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DXは”勢い”ではできない|バスの走行位置の機能開発で見えた、本質的なDXに必要なこととは

こんにちは、東急株式会社「URBAN HACKS」採用担当です。

URBAN HACKSは、交通事業を軸に不動産や生活サービス、ホテル等多彩な事業を展開している東急株式会社が、街づくりにおけるDXを目的に、2021年7月より生まれた新組織です。現在、新たなイノベーションを生み出すべく、積極採用を進めています。

今回は、URBANHACKSが東急アプリに追加した「バスの走行位置」に関して、その追加背景やリアルデータの取り扱いをPOの吉田さんにお伺いしました。

東急ならではの「リアル×デジタル施策」の難しさとやりがいが垣間見え、施策の今後の可能性も感じられました。

リアル×デジタル施策のリニューアルを推進

―まず東急線アプリの概要と、その開発にURBAN HACKSが関わることになった背景を教えてください。

吉田:東急線アプリは、東急電鉄・バスの運行情報や混雑度などをお届けするサービスです。東急沿線を利用する方の中でも、特に通勤・通学で日常的に利用する方をメインターゲットにしています。東急線アプリの課題探索が始まったのが、2021年11月頃です。

チームを組み1か月ほどかけて、機能の優先順位やUIの再設計などを踏まえた、プロトタイピングを行っていきました。実際にリニューアルプロジェクトが始動したのは、2022年2月頃です。バックエンドエンジニアやプロダクトマネージャーなども加えた体制で推進することになりました。

1年半、ひたすら改修作業…本質的なDXに求められること

―今回東急線アプリに、バスの走行位置の機能を追加した背景を教えてください。

吉田:バスの走行位置機能はもともと東急線アプリにも、標準機能として搭載されていました。ただ、工数をはじめとしたさまざまな事情から、リリース時には搭載しませんでした。するとリリース後、ユーザーから「バスの走行位置機能がない」という声が多く上がり、低評価も増えてきたんです。そこで「この機能は、バスユーザーにとって本当に重要な機能だったんだな」と改めて認識しました。

走行位置機能は、リアルタイムのデータ反映が必要になるため、運営会社でなければ提供出来ない機能です。「これこそが、東急に求められていることなのでは」と考え、機能追加に着手しました。

―機能の追加にあたり、大変なことはありましたか。

吉田:バス走行位置機能を追加する前に、約1年半かけて地道に既存機能のインシデント対応を行なったことです。東急線アプリのサービスの土台は、「正しい交通情報を素早く提供すること」です。しかし、当初は輸送障害が起きるとデータが上手く取れなくなったり、表示も出来なくなったりといったインシデントが結構起きていたんです。そのため、この1年半はひたすら地道にインシデント対応を続けてきました。その結果、下がっていたアプリの評価を、上昇傾向まで持ち直すことが出来ました。

インシデント対応は本当に地味な作業ですし、チームの皆さんにはかなり辛抱してもらいました。でもだからこそ、本質的な課題解決にしっかり向き合えましたし、優先して対処したおかげでアプリの評価も上がってきたのだと思います。

また、対処にあたりチームの意識を統一するために、ワークショップを開催しました。このアプリは誰に何を届けるサービスなのか、どういうステップでどこへ向かっていくのかを話し合い、意識を揃えました。アプリの土台となる「正しい交通情報を素早く提供すること」を、チームの皆で共通認識を取れたことが、機能追加にあたって一番重要だったように思います。

―リアルデータを扱うからこその大変さや、やりがいはありますか?

吉田:難しかったのは、ステークホルダーが多いため、インシデントの対処に時間がかかることです。電車やバスから上がってきたデータをアプリに表示するため、インシデントが起きても、その原因がアプリ側と電車やバスの車載機側、運転管理システム側のどこに問題があるのか、まず調査しなければいけません。システム検知やユーザからの声だけでなく、QAエンジニアには実際に電車やバスに乗ってもらって、アプリの表示が本当に正しいか確認してもらったり(フィールドテスト)と、地道にテストをしてもらいました。

やりがいとしては、データを正しく届けることで、ユーザーに効率の良い時間の使い方を提案できることです。時間を有効活用していただくために、ナビゲーションサービスの重要性が高くなってきていると思います。そこに貢献出来る面白さがありますね。

―東急線アプリには一時期低評価がついていたそうですが、評価を消さなかった理由は何ですか?

吉田:「何をすれば低い評価が上がっていくのか」を、実際に知りたかったからです。私の前職では「バケツの穴が開いた状態で、プロモーションをするな」とよく言っていました。いくら新しいプロモーションを行っても、結局「穴」が開いたままだとそこから水が流れ出るので、意味がない…ということです。

東急線アプリに関しても、何も分からないままとりあえず評価を消しても、また低い評価がついてしまいます。小手先のテクニックで評価を上げるのではなく、しっかりと評価が上がる方法を見極める必要があると考え、地道な対処に徹しました。

―東急線アプリについて、今後の展望があれば教えてください。

吉田:東急線アプリのホームページにあるように、「東急線のある暮らしをもっと便利に、豊かに。」を実現していきたいですね。今はまだフェーズ1で、交通情報を正しく表示していくことに注力しています。それが出来るようになったら、ユーザーがより時間を有効活用出来るよう、東急沿線の周辺の情報もしっかり出していくことが求められると思います。

さらに、自分の住んでいる街や職場の最寄り駅で、どういう風に過ごせば効率がいいかが分かるようにしていきたいです。例えば、何時に電車が駅に着くかをアプリで把握したうえで、駅周辺のお得な情報や新店舗の情報などをアプリで閲覧できるようにしていきたいですね。

小手先のテクニックではなく、本質を見据えたサービス提供を

―候補者の皆さまに向けて、メッセージをお願いします。

吉田:URBAN HACKSの良いところは、サービスの本質にしっかりと向き合えるところだと思います。東急線アプリに低評価がついたときも、評価をリセットしたり、小手先のテクニックで評価を無理にあげたりすることなく、悔しさに耐えながら一つひとつ問題を見直しました。その結果が今の高評価につながっていると思いますし、そういうサービスの本質を見据えた開発をしたい方には、とてもいい環境だと考えています。

また東急電鉄の面白いところは、電車で人を移動させることだけではなく、駅の機能にもあります。例えば通勤のある方なら、自宅の最寄り駅は、ある程度の頻度である程度同じ時間に通りますよね。そんな場所は駅しかないと思うんです。そんな駅だからこそ、提供出来るサービスがあるのではと考えています。

これからさらに通信速度も上がるでしょうし、通信可能な領域も広がってくると思うので、いろんなものがインターネットで繋がる時代になっていくと思います。デジタルを活用してリアルで提供出来るサービスも、増えていくのではないでしょうか。インターネットが繋がっていない世界はまだまだたくさんあるので、今後の可能性の大きさを感じています。

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