnをコントロールすること

まさにこれがCSの直接的な事業ミッションであるため当然ではあるのですがポイントは、Churnの「阻止」「撲滅」ではなく、「コントロール」としている点です。これには、組織レベルでも個人レベルでも、リソースの選択と集中を常にすべきという意思を込めています。当然、Churnは少なければ少ないほど良いですが、一方で0にすることは絶対にできません。Churnの阻止や撲滅を至上命題にしてしまうと、更新可能性の低い顧客やレベニューの低い顧客に必要以上にリソースをかけてしまったり、最終的にChurnした際に必要以上に悲観的になってしまいます。そうではなく、Churnは必ず発生することを前提におき、組織として、個人としてそれを最小化するためにもっとも費用対効果が大きいアクションを取ることを大切にしてます。こうすることで、時には、もうこの顧客はこれ以上追いかけずChurnを許容し、別の顧客にリソースかけようという判断が当たり前にできるようになります。

2.社内のフィードバックループの起点となること

これは、社内の各部門に対する重要、有効な情報提供をはじめとした各種貢献を行うことを意味しています。直接的な事業ミッションのChurn低減に加え、この部分にいかに本気で取り組み、効果的な働きができているかはCS組織としての大きな価値尺度であり、かつ事業成長を左右するものだと考えております。
SaaS事業は必ずすべての活動が「顧客起点」であるべきだと考えています。サブスクリプションビジネスであるため収益構造としても既存顧客のRevenueが重要であることはもちろんですが、加えて、マーケティング、営業、プロダクト開発といった事業活動のあらゆる場面で既存顧客の情報は非常に重要です。一例ですが、マーケティングや営業においては「顧客事例」は重要な武器になります。有効な事例があるか否かでリードの獲得、商談の創出、クローズは大きく左右されるため、有効な事例の創出、提供は非常に重要です。また、最も重要なのはプロダクトへのフィードバックです。プロダクトが芯を食った進化をしていくためには、顧客の課題を解像度高く理解できていることが非常に重要です。ただ顧客から言われた要望を開発チームに流すだけでなく、そもそも顧客はプロダクトを何のために、どのように使っていて、こういうことをする際に課題があるからこういった機能が必要、といった解像度の高い形でのフィードバックが行えるかが重要だと考えています。

基本戦略

大変前置きが長くなりましたが、第1回の立ち上げ経緯、第2回の現状分析、および上記のMissionを踏まえ、すべてのオペレーションの基礎概念となる基本戦略3点を定めました。核戦略の詳細に関しては次回以降一つ一つ掘り下げてご説明していきます。

  1. タッチモデルの導入
  2. オンボーディングへの注力
  3. 定期的な顧客接点の担保

1.タッチモデルの導入

これは一般的に多くのCS組織で取り入れられていることではありますが、CSのリソースをChurnを低減するために最適なバランスで投下できるよう、顧客をハイタッチ、ロータッチ、テックタッチとセグメント分けし、それぞれのセグメントでの対応チーム、Churn許容率、接点頻度等を決めて運用するようにしました。セグメントの分け方はシンプルに顧客毎のレベニューと顕在化しているポテンシャルの総額が基本になっています。かつ、下記にも記載している通りオンボーディングへの注力具合を高めるため、契約初年度に関しては基準を下げるような調整を行っています。第1回でも書いた通り、コロナショックによるチームリビルド前はマネージャー含む4名でCS活動を行っており、顧客の対応優先度等言ってる場合ではなく、常に問い合わせがあった顧客、Churnリスクが高い顧客、更新が近い顧客に対する対応に追われておりました。リビルドにあたり10人程度のチームになったため、リソースの選択と集中を明確に行うために導入を行いました。

2.オンボーディングへの注力

まず、弊社における「オンボーディング」の定義は、UPWARDをご契約してから現場運用が始まるまでの運用準備全般のことを指しています。具体的には、業務運用や機能に関する要件定義、初期設定サポート、運用マニュアルの作成、システム監視者や利用者へのトレーニング等がタスクです。第2回の現状分析でも記載したとおり、リビルド前のChurn最大の要因が「初期定着の失敗」で改あったため、ここを改善し、Churn水準を下げることを狙いオンボーディングに対する注力を掲げました。具体的に行ったことは大きく2点で、「オンボーディング専任チームの立ち上げによるスキル、ノウハウの集約」と「徹底的なオンボーディングプロセスの標準化、仕組み化」です。詳細は次回以降に記載しますが、UPWARDはCRM、SFA領域というプロダクト特性もあり比較的オンボーディングの期間が長くかつ難易度が高いことを特徴とみています。まさに、こういった特性があるにもかかわらず、これまで戦略性をもってオンボーディングフェーズに取り組んでこれなかったことがChurn要因になっていたと考えられ、ここを強固にすることがUPWARDにとって非常に重要だと考えていました。

3.定期的な顧客接点の担保

既存顧客に対し、漏れなく定期接点をとることを徹底するようにしました。具体的には「カバー率」というKPIを設計し、これをチームおよび個人KPIにしております。カバー率は各チーム、個人において担当している社数に対し、「一定接点期間」以内に何社接点(面談)ができているかという設計になっっています。上記の「一定接点期間」というのが1でご説明した顧客のタッチレベルによって異なり、ハイタッチなら〇日以内、ロータッチなら〇日以内という形で定めています。
例えば、ハイタッチ顧客の「一定設定期間」を30日、と定めた場合で、担当社数が10社、30日以内に接点を持てている顧客が7社であればカバー率は7/10=70%となります。
常に各チーム、担当においてカバー率を一定以上に維持することをKPIにすることにより、常に一定レベルの網羅率で既存顧客と接点を維持できる状態を担保するようにしました。
CSが顧客に対し行うべきことは「コンサンプションギャップ」=プロダクトの最大価値と顧客が享受できている価値の乖離の最小化だと考えおり、これはメンバーにも常々伝えています。顧客のビジネス環境や営業戦略が日々移り変わる中で、顧客がプロダクトの価値を享受できているかを確認し、ギャップがあるなら埋めていくことを粘り強く行っていく必要があり、このために常に顧客と接点を持ち続け、ギャップが生じていることを早期に発見する仕組みの構築が必要不可欠であるという考えから接点の担保を重要視しております。かつ、第2回で触れた通りで、当時コロナショックによりお客様のビジネス環境が大きな変革期にあり、かつ誰も先が読めない状況にあり、より顧客の状況の移り変わりのリアルタイムなキャッチアップが必要であったことも付け加えておきます。

さいごに

今回も長文となりましたが最後まで読んでいただきありがとうございます。次回以降は今回ご説明した基本戦略の一つ一つに対する掘り下げた説明をさせていただく予定です。ご興味頂いた方はぜひ、「いいね」もお願いします。

また、採用も積極的に行っております。UPWARD CS(あるいはそれ以外の部門でも構いません)にご興味ある方、まずはカジュアルにwebでお話しすることも可能ですので、以下TwitterまたはLinkedInにてDMお待ちしております。

オフィスへのご来社も大歓迎です。2022年8月に、にさらなる事業成長に向けた拠点として、WeWork 日比谷FORT TOWERに移転いたしました。虎ノ門駅や新橋駅から徒歩圏内でありアクセスしやすい場所にありますので是非お気軽に遊びに来てください。

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